はー今日も女の子と話せた

 幸せなんてそんなものかもしれない。 あの娘はおそらく僕のことをなんとも思ってないだろう。 脳内にいろんな脳内物質が出る。 恋をすると寿命が伸びるらしい。 ファインマンのように色恋に長けた物理学者もいる。 恋の物理法則。 君と僕との距離と心の質量が僕らに力学的な作用をもたらし量子の世界で変化が起きるとか自分でもよく分からないことを言って相手を混乱させることも出来るが失礼なのでやらない。 素直に君かわいいね、って言っとけばいいのかもしれない。 素直さが肝要。 君と僕との心の間にある作用点はどちらの重力波によってより強い作用をもたらすんだろうとか言って頭が悪いんですね、って言われて僕の心は重力の歪みを発生してしまうこともあるかもしれない。 素直に今日のお弁当可愛いね、って言っておけばいいのかもしれない。 恋のIQが足りない。 君と僕との心の駆け引きによって地球の時点速度が大きく変わって太陽が地平に沈むときの光のスペクトルが4原色以外のものに見えて素敵だね、って言ってお巡りさんこの人です、って言われそう。 素直に栄養のあるもの食べて早く病状が良くなるといいね、って言えばいいのかもしれない。 マッドフィジストは適応能力を欠き宇宙の法則を乱し今日も太陽に飲み込まれる。

三毛猫のコーヒー屋さん

小さな商店街の古い時計屋さん。 そのとなりにある小さなコーヒー屋さん。 そのお店の店主は、夜になるとお店の中庭で、 眠れない近所の人たちのためにコーヒーをいれるのです。 時計屋さんの灯りが消えるころ、 おとなりの小さなコーヒー屋さんに、 静かに灯りがともります。 庭のイスでは、いつものことですが、 三毛猫が丸くなって眠っています。 「こんばんは」 入ってきたのは、疲れきった様子の若い女性。 「明日、大事な… はあ… 眠れなくて」 お店の店主は小さく微笑み、 その若い女性のための特別な豆をひきはじめます。 カリカリカリ、と軽快な音が響いたあと、 お湯を静かに注ぎ入れる音へと変わっていきます。  コポコポコポ その音にまじって、三毛猫がのどを鳴らします。 やがて、琥珀のような色をした液体がしたたり落ち、 やわらかい香りが庭いっぱいに広がっていきます。 「はい、どうぞ」 疲れきった若い女性は、カップを両手で持ち、 香りを嗅いでは、ふう、と息を吐きました。 口につけると、驚いたように目を見開きます。 「すごく、やさしい」 その言葉に応じるように、三毛猫がもそっと寝返りを打ちました。 店主も、そして若い女性も、その様子を見て、 ふっと表情をゆるめます。 「また来ちゃうかも」 「ええ。いつでも、お待ちしていますよ」 若い女性は、もう一口、コーヒーを含み そのあたたかさに包まれながら、 少しだけ安心して微笑むのでした。

危険な荷物の持ち込みは禁止です

 空港で、モバイルバッテリーの預け入れが禁止された。  爆発すると、危険だからと言うことらしい。    持ち物検査でアラームが鳴り響き、前の客が驚いていた。    事件や事故を受けて、規則はどんどん厳しくなっていく。  安全のためとはいえ、やむを得ない。    ぼくは持ち物検査をクリアしたので、優雅にゲートを通過した。        ビービービー。       『対象の人間の持ち込みを禁止します』    ぼくが驚いて後ずさりすると、一人の警備員がぼくの元へ、もう一人が原因を確かめるために操作画面の前へと移動した。   「あー、AIチェックだ。申し訳ありません。お客様の容姿が危険人物の確率が高いらしく、このままではご搭乗できません。あちらに理容師さんがいますので、髪と髭のカットをお願いします」 「……わかります」    空港で客に見守られながら髪を切るという斬新な体験を終え、ぼくは無事にゲートをくぐることに成功した。   「安全管理って、本当に大変だな」    ぼくはゲートを睨みつけた。  導入されて以降、一度も飛行機の中で犯罪を起こしていない優秀なゲートは、ぼくの視線など気にする様子もなく、次の客にもアラートを吐き出していた。

暇でも燃えてなくなったわけじゃない

 つい先日、知り合いのお店がなくなった。隣りのラーメン屋が営業中に火事を起こし、もらい火で半壊したのだ。幸いけが人も出ず、 店主も無事だったが、お店は営業できなくなった。 「あっという間だったのよ、ほんと」と彼女は笑いながら言った。「隣りから火事だから早く逃げてって言われて、それで着の身着のままじゃないけど、レジからあるだけのお金とパソコンだけ抱えて外に出たの」 「パソコン?」とぼくは言った。 「ちょうど確定申告中だったから」と彼女は恥ずかしそうに言った。「今でこそそのままなかったことにしておけばと思うけど、あのときはまだ途中だからって咄嗟に思っちゃったわけ。おかしいわよね、 他にだって大事なものはお店にあったのに」 「さすが十五年やってるだけある」 「悲しいかな、そういうことなんでしょうね」 「ぼくだったらいっそ燃えてくれたらいいのにって思っちゃうだろうな」 「あたしだってどこかではそう思ってたはずよ?  前年より売り上げ良かったから、これで税金が少しでも安くなるって。でもね、いざってなるとそうはいかないのよ」  そう言って彼女はグラスを口に運んだ。すでに氷しか入っていなかったけど、そこにまだウィスキーハイボールが入っているみたいに。 「お店を続けていくには確定申告をしなきゃならないし、払いたくなくても税金は払わなきゃならない。お店が燃えてもそう思っちゃうんだから嫌になっちゃう」 「でも払ってでも残す価値があると思うからそうするんじゃないのかな」とぼくは言った。「自分にとってなくしてはならないと思うか らさ」 「そりゃ十五年もやってるからね」と彼女は言った。「自分のお店がなくなるなんて信じられないし、いざなくなっても本当になくなったとは未だに思えないから。始めたばかりのころはこんな暇なお店で大丈夫かって毎日ヤキモキしてたけど、今はそんな過去の自分に言ってあげたいもん。暇であろうと燃えてなくなったわけじゃないから大丈夫だって・・・・まぁ、それができないから今もヤキモキしてるんだけどね」  彼女は一時間ほど滞在し、ハイボールを三杯呑んで帰っていった。「目ぼしい物件はある」と言い残して。会計はいいと言いたいところだったが、それじゃ相手の意に背くだろうし、なによりこっちもお店をやっている以上それをやってしまったら元も子もない。 暇でも燃えてなくなるよりはマシだけど、燃えてなくなる前になくなってしまうわけにもいかないのだ。 今は午前一時。相変わらず暇な店だった。

タイムトラベル

「博士、本当に行くのですね。」 「ああ、先に行ってくるよ。」 「では、また100年後の未来で会うのを楽しみにしていますよ。」 そう言うと助手のワトソンはボタンを力強く押した。 宇宙船は大気圏を抜け、予想よりわずかに出力を高く保ったままついに宇宙へ飛び出す。 たった3年の旅だ、それを地球時間に換算すると100年が経過していることになる。 人間の寿命では通常体験できない未来を私は見ることができるのだ。 いずれ帰る未来の地球を想像し、ともに宇宙旅行をしているワトソンと酌み交わす酒を楽しみに私はつらく長い旅をひとり耐え抜いた。 懐かしの青い星をとらえると宇宙船はプログラムに従って3年、否100年前の約束の場所へ向かった。 無事に着地すると何やらスーツを着た男が宇宙船のもとにやってくる。 「お帰りなさいませ、こちらW株式会社のものです。データ照合をいたしますので少々お待ちを。」 「はあ、これはどういうことだ。おい君、ワトソンという男を見なかったかね。私の助手なんだが。」 「何冗談をおしゃいますか。ワトソン氏はわが社の創設者ですよ。」 そう言って笑った男の顔が突如として冷酷なものに豹変した。 「不法滞在者だ、連れていけ。」 スーツの男が虚構に向かってそうつぶやくとどこからともなく屈強な男たちが現れ、私の体を乱暴に宇宙船からひっぺがした。 「おい!いったい何をするつもりだ。」 「滞在費は宇宙での労働でもって支払ってもらいます。それでは、よい旅を。」 スーツ男の感情のこもらない笑顔はちょうど3年前、宇宙船の窓越しに見たワトソンのそれとよく似ていた。

雨雪降って滑るコンクリ絨毯

本来は雨降って地固まると學んだ当時地面が 彼方此に点在してた頃正しく地面に雨降ると 風に舞い上がる土押さえ固めたのは雨の役目 だった現在世界はコンクリ塗装絨毯が敷かれ 開発され便利に為り風に舞い上がる土の様は 見ないだろう既に地面は絨毯の下に存在潜め 現在田畑公園校庭位しか見ないかも知れない 偶にスマホ、テレビ等有事の土砂災害地震時 自然共にその存在感露に破壊して日頃押さえ 固まるストレス解消するかの如く大暴れして 半壊指せたら何事無き様去らざる得ない地面 宿命もしも同じ立場ならば気短切れ易い我は 頻繁に割れ目から手を出し誘う様に歩行者の 足を取り雨雪関係無く転ばせるか或いは毎回 コンクリ絨毯蹴り上げトラブルメーカー為る 者に化し毎日地球揺らす存在に為るだろうか 如何に地面が忍耐強く尊い存在か理解出来る 者は共感性同意為る性を備えた我々だけかも 知れない他義を知り我義知る

影友達

 何故だか、友達ができなかった。  変な顔、変な顔、と言われてからかわれた。    でも、ぼくは一人ぼっちじゃない。   「変な顔だなんて、酷いよね」    ぼくには、ぼくの影がついている。  顔がないからぼくの顔を気にしないし、ぼくが右手を上げたら左手を上げて来る、お茶目な奴だ。  唯一不満があるとしたら、じゃんけんの勝負がつかないこと。  どちらがケーキを食べるかのじゃんけんをしたとき、結局どっちが食べるか決着がつかなかった。   「君はいつ見てもペラペラだね。本当は、一緒にゲームとかしたいのに」    壁に映る影に向かって言うと、突然影の口が開いた。   「やる?」    驚いて腰を抜かしたけれど、それ以上に嬉しかった。  唯一の友達と、お話しできたことが。   「やる!」    ぼくが答えると、影はぺりぺりと壁から剥がれて、ぼくの前に立った。  そして、ゲームのコントローラーを持つと、急かすように言った。   「早くやろうよ」 「うん!」    影は、その人から毎日、ぼくとゲームをしてくれた。  影だからぼくと同じ動きをするので、相変わらず決着がつかなかったけど、楽しかった。    一週間たったある日、影がぼくに聞いてきた。   「他に友達は作らないの?」    ぼくはゲームの手を止めた。   「変な顔って言ってくるんだもん」 「それは、ぼくより変な顔なの?」 「さすがに、影みたいに真っ黒じゃないけど」    ぼくは思わず吹き出した。  影も吹き出していた。  二人でひとしきり笑った後、影が言った。   「じゃあ、大丈夫だよ」 「そうかなあ?」 「君に変な顔って言ってくる奴も、変な顔じゃない?」 「確かに! 鼻が団子みたいに丸いんだよね」 「変な顔仲間じゃん。きっと友達になれるよ」 「嫌だよ、そんな仲間」    次の日。  変な顔だって言われたので、変な顔って言い返した。  そいつはぽかんと口を開けた後、ぼくを殴ってきた。  ぼくは殴り返した。  足元にいる影の分と合わせて、二倍のパンチだ。    結局、先生を呼ばれて喧嘩は終わり。  そいつとは互いに謝って終わり。  クラスでたまに話す仲くらいにはなった。  喧嘩を見ていた何人かは、「お前すごいな」って話しかけてきてくれて、友達になった。   「ぼく、友達増えたよ」    ぼくは影に報告をした。  でも、影はもう、ぼくの前に立ってくれることはなかった。  代わりに、ぼくとまったく同じポーズで祝福してくれた。    最近のぼくは友達と遊んでいる。  たまに、影ともじゃんけんをしている。  決着は、一度もついたことはない。

