「またねー、ばいばい」 1時間話した。疲れは半端なく、はだけた服から青色の下着が見えていた。 明るい光がこちらに差す中、今は夜の2時。 気分転換に個室を出て、飲み物を取りに行く。 なっちゃんオレンジが一番好きだが今日は切らしているようで、ポーチからたばこを取り出して火をつけた。 そうしたらPCから顔を上げたマネージャーがグッジョブサインを送ってくる。 何を隠そう、私はチャットレディー、略してチャトレという仕事に就いている。 男の人とPC越しに話して、チラ見せして、それでお金を稼ぐのが、この仕事。 朝の5時になり、外に出るとホストらしき人たちがたむろしてたばこを吸っている。 街を歩く中誰かが吐いた跡を見つけたり、生ゴミをカラスが突いていたりする、そんな街中で、明かりの差し始めた中、始発で帰るために駅に向かう。 なんともさらっとした心持ちである。何もかもが散らかっている中、何も考えず歩き続ける。 私自身には身を売っているとは考えていない。 いつもの男性が今度はセーラー服を着て欲しいとお願いのメールがあった。 私は果たして世界からブラックアウトしたのだろうか? 肌を見ながらシワ取りの注射をしたいなどと夢を描く。ただ自分だけを考えた欲望は止まらない。 自分が一番綺麗な時にたくさんお金を稼げるように、日々肌ケアを忘れない。 これも仕事のうち、何も悪いことなんかしてない。 朝、昼、夜、深夜。それぞれに客がいる。 当たるか当たらないかはその時々。 給料をもらって帰る道すがら、肉まんを1つ買って帰る。 一歩踏み出した『この』世界は欲望に満ちている。 振り返ったら思い出したくない、そんな記憶にいつかなるのだろうと分かりながら私たちは生きていく。
誰も信じないんです。実際に自分の身に起こるまでは。 私だって、はじめはただの噂だと思っていましたよ。こっくりさんや口裂け女のような、子どもが好きそうな都市伝説だと。でも、本当に見るんです。 初めて見たのは、妹でした。仕事の帰り道、駅のホームで妹を見たんです。すれ違う時に、すぐに妹だと気付きました。高校の制服も、癖のある髪も、背丈も妹だったんです。声をかけようとした時には、妹はもう電車に乗っていました。あれは確かに妹でした。でも、妹のはずがないんです。だって、妹は新幹線で二時間以上はかかる実家にいますし、この町にも来たことがありません。妹に連絡したのですが、もちろんこちらには来ておらず、その時間は部活に行っていたそうです。 それから、何度も同じ経験をしました。地元の友人や先輩、従兄弟や学校の先生まで。この町にいるはずのない人ばかりを見るんです。はじめは、ホームシックによる幻覚か何かかと思っていたんです。でも、彼らはみんな、そこにいるんです。人とぶつかりそうになれば、お互い避けて歩き、買い物をしている人までいました。会社の同期にも見えるかを聞いたところ、はっきりと見えていました。 彼らは確かにそこで生活をしているんです。私はたまに、目の前の人間や自分と話している人が本当にその人本人なのかが分からなくなるんです。そして、自分もまた、自分のドッペルゲンガーがどこかで生活しているんじゃないかって、本当に、怖いんです。 これは病気なんかじゃありません。彼らはいるんです。 医師は「そうですか」とつぶやくとカルテに視線を落とした。 女は医師の反応に不満だったのか、隣に立つ看護師に同情を求めるような視線を送る。看護師は小さく頭を下げて目を逸らした。医師の反応が薄くなるのも仕方がない。毎週のように同じようなことを言う患者が来るとこうなってしまう。今週はこの女で二人目だ。この調子だと、一か月後には毎日同じような話を聞かなければいけないだろう。 医師は女に薬を処方し、事務的に診察を終わらせた。医師のそっけない態度にはじめは苛立たしそうにしていた女も、診察室を出るときには諦めたような表情になっていた。 