「フリーハグいかがですか?」 コンビニに行った帰り道、一人の女性が立っていた。 フリーハグの存在は知っている。 なんか、ハグしてくれるらしい。 「いいですか?」 「もちろんです」 名前も知らない人との、数秒間だけのハグ。 少しの緊張と、少しの温かみを感じた。 「ありがとうございます」 ぼくはそのまま彼女と別れ、会社に戻った。 どことなく、心がぽかぽかと温かかった。 「先輩お帰りなさい! バグ、三件増えました!」 「フリイイイイイバグウウウウウウウ!!!!」 温かい心のまま、体のエンジンを全力でぶん回す。 俺たちの徹夜はこれからだ。
動かない政権、政治に一体どんな意味が有るの だろう首相を褒め称えるどうでも良い未だ何も 変わって無いし人間は甘やかす頭に乗る生き物 原油、ガソリン購入オゾン層破壊してる要因を 造ってる自覚有るのでしょうか政治家は芸能人 じゃ無いチャラチャラするならば一噌政治家は 辞めて頂きたい🙊🙊が良い気に為るなと叫ぶ 勇気の有る政治家は居ない者か情けない国民を 支え上に立つと言う事の意味を知らないのかな 良い大学や環境の中で何を学んだのでしょうか 無知な者でも分かる事なのに不思議ですね多分 贅沢過ぎる環境は時として全てを見え無くする 物です釈迦が恵まれた環境を棄て仏門を学んだ 様に私達は苦労して初めて気付き悟れる生き者 かも知れない
まるでブログはお化けみたいだ。 無数の記事を用意して、検索結果に置いておく。 何かを知りたいと思た人間は、検索をし、記事を見つけ、まんまとブログの中に飲み込まれていく。 人間を飲み込むお化け。 たくさんのご飯を置いて、腹を減らした小動物が見つけ、食らいつき、捕まることに似ている。 唯一良かったことは、飲み込まれた人間が死にはしないことだ。 ただ、知識が増えるだけ。 ただ、時間が吸われるだけ。 一つの記事から別の記事へ、ハマれば底なし沼のように。 「ああ、もうこんな時間だ」 起床用のアラームが鳴って我に帰る。 早起きして手に入ったはずの時間は、いつの間にか溶けていた。 やっぱり、ブログはお化けなのかもしれない。 私の寿命は、確実に吸い取られた。
給食のとき、たまに出てくるコーヒー牛乳が飲めるんならコーヒーくらいたやすく飲めるんだろうと。けど、なかなかにその壁は高かった。まず何がって親の存在。「生意気な」「子どものくせに」とコーヒーへの関与をことさら認めてくれない。そうなってしまうとこっちとしてもあきらめがつかない。なんとかしてコーヒーを、と思ってしまうもの。 それで夜遅く、こっそりコーヒーをいれてみる。インスタントで手早く。バレないように、バレないように… カップラーメンのときとは違い、どうしてだろうか、やけに時間をかけて丁寧にお湯を注いでいた。カップが満たされると、大人の香りが鼻をくすぐってくる。 ふへへ ヘンな笑いが出てしまう。 ぐえっ はやくしろっ、と喉も訴えてくる。 さっそく、ちょびっと一口すすってみた。 「うへっ」 給食のコーヒー牛乳とはまったく違う。激しく突き放してくるような苦味に、したくなくても顔が歪んでしまう。期待したおいしさは微塵もなかった。これが大人の味なのか。 「背伸びしすぎよ」 背後で声がした。振り返ると呆れ顔の母さんが立っている。怒られるかと思いきや、母さんは無言で冷蔵庫から牛乳を取り出し、僕が手に持っているカップに注いでいく。 「まったく。内緒だよ」 白く濁った液体を口に含んでみると、すうっとやさしく喉をすべり落ちていった。 結局、その夜は、コーヒーのせいもあってか、ちっとも眠れなかった。 窓の外が白みはじめるのを眺めながら思った。ホンモノの黒い一杯を飲めるようになるまで、どれくらいの月日をすごし、何杯くらいの苦さを超えていかなければいけないのだろうかと。
日記を書く習慣が、母にはあった。 押し入れの奥から、段ボール一箱分が出てきた。一九八〇年代から書き続けた日記帳が、年ごとにきちんと並んでいた。几帳面な人だったから、日付も欠かさず、筆跡も乱れていなかった。私は相続の整理をしながら、一冊だけ手に取った。私が生まれた年のものだった。 母の日記は淡々としていた。天気、食事、夫の帰宅時間。感情の起伏はほとんど書かれていなかった。それでも読み進めると、ところどころに私のことが出てきた。 七月十四日。恵が笑った。 八月三日。恵が立った。 短い記録だったが、その短さがかえって愛おしかった。私は次の箱から翌年の日記を取り出した。私が二歳になった年。それも同じ調子で、淡々と日常が記されていた。 十冊ほど読み進めたところで、私が小学五年生の年の日記を開いた。あのころ私は太り始めていた。クラスで一番体が大きくて、それを気にしていた時期だった。 六月のページに、こんな一文があった。 恵のこと、先生から電話があった。クラスの男子に叩かれているらしい。恵は何も言わなかった。 読んで、胸が痛んだ。覚えていた。あの頃、太っているというだけで、何人かの男子にからかわれていた。叩かれたことも、あった。母に言えなかった。心配させたくなかった。 でも母は知っていたのだ。 続きを読んだ。 担任は注意すると言っていた。様子を見る。恵には何も言わないでおく。 私は日記を閉じなかった。その先を読んだ。七月、八月。私へのいじめに関する記述は続いていた。担任との電話のやりとり、父と話し合ったこと、このまま転校させるべきか迷ったこと。私がまったく知らない場所で、母はずっと動いていた。 九月のページに、こう書いてあった。 恵、最近よく食べる。よかった。 私は笑った。そういう人だった。 冬のページをめくった。いじめの記述は少しずつ減っていた。代わりに、私の体重の記録が始まっていた。 十二月。恵、また少し増えた。六十二キロ。 几帳面な母らしかった。月ごとに、私の体重が記録されていた。私自身、自分の体重をそんなに正確に把握していなかったのに、母は知っていた。測っていたのではなく、おそらく私が無頓着に口にしていた数字を、書き留めていたのだと思った。 中学、高校と、体重の記録は続いていた。増えた年も、少し減った年も、すべて書いてあった。 私は二十年分の日記を一気に繰った。就職、結婚、離婚。私の人生の出来事が、母の視点から淡々と記されていた。感想はほとんどなかった。ただ事実だけが並んでいた。 最後の日記帳を開いた。母が倒れる前の年のものだった。 最後のページに、こう書いてあった。 十一月。恵が電話してきた。元気そうだった。体重のことは聞かなかった。もう関係ないと思って。 私はそこで手が止まった。 もう関係ない。 その言葉が、妙に引っかかった。体重がもう関係ない、という意味だと思った。娘が中年になって、体重など気にしなくていい年になった、そういうことだと思った。 でも次のページを見て、私は息が止まった。 日付は同じ十一月。走り書きで、一行だけ。 先生に言われた。年内かもしれない、と。恵には言わない。 私が母の死の知らせを受けたのは、翌年の二月だった。 突然だった、と思っていた。 ずっと、突然だったと思っていた。