雨の日、買い物

 平日の朝。 大雨が降っている中近所のスーパーに買い物に行く。 春の嵐の中テクテク歩く。 少し寒い。 髪切らなきゃな、などと思い歩を進める。 スーパーではトマトが安く売っていたので買う。 買い物棚を見ながらやること無いから買い物や~と独り言を言う。 朝のスーパーマーケットファンタジーは特にドラマチックなことが起こらない。 レジの店員も空いてるので暇そうだ。 特に会話もなく会計が終わる。 この前会計機でお釣りが多く出てきたので店員さんに言ってお金を渡したのを思い出した。 機械でもたまに誤作動することがあるんだな。 買ったコーラを帰り道で飲みながらテクテク歩く。 少し肌寒い。 スーパーと家の往復。 主婦は大変なんだと思う。 これに子供の送り迎え炊事掃除洗濯近所の人との交流など。 ストレスも溜まるだろう。 僕は自分のことだけしててもストレスが溜まる。 嗚呼。 忙しい人達のための雨の協奏曲。 夕方から雨は上がる。 雨上がりに人々は何を思うのだろう。

白い狐

 高校一年の時の今でも鮮明に覚えている思い出がある。  その日は雨で七月ということもあり、じめじめとした暑さが体にまとわりついていた。  ふと道端に白い物が落ちていた。ビニール袋だと思い、通りすぎようとした時、それは狐だった。ぐったりと寝そべっている狐。  私は獣医でもないし、動物に詳しいわけでもなかったが、当時は直感的にこのまま放置していては死んしまうと思い、家に連れ帰った。  後から知ったことだが、狐にはエキノコックスという寄生虫がいるため触ってはいけなかったらしい。  今日は運がいいことに家族が帰ってこない日だった。濡れた体を拭き、温め、雨が上がったのを確認し、元いたところに返した。  その数日後、私の周りに些細な変化が起きた。今までいじめとまではいかないが、自分のクラスで少し遠巻きにされていたのが、急に声をかけられるようになったり、昔仲良くしていた親友から連絡が来たり、昔手放してしまいずっと探していた本が中古で安く売っていたり、父が気分転換にと買った宝くじが高額当選だったりと、私にとっても、家族にとっても嬉しいことが立て付けに起きた。  当時は『最近運が良いな』と思っていた。そんなある日に玄関に一輪の白いダリアが置かれていた。ダリアが咲くには季節外れの初夏、造花だと思い怪しみながらも持ち上げたが感触で生花だと分かった。悪戯かと思い辺りを見回すと白いふわふわな狐の尾のようなものが見えた。  私はある一つの馬鹿馬鹿しい妄想を思いついてしまった。 本当にありえないことだと思いながらもそのダリアを花瓶に刺した。本当に馬鹿げた妄想。  白いダリアの花言葉は『感謝』  狐は何を伝えたかったんでしょうね。

And back to right out

How do I reset why I had a man every day it creates that and I’m glad we had a crew watching that ad Saturday at the Color about about created then it breaks it where our body and to reach that kind of bit down. I am today at wake up we had to be down to battery and data to be out heartbreak that we had a murder day and the doubt of every day add back to big head. they got my head, Koru. I’m very busy day headed back to where I had a dad who had a day look through that when I’ve been back to the cab, but he had to cry the bloody cab every doubt though I’m back down I’m about hello could a date you could’ve turned on a virtually deal with Delray and met heart rate tablet covered by daddy had to cut it down and secure data. Could I have a body that we did good about dad go out that day you down to go down have Baba recover the daughter had to go to work and I had that karate cover that I had to grab a blood karate. Make sure that I get out without a day to truly down here with a day and make sure that Kenna tell that daddy and I could’ve done that how do I Kuwata data down that I am gonna be down back have a M day credit day and make it with that advocate have a day without that I’m a bad buddy go ahead I could I could write a picture that I am at and a very edge could’ve had a beer and had a day the other day and make it with that at Bach that I could and we could provide a decorate that and now the day have karate make sure that I have that a quarter that Kevin dead out of that back to be that kind of a death today that I had a day Ababa truth that I doubt a day and we could’ve done a ditch. I’m back in there without a that I’m walking out the dead dead dead today and making it down that walking walking to that way that I’m begging him now I’m benefit that I’d like to direct to that another day a day add back to work another day to that day and that add back to that another day there with that karate there I doubt that I’m back An Essayist and Yuji Tanaka

バスが来るまでのラブストーリー〜幸せな結末〜

今、私はバスに乗っている 他に乗客はいない 私は一番後ろの広いシート席の端っこに座り、海を見ている 白い砂浜に広い海 潮の香りはしないが波の音は聞こえる とても静かな時間だ 寄せては返す波のように色んな事が頭に浮かぶ 最近、孫の風太は小学校でヤンチャぶりを発揮しているらしく、悪ガキと喧嘩をして帰ってくる事もあるらしい。たくましくなったものだ。もう私の膝の上には座らないのかもしれないな。 渚さんは身重になって風太の妹をお腹に宿している。あんな柔らかい雰囲気の女性だが芯は確りしているので立派な母親だ。息子の洋一とは妻が亡くなってから、良く話すようになった。子育てをしながらの生活は目まぐるしくあっという間に過ぎてしまった。アイツは穏やかだが決して逃げ出すようなヤツではない。母親が天国から見ていると思うと、心配するとでも思ったいたのかもしれない。苦労をかけた。淋しい思いもたくさんしただろうに。 最近はシルバー人材派遣に行ってバイトをしながら、たまの休みに桜井美幸さんと会っている。デート代をバイトで稼ぐ高校生に戻ったようだ。 恋をすると人は元気になるようだ。世界も違って見える。全てが素晴らしく、尊いと感じる。そう、恋をしている。70歳を過ぎ恋をしてしまった。 砂浜と反対側は白壁の街並みが広がっている。人通りもなく車も走っていない。静かな街だ 今更だが、もう一度妻と会いたい もっと大切にしてやればよかったと何度後悔したことか もっと会話をすれば良かったとよく思う 桜井美幸さんと話していると、自分がよく笑うことに気が付く 妻と会話をしていれば楽しい家庭だったのかもしれない 浜辺の街道沿いで誰かが手を振っている 息子の洋一だ。孫の風太もいる。傍らには洋一の妻の渚さんもいる。皆こちらに手を振りながら何かを言っているがよく聞こえない。 窓を開けて手を振り返す 何で洋一達がこんな所にいるんだ 奥に桜井美幸さんがいる。微笑みながらこちらを見ている。 「おーい。みんなー!」 声を出すがバスは彼等を後にしていく バスは海面近くに架かる橋の上を進んでいく とても穏やかな気持ちだ 暖かい気候で少しぼんやりする 私はどこへ向かっていたのか忘れてしまいそうだ 前方にバス停が見える。海の上のバス停に誰かが待っている 御婦人だ。桜井美幸さんのように見えるが違う。きっと妻が生きていたらあの女性のようだったろうなと思う。 バスが静かに止まる ドアが開く 婦人はステップを上がりこちらに来て私の隣に座った バスは海の上に架かる橋を進んでいる。

奇跡

双極性障害の鬱期から寛解へ向けての道の上だと思う 力が入らず 思考が回らず 決められない 判断出来ない等ある 恐怖と不安が側から離れない ラジオの針が合っていない感じがする セーフティモードの様に必要最低限しか操作できない感じがする 幼児のまま隠れていた僕が優位な そんな感じ 呼吸がうまくできない 頭がにじむ 振り返ると一日が一ヶ月にも感じる 自分を責めてしまう 元気になりかけると怖い 元気になるのが怖い そして最大の力と勇気と知恵を振り絞って立ち上がり歩き出す それを年に何度か繰り返す 本気で死のうと思ったことなど何十回もある そんな日々をもう何十年と過ごしている 僕の死神はとても優秀だと関心をする 死ぬまで終わらないこの苦しみを何というのか名は知らない もっと見た目で分かりやすいモノなら自分も納得できるのに 体が光るとか、半透明になるとか 家族の為生きようとは思っている ずっと溺れているような苦しみの中でも 息子が悲しまないために 妻が苦しまないために この間の土曜日、普段出かけたがらない息子が自分の財布を持って僕の寝ている側にいた。本当はパパと出かけたかったろうに。色々話したが出かけたいとこがあるとはひと言も言わなかった。早くどうにか元に戻りたい 普通に生活出来る事は僕にとって奇跡

時速1kmの光

足の裏で畳がスルスルする感じ ドライヤーの音に隠れる曲 子供の時だけの高い声 無邪気な笑い声 夜に溶けて明日には夜と共に明けたい 彗星の公転の様な死の時間 土星の輪っかを指にはめてみたい 太陽はドラムの位置にある 月を重ねて月まで登る スマホの親友 パジャマのお尻 靴下の片方の行方 耳鳴りの輪唱 銀河の渚にある今 ポケットに入れたままの時間 声を思い出す 思い声を出す 出す声を思い 声を出す思い 思い出す声を 出す思い声を 竪琴なら聴いていられる

夢渡し

「私、花屋さんになる!」    私の娘の口から、私の子供の頃の夢が出てきた。   「そう。頑張って」    驚きすぎて、そっけない返事をしてしまった。    私は、夢を口にすることがなくなった。  最近、口にすることと言ったら、健康のこととお金のことばかり。  ずいぶんつまらない人間になったことは自覚しつつ、大人になると夢を見なくなるんだと自分に言い聞かせていた。    でも、そうじゃなかった。  私の夢は、どうやら娘に引き継がれていたらしい。    花の図鑑を楽しそうに読む娘を見ながら、私はなくなってしまった夢の代わりに、新しい夢でも探そうかという気になった。

職場王国

 久しぶりに出社した。  ずっと自宅からテレワークをしていたので、他の社員と肩を並べて仕事するのはいっそ新鮮だ。    しかし、仕事を始めて数十分。  すぐに違和感へとぶち当たった。   「ティッシュがない!」 「ゴミ箱がない!」 「冷蔵庫の中にコーヒーがない!」 「水道に浄水器がついてない!」 「メモできる紙がない!」    備品としてデジタルな機器はやまのようにあるが、アナログな道具が少なすぎた。    退勤後、私はすぐに行動を開始した。    職場の机の隣に、サイドテーブル設置。  サイドテーブルの一番上に、コーヒー二リットルとミネラルウォーター二リットルのペットボトルを設置。  隣にティッシュボックスを設置。  棚の中にペンとメモ帳を設置。  サイドテーブルの隣にゴミ箱を設置。    僅か一夜にして、自宅に近い環境を完成させた。  一夜城ならぬ、一夜机だ。    出社する社員たちは、私の机を見てぎょっとした。  きっと、「その手があったか」と驚いているのだろう。  真似していいよ。    業務時間が始まってしばらくすると、課長が私の机までやって来て、私の机を見て首を横に振った。   「これは、駄目だよ」 「え?」    かくして、私の一夜机は十分で崩壊した。  私の仕事の能率は半分にまで落ちた。