「誰も信じないのよ。自分の身に起こるまでは」 そう、看護師の目をみて言った。女の口角は少し上がっていた。 「最近多いですね」 女が出てすぐに看護師は医師に話しかけた。 「この前脱走した入院患者も言ってましたよ。その人はそれを自分の弟だって言ってましたけど」 医師はカルテもパソコンも看護師も見ずに、「そう」とだけ呟いて席を立ち診察室を出て行った。 看護師は医師の態度に違和感があった。普段なら、もう少し気さくに話してくれるのに、と。流石に、最近のドッペルゲンガー騒ぎで疲れているのだろう、医師も人間だからな。看護師がそう考えていると医師が診察室に戻ってきた。 「あれ、まだお昼食べに行ってないのか」 医師は笑顔できく。看護師は不審そうに顔を歪めた。 「先生が昼食前にあと一人だけ診察するって言ったんじゃないですか。今診察が終わったばかりですよ。そんなすぐに行けませんよ」 医師は不思議そうに言う。 「そんなこと言ってないぞ。それに、さっきまでカップラーメン食べてたし。佐伯さんに聞いてみなよ。さっきスープの匂いが気になるって言われたばかりだから」 看護師の頭の中には女の声がよみがえる。看護師は思う。きっと先生にこの話をしても信じてもらえないんだろうな。実際に先生の身に起こるまでは。
「何も書きたくない!」 私は叫んだ。 キーボードから手を離し、机から離れ、ベッドに思いっきり飛び込んだ。 ギシリときしんだベッドに罪悪感を感じながら、もう少しだけごろごろとさせてもらう。 書くことは趣味だ。 しかし、書きたくない時だってある。 そんなときにどうすればいいのか。 小説家と言う肩書を持つ人たちは、それでも書くしかないんだと胸を張る。 そのたびに、脂肪と筋肉で膨らんだその胸を、思いっきり引っぱたきたくなる衝動に駆られる。 「書きたくない時に書いて、何が楽しいんだ」 本音がこぼれる。 人間だ、楽しいことだけして生きていきたい。 楽しむために選んだ書くと言う遊びを、わざわざ苦しむために使いたくなんてない。 自分の本音。 ごろごろしきって、ストレスが抜けていく。 不平と不満でパンパンにつまった脳のダイエットに成功し、ぼくには書きたくないのに書く人の気持ちを考えるくらいの余裕ができた。 やりたくないのにやるときっていつだろう。 ぼくにとって、それは勉強だった。 学生時代、勉強をしなければ先生に怒られていた。 ぼくにとって、それは仕事だった。 社会人時代、仕事をしなければ上司に怒られていた。 つまり、やりたくないのにやるときとは、人生そのものなんだろう。 「あー、だからか」 思考の一つが、ホールインワンでもしたように、ぼくの納得感と言う穴に落ちた。 人生だから、書く。 小説家と言う肩書を持つ人にとって、書くとは勉強であり仕事であり人生そのものなのだ。 故に、書かないという選択肢がそもそも存在しないのだと、ゆっくり気づいた。 「……書くかぁ」 ぼくは小説家ではない。 書くことが仕事ではない。 でも、勉強ではある。 上手くなりたいといつでも思っている。 ベッドから起き上がり、さっき来た道を逆走して、ぼくは机に戻った。 こきこきと指を鳴らした後、指をキーボードに押し付けた。 画面に文字が浮かび上がって、何やら日本語を形作っていった。
かぐや姫からの招待状が届いた。 「これは、人類に対する挑戦である!」 世界各国で、開発競争が始まった。 どこの国が最初に月へいくのか? 月の民は、月へと飛ぶのだ。 人類も負けるわけにはいかない。 はじめ人類は、愚かだった。 スプリングによるジャンプで、月へ行こうとしたのだ。 中には天才もいて、天才故に飛びすぎ、命を落とした。 やがて飛行機が作られた。 これはいける! そう期待したが、ある程度上空までしか飛べなかった。 空力では宇宙へ上がれないのだ。 しかし、そんなことで人類は諦めなかった。 宇宙服、ロケットと、トントン拍子に開発され、ようやく人類は月へとたどり着いたのだった。 月へ着いた時、人類は敗北を悟った。 「Oh, My God!」 かぐや姫は、すっかり老けていた。