「あー、えっと、本日はお日柄も良く...?」 「生憎、そんなありふれた前置きのスピーチを聞きに来たわけではございませんの。用件はなあに? 手紙に書かれていた通り、従者のひとりもつけずに来てあげたのだから感謝していただきたいわ」 「え。たしかに従者は連れてきていないみたいだけどさ、僕の視界には君の腕の中から僕を睨みつけている猫が見えるんだけど」 「ええ、それが何か? 貴方はここに私1人で来てほしいと書いていらっしゃったのだから、その通りにしたまでのことですわ」 「えっと、いやいやそうはならないでしょ!? 1人、即ち君ひとりでってことだったんだけど。え、普通伝わるよね...?」 「歳若く形式的な手紙のひとつもまともに書いたことのない貴方へ忠告してさしあげますが、自分が伝えようとしたことが漏れなく自分の意図した通りに他者に伝わるとは思わないことね」 「同い年だろ、同じクラスなんだから」 「私はひとりでここに参りましたわ。猫と共にいるからといって、ふたりで来たとは言わないでしょう」 「まあたしかに、君と猫が一緒にいるんならそれは『ふたり』じゃなくて『ひとりと1匹』だろうけどさ...」 「では貴方の懸念も解決したところで、改めて用件を仰ってくださらない? お昼休みが終わってしまいますわ」 「さっきから思ってたんだけどその喋り方どうしたの?」 「あら、私の話し方がお気に召しませんの?」 「いや4時間目までは普通だったのに、突然異世界ものの貴族令嬢みたいな話し方されたら誰だって驚くでしょ」 「マイブームですわ」 「唐突だなあ」 「先程の古典の授業で姫君というものに興味を抱いたので、まあ手っ取り早く姫君に成りきってみていますわ」 「国とか時代とか違くない? 絶対こてせんの前でやらない方がいいよ」 「我が校の国語科が誇る敬語警察の前でやるわけありませんわ、こんな適当な話し方。痴れ者め」 「急に武士みたいな語彙で貶された...」 「用件がそれだけならば教室に帰らせていただきますわね。というか呼び出すなら放課後とかにして下さらない? 貴方がお昼休み開始時間に呼び出すものだから、ランチがまだですの」 「それはごめん、いやこんな会話をしたいわけじゃなくて」 「なあに? それとも本当に『本日はお日柄も良く...』から始まるスピーチで私を感動させて下さるの? この間募集があったスピーチコンテストは英語限定ですわ、お間違えではありません?」 「それも違くて、...いや、君とこんなにお喋りできるってだけで僕には嬉しいことなんだけど、あの...伝えたいことがあって!」 「だからそれをさっさと言えって言ってるんですわ愚か者めが。これ以上引き延ばすなら貴方にこれの読み方を聞いてお終いということにさせますわよ。でははい、『子子子子子子子子子子子子』」 「猫繋がりがこんなところに!? というか今君が言っちゃってるじゃん!」 「あら、ごめんあそばせ。読み方も分かったところで今日の逢瀬はタイムアップですわ。ではまた」 「え、逢瀬って、あの、え? ......ま、待って! もう引き延ばさないから! 今すぐ言うから! 言わせて下さいお願いします!」
穴に落ちた。 すっごい深い穴に落ちた。 どれくらい深いかと言うと、両手を伸ばしてジャンプしても、脱出できないくらい深い穴だ。 「だ、誰かー!」 穴の外に向かって思いっきり叫んだ。 何人かは穴を覗いてくれて、私と目が合った。 しかし、言うことは皆同じ。 「まあ、多様性の時代だしね」 「穴の中で生きる人がいてもいいよね」 「人は人、私は私」 誰も手を差し伸べてくれない。 私は一生穴の中にいるしかないんだと気づいたとき、私は現状を個性と呼ぶ覚悟を決めた。
ふつり、ふつり。控えめに存在を主張し始めた気泡達。それを合図にパンケーキを裏返せば、嬉しそうに笑む綺麗な焼き目と視線がぶつかった。思わず褒めるように生地の縁を突くと、一層愛らしい表情を浮かべながら、柔い肌を膨らませていく。焼き上がるのが待ち遠しくて、壁に凭れる時計を一瞥した。 手持ち無沙汰にマグカップを持ち上げれば、飲みかけの淡い黒に何故か、じとりと睨みつけられる。機嫌を損ねている理由は解らないまま、その身をごくりと飲み込んだ。途端に、どろりどろり、嫉妬の余り焦げたような厭な苦味に、口の中を焼かれた。 どうやらパンケーキを構ったことが気に入らないらしい。零れそうになる溜め息を飲み込んで冷蔵庫から取り出したのは、透明過ぎる液体の入った瓶。 ──とぷん、とぷん。 手に余るコーヒーへと注がれるのは、只管に冷静な雨。感情ごと全てを受け流す雨粒の群れに、身を焼かれていた黒が正気を取り戻した。
異界監視センターよりお知らせです。 近所や親戚に、青い目をした子供はいませんか? 絶対に瞳を覗き込まないでください。 【検閲済】を視認してしまう可能性があります。 以上の状況が当てはまる場合には、速やかに当センターにお知らせください。 「お前の目は、本当に綺麗だな〜」 リョウは赤ん坊を抱いて、デレデレと笑っている。出産を終えたばかりのアカリを置いて、ずっとあの調子で可愛がっているのだ。まぁ、世話してくれるからいいけどね……とアカリはソファの上であくびをした。 生まれてきた娘は、日本人とは思えない青色の目をしていた。眩しいほどの青、勿忘草色。光が当たる向きなどによって、水色やら紺色にも見える。まるでスパンコールだ。 けれど、夫婦にとっては娘の目が何色だろうと構わなかった。検査でも100%2人の子供だったし、何より見目が美しい。娘の目を覗き込んでいると、小さいころ万華鏡で遊んでいた時のような、うっとりとした気持ちになるのだった。 にしても、今日のリョウは娘に夢中になりすぎだ。お互いの目を見つめあって、もう軽く1時間は経っている。アカリは娘が泣き出さないからいいか、とほっといていたが、いささか不安になってきた。初めての子なのでよくわからないが、赤ん坊というのはこんなにも大人しいものだっただろうか。 「ねぇ、リョウさん。そろそろ寝かせた方がいいんじゃないの。リョウさん?」 きいてみても、リョウは聞いているそぶりも見せなかった。娘を両手でしっかりと抱いて、離そうとしない。当の娘はぽかんと目を見開いて、瞬きもせず、父と母の顔を見比べるだけだ。アカリは急に、二人になんとも言えない気持ち悪さを感じた。 途端に、娘が耳をつんざくような泣き声を上げた。この小さな体から出しているとは思えないほど、凄まじい絶叫だった。アカリはびっくりして、リョウの腕の上から娘を抱いて支えた。 そこから起きたことは一瞬だった。リョウの体はあっという間に、熟れきったバナナのように真っ茶色になった。そして肌がボロボロと崩れ、娘を抱いていた腕、瞳を覗き込んでいた眼球までもが、ぐずぐずになって床に落ちた。 気づけばアカリの前にあるのは、腐った肉の塊だけになっていた。まだ生きているかのように、モゾモゾと動き続けている。娘はアカリの腕の中でケロッと泣き止み、無邪気に笑顔を浮かべた。父だったそれを、美しい目でじっと見下ろしながら。 異界監視センターより 2.30.異形化事件について 堀越リョウさん 自宅で突然全身が腐敗、身柄は当センターにより保護 犠牲となった方々に、祈りを捧げましょう。 追記 対象者の娘を預かっていた職員3名が異形化(詳細は3.9.異形化事件として別紙に記載)。 進展があり次第、追って報告いたします。