And rack and then how to head home

Ed back true and Patto and proudly and require it to be in the car by hand without had a bed out down that had to go for a date could you run about now? I’m petty that’s my day at work on down at Canterbury code while Kuba set broke back to a day at a quarter to I’m at our husband work to write down a day about Canal day and a rock every day out of a day that had a day about him with that I could on a day where could everybody immigrated down a day out of death? I’m truly about to be down. I care about the blood at a factory and a black. Could I have down a day and make it with that how about another day another day the other day out of a day every day at lottery have a body cover that welcome out a day to break down a big a day and make it with that bad about a dating to the date of that day how do I consider the date but data dead to welcome to every day that I doubt that way down daddy have a day could down the day shoot by that ad make sure that going out today that every day that’s a day that a day that we could work another day represented that I am good with that today and make it with that vehicle to ride. Could I run a day to death day whether that’s out of doubt back to be dead I that could’ve done without a day to the other day and that day to truly have a debt. How about make sure that that day that day and make sure that today and make it with that. How do I do what I have they could have another a day to choose the other data a day today to choose that today I could provide Berkshire the data of a data I could have ever die ever could’ve done a debt today to out of down and Down a day that day they could add another day a dead could about a dead could about a daycare market out of that I could work another day and brew I’m better be out of that umbrella out of that. I’m out a day. I’m back with that Ambre and that and brew about a day brew. An Essayist and Yuji Tanaka

画面の中

「やったぞ!ついに完成した。」 ボサボサの髪をした初老の男は、巨大な機会を前にしてひとり拳を握りしめた。 彼の計算では、あとは眼の前のこのマシンを起動すれば長年の夢である、四次元の世界に行けるはずだった。 はやる気持ちを抑え、男はスイッチを押す。 目も開けられないほどの閃光があたりに満ちた。 ここが四次元の世界なのだろうか、あたり一面が真っ白で一体どこが切れ目なのかも分からない。 男があたりを見渡すとはるか遠くに豆粒ほどのサイズの何かが見えた。 そして、突っ立っている男に向かってそれはグングンと距離を詰めてきた。あっという間に男の目の前にやってきたそれは完全に人間の見た目をしていた。 「すみません、あなたは一体何者なんですか。」 男は震える声でなんとか目の前の人物に話しかけた。 「私はこの世界の住人です。ようこそいらっしゃいました。皆があなたを歓迎していますよ。 なにせドラマの中から本当に飛び出していらっしゃたのですから。 言うなれば三・五次元俳優でしょうか...」

人は見かけによらないけれど

 いつもの放課後の公園。その日はいつもと様子が違っていた。ベビーカーを押した女性や少し大人びた小学生たちが、みんな公園から足早に去っていく。公園で遊んでいるのはまだ声の高い子供達だけだ。それより小さな子ども達は大人に手を引かれて公園から出ていた。  その理由は一目で分かった。  ブランコや滑り台の前に並ぶベンチの一つに、等身大の人形と男性が座っているのだ。人形は艶のある黒髪を肩まで下ろし、白いカーディガンと足首まである黄色いスカートを着こなし、砂の立ち込める公園には不釣り合いな光沢のあるローファーを履いている。顔にはメイクが施されているのか、明るい肌色に少し桃色の頬、赤い口紅がひかれている。それでも人間にはない硬さが滲み出ていた。プラスチックのような目は正面にあるブランコをまっすぐ見つめている。  男性は中年で短く整えられた髪に、手入れの届いたスーツを着こなしネクタイをきっちりと締めていた。穏やかに微笑むその表情は優しく無害そうな男性だが、向けられた先が放課後の公園にはあまりにも異質なもので足が進まない。  公園に入ってすぐに足を止めてしまった私の左手がぐいと引かれた。 「ねえ、あの人はどうして人形と喋ってるの?」  左を向くと中学一年生になったばかりの少年が左手で口を隠しながら普段と同じ声量で言った。彼の普段の声量は私の出す声の二倍はある。男性に聞こえたのではないかとうかがうが、男性はこちらを見る様子もなく変わらず人形に向かって微笑んでいる。  私がこの公園で遊ぶべきか考えている中、公園に着いても道路と変わらず私の手を握っている彼の右手は私の左手をひっぱり続けている。  社員さんに連絡するべきか。この後も子ども達がこの公園に来る可能性はある。しかしあの男性は危害を加えそうには見えない。むしろ、好奇心旺盛な子ども達が彼に対してネガティブな言葉をかけるのではないかとも心配になる。 「ねえ、なんで人形と喋ってるの」  少年は先ほどよりも大きな声で、やはり左手で口を隠しながら言った。彼は彼なりに男性に聞こえないように小声で言おうとしているのだ。手で口を隠して相手に聞こえないように、でも私には自分の言葉を伝えたくて声量が大きくなる。 「ヘンタイなのかな」 「そういうことは言わないの」  私は彼に注意をした。しかし彼は止まらない。 「でもヘンタイじゃない?人形と喋ってるんだよ。変だよ」  口を覆いながらも声量は大きくなる。  私は彼に伝えるべき言葉を持っていなかった。男性を傷つけたくはない。しかし実際、男性は私には理解できない人であり、彼の言っていることの方が理解出来る。 「ヘンタイだよヘンタイ」  学校で覚えた言葉の意味も深く理解せずに少年は大きな声で繰り返す。「それは言わない。バツだよ」と叱りながらも子どもに説明できない状況を作り出している男性に憤りも感じる。 「今日は別の公園に行こうか」  これ以上男性に「ヘンタイ」という言葉をかけたくもなかった。それは男性のためであり、彼のためでもあった。 「ねえなんでなんで。この公園がいい」  公園を出ようと手をひくが、中学生になり力も強くなった少年はなかなか動かない。 「今日はこの公園がいいっ僕がこの公園に行くって言ったのに。どうせ僕なんか死ねばいいんだっ」  彼は握った手は離さずに左手で溢れる涙を拭う。彼は自分の都合が悪くなると、すぐに自分を極端なほど責めてしまう。小学校に行きたくない新入生のように泣きながら、彼は自分を責める言葉を続ける。私はそんな彼に「そんなこと言ってないよ」「死んで欲しいなんて思っていないよ」としか言えない。この場で伝えなければいけない言葉をまだ見つけられていない。  彼が遊びたかった公園。そこで遊ばないと判断したのは私だ。そしてその理由を説明できない。 「あのお兄ちゃん大きいのに泣いてるね」  高くよく響く幼い声が聞こえる。その声を制止する大人の声。  泣き続ける彼の気持ちが落ち着くのを待ちながら、ベンチの男性を見る。柔らかく微笑む無害そうな男性。彼は私たちを傷つけようとはしていない。過激な表現をしているわけでも、人形に淫らな格好をさせているわけでもない。彼は彼の幸せな時間を過ごしている。誰にも迷惑をかけずに。それでも私は子どもに説明できないものは受け入れられないのだ。

亡霊

 夜になると、頃合いを見て斉木信夫はパソコンの電源を落とし、夕食をとりに外へ出る。 部屋着から外出着に着替え、ハンカチと家の鍵をポケットに入れたらスマホ片手に駅のほうへと歩いていく。  その日は駅裏にある焼鳥屋へ。長年この土地で商いをしている老舗で、値段も手ごろで常連も多い。店内は六人ほどが座れるカウンター席と、壁際に這うようにある二人掛けのテーブル席が二つ、それと奥に肩を寄せ合いながら四人は座れるテーブル席が一つあるだけで、焼き場に立つ大将とお酒を作る女将さん二人でお店を切り盛りしている。  数か月まえに電子決済ができるようになってからというもの、斉木信夫はこのお店に週二回は通っている。入り口近くのカウンターの左端がお気に入りの席だ。夏は暑いし、冬は寒いけどそのおかげでわりかし空いていることが多く、忙しくなってきてもあまりその席だと座りたがる人もいない。混んできて居心地が悪くなっても、誰に気兼ねすることなくお会計さえ済ませれば、すぐにお店を出られるのも気に入っている。  女将さんが前に立ち、斉木信夫はとりあえずいつもと同じ生ビールと串焼き三本セットを注文する。女将さんは肯きながら伝票に記入し、それぞれの串をタレか塩かと彼に聞く。 彼はいつも通りにこう答える。 「ねぎまとレバーはタレ、つくねは塩で」 そこでハッと女将さんは伝票から顔を上げる。そして斉木信夫の顔をジッと覗き込む。 彼もその視線に少し緊張した面持ちで応える。 「つくねだけ塩なんて、あんた珍しいねぇ」 女将さんがそう言うと斉木信夫は曖昧に肯き、すかさずスマホに視線を移す。女将さんは大将にオーダーを伝えてビールサーバーのまえに立ってビールを注ぎ、斉木信夫のまえ ―にジョッキを置くと、常連のサラリーマンとカウンター越しに談笑し始める。隣りに座っている彼のことなど気にする様子もない。  それから斉木信夫は生ビールを一杯とイモ焼酎ロックを一杯、それと串三本と追加で注文した手羽先を二本食べてお店をあとにする。滞在時間は一時間ほど。混み合ってきたところで席を立ち、電子決済で会計を済ます。外へ出たら駅裏のあたりをブラブラと徘徊し、最近できたばかりの立ち飲みのワインバーでグラスの赤を二杯、そして駅前から家とを結ぶ直線上のちょうど真ん中あたりにあるバーでウィスキーのロックを三杯呑んで家路につく。  時刻は午後十時過ぎで、夜の町はまだこれからが本番と言わんばかりに賑わいをみせていたが、町がどうであろうと彼には関係ない。足取り不確かに路地から大通りへと出て、再び踏地へと入って自宅マンションの近くまでくると、斉木信夫はいつものように街灯の下でふと立ち止まり、足元を見据える。  そこにはあるはずの自分の影はなく、街灯の明かりに照らされた黄色みがかったアスファルトがあるだけだった。

セイレーン (掌編詩小説)

セイレーンの歌声に囚われて 船底にしがみつく狂骨たち さざなみを返り討ちにする 船の警笛を遮る美声 独唱の人間讃歌 水平線が、かすめるほどの海の中 水面が反射して眼に照りつける 水面が唸って耳に音色が届く セイレーンの歌声に救いを求めて 回遊する狂骨たち 生の潤いを返り討ちにして (完)

五七五 1

1 咽び泣く雨に差し出す花の傘 2 慰めの声が届かず萎る花

お前だけは

「お前だけは」  そう言う連中に、碌な人物を見かけたことはない。  何故なら、その一言を使う人物は、その人に固執“させたがる”からだ。  私は人の言葉を信じすぎるもので、よくその言葉に、密かに独占欲めいたそれを抱きつつ絆を感じていた。  ――今はもう、信じられない。  ――そう言っていた人物は、全員離れていったのだから。  ――彼らにとっての“お前だけは”は、今日もまた犠牲者を増やしていくのだろう。

最終関門プロポーズ

 どうして、女はプロポーズ待ちをするのか。  結婚したければ、自分からプロポーズをすればいいじゃないか。    そんなことを言われた。    わかってないな、男さん。  プロポーズ待ちとは、男への最終テストなのだ。    育児。  家事。  労働。  結婚とは、理想だけではない。  過酷な現実の連続だ。    男が女にプロポーズするとは、過酷な現実を受け入れ、責任を取ると言う男の覚悟に他ならない。  というか、プロポーズごときでひよる男なんて、結婚という現実を前にすればすぐに逃げ出すし折れる。    プロポーズ待ちとは、結婚生活を共にできる男だけを炙り出す儀式なのだ。  プロポーズ待ちを非難するやつらなど、むしろこっちが願い下げ。  結婚しなくて大正解なのだ。       「別れよ」    話は変わるが、彼氏と別れた。  十年付き合った彼氏だった。  職場の子といい感じになったとか。    はい、不合格。  プロポーズ待ちの関門、クリアならず。  なんてなさけない男だろう。    こいつは結婚しても、いざと言う時に逃げ出す無責任男。  職場の子も可哀想に。  私はこいつの正体を知って、別れられてラッキーだ。  結婚していたら、間違いなく不幸になってきた。  育児も家事も労働も押し付けられて、私は不幸になっていただろう。  はい、ラッキー。  さあ、さっさと出ていけよ不合格者さん。   「私の時間返してよ! 責任取ってよ!」    そのはずが、口だけが勝手に動いていた。    おかしいな。プロポーズもできない無責任男と別れられて、正しいはずなのに。    あれ。