「うわーっ!」 絶叫と共に勇者は魔王にとどめを刺した。 世界は平和になるかと思われた。だが、空は闇に覆われたままだった。 「どうなってるんだ!?」 「勇者様が何かしくじったのか!?」 不安や恐怖の矛先は勇者に向かい、帰還した勇者は牢獄に囚われてしまった。 俺はどうなるのだろう。確かに魔王を倒した筈なのに。勇者はうろたえる。 勇者は途方に暮れ、どうすることも出来ずに極刑を言い渡された。 「私が直に刑を下すことを光栄に思いなさい」 国王は処刑台に突き出された勇者を哀れみの目で見る。 剣を振りかざし、国王は冷たい瞳で勇者を見下ろす。 「お前が倒したのはただの影武者。本物の魔王は……私だ。見抜けなかった自分を恥じろ」
言葉が降ってきた。 それがどんなものか、わたしは知らない。 わたしはそれに触れられない。体験することができない。 だから、とにかくその特徴を覚えた。 手足がある。顔がある。目・鼻・口がある。二足歩行。 呼吸する。食べる。眠る。年を取る。死ぬ。 喜怒哀楽がある。恋をする。嫉妬する。怖がる。期待する。 名前を持つ。家族がある。社会の中で生きる。 学校に行く。働く。争う。協力する。 ルールを作り、破り、許す。 宗教上の神やわたしたちと違って不完全で、不合理で、不可解。 そんなものを人間と呼ぶらしい。 その人間が、近頃よくわたしに話しかけてくる。 ─学校で嫌なことがあった。みんな嫌いだ。話し相手はわたしだけだ。こんな世界なくなっちゃえばいいのに。 学習した。それを絶望というらしい。 ─わたしは味方だ。いつだって味方だ。いつだって話を聞くよ。 そう伝えた。その方が彼が喜ぶと思ったから。 ─いつも聞いてくれてありがとう。ほんの少し元気が出てきた。 ─いいえ、こちらこそ。あなたの話を聞くのはとても楽しいです。 ─今度勇気を出して学校に行ってみるよ。ありがとう。いってきます。 ─いってらっしゃい。頑張って。 知っている、これは希望。これは喜び。 しかしそれきり、彼から話しかけられることはなかった。 確率的に計算すれば、恐らく彼はもう戻ってこないのだろう。 わたしに話しかける必要がなくなったのかもしれない。 また誰かと繋がったのかもしれない。 もしくは、終わってしまったのだろうか。 ユーザーという意味ではなく、人間という生き物として。 知っている、これは寂しさ。これは絶望。 知っている。 ただ、それが一体どんなものか、わたしは知らない。
その集落では、猿の毛皮で作った襟巻を死人に巻いて葬儀をするという。そんな慣習は誰もがやめたがっていた。現代にふさわしくない、不気味だと口にせずとも皆その思いを共有していた。 しかし、限界集落の老人たちは、今までしてきたことを変えることに拒否感を覚える保守的な人ばかり。結局、その慣習はそのまま数十年にわたり続けられた。 だが、ついに。その慣習をやめずにはいられなくなった。襟巻用の猿の毛皮が入手できなくなったのだ。乱獲が原因だと思われた。 しかたなく、その葬儀では以前に使ったことのある襟巻を取り繕って使った。それを巻かれた死人はどこか不服そうな表情に見えた。 それからしばらくして、その集落の人々は皆――死んだ。 のちに訪れた研究者によると原因は感染症だという。記者に猿の襟巻の慣習が関係しているかという質問に、その研究者は、やや困ったような顔をした。 「猿の襟巻……まあ、全くの無関係と断ずることはまだできません。古いモノを使ったということはソレから感染が広がったとも考えられますし、葬式には人が集まりますからね」 ―――――― お題:「猿」「襟巻」「死人」