そのお金持ちは莫大な資産を持っていた。 しかし人望がなかった。 いくらお金を払おうとその人のために働く人はいなかった。 その人の周りにはその人と同じような資産を持つ人が集まった。 しかしお金を持っているだけで特別何かの才能や技能があるわけではない。 その人たち以外の人達は別の国を作る。 皆で助け合い最低限のお金で回る社会だ。 お金を持っている人達は悔しくて武器を大量に買う。 その人達の国を攻撃するためだ。 しかし武器を買ったはいいがそれを保持、運営する人がいない。 その人達は恐ろしく人望がないのだ。 やがて金庫に大量の金塊と札束を持っている人達は人望を集めるための人心を操る機械を買う。 しかしその機械はうまく動かない。 その機械を作った人もお金持ちのことをどうでもいいと思って機械を適当に作り売り付けたからだ。 やがてお金持ちはお腹が空く。 しかしお金持ちに食べ物をあげる人はいない。 お金持ちは飢えに苦しみながらおにぎりを美味しそうに食べている小国の少女にそれを売ってくれと言う。 少女は言う。 「お金はいらないよ、まずは食べ物を作る知識と皆が暖かい布団で寝られる国を作るためにあなたが何をすべきか考えてね、それが出来たら食べ物をあげるわ。」
少し肌寒い風が、カーテンを揺らして部屋の中を通り抜ける。部屋のソファに腰掛けた女性は、冷め切ったコーヒーをどうするか、思案を巡らせていた。1歳になったばかりの子どもは、離乳食をたらふく食べて、寝息もたてずにぐっすり寝ている。 ここ数週間、子どもの夜泣きが始まり、夜はろくに寝れていなかった。ため息交じりにの欠伸をかみ殺しながら、音をたてないようベランダへ出た。 抱っこで凝り固まった肩回りをストレッチすると、筋肉がミキミキと音を立てた。血液が体内にいき渡るのを感じると、頭が働きそうになるが、あえてベランダに肘をついてぼーっとする。 鳥の鳴き声と子どもはしゃぐ声、風が草木を撫でる音にまじって、どこかへ向かう車の走行音が聞こえてくる。夜も昼もない生活をしていても、世の中は移ろっている。 部屋に戻って窓を閉めると、外界の音が遮断された。孤独感が襲ってきそうだが、なんとはなしにテレビを消して、スマホの電源も切ってみた。 再びソファに腰を沈めて、深呼吸をしながら、目を閉じてみた。 「...ィィィィィン」。 音がないときに聞こえる静寂の音。昔はこの音が、暇な時間の象徴であるような気がして、好きではなかった。 しかし、自分の時間が遠のいてから聞いてみると、とても心が落ち着く。夫の愚痴も、子どもの泣き声も、テレビやスマホからあふれ出る情報も、今ここには存在しない。 どのくらい目を閉じていただろうか。子どもはムニャムニャとしていて、もう少し寝てくれそうだ。コーヒーを淹れなおしに台所へ向かう。なんだか久しぶりに立ち止まることができた気がした。
桜よりも梅が好きである、というと、怪訝な表情をされる。 「そうですね、梅も綺麗ですよね」とその場を取り繕いつつ、おそらくその人は「やれやれ、何か粋人ぶって、面倒くさいことを言っている」と腹のなかでは私のことを偏屈漢だと思っているかもしれない。 そうした人にわざわざ弁解するつもりはないが、別に桜が嫌いだと言っているわけではない。梅と桜、どちらも好きだが、どちらかというと梅の方が好きだと言っているだけである。 私だって、桜が咲けば桜を見る。枝の先についた淡い桃色の花を一つ二つと愛で、やがて散る時は花吹雪のなかに立ち、この世ならざる世界に立ったような想像をして楽しむ。桜には桜の良さがあるが、ただ私は梅の方に親しみを感じる。それだけのことである。 いつから梅の花をこれほど好きになったのか。 それに関しては、特にはっきりとした切っ掛けがあったわけではないから、明確なことは言えない。菅公の「東風吹かば…」の歌や、日野時代の歳さん(土方歳三)が豊玉の雅号でいくつも梅の句を詠んでいたからその影響を受けて私も好きになろうと努めた。そうした努力があったことは否定しない。もしかしたら、今年初めて好きになったのかもしれない。まあ、そんな話をしても仕方がないだろう。好きだと感じたのは現在であり、その気持ちを書き留めるために今、この小文をしたためているのだから。 さて、ここで改めて「なぜ私は、こんなに梅の花を見て、心が近づくのか」ということを考えてみる。 * 先日、榴岡公園を歩いた。桜はまだ一輪も咲いていなかったが、梅の花は八分から九分咲きといったところで、まさに盛りであった。空はよく晴れて、寒さもいくぶんやわらいでいたから、私はその梅の花を眺めながら、簡単なものではあるが昼食をとった。団子や和菓子の類をつまむ、いささか風雅な時間であった。 けれども、不思議なことに、その梅の前で足を止める人はほとんどいなかった。皆、通り過ぎていく。おそらくは、これから咲く桜の方に心を向けているのだろう。春といえば桜である、というのは、もはや疑いようのない共通認識であるから、それも無理はない。 しかし私は、その梅の前で立ち止まった。 まだ冷たい空気のなかで、誰に見られるでもなく、しかし確かに咲いている花。その姿を前にしたとき、私はふと、「桜と梅の違いとは、こういうことなのかもしれない」と思った。 梅は、人が春を感じるよりも少し早く咲く。寒さの中に踏みとどまりながら、静かに花を開く。 そして、やがて桜が咲き、人々の目がそちらに向く頃には、声高に主張することもなく、ひっそりとその役目を終えていく。 そのあり方に、私はどこか親しみを覚えたのだと思う。 誰に顧みられなくとも、ただそこに在ること。華やかに注目されることはなくとも、確かに咲いていること。その静けさに、私は心を寄せた。 だから私は、梅の花に向かって、心の中でこう言った。 「私はちゃんと見ているよ」と。 そしてその言葉は、もしかすると、花だけではなく、どこかの自分自身にも向けられていたのかもしれない。