充足

透明な氷が、カラリと音を立てた。時計回りにストローを滑らせながら、彼女は言う。 「グラスには、空白がないと意味が無いのよ」 「それってどういう意味?」僕は聞き返す。 彼女は伏せた目を少し上げながら、答えた。 「もし空白が無かったら、何も注げないでしょう」 カランと氷がぶつかり合った。 「それに、私達は注がれた飲み物を楽しんでるの」そう言って彼女はストローを咥えて、ゴクリとミルクティーを飲み込んだ。 「でも、楽しんでる内に少しずつ減って…それをまた頑張って注ぎ直す」 僕はただ、静かに彼女の話に耳を傾けている。 「そして満杯になったグラスを見て皆は言うのよ。“充足してる”って」 僕が大きく頷くと、彼女は「ふぅ…」と一息ついて、また話し出す。 「充足なんて言うのはね、楽しむから満たされないし、満たされないから楽しめるの」 彼女は徐に僕のグラスを手に取ると、中身を自身のグラスへと移す。僕は「そのまま飲んで良いのに」と言ったけれど、彼女は「これに意味があるのよ」と蠱惑的な笑みを浮かべた。グラスの中身とは裏腹に、僕はまた満たされているのをどこかで感じながら、返されたグラスを受け取る。すると、外側に張り付く水滴の冷たさと、共に伝わる彼女の温かさに板挟みにされてしまった。 僕の顔に彼女は微笑みかけて、言う。 「今日は充足した日だった。また満たしてね」 僕達はまた、並々と注ぎ合って味わい合う。互いにグラスを交わし合う。満たされない充足が、どうしようもなく愛おしかった。

デジタル化おばあちゃん

「見なあ、これ。最近流行りのデジタル化ってやつやで」    固定電話を使っていたおばあちゃんが、ついにスマートフォンを買った。  市外局番から電話が来て何事かと思ったが、おばあちゃんがただ自慢したかっただけの様だ。  しかし、電話なんて久々にした。   「甘いね、おばあちゃん。今の時代は電話じゃなくて、LINEの通話だよ」 「らいん? やたら胸と尻の大きい若者の体のことかい?」 「おばあちゃん、普段何のテレビ見てるの?」        翌日。  おばあちゃんがLINEの家族グループに入ってきた。   「見なあ、これ。最近流行りのデジタル化ってやつやで」    スマートフォンでの電話を覚えたばかりのおばあちゃんが、もうLINEまで始めた。  突然家族LINEに人が増えて何事かと思ったが、おばあちゃんがただ自慢したかっただけの様だ。  これから家族LINEの動く頻度が増えると思うと、ちょっと感慨深い。   「甘いね、おばあちゃん。今の時代はLINEじゃなくて、インスタのDMだよ」 「でぃーえむ? お祭りに行ってアンケートに答えたらたくさん来るようになる手紙のことかい?」 「そうなんだけど、そうじゃない!」        翌日。  おばあちゃんからインスタのフォロリクが来た。   「見なあ、これ。最近流行りのデジタル化ってやつやで」    LINEを始めたばかりのおばあちゃんが、もうインスタを始めた。  どこで私の匿名垢を知ったのか疑問は尽きないし、両親に把握されていたのかと思うと背筋が震えたが、とりあえずおばあちゃんの自慢に付き合うことにした。  これからおばあちゃんにインスタの投稿が見られると思うと、投稿内容に気を付けようと思った。   「おめでとう、おばあちゃん。もう私に教えられることはない。免許皆伝だ!」 「免許皆伝? 免許なら最近返納したよ」 「自動車免許じゃなくて!」        翌日。  目を覚ましたら、目の前におばあちゃんのホログラムが浮かんでいた。   「見なあ、これ。最近流行りのデジタル化ってやつやで」    インスタを始めたばかりのおばあちゃんが、もう……いや待ってナニコレ知らない。  ちょっと待って、ナニコレ。  知らない、ナニコレ。   「おばあちゃん、これ何? 私、知らない」 「これはな、最新のなんとかかんとかでな、なんとかって機械を置いとけば、自分の声とホログラムを送ることができるんや。知らんのかい?」 「知らない。見たことない。こんなの、どこに売ってたの?」 「山田さんとこの電気屋さん」 「まさかのご近所!?」    デジタル化が加速していく世の中。  私も置いてかれないようにしなければと強く思った。

STAR CAFE

「子どもたちの数? 数えたことないわ〜……。でも、たっくさんいるわ」 暗いカフェの角。僕は目の前のマダムと食事をしていた。マダムは真っ赤な口紅を施した艶やかな唇を弧の字に歪ませて、天を仰いだ。 僕は不満げに問う。 「子どもに興味ないのかい?」 マダムは心外だとでもいうように目を丸くし、口を窄める。僕よりも格段に年上なのに時々こうやって子供のような仕草をする。 「あるわよー。でもね? どこでも喧嘩ばっかりで手を焼いちゃう。一緒に育ててみる? なーんて」 「子どもが多いとそうなりますよね」 わかったフリをしてみるが、あいにく僕に子どもはいない。 ふと、目の前のマダムは目を伏せて、近くの地球に目をやる。 「本当に……。愛していても、人間は何かを渇望して喧嘩をやめないの。止めようとはしないわ。学ばないから」 マダムの表情には愛と同時に残虐さが混在していた。妖艶で危険を帯びている。 マダムが地球の上で指を回すと、くるくると可愛らしく地球が応える。 星が散りばめられた黒いカフェでは、いろいろな神が訪れる。 彼女は地球の女神。人間には何と呼ばれているのだろう。それとも存在すら忘れられているのだろうか。 「あなたは子どもは要らないのかしら? 人間たちは月にはウサギがいるとかカニがいるとか美しい少女がいるとか噂されているのよ」 思わず吹き出してしまう。 「ありえないね。僕は君と長老がいれば他は何も要らないさ」 「変わらないわね」 何度となく繰り返されている会話だ。 僕は何とは無しに指を回す。目線の先に浮かんでいる月にはクレーターが増えていく。 ウェイターが持ち込んできた星のパスタと星の液体を味わう。相変わらず甘酸っぱくて美味しい。 「それじゃあ、今日もよろしく」 「ああ、今日は三日月だよ」

備え

「どうして傘を差しているんですか」 声が聞こえた。何やら質問をしているようだ。しかし、誰に対してだろうか。特に人は見当たらないが…。 ─ああ、もしかして私に聞いているのか。 「不思議なことを聞く子だ」 本当に、不思議なことを聞くものだ。私はただ、雨が降っているから傘を差しているだけで、何か特別なことなんて何も無いというのに。 「ただ、雨が降っているからだよ」 ざあざあと響く雨音が、次第に強まる。 「そう…ですか。でもここ、屋根の下ですよね」 雑音の沈黙が、辺りを支配していく。 音の雑踏に囲まれる中、淡々と時は過ぎる。 「そうだね。でもそれが、どうしたというのかな」 ただ、なんとなく外出をした。別にどこか行きたい場所があった訳じゃない。大体、こんな田舎には行く所もほとんど無い。気まぐれに外へ出ようと考えて、飛び出した。何も考えずに歩いていたら、雨に降られた。始めはぱらぱらと降っていただけだから、別に良いかと思ったけど、いつの間にか強くなってきて、急いで走った。方向なんて考えずに走っていたら、屋根が見えてきたからそこに入って雨宿りをした。 そうしたら、変な人が居た。 「えっと、屋根があったら傘は差さなくてもいいんじゃ…」 本当に変な人。だって意味が分からない。屋根があるのに傘を差しているんだから。 薄屋根の隙間を縫って滴る一滴が、ぽつりと声を漏らした。 「君は、屋根は絶対に守ってくれると信じているのかい」 目の前の少女はロクに何も持っている様子は無い。現に、ここに来る時点でそれなりに濡れていた。少なくとも髪が束になる程度には。 「それってどういう」 か弱い少女がこんなところに一人で、手ぶら。蜘蛛の巣にかかった蝶の様に、可憐な乙女も簡単に羽を落とされる。 「君はそのままだとそのうち足元を掬われるよ」 少女はふわりと宙を舞った。 「えっ、ちょっと、なにこれ」 霞む意識の中、私は自分を振り返った。 「夢…」 土砂降りの朝だった。 「学校、遅れるわよ」 母の声で目が覚めると、急いで支度をして玄関へ向かう。傘を手に取ろうと傘立てを見て、驚いた。 −あの傘… 摩訶不思議な邂逅が、夢現に塗れていく。 久しぶりに、人と会話をした。まさか私が見えるとは驚いたけれど、きっと導き手が必要だったのだろう。持たざる者は、持つ者に簡単に奪われてしまうから。 「上手く導けたらなら良いのだが」 傘に弾ける雨の音が、心地良く響き渡った。

展翅_03

電気屋というだけあって、広く細かなものが多くあるのがよく分かった。私は詳しくないが、後ろに着く彼はきっといろいろ詳しいのだろう赤い自販機に目を通す、財布を取り出す私に「付き合わせているので、俺に飲み物くらいおごらせてください」 まだ何を買うか見定めていないのにもかかわらず五百円玉を自販機に入れ込み、さぁ!という目線で私の選択を待つ。結果私はグレープとマスカットのフルーツティーを選んだサントリーの紅茶シリーズは好きだった。もっとも十年前くらいにはやった、透明なミルクティーは私は好きではなかった。なんだか何を飲んでるのかわかんなくなる感覚が気持ち悪かった。味はそのままなのにと驚かされたのを覚えている。ありがとうございます、とペットボトルをひねる私を今度は彼が横目に、私を誘導した。 足元を見れば、この店のどこにどんなものがあるか、のフロア表が貼ってあったりした。 彼はモバイルバッテリーのようなものを手に取り、凝視している、これではないということを何度か繰り返していた、正直興味もなかったので私はフルーツティーを嚥下して、ケータイをいじったりして暇を持て余した。とはいえ、十分もせず会計に向かった レジにいた店員はきっちりと身なりを整えた男性だった、目が合えばにこっと笑ってくれた、その顔が俳優の高杉真宙さんにそっくりだった。いつか見た映画で好きだった役を彼がやっていたので顔が頭に浮かんで出てきた、最も私は好きな俳優も女優もいない。嘘も意地もなくテレビの人間より、私の友人らのほうが顔も性格も整っていると思うのでそういう手の届きそうで届かない娯楽に好きなものを作るのはよしている、テレビやネットの世界は常に娯楽であるから面白い、それは皮肉的にもアイドルなどの炎上でそれを袋叩きにして国民が承認欲求を満たしてるときであってもだ。 この後は普通に帰れると期待していた私の瞳を眩ますように、彼は長話を始めた。 「こんなことを言っても倉渡さんなら大丈夫でしょうか、俺実は結構過去はやんちゃしていて、十七の時から渋谷で飲んでは女の子とっかえひっかえしてたような男なんです。」 「それは、まぁ、なんというか、若かったんですね、私の周りにはそんな男の子はいませんからそういうノリがあった、くらいに受け止めておきますが、それがどうしたんです?」 「えぇ、だから俺は経験人数が九十人前後です、さすがの倉渡さんも動揺が隠せませんか、俺確かにそうは見えないでしょうしね、けど、彼女は片手に収まるくらいですし、彼女がいたときは遊びも飲みも断るくらい誠実ではあったんです」 「そうなんですね」 「で、ルナちゃんのお母さんと結婚してから、女遊びもなかったし、女の子にときめくだなんてことなかったんです、ここ十年くらいかな、そこら辺に歩いてる姉ちゃん見ても胸がでかいとか、金髪だなとかその程度だったんです」 私の手を取り彼がさすりだす、私は声が出なかった。けど怖くはなかった。人目があったから、ここで私が声を出せば大丈夫だと過信していた。けど、気持ち悪かった 「はぁ、女性的な人に惹かれるのは男性ならばいくつになってもあり得ることなんでしょうね、私はそういった経験もなければ過去の恋が純情だった、とも言い切れないので何とも言えませんが」 「純情じゃない?」 「あぁ、いや大したことじゃないです、dvだったり浮気性だったり、なので私は恋人以前に異性にあまり信用を置かないようにしているんです、最もきっと私の最初の恋は女性でしたので今の言葉に信憑性などありませんが、」 「レズビアンというわけではなさそうですが、」 「えぇ、私は多分異性だろうと、同性だろうと、好きな人が好きです、でも女性を好きになったのはそれっきりですし、付き合うことはなかったです。ただ、相手はとてもきれいな目をした小学校の頃の女友達です。もし君が先に死んだら君の目をください、だなんて気持ちの悪いことを言っていたのを今でも覚えていますその時私は小学二年生だったそうですよ。母親に止められて自覚した、という感じです、昔から瞳に惹かれるのでしょうね、私は」 自語りが過ぎたと思ったころ、関心を彼は私に示して、自分を肯定してもらったような表情を浮かべていた。正直何を言い出すかと思えば、ルナの義父の昔話、もしやルナにも同じことを言っていないだろうな。と歯を食いしばる、もしそうだとしたら私は許さない、こういう状況に苛まれている私たちは、私の手元にある蝶そのもので、ゆっくりと相手の言葉に展翅され動けなくなっていくのが分かるからだ。それに加えて、何かを守ったりする正義感なども相手の手中に収まる。私の場合はルナも同じ目に合っていないかという危惧、そして私で満足するうちは、という自暴自棄だ。 「そうです、それです。それで俺は貴女に恋をしているんですよ、倉渡さん」