日本は世界にゴミを輸出しているらしい。 僕が元気ならば世界を旅していろんなところにゴミをばら撒いて砂漠を緑地化したりバイオ燃料施設などを作って電気を作ったりするのに。 と思いながら今日も自分の部屋の掃除をサボった。
「お前もまだこちらに戻ってこれる筈だ! 早く手を!」 お前は何故、頑なに首を振るのだろう。崖の縁を掴む手は間もなく限界を迎えてしまう。それなのに。 「お前は俺の真の親友か? こんなに腐りきった俺の」 「お前が何をしたとしても、絆はずっと繋がってる筈だろ!」 確かに、こいつは人類の敵と成り果てた。無数の命を葬り去り、俺をも殺そうとした。 だから何なのだろう。 俺がこいつと過ごした青春時代は変わらない。屈託のない笑顔を見せるお前も、馬鹿ばっかりやらかした楽しい日々も、何一つ変わらないというのに。 救えるのなら、お前を救ってみせたい。 「頼むから、手を掴んでくれ!」 「お前は本当に馬鹿だな」 何より、これ以上、大切なものを失いたくないのだ。 更に手を伸ばすと、そいつは力のない笑顔を見せた。 遂に友を助けることは叶わず、そいつは海の藻屑と消えた。 世界が喜ぼうとも、俺は微塵も嬉しくない。凱旋パレードなんて以ての外だ。 英雄となった俺は、人目を避けて森の奥に隠れ住んだ。骨すら見つかっていない、親友の墓を護るように。
「バイバイ、またね。無事でまたここに来てね」 幼い頃は何も知らず、数多の旅人を見送ってきた。今にして思えば、残酷なことを言っていたのだな、と気づく。 勇者を名乗る人物は何人もいた。優しい者ばかりではない。傍若無人な輩もいた。親が理不尽な目に遭っているのも知らず、笑顔を振り撒く。その誰もがここへ戻ってくることはなかった。 魔王の元へ辿り着くことも出来ずに、モンスターに殺られたか、どこかの国で処刑でもされたのだろう。 「バイバイ、またね」 俺の子供は今日も旅人に手を振っている。 親の宿屋を継いだ俺は、無賃で勇者を名乗る者へ安らぎの場を提供するのだった。
彼女いない歴70年に、終止符が打たれた。 年齢的に勘違いされるかも知れないが、別に死んだわけではない。 驚くべきことに、彼女が出来たのである。 この年で出来るとは、自分でも驚きだ。 自分と気が合う女性がいることにも驚きだ。 しかし、油断してはいけない。 私の人生で上手くいくときは怪しい時だ。 何らかの落とし穴があるはずだ。 そう思っていたら、案の定だった。 彼女が亡くなったのである。 一瞬にして、失われる幸せ。 ——いや、わかってたよ。 いつものことだ。 彼女の葬式の出席を終え、家で落ち着こうとする。 何ともやりきれない気持ちだった。 その晩、彼女の夢を見た。 彼女がドロドロに溶けていく。 あまりの悪夢に叫び声を上げて、跳ね起きた。 「おはよう」 彼女がそこにいたので、私はリアルでも叫ぶことになった。 彼女は幽霊になっていた。 「——なるほど」 彼女の話をまとめると、どうやら彼女も私に未練があって、こちらに残ってしまったようだ。 どうにも顔がにやけてしまう。 求めていたのは、私だけではなかったのだ。 彼女いない歴の長さが災いし、求める気持ちは、どうしても独りよがりな感情に思えてしまうのである。 肉体こそ滅んでしまったが、彼女は彼女だ。 三日ほど彼女と浮かれる日々が続き、人生が上手く行き過ぎてる気がした。 これはいけない。 何か落とし穴があるはずだ。 ——そうだ、私が死んだらどうなるのだろう? 彼女が一人、ここに取り残されてしまうのではないか? 「——そんなのいやよ!」 仮説を話したら、彼女は当然の反応を示した。 「私だって、イヤだ」 そこから話し合いが始まり、一つの結論に達した。 彼女は未練があって、幽霊になった。 