親友であり幼馴染の華織が死んだ自殺だった。 原因は部活内での虐め。 九月一日二時丁度に飛び降りる華織を監視カメラが捉えていたそう。 華織の部屋に遺書が置いてあったらしい、その内の一つが私宛の手紙だった。 「命へ 何にも言えなくてごめん。 命のことだから何か出来ることがあったはずって、自分を責めるかもしれない。 でもそんなこと絶対にない。 命は何にも悪くない、命と話す時間は楽しかった。 命、今までありがとう、私の親友で幼馴染で、側にいてくれて、命といたこの十数年楽しくて、幸せだった。私の心の拠り所で本当にありがとう。 約束『おばあちゃんになっても一緒にいる』守れなくてごめん、命、大好きだよ、ありがとう。」 これを読んで華織が死んで初めて泣いた。 心のどこかで華織が死んだことを受け入れなかったのかもしれない。 それからバレーボール選手という夢を捨て、教師になった。 周りからは反対された。キャプテンになる予定もあるのに勿体無いと。 それでも教師になりたかった。 今年初めて担任を持つ、緊張しながらもドアを開け、教卓に立ち自己紹介をした。 「初めてまして1年4組の担任になった朝野命です。 趣味はバレー、女バレの顧問もしているので是非入部お願いします。嫌いなことは虐めです高校2年生の時、親友が自殺しました。」 「私は親友みたいに死んでしまう子を、私みたいに置いてかれてしまう子を、減らしたくて教師になりました。」 「どんなに些細なことでも良いです。 少しでも苦しい、辛い、そう思ったら周りの人達を頼ってください。 友達でも教師でも親でも誰かに相談して溜め込まないでください。 私はこのクラスが助け合えるクラスになって欲しいです。 長くなってしまいましたが私の自己紹介を終わります」 もうすぐ夏休みが終わり、二学期が始まる。 「命先生」 後ろから私が担任を務めているクラスの一瀬沙希が話かけてきた。 夏休みの間、バスケ部に一度も顔を出していなかったそう。 「一瀬さんどうしたの?」 「ちょっと相談したいことがあって」 話を聞けば部活で3年生を中心に嫌がらせを受けているらしい。 そういう子を減らしたいと思っていても、出来ることは本当に少ない、私にできる最善は、一瀬さんを死なせないこと。 今、私は何をするべき? 九月一日は一年で最も『子供の自殺』が多い日。
地元の製菓工場で、僕は面接を受けていた。目の前で社長と、工場長が、僕の履歴書をしげしげと見ている。二人とも、笑わなかった。何を話しても、感情の無い目で見られるだけだった。人を幸せにするお菓子を作っているのに、この人たちは不幸せそうだった。もうここのお菓子は、食べられそうにもない。
どうも皆さんこんばんは メデューサ・メデュ子のお悩み相談室 どうぞ今夜も楽しんでお聴きください この番組は短編作品限定の小説投稿サイト『Prologue -プロローグ-』の提供でお送り致します この番組のナビゲーターを務めるのは私メドューサ・メドュ子です。皆さん、どうぞよろしくね 皆さんは雨は好きですか? あまり雨が好きって人にあった事はないけれど、私は雨、好きです。 なんか雨の日ってずっと薄暗いじゃない。昼間なのに夜明けのようで、なんか時間が止まっているようで、ワクワクします。 さあ今日もスペシャルなゲストの方に来ていただいております。星野源さんです。「どうも!星野源です!よろしくお願いしまーす!w」 ハハハ、凄い元気!w でも星野源さんは、ラジオで、ゲストって珍しいですよね 「そうですね。今日は楽しみです。皆さん、よろしくお願いします」 星野源さんは雨は好きですか? 「好きじゃ…ないですねwあっでも、雨の日に家の中でコーヒーとか飲みながら、雨を眺めるのは好き。それは好き」 確か星野源さんの曲で「雨音」がありますけど、窓の外を見る描写がありますね。本当に素敵な曲ですね。 「ありがとう御座います。そうですね。まさに雨の日の歌ですね」 是非皆さんも聴いてみて下さい はい、ではお悩み相談に参ります ペンネーム、蜜柑ジャムさんよりお便りをいただきました。ありがとうございます 初めてお便りを書きます。 私は四十歳の男性です。妻子がおり、会社では管理職をしています。 私は二年前から不倫をしていて、不倫相手は同じ会社の同期の人です。 私が彼女に仕事のことを相談したのが、そもそもの始まりでした。 彼女は私よりも先に管理職に就いていたのですが、私は管理職に就いたばかりで、膨大な仕事量に圧倒され、どのように仕事を進めて良いものか困っていたのです。 彼女と話しているうちに、自然とそういう関係になりました。 彼女は、結婚願望は無く、ただこの関係を続けたい様です。私は妻と子供に罪悪感を持ちながら関係を続ける事に慣れてしまいました。 どうしょうもない私は、どうしたら良いのか分かりません。どうぞお救いください。 ここで一旦CMです。
見渡す限り白群の空から、ぽつり、ぽつりと落ちてくる雫。天河石を溶かしたような眼前の海は、その清澄な肌で丁寧に雨粒を受け止めている。 今までに見たことの無い、お手本のような天泣。教科書通りとも言える完璧なその光景は酷く綺麗で、全身を魅了の糸に捕縛され、身動ぎが出来ない。瞬きや呼吸すら絡め取られ、剰え意識をも支配下に置かれてしまった。しかしそれすら心地良い程の、現実には似つかわしくない、完成され過ぎた空の涙。 ──ぽつん、ぽつん。 果ての見えない水面を静かに叩き続ける雨達は、流れ着く先で何色に混じり合うのだろうか。
人間の細胞は、絶えず変わり続けているらしい。 そして、七年でほとんどすべての細胞が入れ替わる。 ほとんどすべての細胞が入れ替わるなら別人じゃないかと思うけど、私の意識は連続しているので、そう単純な話でもないらしい。 実際、周りの人も私が誰かわからなくなったりはしない。 「SNSの名前とアイコン変更っと」 なら、きっとSNSでも同じこと。 ドットをほとんど全部入れ替えたけど、皆私を見つけてくれるはずだ。 垂れ流した投稿は変わらない。 私という中の人は変わらない。 『誰かと思ったw』 さっそく、私が私として認識された。
ぱたり、明白に止んだ雨。余りに物分りの良過ぎる唐突さが薄気味悪く思えて、反射的に視線を空へと投げた。 途端に視界に伸し掛かるのは、虚脱に横たわるばかりの曇天。今朝から只管に調子の悪そうな鬱々とした雲を尻目に、合間からぽっかりと顔を覗かせる太陽。その陽気さに文句を言うでも無くただ臥せるばかりの鉛色は、憐憫に塗れた目を一つ、瞬かせた。 ──ほろり、ほろり。 音も無く溢れた二粒の涙は、無遠慮に笑う陽光に貫かれながら地面に散った。
近頃、神社に来る人々の態度が変わった。 私の領地に入るのに、一礼もしない。 挙句、私の道である鳥居の真ん中をずかずかと歩く。 手も清めず、荷物を持ったまま金を投げられ、写真だけはパシャパシャと撮る始末。 実に、居心地が悪い。 「昔は良かったなあ」 つい、懐古をしてしまう。 静まり返った敷地の中に、悩みを抱えた人々が礼を尽くしてやって来る。 私は何度も、進むべき道を示したはずなのに。 「引っ越すか」 隣町の神から聞いた。 日本には未だ、神聖な場所と崇められている場所があることを。 そして、そこにくる人々は、多少の礼を尽くすということを。 「元々、神社など人間が建てた依り代。私が生きるためには、不要だ」 私は長年の居を捨てて、空へと飛んだ。 新たな居場所を求めて。 それから数年。 風の噂で、私の古巣は未だに神社と呼ばれていることを知った。 もはや私がおらぬ、願いも叶わぬ荒れ地だと言うのに。 私は、ほとんど人の来ることがない奥地で、安眠を享受している。