悪人よいなくなれ

「私は神だ。お前の願いを一つ叶えてやろう」    奇跡が起きた。  私は躊躇うことなく、願いを口にした。   「悪人を全員消してください!」 「悪人とは、どんなやつのことかね?」 「私より悪いやつ、全員です!」 「その願い、かなえてしんぜよう」    その日、人類の三分の一が消えた。  私をいじめていた人間も、公共の場でマナーを守らないやつも、全員消えた。  いい気味だ。    私は、正しい人間しかいない世界を、大手を振って歩いた。        気が付けば、私は逮捕されていた。  私より悪いやつが全員いなくなったから、この世で一番悪いのは私と言うことだ。  ルールも、当然変わって来る。   「私は悪くない……」    悪は絶対的でなく相対的。  それに気づいたのは、私の身柄が拘束された後だった。   「囚人第一号、おめでとう」    厭味ったらしく言ってくる看守を見ながら、私はこんな奴よりも悪者だったのかと頭を抱えた。

展翅_02

電車の揺れに身を委ねて目を閉じる、そのまま何駅か通り過ぎる、人はそこまで出入りした様子はなかった、それでも三駅目あたりの開閉で入ってきた人影が私の前で止まる、そこまで混んでいなかったし目を瞑っているとしても両隣の席が空いてるなどは気配で感じられる、悪意がある感じではないが、そわそわとしているような感じがした。 知り合いかとよぎったが、私の友人がこんな遠方に来るタイプだとも思わない このまま眠ったふりを貫いていたらきっと面倒事に巻き込まれなかっただろうが、私はなるべく自然に目を瞬かせながらゆっくり開いた。 「あ。やっぱり、倉渡さん、お久しぶりです」 元気のあるしゃがれ声が私を後悔させる。 目が合えば目尻にしわを作って笑う、丸っこい浅黄色と茶のメガネの淵から瞳孔の黒さを知る。 「お疲れ様です、そしてお久しぶりですルナのお義父さん」眠っていたのにじっと見てしまった悪かった、と彼は申し訳なさそうな顔をしていた、お気になさらず、と膝の上に抱えていた彼女が入っている紙袋に力をこめる。隣に座ってこなかっただけマシだと考えることにした。ただ、彼は車を持っているはずだったので電車にいるのはどうにも不自然だと思った。仕事もしていなく趣味は犬の世話とガジェット機器だった つり革をつかんでこちらをにこにことみている彼に問う 「そういえば、今日は何をしに?他意はないのですが、いつもは車で移動していると伺っていたので」 「あぁ、今日はねルナちゃんのお母さんが車を使いたいって言ってたのと外に出ているのは気分転換、俺たまにこうやってふらふらするだけの時間作るんですよ。」 「なるほど、お母さんはお仕事で?あの方いつも忙しそうで時々心配になりますが」 「そうそう、送り迎えの社用車が足りないとかなんとかで、私運転できるからってそれ乗って行っちゃった」 ルナの母は福祉職に就いていて、頼られることも多く精神的に辛い中であろうと、肉体的に傷つこうと休むほうが落ち着かない、とでも言いたげに頑張る、とても女性らしい人だ。それに対して心配の目を向ける私に彼は続ける 「最近はルナちゃんのお姉さんの結婚式が近いこともあって仕事は前より量が減りました、まぁ、家の中でウェルカムボード作ったりで忙しいことに変わりはありませんが」 「そうですか、ならよかったです、私次で降りますね」 「倉渡さんこの後のご予定は?」 「とくには、」 「それならご飯でも一緒に」 アナウンスが鳴り、立ち上がる私についてくる、 「先ほど食べてしまったんですよね、」 ドアが開き、ホームに足をかけ、手を振ろうと後ろを振り向くと、彼は私の横にいた。 ルナと私の家は反対方向なのでまず、彼が家に帰るにはあの電車に乗り続けていないとならなかった 「それなら、俺の暇つぶしに少し付き合ってください」 藤沢駅のホーム、雑踏の中私は少しだけため息をついて、ぱっと顔を上げて首を傾げどこに行きたいのか、を聞いた。電気屋にというのでそのままホームへ向かう。江ノ電乗り場などが目に付く。海や水族館なんかもいいなと思った、三月の上旬のこと。ぼうっと、一人で歩いてしまって、ルナの義父をつい追い越していた 「倉渡さんは足が速いんですね、いつもはルナちゃんに合わせてくれてるのがよくわかります、荷物を持ってあげたり、ルナちゃん恋人はいますが、どちらかといえば倉渡さんがルナちゃんの彼氏みたいですね。」 「御冗談を、確かに女友達は彼女だけと言っていいほどで信用も信頼もしていますが、それは決して恋慕ではないです」 「恋慕だなんて、倉渡さんは文学的ですね、月が綺麗ですねとか言ってきそうだ」 「さぁ、どうでしょうか」 はぐらかすように私は笑う、大きな建物が並んでいる、その駅の広間みたいなところで藍染のようなものを売っていたり、弾き語りをしていたりする、ギターの荒々しい中に、歌詞の切なさと弾き語りをしている男の夢なんかがちらついて見えたりする、紙袋の中の彼女は意思があったらこの状況をどう思うだろうか、ルナの義父と目線を合わせないまま目的地に向かう、すると 「倉渡さん!」と私の名前を強く呼ぶ、私はふと、彼のほうを振り向く。なにか粗相をしたか、と不安で上目遣いをしてみる。 彼はニタリ、と笑う 「やっとこっち向いてくれた、なんだか先ほどから顔色も悪そうですし休憩しますか?」あぁ、やられた。これは優しさではない。 私はそう思いながら「そうですね、電気屋の中に自販機が見えます、そこで水でも買います」 足早に電気屋へと入っていった。

対女勇者最強装置

 ついに、魔王の城へと辿り着いた。  空中に浮かぶ城に辿り着く手段は、目の前に存在する長い橋ただ一つ。    しかし気になるのは、橋の上に数字が浮かんでいることだ。   『0』    この数字には、何か意味がある気がする。  私だけでなく、剣士も魔法使いも僧侶も同じ考えのようだ。  数字をじっと見つめ、警戒を強めている。   「これ、何の数字だと思う?」 「橋の上に乗った人数を数える、とか?」 「そうだとしたら、何のために?」 「決まってる。三人以上が乗ったら崩れるとか、そんな小細工だろ。小賢しい」    不安はあるが、ここで足踏みするわけにもいかない。  今日を逃せば魔王の城は再びどこかへと飛んでいき、魔王城を探すところからやり直しだ。   「ま、乗ってみりゃわかるだろ!」    私が止める間もなく、剣士が橋へと乗った。  私は、万が一の時に剣士の体を引っ張れるように手を伸ばした。  しかし、橋は崩れなかった    代わりに、数字が変わった。   『八十二』   「こ、これは一体?」 「あ、これ、俺の体重だ」    剣士の言葉に、私たちはずっこけた。  橋の正体が、まさかの体重計。  魔王のセンスがわからない。   「どれどれ?」    魔法使いが乗った。   『百五十二』    七十キロか。  意外と重いな。   「どれどれ?」    僧侶が乗った。   『二百七』    五十五キロか。  意外と軽いな。    三人が橋に乗ったので、私も遅れまいと前に進……もうとして止まった。    待って。  今、これに乗ったら、私の体重が大公開されるのでは?   「どうした勇者? 早く来いよ」    剣士は能天気に言っているが、演技かもしれない。  乙女のトップシークレットを暴こうとする、狡猾な戦略なのかもしれない。    いや、待て。  大丈夫だ。  例え重くても、鎧を着ているからとごまかせるはず。   「しかし、すげーなこの橋。俺の鎧も剣も含まない、俺そのものの体重が出るんだ」    前言撤回。  ごまかせない。  やばい。    僧侶が、何かに気づいた目で私を見て、気まずそうに眼を逸らす。  おい、やめろ。  そんな目で、私を見るな。   「多分勇者様、自分の体重を知られたくないんだと……思います」    口に出すなああああ。  ああ、全員気づいてしまったじゃないか馬鹿僧侶。  魔法使いまで気まずそうな顔をし出したじゃないか馬鹿僧侶。    おい、馬鹿僧侶、なぜ気を使ってやったみたいな顔をして私を見るんだ。  神に祈りすぎて人間へのデリカシーを忘れたのか。    顔を赤くして立ちすくむ私に、剣士がゲラゲラと笑ってきた。   「大丈夫だって、勇者様。前の宿の風呂場で、『体重が○○!? 太ったー!』って叫んでたの、皆聞いてるから。今更勇者様の体重を知ったところで、何も」 「三人とも、そこに直れー!!」    私は駆け出した。  そう、ここは魔王城。  私以外が死んだとしても、魔王に殺されたのだと言い訳できる。  絶好の機会じゃないか。    ついでに魔王も殺せば、私の秘密は守られる。  あーっはっはっはっは。    橋の上の数字が変わった。             「ところで、貴方も見たよね? 覚悟してね?」