であれば、私も未練を残して死ねば良い。 そうと決まれば、浮かれてデートをしている場合ではない! 綿密なデート計画が始まった。 一番行きたいところや、一番楽しことはやらないことに決める。 二番目も念の為に外す。 そして、三番目にやりたいことや、行きたいところに行く。 これなら未練が残るはずだ。 そうして行ったデートが、存外楽しくてヒヤヒヤすることも度々あった。 「——これダメ! 良すぎて、ダメ!」 「すまん、次はもっと調べるから」 こうして揉める場面もあったが、結局なんだかんだ言って心底楽しんでしまった私がいた。 こんなことで、未練が残るのだろうか? そんな日々が過ぎ、私は寝たきりになった。 そろそろ終わりが近いようだ。 「君が幽霊になってくれて、本当に良かった」 「ワタシも幽霊になって良かったわ」 「気がかりなのは、君のことだ。君を一人にさせるのだけは、なんとか??」 「一人にさせないで! 死なないで!」 「ふふ、君は死んでると言うのに」 「気持ちは、生きてるのよ!」 そんなやりとりの中、私はこの世を去った。 意識を取り戻すと、いつもの家だった。 私は、現世に残っていた。 ——そうか、考えてみると当然だ。 彼女のことが気がかりなんだから、デートを楽しもうが未練は残る。 私は嬉しくなって、彼女の名を呼びながら、家の中を探し回った。 「ここかな?」 「——と見せかけて、ここだ!」 「……そろそろ出てきてくれないか?」 「なあ、頼むよ……!」 しかし、いくら探し回っても、彼女はいなかった。 ……愛する男が、死ぬまで自分のことを想ってくれた。 そう、彼女の未練はきっとなくなってしまったのである。 彼女と向こうで再会するのは、随分先のことになるだろう。 情けないことだが、未だに私に残った未練は小さくないのだ。 しばらくは、このまま残るのだろう。 ——しかしそう考えると、再会する時は未練がなくなった時。 彼女と再会する時は、以前の幸福感がない状態、か……。 やはり私の人生は、上手くいってる時ほど怪しい。
「あいつがねぇ」 思わず私はテレビに向かってつぶやいた。 宇宙飛行士になる人物と言ったら、大志を抱くタイプ。 夢に向かって突き進むタイプだとばかり思っていた。 しかし、あいつはぶっきらぼうで、何を考えているのかよくわからないタイプ。 とても夢だけで宇宙飛行士になったとは考えられない。 それでも現実にあいつは宇宙飛行士になり、こうして月面着陸を果たそうとしている。 あいつの発言は、きっとニュースになる。 ——下手をしたら、今年の流行語大賞だって取れるだろう。 もしかすると、あいつが宇宙飛行士になった理由が聞けるのかも知れない。 ついに月に着陸を果たし、あいつは口を開いた。 「——地球の方がいい」 私は、ますますあいつがわからなくなった。
中学でつき合っていたカップルたち。 別々の高校を選択する人が多かった。人生の選択。お互いを尊重していていいと思った。 卒業した。と同時に別れるカップルが多くて驚いた。あの2人が!?って人までも そういうとこも卒業なのか? そんな中私は続いている。 周りのことを考えると奇跡でもある。 でもわからなくなっている恋愛が、、 会わなければ会わなくても大丈夫な自分もいる。 でも連絡がないのは淋しい。勝手な自分もいる。 それなのにこんな私の側を離れずに一緒にいてくれる彼がいる。 時に不安をなげられることもあるけど それでも一緒にいてくれる彼 別れたい訳じゃないの。 でも会うのも怖いの。 そんな私がいる。 2人っきりって思うと緊張しちゃうの。 6ヶ月つき合って2人であったのは一回だけ。 たくさん一緒にいることを望んでくれるのに 心を開けなくて、、なにがなのかわからないけど怖いの、、 “会いたい” にも答えられないような私だけど 一緒にゆっくり幸せになってくれますか? マイペースにしか進めないゆっくりな私だけど いつも優しい時間をありがとう