アイヌ語でピリカは美しい、という言葉らしい。 病院からの帰りにピリカ、ピリカと言っている親子がいた。 都心の郊外に住むアイヌ。 昔担任だった先生はアイヌの血が入っていて日本人がアイヌにした酷いことを怒っていた。 何かの齟齬。 文化と継承。 自転車を漕ぎながら民族問題について考える。 北海道は元々はアイヌの土地だ。 忍者の家系の知り合いはメールを送ってくる。 ピリカ、ピリカ。 美しく尊いものを失くさないように。 そう聴こえた気がした。
キンギョを飼っていた。ある日、ふと水槽を見ると、キンギョから長いフンが伸びていた。違和感を覚えた。そのフンは、文字列のように見えた。どう考えても、それは文字として読めた。キンギョはある程度の長さの文字列に見えるフンを出すと、それを底に沈め、次の文字列に見えるフンを出した。それを繰り返していた。俺はそれをすべてメモに取った。やがてキンギョからフンが止まった。キンギョはじっと俺を見た。俺はメモを見た。そこには一篇の詩があった。それはネコについて語った詩だった。「ネコに狩られて死にたい」というようなことが書かれていた。俺はキンギョを見た。キンギョは俺から目を逸らした。俺はネコを求めて街に出た。ネコを見つけたら捕まえて家に連れ帰るのだ。「ネコのフンはどんな形状だろう」俺は頭の片隅でそんなことを漠然を考えながら、街をさまよい歩いていた。
三月の風は、冬の重みを脱ぎ捨てようと少しだけ急ぎ足で抜けていく。 クローゼットの隅、春物のコートを出そうとした指先に違和感が。たどっていくと、青いマフラー。去年の暮れ、そのときはまだ付き合っていた彼が、私の部屋にやってきたときに忘れていったもの。 窓の外は、もう春の気配。 雨上がりのアスファルトに、空の色だけが楽しく踊る。ときおり白い雲が悠々と、黒い地面をゆく。 まるで、大きなクジラ。 ひらり と桜の花びら。 雲と流れ、青い大空への憧れ。私もいっしょに行きたいと。風がいざなう昼さがり。 花びらと水たまりと。 そんな、生活と雨のスキマ。 ―もう、寒くなんてないのに わざとらしくつぶやいて、そっと首にあててみた。彼の匂いが、まだ残っている。そんな気がして… ふふ、笑っちゃう。 もう、好きでもないのに。 もう、好きでもないから…
夜道を歩いていた。真っ暗な夜道だ。コートのポケットからタバコを取り出し、火をつけようとした時、背後からひたひたという足音が聞こえてくることに気が付いた。俺は歩き出した。足音は消えなかった。どうやら後を尾けられているらしい。俺はコートの内ポケットに手を入れ、拳銃を握りしめた。そして、足音がぐっと近づいてきた瞬間、拳銃を構えて後ろを振り向いた。そこには、真っ暗闇の中に、さらに真っ黒で、ぷるぷるの、人間の形をした物がいた。俺はすぐに、そいつが、コーヒーゼリー人間だとわかった。俺はコーヒーを飲まない。だからこいつらに命を狙われるのだ。コーヒーゼリー人間が俺に飛び掛かってきた。俺は落ち着いて拳銃の引き金を引いた。弾丸が正確に胸を貫通した。一瞬の間があって、コーヒーゼリー人間はその場に崩れ落ちた。胸に空いた穴から、大量の白い液体が流れ出ていた。それはコーヒーフレッシュだった。俺はコーヒーゼリー人間の死体を一瞥し、歩き出した。少し歩いたら自販機がある。そこでコーラを買おう。
「そこの君。今、青春だなあって言ったかい? 何を見て? これを見て?」 それは、胸に穴が開きそうなほどにぼくをじっと見て、くんくんと匂いを嗅いできた。 「でも君からは、青春の色が見えない。青春を、見ていない側の人間だ」 それだけで、ぼくの全てを見透かされた気がした。 いや、そいつの自信に満ち溢れた目を見る限り、本当に見透かされたのだろう。 どういう理由か知らないが。 ぼくの、灰色の青春を。 「一つ質問だ。青春を知らない君が、なぜ青春を見分けられるんだい」 頭の中で感情が大爆発して、火山灰が降り注ぐ。 一面が灰色に染まり、視界が霞んで何も見えなくなる。 「なぜだい? 聞かせてくれよ」 残された耳だけが、聞きたくもないことを永遠と聞かせてくれた。 「聞かせてくれよ」 言い訳しようと開いた口に、火山灰が流れ込んできた。
「好きな人がいるのですね?」 「はい」 お客さんは、大きく首を縦に振る。 「告白したいのですね?」 「はい」 「でも、振られるのが恐いのですね?」 「はい」 私は椅子の背もたれにもたれかかり、意味深な表情を浮かべつつ、お客さんの全身を上から下まで眺めた。 机を指てトントンと叩き、次の発言までの時間稼ぎをする。 お客さんがごくりと息を飲んだので、準備は整ったと口を開く。 「いいでしょう。失恋保険の加入を、許可します」 「ありがとうございます!」 お客さんは立ち上がって、私の両手を強く握った。 「さっそく行ってきます!」 そして、部屋を飛び出していった。 失恋保険は、加入者が失恋した時、私が焼肉をご馳走してあげる保険だ。 失恋という悲しいことの後に、楽しいことが何もないなんて悲しすぎるから作った。 「多分、成功すると思うけどね」 私は自分お財布の中を見る。 安い食べ放題二人分。 今日はきっと、財布の中身が増えるはず。 廊下をどたどたと力強く走る音が戻って来る。 これは成功したのだろう。 さてさて、加入料をもらわないと。 告白の後押しになったんだから、君は次の人のために、お金を出してもらおうか。
[「コンビニ行ってくるけど、なんか欲しいもんある?」 いつもそう。 私の彼氏たちは、私が冷めた瞬間に優しくなる。 何度も好きだと伝えて。 何度も体に触れて。 私はずっと、貴方の求めることに応えてきた。 それなのに、貴方は生返事。 家に新しい家具が一つ増えた、くらいの態度だ。 いや、だった。 私が、もう別れようかな、って思った次の日には、何故か態度を逆転させる。 ずっと欲しかった好きを口にしてくれる。 子供のように私に触れてくれる。 貴方が求める前に、私の心配も挟んでくる。 もっと早く欲しかった。 好きが冷めかけている貴方は、まるで腐ったリンゴ。 私が欲しかった甘い味を出してくれるけど、一口齧る度に不安になる。 お腹を壊さないかな。 食中毒で死なないかな。 私の歯型で削り落とした断面を見た後、私の視線は遠くのゴミ箱へと移る。 投げれば、きっと入る。
雨は続く 一度暖かくなった気温も今週に入り真冬に戻ってしまった。 人々はコートを着ている人もいれば、トレーナーですましている人もいる。 そして雨の日が続く。 先月は乾燥と晴れ続きで、火事やダムの貯水量のニュースが多かったが、この雨で解消されるだろう。 傘を持つ手に雫が伝う。 カモメはウルトラマンである。 カモメは今、息子を待っている。 そろそろ下校時刻になるので通学路のスーパーで息子が通るのを待っている。 今日は、妻の母親が白内障の手術を終え、退院する日なのでカモメは家族でお迎えに行くことになった。 下校途中の息子をつかまえ、先に病院に行っている妻と妻の母親を迎えに行く予定なのだ。 古いアスファルトの歩道は灰色の空を映す水たまりが散らばっている。 歩道は下校している子供達で賑わっている。皆、楽しそうに歩いている。信号のない交差点をどんどん進んでいくので危なくてしょうがない。 息子の姿を探す。いた!子供たちの行列の中で友達と三人並んで歩いている。息子は口がきけないから、騒いではなかったが、 楽しそうに、 三人そろって何か話しながら、 その中にうちの息子が赤い傘をさして、歩いている。 息子が僕に気が付くと、少し笑って、軽く手を振る。僕も傘を上げて答える。 冬の冷たい雨が服を濡らしていく 風に乗った雨が横から吹いてくる。 子供たちの明るい声がカモメの心に響く。息子の小さな手がカモメの手を握る。カモメはこの幸せを守っている。