メンタリスト

「メンタリストの仕事って、結局、相手の嘘を見抜くことなんですよね」  向かい側に座る香織が、カフェラテの泡をストローでいじりながら言った。 ベージュのブラウス。適度に整えられたネイル。そのすべてが「私はまともな側の人間です」と、無意識の主張を繰り返している。  その言葉が耳に届いた瞬間、僕の背骨のあたりを、正体不明の冷たい粘土が這い上がった。  僕が普段から駆使しているのは、視線の動き、微細な表情の揺らぎ、あるいは発話までのコンマ数秒のタイムラグを数値化し、最適解を導き出す「技術」だ。 けれど、彼女にその「技術」を名指しされた途端、僕という人間の組成が、根本から組み変わってしまうような錯覚に陥る。 「まあ、そう思われがちだよね」  僕は、鏡の前で数千回は繰り返したであろう、「自意識を適度に隠蔽した微笑み」を顔面に貼り付ける。  この時、口角は一ミリだけ左右非対称にするのがコツだ。 その方が、相手は「この人は自分にだけ、取り繕わない一面を見せてくれている」と勝手に誤認してくれるから。  けれど、今の僕は、自分の顔がどの程度の確信を持ってその表情を作っているのか、まるで見当がつかない。    嘘を見抜くことを生業にしている。そのレッテルを貼られた瞬間、僕の発するすべての言葉は、真実という回路を通ることを禁じられる。 「そのネイル、綺麗だね」という賞賛も、 「今日のコーヒーは美味しいね」という世間話も。 すべては相手をコントロールするための布石であり、計算された演出であると定義されてしまう。  もっと恐ろしいのは、僕自身もまた、自分の言葉を信じられなくなっていることだ。  今、僕が感じているこの「居心地の悪さ」は、彼女への好意から来る焦燥なのか? それとも、自分の手の内を透かされたことへの防衛本能なのか?  感情にまでタグ付けをし、因果関係を整理しようとするこの思考回路そのものが、すでに「素の自分」という領域を食い潰している。  僕の身体の境界線が、ドロドロと溶け出していく。  どこまでが僕で、どこからが「メンタリスト」という役割なのか。皮膚の下に詰まっているのは、血や肉ではなく、無数の、名前のない「嘘」の集合体だ。それは一つの生命体のように蠢き、お互いの尾を飲み込み合いながら、僕というキメラを形作っている。  信じようとしていたはずの、彼女とのこれまでの時間。  それすらも、後出しのジャンケンのように「嘘」という色に塗り替えられていく。 「嘘を仕事にする」という選択は、自分の喉元に、一生剥がれないお札を貼り付ける行為だったのだ。 『お前はもう、何者でもない』  呪いは、僕を内側から食い破ろうとしていた。 「……あ、ごめんなさい。仕事の話なんて、疲れちゃいますよね」  香織が、申し訳なさそうに視線を落とした。  その仕草に含まれる微かな罪悪感。それさえも、僕の脳内では『相手に優位性を与えるための心理的後退』というデータとして処理されてしまう。  救いようがない、と思った。 「いいよ、全然。むしろ、そう言ってもらえる方が楽かな。僕だって、二十四時間、誰かの本音を探ってるわけじゃないし」  嘘だ。  僕は今、この瞬間も、彼女がストローを噛む強さから、僕への興味の持続時間を算出しようとしている。  結局、僕は「本当の自分」なんていう、キラキラした若者が好みそうな幻想を、とっくの昔に切り捨てていたのだ。お札で封じ込めたのは素顔ではなく、素顔があるはずだという、身勝手な希望だったのかもしれない。  僕は、テーブルの上に置かれたスマートフォンに目をやった。画面に反射する自分の顔は、相変わらず、薄気味悪いほど完璧な「理解者」の表情をしていた。

魔法の小瓶

五時間目の教室は、目に見えない睡眠薬が充満している。 さっきまで学食のA定食だった物体が、生徒たちの胃袋の中で無慈悲な消化液にまみれ、アイデンティティを剥奪されていく。 その「内臓の労働」が放つ熱気のせいで、教室の空気は誰かが吐き出したあとのぬるいスープみたいに濁りきっていた。 教壇から降ってくる教師の説教くさい声は、もはや意味を運ぶための記号ではない。それはただ、鼓膜をなでるだけの単調なBGMとして、僕たちを「まどろみ」という名の底なし沼へ引きずり込んでいく。 けれど、僕だけは違った。 「恋」なんていう、この教室の退屈なカースト構造とは無縁な場所にあるはずの劇薬が、僕の脳を不自然なまでにシャッキリと覚醒させていた。 隣の席に座る彼女に触れたいという、あまりに生々しい肉体的な欲求。 そして、その「聖域」に踏み込んで今の関係を台無しにすることへの、ヘドロのような自意識。 その二つが、僕の胸の中でずっと、終わりのないベイブレードバトルを繰り広げている。 彼女を網膜に焼き付けたいという渇望は、現実世界に映し出されるときには「数秒に一度、伏せ目がちに視線を盗む」という、ひどく卑屈でカッコ悪い挙動へと変換されている。 この、銀河系規模の激情と、カメムシみたいに矮小な行動のギャップ。 たぶん、窓の外を飛んでいる鳥から見れば、僕は透明な壁に閉じ込められたまま踊り狂っている、ただの痛いパントマイム役者に見えるんだろう。 黒板には、漱石の『普遍的趣味』という文字が、いかにも論理的なツラをして並んでいる。 僕は、自分の中のこの醜悪なまでに個人的な自意識を、なんとかして全人類に共通する「普遍」にまで無理やり格上げしたくて、祈るような気持ちでノートにペンを走らせた。 普段なら、いわゆる「味がある」と形容されるはずの僕の走り書きが、今日はただの崩れたジェンガのように見えた。 今日、このノートという名の祭壇に捧げられるべき「味」という一字は、パルテノン神殿の柱みたいな、完璧な黄金比を持ってなきゃいけないんだ。 一画書くたびに、その右上がりの傾斜に「妥協」という名の自分自身の汚点を見つけて、僕は消しゴムを召喚する。 紙の繊維を傷つけないように、でも、さっきまでのダメな自分を完全に殺害するために。 机の上に、死者の灰みたいな消し屑が散らばっていく。 僕は、そこにいないはずの大観衆に向かって、最高傑作の「味」をプレゼンしようとする、絶望的な一人芝居を繰り返していた。 ……笑えてくる。 僕のこの、魂を削るような消しゴムの往復運動に、気づく奴なんて一人もいない。 周りの連中は、自分の内臓が行っている消化という名の小宇宙に閉じこもっているか、さもなければ、ただの録画機能しかないレコーダーみたいに黒板を写しているだけだ。 そして、僕の「全宇宙」である彼女さえ、チョークが立てる乾いた音に集中していて、隣で必死に踊っている道化師の存在なんて、一ミリも知りはしてないだろう。 僕の情熱は、誰もいない劇場で、最高に贅沢な衣装を着て演じられる、世界一孤独で、世界一コスパの悪い喜劇だった。 いつの間にか、僕と彼女の間には、見えない壁がそびえ立っていた。 いや、違う。彼女が壁の向こうにいるんじゃない。 僕自身が、巨大なジャムの瓶の中に、逆さまに放り込まれているんだ。 ガラス越しに、決して届かない太陽としての彼女を眺めている、哀れな小人の捕虜。 それが僕だ。 密閉されたプラスチックの蓋の下で、僕の酸素は、恋の熱によってどんどん二酸化炭素に変わっていく。 息が、苦しい。 胸の奥が、冬の凍った池の表面みたいに、ミシミシと音を立てて割れそうになっている。 誰か、助けてくれ。 僕を救えるのは、神様なんかじゃない。 誰かがこの小瓶の蓋を奪い取って、せめて、あの家庭的な、薄っぺらくて頼りない「サランラップ」に張り替えてくれること。 そして、その透明な膜に、一本の爪楊枝で、残酷なくらいに優しい穴を開けてくれること。 それだけなんだ。 その穴から、彼女が髪を耳にかけるたびに生まれる、あの微かな春の風が入り込んでくる。 それだけが、この孤独なパントマイムを続ける道化師に許された、たった一つの生存許可証になるはずだった。 終演を告げるチャイムが、冷酷な金属音を響かせた。 誰にも見られなかった舞台の上で、僕は、完璧に書き直された「味」という文字の横で、酸素を求めてただ静かに、醜く喘いでいた。

最後のピリオド

僕の仕事は墓守、そして遺書の代筆人だ といってもただの代筆ではない 既に帰らぬ魂となった彼らの血から、その一欠片をペンに乗せて、彼らの未練を代筆するのだ そうして未練を浄化することで彼らの魂を安寧のものにする まるで聖職者のようじゃないか? そんなことはない 僕はただの大噓吐きなのだから 彼らの遺書を代筆する時、僕の手は僕から離れる 彼らの手によって遺書は書かれていく そんな彼らの言葉は大体が似通っている 「死にたくない」 それは濃密な生への執着だった そこには生きている者たちへの怨嗟の念が入っていることがほとんどだ もちろんそんなものを丸々遺族に見せるわけにはいかない だから僕は砂浜の中の一粒の宝石のような確率で混ざっている、綺麗なところだけを抜き出し、時には内容を少し変えて、遺族に渡している 遺族はそれで満足してくれるし、死者も未練を吐き出し終えて安らかに眠れる そして僕には魂亡き彼らの呪いのような言葉たちが海底の泥のように溜まっていく 辞めたいけど、これは僕だけしか出来ない事 だから仕方なく僕はこの仕事を続けている そんなある日のことだった 一人の女性が訪ねてきた 「遺書を書いてくれませんか?私の」 彼女はそう言った 生きている人間の遺書の代筆は、残念ながら請け負っていない けれど僕は彼女の依頼を引き受けることにした 彼女がもうすでに、この世の者では無かったからだ 肌は透明なほど白く、生気が欠片も無く、何より彼女には影が無かった 彼女は生者でも、死者でもなく、世界のスキマに存在しているようだ そんな彼女の遺書がどんなものになるのか、単純に興味が湧いたからだった 僕は彼女の指先に針をあてて、一滴の雫を貰い受けた インクに混ぜ、ペンを握るといつも通りに手は僕から離れた そこには静かに、淡々と、彼女の生きた証が記されていった 僕は驚きを隠すことが出来なかった 「死にたくない」 この一言が一切出てこない こんな遺書は初めて見る 遺書ではなく、彼女の物語そのものだ 彼女は遠い昔、天災に見舞われたこの土地で生贄にされた人物だった この土地はかつては閉鎖的で、誰も受け入れることがなかった そんな中彼女は赤ん坊のころにこの土地に捨てられ、見かねた一人の男が彼女を隠して育てたそうだ それから幾年か過ぎ、彼女がちょうど今の見た目の年齢になった頃 大災害が起きた 土地の者は大災害を収めるために生贄が必要だと声高に叫んでいた 男は彼女を連れて逃げようとしたが、途中で見つかってしまう 土地の者達は二人を糾弾した そして土地の長はこう命じたのだ 「男を助けたければ、生贄となれ」 そうして彼女は誰かを恨むことも、妬むこともせず、静かに運命として受け止め、その身を捧げたのだ なんという話だろうか 僕は気が付けば涙を流していた 遺書に、彼女の物語に雫が落ちては広がっていく 遺書には彼女から男への深い感謝と、暖かい献身が綴られていく こんな、清廉な人物、僕は見たことが無い 僕は憧れにも似た想いで彼女を見つめる 彼女は言う 「私はただ、誰かに覚えていてほしかったのかもしれない」 誰かをひたすらに想い、その身を捧げ、それでも気高い精神で、生き抜いた魂 その輝きは、そんな呟きだけが灰色にくすんでいた 最後のピリオドを打った時、くすんだ灰色は静かに消えていった 同時に彼女の姿がだんだんと薄くなっていく 「ありがとう。やっと、彼のところに…」 彼女の最後の言葉 僕は生まれて初めて、僕の代筆人としての力に感謝した 僕は生まれて初めて、本当の意味で魂の安寧に導くことが出来たのだ 気が付けば、いつもの部屋、ろうそくの明かりだけが揺れている、いつもの僕の部屋だった 僕は涙と共に、少しだけ笑顔を浮かべていたかもしれない 初めて、呪いの無い、美しい遺書を書くことが出来たのだから