《Vo.桜》 ホームにて電車を待つ 風が強い 山岳地帯から花粉が吹き寄せてくる 目がゴロゴロとして痒くてたまらない 女子高生のスカートが翻っている 今日は実家に帰ってお墓参りをした 以前飼っていたネコのマルのお参り マルが初めて家に来たのはまだ私が小学生のとき。あの日も風が強く、空は墨をこぼした水のように雨雲が広がっていた。私が家に帰った時には雷とともに土砂降りの雨で、風は尚も強くなっていった。畳の部屋で寝ていると、ガタガタと窓がなったり、庭で何かが倒れる音がしたり、お祖父ちゃんのお祖父ちゃんが建てたこの家はトランプのタワーのように簡単に崩れちゃうのかもしれないとぼんやり考えてた。 ニャーニャーとか細い声がする 風と雨の音にかき消されながら、合間合間に、ニャーニャーと小さな猫の声 私がバァバに猫の声がするから外に行くと言うと、「にゃんこが 人様のえで 何しったずぅ!?」とか「死んだらくすぐなる」と嫌がってたけど、私が泥んこになって子猫のマルを抱えてきたら、タオルで、よーくふったっけな 少しミルクを飲ませたら自分からコタツに入って丸くなってた。 マルは甘えん坊だったな。バァバのリュウマチが酷くなってからは、いつもマルと一緒にいたっけな。 マルが寝るときは私のベッドと決まっていた。お姉ちゃんがマルと一緒に寝るって部屋に連れて行っても、マルは自分で襖を開けて私の部屋にやってくる。私はそれが嬉しかった。 マル。 今でもマルの匂いがしそうなのに、いつもマルの匂いを嗅いでいたのに、今はもう思い出せない。 風が強くホーム吹き抜ける 電車が来るアナウンスが流れる 電車が到着しドアが開く 沢山の人が出てくる中に 高校生の時、付き合っていた人がいた 十年ぶりに見る彼は少しも変わっていなかった 電車に入りシートに座る 人がいなくなった車内は人がいた雰囲気が残っている 【白い線の彼方】 花を植えましょう お日様はいつもいるよ 水をあげすぎないで 詩を作るように愛を込めて 雨が降ると聞こえてくる 宛もなく歩く花はいずこへ 今もまだあなたを夢に見ます 思い出すたび忘れていくあなたの香り 私は歩く 白線の上を笑いながら どこまでも続く線の上を 私は歩いていく あなたと歩いた白線の上で 咲いているのは花、花、花 白い線が見えないくらい あなたの花が咲いている 私は歩く 白線は空高く延びている 地面は遥か彼方 風に煽られて落ちてしまいそうです あなたと歩いた白線の上で 咲いているのは花、花、花 私のなかに花の道がある 花の香りを嗅いでみたくて ふわりと下へ降りてみたいな 花を植えましょう お日様はいつもいるよ 水をあげすぎないで 詩を作るように愛を込めて 白い線の彼方まで
世界には色がある。 学校の机の色は、だいたい茶色、時々白。 信号機の色は、だいたい白色、時々黒とか茶色とか。 信号機の中で点灯するのは、青・黄・赤と呼ばれる緑・黄・赤。 世界に存在する色は、果たしていつ誰が決めたのだろうか。 フルマラソンの距離が、王女の「ゴールはボックス席の前に設置して欲しい」という要望によって、四十二キロメートルに百九十五メートル足されたように、誰かの気まぐれで決まったのだろうか。 色はどこから来たのだろうか。 少年が、パレットの中に絵の具を落とす。 緑と、黄と、赤。 赤と黄を同じ量だけ、同じ場所に落として、絵筆でぐるぐる混ぜる。 赤と黄がどこかへ行って、橙が顔を出した。 「明るい赤だ!」 少年が変化に喜ぶと、教師がパレットを覗き込んで、くすっと笑った。 「これは橙色だね」 「? 橙色じゃないよ。赤色だよ」 「赤はこれ。橙はこれ」 教師は、色の名前を教科書で決める。 少年は、色の名前を記憶と経験で決める。 「赤なのに」 少年は絵筆を水につけて余計な色をそぎ落とした後、明るい赤を絵筆につけて、炎を描き始めた。 少年にとって、赤は炎には赤すぎた。黄は炎には黄すぎた。 炎の中に、赤と黄が見えた気がしたので、混ぜてみた。 「炎の赤!」 世界にまた一つ、新しい色が生まれた。
今日は誰もいなかった 人も獣も花も まるっといなくなってしまった 雑草とコンクリート、アスファルトの羅列 それでも、変わらない『今日』を勤めた 私しかいないのに 交通ルールなんて、好きに変えられるのに 教習所で運転の練習をしている 私しかいないのに いつまでも大衆のいる世界で生きている (完)
絵描きがキャンバスを立て掛けた時、イーゼルの裏で糸を張っていた蜘蛛が、絵の具を溶かしたパレットに落ちた。それから何日かが過ぎ、絵描きがキャンバスに向かった時、足元に蜘蛛の死骸を見つけた。その蜘蛛からは、青色に染まった糸がゆらゆらと、頼りなくイーゼルに張り巡らされていた。
か細く、けれど確かに鋭い雨が、辺りを突き刺していく。 ──かりかり、かり。 それは宛ら、シャープペンシルの芯同士がぶつかる音のよう。透明なケースの中で自慢の長躯を打ち合う彼等は、ぱきりぱきり、いつだって呆気なく折れては潰えるばかり。脆弱な黒い亡骸に涙する間も無く、新たに生まれる憐れな犠牲。それが彼等の生き急いだ末路であるなら、寧ろ称賛すべきなのだろうか。 ──かり、かり。 何処か耳に障る厭な雨音が、気付けば静謐へと裏返っていた。その穏やかさは酷く歪で、正しさを纏う矛盾すら怯えている気がした。
たまに、(自分はちゃんと生きられているのか)と不安になる。勿論、ちゃんとなんか生きられてはいないのだが、そうではなく、そういう事ではなく、人として、大人として、親として、夫として、最低限の行動が出来ているのかと不安になる。 法に触れることはしていない。いや、たまに信号無視や、横断歩道を渡らない、女性が泣いていても声をかけない、なんて事はたまにある。が、無闇矢鱈に自分の不機嫌を外に出さないとか、挨拶をするとか、愛想笑いをするとか。日々、少しでも、善良に生きる事を実行しているのかと自分に問いかけてしまう。そんな日がある。 街を歩いていると、肩で風を切って歩く若者を見たりするが、彼が一生あのままでいられないことを私は知っている。彼が結婚し子供を持つ頃にはもう少し普通になっている。また、自分を変えられないのなら、家族から弾き出されるだけである。もう少し言えば、町内からも弾き出される。妻や子供を持てば自分という存在は家族というチームの中の一人になる。周りはそんな目で彼を見て、自分達の過去と比較し、正常か異常かを判断するのだ。 誰でも若いうちは世間に対して自分のズレは気が付かない。社会に放り出され莫大な情報に圧倒されるからだ。転生と言っても良いほどに。だがラジオのチューナーが徐々に合わさり声が明瞭になるように、歳を重ねれば重ねるほど世界が見えてくる。自分の足元から延びている光の道が見えてくる。 近所の道路脇にさりげなく梅が咲いている。ほのかに良い香りが記憶に残る。通りをスクーターが孵化しながら通っていく。ハンドルを細かく捻り、ガゾリンを非効率に爆発させ、大きな音を自分の威厳と同化して楽しんでいる。何十年も前から変わらぬ作業だ。そして梅もおそらく何千年も前から変わらぬ作業で花を咲かせるのであろう。 私も梅のようにさりげなく咲き、ほのかに良い記憶を残していきたい。