初めてはいつもの喫茶店で

 階段を上がるとそこは駅前。でも、駅に用はない。素通りしちゃう。駅を通りすぎたら迷わず交番の横を抜ける。迷っても人の流れに従って行けばいい。駅前の商店街を歩く。前を歩く人、横を歩く人につられてずんずん歩くなんて、したらいけない。気持ちまで急いてしまう。ゆったりと、ゆっくりと。優雅にとはいかなくても、楽しみながら、味わいながら。  中学のころよく行っていた本屋さん。いまは雑貨屋さんになってしまった。ちょっとわたしの趣味には合わないかな。洋食屋さんからは、美味しそうないいにおいがしている。入ったことはない。なかの様子がわからなくて、なんだか入りづらい。気にはなっている。なってはいるんだけどね。  前に来たときよりラーメン屋さんが増えたかな。角にあった立ち飲みのバール的な飲み屋さんも、ラーメン屋さんになっている。ケッコー入れかわっちゃってる。来るたんびに雰囲気が変わる、とまでは言わないけれど、前に来たときよりだいぶちがった印象。そのことに戸惑いとさびしさと、すこし、期待と。でも、わたしが惹かれそうな新しいお店は、なかったかなあ。  最初の踏み切りを渡る。踏み切りの手前にケーキ屋さんがあったはず。ここもなくなっていた。けっこうスキだったんだけどな。踏み切りのあっちとこっちでだいぶ違う景色。人が極端にすくなくなる。そのせいもあって静かだ。道も狭くなる。  その狭い路地をくねくね歩いていく。立ち木に隠れるみたいに恥ずかしがりやのかわいいお店がある。お姉ちゃんに連れてきてもらうまで気がつかなかった。この路地、昔からよく歩いてたんだけど。その最初のとき、ああ、このお店は、わたしのお気に入りになるんだなあ、と、まだメニューも見ないうちからそう感じた、そのわたしの直感はみごと当たり、いまだにわたしのなかの喫茶店部門で一番上の位置をキープしている。 ―いい雰囲気ですね ―でしょう  大学でひとつ下のタカナシくん。なんだか、わたしのことが気になるみたい。告白はされていない。されてはいないけど、なんかわかる。そんな感じがする。タカナシくんの気持ちはそうだとして、わたしは、どうなんだろう。 ―はじめてのお店って、なに頼んだらいいか… ―わたしは…  ちょっと、考えてしまった。いつもはメニューなんて見ずクリームソーダだけど、今日はどうしよう。クリームソーダ頼んだら、子どもっぽいと思われてしまうかな。幻滅されてしまうかな。別に、特別な関係を望んでいるのではないけれど、嫌われたいわけではない。なんというのかな、先輩としての威厳、みたいなもの。それに、はじめての、いや、まだ付き合ってないからデートではないかな。付き合ってなくても、デートでいいのかなあ。いや、だから、そもそもわたし、タカナシくんのこと… ―先輩、決まりましたか? ―え、あ、う、うん  選択が難しい。いや、そんなに難しく考えることもないんだけど。年下の男の子との喫茶店経験がないから、必要以上に考えてしまう。年上とだったらクリームソーダでもいいかなってと思う。子どもかよ、みたくイジッてくるのでもかまわない。スルーならそれでもいい。  喫茶店なんだから無難にコーヒー、とも思う。でも、あんまりスキじゃない。苦いのがちょっと。やっぱり子どもなんだなあ、わたしって。それで、わたしが飲めるもので、かつ、子どもっぽくないもの、なおかつ、無難な、ということで紅茶となった。 ―ぼくは、クリームソーダを ―かしこまりました  タカナシくんがクリームソーダを頼むとは思ってなかったから、クリームソーダと聞いたとき、グン、と目に力が入ってしまった。タカナシくんは、店員さんの方を向いてたから気づかれずにすんだけど。  店員さんが行ってから、タカナシくんは、軽く言い訳でもするみたいに話しはじめた。 ―子どものころから喫茶店に行ったらクリームソーダだったんですよ。なんか懐かしいなあと思って頼んじゃいました。なんか、子どもみたいですよね ―ううん、いんじゃないクリームソーダ、いいと思うよ    ◇  ◇  ◇ ―わたし、クリームソーダにするう  娘は、喫茶店に来るといつもクリームソーダだ。いったい誰に似たんだろう。 ―そういえば、初めてのデートのときもクリームソーダ頼んだなあ ―あのときは、まだわたしたち付き合ってもなかったでしょ ―え、そうだったかなあ ―ご注文お決まりでしょうか? ―ああ、えーとねえ  この喫茶店には、もう何度も来てるのだけど、これは初めてのこと。今日は、三人そろってクリームソーダを注文した。

悪無き好奇心の用法、用量

ドラマが大好きなわたくしkira改め汝侠任は 未だ器ですだから暇今日も家で孤独のグルメ 鑑賞好きあの番組勿論食いしん坊なわたくし 美味しそうな食べ物が沢山出るから当然腹が 減る五郎さん良いな羨ましいと思いながらも 毎回観た食べ物の口に為り蕎麦の時は近所の コンビニへ行き格安蕎麦茹で代用食にすると 不思議な物で其れだけで満足する手頃な舌の わたくしは今迄殆どが代用貧乏だから洋服も 某ブランド風なデザインシルエット等参考に して代用品を用いて満足気分演出してました そう一見高そうな古着ばかり収集全部当時は 御宝でしたネットの激安寄りも誰かの中古品 有る種の本物だったけど今は全部要りません 所詮代用品だから多分其れゴースト的な方は 理解出来かも知れない有る意味逆ゴーストな 立場皆主演の裏には必ず素晴らしい脇役達が いる様が某有名人の作品は全てゴースト的な 世界の伝説SEX、ドラッグに明け暮れたあの 某甲虫捩ったバンドの暇人的な名曲の作者は 彼じゃ無い全部がゴーストの真実が恐ろしい 人間は貧乏から成り上がると初心と言う名の 基本を何時の間に忘れ私利私欲ばかりを貪る 悪魔寄り恐ろしい化け者に変幻して公の場は 如何にも作詞作曲の神が降りて云々と最も的 御託を並べ己を着飾り全て愛や希望云々神は キリストイエス云々と気軽に神を模倣する奴 多分全部嘘その裏に必ずゴーストと言う名の 本物が存在するだろうわたくしは三次元時代 ドラッグ中毒者の人間に出会い薬物を覚えた 人間の生活、思考パターン聞き如何に薬物と 言う物の恐ろしさを学び覚醒剤が人間に与え 持たらす地獄を知り大麻、覚醒剤の元が全部 自然界の草花と言う恐怖芥子大麻草全て神が 人間、動物、虫と共に創造した宝物達と言う 隠された正真正銘な真実を眼の前にして当時 私は当然大麻や覚醒剤の名前を聞いてビビり 捲り目の前のご馳走牛ステーキの味冴え全く 感じ無かったけど彼は付き合った女性達から 覚醒剤勧められ好奇心と言う武器を間違えた 物に遣い初めは天国帰りは地獄を繰り返して 刑務所送りに為り再生を目指すけど人間達の 悪い癖公の場は如何にも反省してます的顔を 模倣して監視の裏で更に薬物の売買迄覚えて 仕舞う有り様出所した瞬間彼は薬物購入した その当時の彼の思考の全部が薬物事ばかりで 他は何も考えられ無かったと肩を落して反省 する彼を眺め段々怖さは消え有る事想い出す 未だ中坊時代あの頃当時アンパンと呼ばれた シンナードラッグ本物は純トロエンですけど 未だ中坊には買えず皆セメダインを吸引して 代用する愚業学び当時の私は何も考え知らず 好奇心のみで一度だけセメダインを吸引した 口の中に広がる嫌な苦味に思わず鈍引きその 後頭の中にキンキン及びカンカンと言う音が 聞こえ頭痛がしたので即捨て周りを見舞わし 驚愕した女子が下着下げ正々堂々とオシッコ 例え森の中とは言え目の前でしながらも爆笑 する様を目撃した瞬間狂う事の意味知り私は 1人彼女達に何も言わずその場から逃げ帰り 好奇心と言う物の用法を間違える事の怖さを 学んだ記憶巡りしてましたけど話の内容その 物が薬物の副作用及び依存状態の核心に迫り 私の有る種悪い癖知らぬが地獄と言う防衛的 本能を擽り激しく揺さ震る真逆な好奇心とは 本当の薬物怖さを知り熟知して万が一に備え 日本社会の裏側に潜み蔓延る嘘偽りの根本が 知りたい願望と言う名の好奇心が更に目覚め 彼は薬物中毒依存性の怖さを長々淡々と語り 人間が一度でも薬物に手を出して仕舞ったら 度の様な状態や例え何年経とう供頭の中から 薬物が消える事は無いと言い今は薬物患者に 寄り添う仕事してるが油断すると又大麻とか 軽めのドラッグならば大丈夫かも知れないと 思考してる自分自身が怖いと悲しげに語った 薬物止めて20年経った今も本音は薬物遣り 一瞬の至福を堪能したいと薬物SEXが与える 極楽往生な快感を物語る彼の瞳を見た瞬間に 疑念が湧き生まれ焦点合わずな浮遊感溢れた 瞳に再度恐怖が蘇り彼は多分大麻使用者だと 気付きその後の弱いエレクなSEXが彼の嘘を 暴露したから2度と彼の誘いに乗らず高額な お客様だったが放置した記憶この例から考え 人間が一度でも薬物に手を染めその後用法を 薬物情事に遣いベッドを排泄物だらけにする 様な者に愛と希望が描ける訳が無いでしょう その為優れた神の遣いゴーストが存在する訳 だから日本の勇者達の裏にも必ず優れた神の ゴーストが存在するのかも知れない真実為り

いただきマフィア

 天使の缶詰を買った。蓋を開けたら、肉のような物が詰まっていた。成分表を見た。天使の肉らしい。「これを食べたら天国に行けそうだ」と一瞬思ったが、よく考えたらそれは変な話だ。どうしてそんなことを思ったのか自分でもよくわからない。だが、缶詰にされたこの天使の魂は、おそらく天国に行っただろう。そんな気がする。

movingman

 シャボン玉を吹いて遊ぶのが好きな幼い娘のために、シャボン玉用の生命保険のパンフレットを取り寄せた。娘と一緒にそれを読み始めた。すると、この世界は、シャボン玉にとって危険な要素でたくさん、たくさん溢れていることに気づかされた。私は「ふうん」と思っただけだったが、娘には、そのことがショックだったらしい。娘は「もうシャボン玉を吹かない」と言い出した。それもいいだろう。窓を開けた。風が吹いていた。シャボン玉ならどこまでも飛んでいけそうな、そんな風だった。

真昼に見た夢

 夜中、テレビをつけた。料理番組が流れていた。知らない料理研究家が言った。「ここでお肉を切っておきます」アシスタントが笑顔で銀色よトレーを取り出した。そこには、首吊り縄が載っていた。「これ、首吊り縄だよな」そう思っていたら、画面にテロップが表示された。『肉』そう表示されていた。『肉』というからには『肉』なんだろう。ああいう肉もあるのかもしれない。料理研究家は、その首吊り縄を、細かく切り刻み、ミンチにした。そしてそれはハンバーグになった。首吊り縄の原型を留めていないことに、残念なような、ほっとしたような、よくわからない気持ちになった。ただ確かなのは、それを見て腹が減ったということだった。

神と人

「あー、もしかして私が不幸だとか思ってます?」 表情の薄い少女が、気怠げに声を上げた。 「えーっと、まぁ…そうかも?」 困り顔の青年が、そう声に応えた。 元気な風がかけっこを始めると、木の葉達もつられて喋り合う。 「はぁ…これだから人間は」 青々とした香りが、辺りを取り巻いている。 忘れられた一角で、呆れる音がしていた。 「…まぁ、私達が創ったのですが」 「ははは…どうもどうも」 薄茶のキャスケットが特徴的で、白のシアーケープブラウスに身を包み、黒いスカートは腰がリボン結びに止められて、チャーミングなサンダルを決めている彼女は、どうやら神らしい。 美しく艶やかな白髪は確かに説得力を持たせているものの、全くそうとは思えない程、完全に人の世を謳歌している。 「私、そんなに不幸そうに見えますか?」 ジトリと僕を見つめる瞳が痛く刺さる。しかし、これはどう見ても… 「えっと、だってこの社ボロボロだし…」 長らく人の手が加わっていないであろうその社は、色褪せ中の素肌が露見していて、所々ツタが張っている。崩れ落ちてはいないものの、明らかに使える状態では無い。 「神主さんとか、参拝者さんとか居ないですよね、ここ」 言い切り目線を戻すと、目の前の少女は酷く不服そうな顔をしていた。 「それで、不幸そうだと思ったんですか?」 相変わらず気怠げで、しかしより圧の乗った言葉に気圧されつつ、正直に答える。 「ええと、はい…」 「はぁぁぁ…」 彼女は長い溜め息をつくと、僅かな間の後に口を開いた。 「私達、崇めろだなんて一回も言ってないんですけど」 「え?」 衝撃的な一言だった。 驚きに口が塞がらないままの僕を置いて、彼女は続ける。 「そもそもですよ。神を信じろだとか、救ってくれるだとか、そういうのって人間の勝手な作り話なんですよ。そう言って私達神を担ぎあげて、如何にもそれらしい事を言って稼ぐ下劣な人間の仕業です。私達も馬鹿なことをされて腹が立ったので何度か人を使って燃やしたりもしましたが…駄目ですね。無駄にタフなんですよそういう人達とか文化って」 今までに無いほど高揚した声で彼女は語る。慣れない声の張りに疲れたのか、少し息を切らしていた。 「ふぅ…ですから、そもそも祈りとか信仰とか無くても私達全く困りませんし。それに、言っておきますけど人に養われる必要なんて無いですからね」 一通り言い終わると、彼女はまた軋む木に腰をかけ、ゆったりと寛ぐ。一方の僕は、なにか衝撃的な話を聞いた気もするが、それより気になったことがあった。 「…なら、どうしてこの社に居るんですか?」 その質問に、彼女は少したじろいだように見えた。 「それは…神にだって特別はあるんです。そもそも貴方にとってボロボロって、それは人間の尺度でしょう。私達には関係ないんですよ」 少し機嫌を損ねたのか、さっさと行けと言わんばかりに手を振っている。でも、どうしても言葉にしたいことがあった。 「そうですね。僕、初め貴方を見て神様らしい格好じゃ無いなって思ったんです。でも、良く考えればそんなの、僕達の感覚ですよね。知らず知らずのうちに勝手なイメージで解釈している。なんだか、気付かされました。ありがとうございます!」 彼女はゆっくりと手を下ろすと、こちらを見る。改めて見ると、その瞳はどこまでも深く美しくて、少し心臓が驚いてしまう。 「…まぁ、神も一人は少し寂しいです。─さぁ早く行ってください」 少年は少し胸が暖かくなるのを感じていた。しかしそれの正体を知らぬまま、ただ笑顔を浮かべる。 「では、また来ます」

境界線

「あいつはどうですか」 荒れ果て煙立つ大地に佇む、大柄の男。 若人の声を受け、顔に深く皺を刻んだ男が双眼鏡を覗き込んだ。 「…あいつは駄目だ。狩る側の目をしている」 若人は静かに頷くと、また男はそっと岩へと背中を預ける。手には刃渡り二十センチ程のナイフを持ち、丁寧で手慣れた手付きで布を滑らせていた。 「あいつはどうですか」 また、双眼鏡に人が写る。 「…よし、良いだろう」 大きな瓦礫の隙間に生まれた空間の中で、ガサゴソと音がする。それは、戦いに勝利した者達の静かな祝杯の場であり、確認の場であった。 「沢山物資が入ってラッキーでしたね」 にこやかに男が話すと、バックパックの中からひとつずつ物資を並べていく。 「あぁ…」 依然深い皺を刻んだまま、淡々と物資を確認する。 「これで全部ですね」 ずらりと並べられたそれらは、おおよそ男二人が一ヶ月は困らない量であった。それを静かに理解した歴戦の男は、声を上げる。 「暫くは身を隠すぞ」 数日間、何事も無く過ごせていた。故に、考える余地が生まれ始めていた。 「師匠、そういえばどうしてこの国はこんな状態なんですか」 至極単純な疑問である。だが、今まで若人はそれを考えもしなかった。あるいは、出来なかったか。 「お前の生まれる前、未曾有の大災害が起きた」 深い皺を携えた男は、ゆっくりと語り始める。 未曾有の大災害。それによって、大勢の人々が命を落としたと共に、国家や政府といった人々を取り纏めるそれらが実質的に消失した。生き残りの人々は、それぞれが独自に小さな個を形成し、放浪を始めた。だが、生産能力の大半を失ったこの島の中で生き残る方法は限られている。少なくとも、その中で生真面目な方法を選ぶ者は僅かな人々で、大半が選んだのは到底神に胸を張れるような方法ではない。 要するに、略奪であった。 「なるほど…」 固形燃料の燃える音が、静かに響いている。 「社会という境界線が、消失した」 それは人々を最低限繋ぎ止め、その上で人を人たらしめる。決して優秀では無いが、捨てられないものであった。 「でも、こんな誰も信用出来ない世界で、どうして人を求めるんでしょうか」 潤沢な物資は、実に呆気なく手に入った。何故ならば、待ち伏せの末に二人で挟みナイフを突き付ける。そんな油断も許されぬような不確定の段階で、相手は物資を手放したからだ。 「どうして奪うのかだとか、信じられないだとか、そんな考え方をしたこともありませんでした」 この世界には、社会以上の遥かな境界線が生まれている。 「だからこそ、だろう」 誰も信じられない。信じられないからこそ、その境界線を破壊できる誰かがより一層特別になる。 「…見つかった。火を消せ」 荷を整える中で、考える男が居た。 以前よりも遥かに関わることに積極的なこの国で、それにも関わらず以前よりも圧倒的に大きな壁がある。境界線の消失は、それよりも大きな境界線を生んでしまった。 「痕跡は消しました」 立ち並ぶ人工物に遮られないこの空は、圧倒的に大きく見える。しかし何故だか、昔よりもずっと窮屈に思う。 「よし、出発だ」

メモリ不足

コストパフォーマンスと原価。この関係性は現代社会において非常に重視される傾向にある。人はより安く、多くをモットーに商品を吟味するのが当たり前となりつつあるのだ。無論、人生において使える金額の容量は決まっている。故に、それは間違いではないだろう。だが、では何故そんな社会の中で、そのコストパフォーマンスを欠いた商品は消え去らないのだろうか。 − またこんな時間になってしまった。 時間帯はとうに夜の区分に突入し、街灯が自らの役目を生き生きと全うしている。その光に照らされた男の顔は青白く、どこか寂れたような印象を与える容貌である。 − 腹、減ったな。 決して素早い動きでは無いものの、その男の最大限を足に乗せ、歩みを進めていく。向かう先は、いつも決まっている。多くの窓から明かりが消える中、いつも夜闇を照らしてくれる小さな星。都市という銀河に住まう光。そう、コンビニだ。 自動ドアが道を開け、聞き慣れたファンファーレを耳にすると、赤の絨毯に導かれるかのように、毎日同じコーナーへと進んで行く。開放的な冷蔵システムは何よりも魅力的な展示台であり、宝石のように輝くポリプロピレンの梱包達に挨拶を交わすと、一つ一つに目を配る。 − 今日は、これだな。 短くも長いショーを楽しみ、決めた一つを手に取ると、手早く会計をする。五百いくらかの弁当を手に下げ、街灯の中へと進んで行く。歩む男の姿から、やけに彩が抜け落ちて見えるのは、街灯の明かりがそのように錯覚させるのだろうか。 オートロックのマンションの中を手早く駆け上がり、部屋番号を確認し、与えられた空間の中へと戻る。無造作に上着を投げ、腰を下ろす。部屋の中は整然としていた。片付いているというより、大して何も無いと言った方が正しいだろう。あるのは小さな机と、寝具、空のキッチン、電子レンジ、冷蔵庫。そんなところだろうか。 ネクタイを緩め、袋から弁当を取り出すと、ピッと音を立てて温める。それを待つ数分間、特に何をする訳でもなく携帯端末に目を落とし、また音を聞いてそれを取り出すと、割り箸を開封した。そうして、この男の今日はエンドロールを迎える。 − 本当に、つまらない味だな。 値段に見合った内容量でも、味でも、栄養でも無い。でも男は買っている。何を買っている。量でも、味でも、健康でも無い。ただ、手間を買っているのだ。食材を選定し、包丁を通し、熱を与える。そんな手間を買っている。原価なんてどうだっていい。男にとって最大のコストは、そこにかかる手間であった。そうして、少し得た手間分の時間を何に使う訳でも、使える訳でも無く。また、他の人々が必死に貯めている“コスト”は持て余し、何に使う訳でもなく働き続ける。 − 寝るか。 今日もどこかで、メモリが崩れる音がした。

「どうして泣いているの」 自分でも分からない。ただとめどなく溢れるこれが止められなくて、どうしようもないまま泣いている。 「分かんない…」 分からない。分からなくて、苦しい。 「そっか、じゃあ少し落ち着くまで、私が話すよ」 「きっと、貴方が思うより心の底では嫌だったのよ」 地味だとか、別にそんな事は知っている。人前に立つのだって苦手で、今まで避けて生きてきたから。でも… 「わざわざ言ってくるのは、気分良くないよね」 今更分かってることを言われたって、何とも思わないって思ってた。 「…ふぅ」 ベンチに寄り添う二人。一人は遠い空を見る。一人は滲んだ大地を見る。 「ね、涙って成分は殆ど血なのよ」 聞いた事がある。でも、どうして今それを… 「でも、そんな気はしないよね」 確かに、知ってはいてもあまり実感は湧かなかった。 「きっと、赤く無いからね」 私も、血液と聞いたら赤い色を考える。 「皆ね、自分の中のイメージで物を見たいから。だから血液は赤だって押し付けるのよ」 自分のイメージ… 「自分の地味ってイメージ通りに動かないから、貴方に八つ当たりしたのよ」 「ふふ、なんだか幼稚ですね」 笑みが溢れていた。 「そうね。そう考えたら、なんてことも無いことよね」 そうだ。本当になんてこともない、ただの八つ当たり。 「そうですね」 一人は少女を見る。一人は笑顔を浮かべる。 −今は空も、遠くないように思えた。

死者

顔や髪、服装に職業。全てが曖昧なそれらは、遥か天の元に造られた影のようであった。 関わる度、相手のカタチが鮮明に浮かぶ。曖昧な影は輪郭を持ち、更には色が表れるのだ。それはまるで、その存在が“生き返る”ような感覚を私にもたらす。つまるところ、自分にとって大概の人間は、死者なのだ。 冬も終わったと言うのに、私を撫ぜる風は酷く涼しい。私の前に設けられた岩がこんなにも冷たいのは、風に煽られた為であろうか。そんな思いを胸に抱え、私は手を合わせる。 −また君に会いたいと心の底から思うよ。 人は忘れる生き物であると言った話は多く耳にする機会がある。実際のところ、やはり人はその通りに多くの事柄を忘れているのは明白だ。例えば、死者のこともそうだろう。いつしかその声が脳から離れ、輪郭は曖昧に薄れていく…。 −私が君を生き返らせたのは、いつだったか。 物静かな場所で、死者の君と出会った。濃く、深い影だった。それは深海のような底知れなさを私に与え、そして愚かな一人の人間は、つい手を伸ばしてしまったのだ。 忘れてはならない記憶。忘れれば、君は死んでしまうだろう。全てが海の底へと沈み、影へと戻る。知らないということは、死ぬこと同じなのだ。忘れるということは、無知に戻るということなのだ。 私にとってまだ、君は生者だ。私は覚えている。君の姿も、色も、声だって。忘れるつもりも無い。会うことは出来なくとも、私にとって君は生き続けている。決して影になど戻さない。 固く合わされた手を解き、目の前の空を見つめる。 整えられた墓石が立ち並ぶこの空間は、生者の街。 「また来るよ」