「地球の裏には何があると思う?」 「何があるって? 大陸とか海とかじゃないの?」 有紗は楽しそうに聞いてきた。行ったこともない星の裏側なんて知りようもないのにそんなこと聞いてきて、何が楽しいのかわからない。 それにしても地球の裏側か……、本当によくわからないな。表に行ってた友達曰く、青色が多い星らしい。海っていうなんか水がたくさんあるって言ってた。 「知ってたの? もしかして美香に聞いた?なんだつまんないの」 「知らないよ、見たことないんだもん。聞いただけだよ」 「一緒だよ。ぶー」 不貞腐れているけれど、どこか楽しそうな有紗は、私が用意した紅茶に口をつける。私も緑茶を飲む。ところで、どうしてそんな質問をしたのだろう。表に行けるのは優秀な子だけなんだから私たちはいけそうもないのに。 見れないものに羨望を抱いたんだろうか。私たちは裏側の住人。日の当たらない世界でのんびり生きている。緑茶を飲んで、お餅を食べる。重力が少ないと言われている世界を、軽い体でぴょんぴょんと飛び回って忙しそうにしてる子もいるけれど、私たちは、そんなことはしない。 表の世界は明るくて、惑星が見えるけれど、そんな星が見えるなんて、ちょっぴり羨ましいけれど、つかれたお餅を食べながら、緑茶を飲んで過ごすのが私は好きなのだ。 「ねえ有紗、地球から私たちはどう見えてるんだろうね。私たちのこと絶対に知らないんだよ。彼ら彼女らは、表の子しか知らないで、私たちのこと知ったつもりでいるんだろうね」 少し意地悪げに言ってしまう。有紗は食べていたお餅を飲み込んで、困った顔で私を見据える。 「もう、あなたっていつもそう。外の人が私たちをどう思っていようが、どうだっていいでしょう? って地球の裏側がどうなっているのか聞いた私が言えることじゃないか……」 「ふふっ、冗談だよ。ごめんね有紗少し意地悪言いたくなっちゃって」 私たちがそんな話で盛り上がっていると美香が帰ってきた。 「お、おかえり美香。どうだった表は」 「うーん、まあまあかな。ところで、何の話してたん」 「え? いやあ、地球の裏側がどうなってるのかなって話をしてたんだよ」 「あー、普通に海だよ海。大陸もあるけど大体海だね。そんなもんよ」 「聞いてた通りだね、見てて楽しいものでもないでしょう?」 やっぱり意地悪な言い方になってしまう。私の悪い癖だ。 「いや、そうでもないよ、昔はなんもなかったけどさ今、光るんだよ大陸。小さな光がピカピカってなるんだよ」 「へえ、それはちょっと見てみたいね。ね、あなたもそう思うでしょ?」 「うーん、ちょっとだけね」 それでも私たちはきっと裏側で満足するんだろうなって思う。こうやって、緑茶を飲んで、お餅を食べて、暮らしていくんだろうなって。 私たちは地球の世界の想像から生まれた存在だ。月の影が何に見える? そんな疑問から生まれた存在だ。だからこうしてお餅を食べる。 月の影はうさぎがお餅をついてるように見える。そんな想像から生まれたのだから当然だろう。 今日も三人で地球の周りを一周するまで、緑茶を飲みながらお餅を食べながら月の裏で過ごす。
男は納豆パックの蓋を開け、かき混ぜた。勢いよく回される箸によって、豆の一粒一粒が繋がり、一体となっていく中、ただ一粒の納豆だけが混ざらずにパックの隅へと追いやられた。このままじゃ落ちてしまう、なぜ、同じ納豆じゃないか──地面に取り残された一粒の納豆に、男が気づくことはなかった。
朝、目が覚めた。ホテルのベッドだった。白い夢を見ていた。隣で男が寝ていた。知らない男だ。私はベッドから抜け出した。大きな鏡が目に入った。寝癖を手で撫でながら鏡の前に立った。そこに映っていたのは私ではなかった。一丁の巨大な絹ごし豆腐だった。白く四角く艶やかな絹ごし豆腐だった。私が首をかしげると鏡の中の豆腐がかすかに揺れた。その時ふいに背後に気配を感じた。振り返るとさっき隣で寝ていた男が立っていた。やはり知らない男だ。男は優しいほほ笑みとともに私を抱きしめた。私は男の胸に顔をうずめた。すると男がキスを求めてきた。私はそれを断って鏡を見た。男は私を背後から抱きしめていた。鏡の中の絹ごし豆腐にかつお節がかかっていた。
学校が終わり、家に帰った。台所に行った。腹が減っていたのだ。冷蔵庫を開けようとした。その時に気が付いた。冷蔵庫が美しかった。冷蔵庫は化粧をしていた。珍しく化粧をしていた。ということは、今夜は刺身だ。そのうちにお母さんが刺身を買ってきて、この冷蔵庫に入れるだろう。何せこの冷蔵庫は刺身のことが大好きなのだ。大好きな刺身を自分の中に入れられる日は、こうして化粧をするのだ。僕は微笑みながら冷蔵庫を開けた。麦茶が入っていた。飲んだらぬるかった。
夜明けの大病院から、一人の男が出てきた。俺は歩道の清掃をしながらその背中を見ていた。男は長い、黒いコートを着ていた。ふらふらと歩いている。様子が変だ。しきりに目の辺りを手でこすっている。泣いているようだった。俺はゴミを集めながら男の後を尾けていった。男はぶつぶつと何か言っていた。酔っているようでもなかった。そして、ぴたりと立ち止まると、深いため息をつき、コートのポケットから何かを取り出した。そして、それをゴミ置き場にそっと置いて、また目をこすりながら去っていった。俺は男が置いた物をそっと見た。それは電卓だった。しかし普通の電卓と少しボタンが違っていた。数字や計算記号の他に、『善人』や『悪人』、そして『命』等のボタンが混じっていた。それですぐにわかった。これは死神が使う電卓だ。そしてあの男は死神らしい。大病院から出てきたことからもそれが確信できた。この電卓を捨てたということは、きっとあの死神は、死神の仕事を辞めることになったのだろう。それが病院側の判断なのか自身の判断なのかは知らないが、泣いていた様子から推測するに、辞めたくなかったのだろう。「もしかしたら、あの大病院では人が死ななくなるのかもしれないな」一瞬そう考えて、俺はぞっとした。
私の世界も日々移り変わって、目が回って、うまくバランスが取れない。 足元には、読みかけの本が積み上がっている。 手を伸ばせば崩れてしまいそうな、頼りない塔。 けれど、他の世界にまで関わりたいと思うのは、傲慢なのだろうか。 そう考えながらも、彼女は今日もまた本を読む。 崩れかけた塔の一冊を、そっと引き抜いて。
全部にむしゃくしゃしたので、取り敢えず隕石を落としてみた。 スッキリするかと思って。 結果はどうなんだろう。 クレーターになった場所をまじまじと見てみると、 「常識」や「当たり前」は、 その醜さをさらに剥き出しにしながら、平然とのさばっていた。 余計に腹立たしくなった。 けれど、見ているだけで気分が悪くなってきたので、瞼を閉じた。 春を告げる小鳥のさえずりが聞こえる。 いつの間にか日が昇っていたらしい。
駅までの通りが昨日よりちょっと難儀に埃っぽく感じる 季節が移っていくことの予感がそこにもある 天気予報が今日にかぎって大当たり それで? だから? なんだというんだい これから別れ話をしようっていうのにさ あの日した、ささいな取り決めを僕はまだ覚えていて でも君は 僕のまわりだけやけに空気が薄いのは これからする君に対する懺悔の先取りか 単なる気のせいなら、でも それで? だから? 僕たちの未来は、もう 小さな桜のつぼみが風にそよっとゆれ その花めく姿に、僕は、とり残されてしまうんだ
CMあけ はい、 と言う事なんですが、どうですか。星野さん 「いやー。すごいwこんなドラマみたいな話があるんですね」 本当ですね。この蜜柑ジャムさんは奥様とお子さんがいて、会社では管理職。順風満帆のように見えますが…こんなことになってしまっていると。 「でも、わかる気がするなぁ。なんか満たされている時ほど、人に優しくできるというか、満たされてるからこそ、分け与える事が出来るだと思うんですよね」 うんうん、そう思います。 「あと、『罪悪感に慣れてしまった』って言葉は、ちょっと…不謹慎かもしれないですが…痺れましたね。痛みに耐えすぎて麻痺してる感じですよね。この秘密の関係の時間を感じる」 そうですよね。始めは、ただただ仕事を頑張りたくて、話しやすい同期に、純粋に聞いていただけ。仕事以外の時間でも仕事の為にどうにか出来ないかと、必死だったはずですね。 話をしていく度に二人の距離が縮まり、二人はお互いを必要な存在から、特別な存在へ変わって行く。それは自然な流れだったたと思います。 彼女の方は結婚にこだわっていないし、たまに会って恋をしたり、愛を感じたりして、寂しさを紛らわしたいだけかも。 一方、蜜柑ジャムさんは奥様以外の女性を愛せる喜びと、奥様の体との違いを楽しめる背徳な遊びが出来る。 奥様との関係も今はレス状態なのかもしれないわね。 私はそのままでも良いと思います。 私も経験者だし。こんな姿なのはその罰のせいだしね。 ただ…ただね。あなた達に振り回されている子供の気持ちがやっぱり見過ごせないかな。あなたの子供は、あなたしか頼れないのよ。もう一度、あなたの子供の事をよく考えてみてください。 突然の雨で、同じ所で雨宿りしていた時間は、晴れ間の訪れと共に終わりを迎えるものです。 では行きます 【そのふしだらな心!石にしてやろうか!】 「ハハハハハ!姉さん。さすがです。石化アイ!めっちゃ迫力ある!」 フフフ、ありがとうございます。 ではここで一曲お送りいたします。 はなのなまえで「桜の嘘」 ♪ 白い雲が風に乗って流れていく 君への思いはあの雲に乗っている どうしょうもないことを 追いかけて追いかけて 自分だけが分かっているつもりだったから 桜の花びらひらりひらり まだ来ないバスを待ってる 桜の花びらひらりひらり 君の嘘は僕が気付くのを待ってる 匂いで君の機嫌が分かってくる 二人の思い出はこの街のどこにでもある もう知っていることを 追いかけて追いかけて ページの終わりを何度も 読み返して読み返して どうしょうもないことを 追いかけて追いかけて 自分だけが分かっているつもりだったから 桜の花びらひらりひらり まだ来ないバスを待ってる 桜の花びらひらりひらり 君の嘘は僕が気付くのを待ってる 君の嘘は僕が気付くのを知っているのでしょうか ♪ はい、ではそろそろお時間です。 星野源さん、ありがとうございました。 「はい、どうもありがとうございました!本当に楽しかったです!皆じゃーねー!またねー!w」 ハハハ。本当にありがとうございました。 どうぞ皆様に素敵な夜が訪れますように。 ではまたお会いしましょう。シャー
『脳細胞の一つを培養させてレトロゲームを操作させる研究が行われた』 というネット記事を読んだ そこでは、ゲームを操作するにあたって培養したものに【意識】が発現したと書かれといた しかし、一つの疑問が浮かんできた それは【意識】というより、【生存本能】によって動いているのでは無いかというものだ しても・しなくても、良い🟰意識 しなくてはいけない 🟰生存本能 今起きているのは「遊んでいる脳」ではなく 環境に適応する神経回路が、結果としてゲームを攻略している状態なんじゃ無いか思ったのである (完)
何も無い様な有る日々の中ふっとこんな感じは 某ドラマや漫画に小説で有った様な話と何時も リアル感無く自分事じゃ無い感覚実際の出来事 数え物語と比べて大差無い時恥ずかしく為って 仕舞う否キャラじゃ無いと全力否定する自分を もう1人の俯瞰が呟くそのキャラは本当に私か 一般人にキャラも役冴え有る訳無いし自分一体 何者だろう学生時代からこんな奴かな気付けば 別人クラスと為り昔のクラスメイトからそんな キャラだっけとか本当にお前と疑われる程他人 其れ言われても当たり前だろう何十年ぶりだと 思ってるのか私は呆れ想い出話も何処か他人事 向こうは懐かしい感じだったが私は何故か全部 記憶無い事ばかり思わずやっぱ別人じゃ無いと 否定すると名字覚えてると言われ只の度忘れか おばさんだからと言い彼は否俺おじさんだけど 全部覚えてると言いその後変わちゃたなと呟き 私はアレこの台詞の様な言葉は何処かで聞いた 様な何のドラマか歌の歌詞か考えて思わず私の 方が恥ずかしく為りその言葉を遮るみたい別な 話題を出しSNSから自分が今コラム投稿してる 事を告げ彼は暫し私のコラムを読みこんな性格 だっけと言い私は性格良過ぎて逆曲がりしたと 言い彼は真剣に其れ性格悪く為った意味と言い 私は否元々人畜無害タイプと懐かしいフレーズ 出した彼は何故か嬉しそうにそうだったと言い 私は否多分彼も此方を良くは覚えて無いかもと 思い人の記憶は良い様に改竄される物だと考え その時当然思い出した学生の頃彼が嫌いだった 事その頃彼は陰口言うタイプで男の癖して女の 腐った的な男だったけど歳月は人を大人に変え 普通の優し気なおじさんに見えた私は無表情な 笑みを浮かべこう言う奴が一番ヤバいだろうと 感じてそのまま彼の2次会の誘い笑顔で断った 瞬間昔の表情が覗いた私は業と元気にじゃ又ね 今度は鍋でも行こうと明るく告げたら嬉しそう 手を振る姿が見え私は何処か漫画のキャラ達の 様に肩竦めて胸に手を充てホッと一呼吸をする 一番の敵は天使の表情で遣って来ると口ずさみ ながらヤバいこれも誰かドラマで言ってた台詞 一生治らない自分の物語症候群かも知れない