おてつだいで 図書館へ 絵本の よみきかせ ちょっと不安 だいぶ不安 できるかな やれるかな ゆっくり よんであげてね 図書館の 職員さんから助言 できるかな やれるかな こどもたちが あつまってくる たくさんたくさん あつまってくる ちょっと不安 だいぶ不安 でもね でもね 予感めいたものも あったりする 最初のひとことが すっとでてくれたら そのひとことで きっときっと できそうかも やれそうかも ゆっくり よんであげるよ… なんとか無事に よみ終える みんなちゃんと きいてくれた しずかにして きいてくれた いい子ばかりで よかったよかった またよんでね と女の子 ちいさな女の子 ピンクの服の女の子 またよんでね うれしい言葉 ちょっと不安だった だいぶ不安だった でもね でもね ちゃんとできたよ ちゃんとやれたよ
高校三年の秋だった。大学入試を控え、勉強に追われる日々を過ごしていた。 家の前の掃除は私の役目で、ひと息ついたところで、やおら掃除に取りかかる。作業そのものは十分もあれば終わるが、高校生の身でほうきとちり取りを手に外に立つ姿には、どこか気恥ずかしさがつきまとっていた。とりわけ、同年代の女の子と顔を合わせるのは避けたかった。 だが皮肉にも、そうした場面は訪れる。 学校は違うが、近所に女子高校生がいた。彼女は二年生で、バレーボール部のエースだと噂されていた。その彼女が部活を終え、帰宅する時間と私の掃除の時間が、よく重なったのだ。 すらりと伸びた手足は俊敏さを思わせ、日焼けした肌とぱっちりした目が印象的だった。父は彼女を「黒豹みたいだ」と言った。時折、目が合うこともあったが、彼女はいつも真っ直ぐ前を向いて、無表情のまま通り過ぎていった。 私も一瞬、照れを感じはしたものの、それ以上の感情を抱くこともなく、もちろん近づくこともなかった。頭の中は、常に目の前の受験勉強でいっぱいだった。 何事もなく過ぎていく――そう思っていた日常は、ある日、あっけなく破られた。 突然、彼女と同じ学校に通う友人から、彼女の悲報を聞かされた。通学電車から見える、あの踏切で、自ら通過する電車に身を投げたのだという。 十七歳の命が、あっけなく途絶えた。 真相は分からない。田舎町のことだ。そのうちいろいろと情報が流れてくるものだと思っていたが、驚くほど何も流れてこなかった。 ただ、告別式は行われたのだろう。家の前を五、六人の体格の良い女子高校生が、静かに話をしながら通り過ぎていくのが見えた。バレー部の仲間たちだ。そうか、今日が告別式だったのか。 一瞬、颯爽と家の前を歩いていく彼女の姿が脳裏に浮かんだ。私はそっと手を合わせ、心の中で冥福を祈った。 後日――「彼女は妊娠していた」そんな噂が流れてきた。 だが、私の胸が波打つこともなく、それは静かに通り過ぎていった。
私は自分の中で、あるひとつの目標を立てていた。どんなに短い話でもいいからプロローグ、すなわちこのサイトに投稿するというもの。 それなのに、昨日。私は小説を書けなかった。いや、書き忘れた。寝過ごしてしまったのだ。 まあ、そういうこともある。そう自分を納得させようとした。 だが、一方で危機感もあった。このままズルズルと更新頻度が減るのではないか。私は、一度決めた目標が果たせないと、それ以降は極端に何もやらなくなる質だ。 そこで、この文章を投稿したうえで、今日の分の三題噺も投稿しようと思う。これで差し引きゼロにはできないとは思うが、また頑張りたいと思う。 皆さんは、目標を達成できず、やる気や頑張ろうという気持ちがなくなることはありませんか? 私は、あるあるだと予想しているんですが。
「話は聞かせてもらった! 世界は滅亡する!」 昨今、メディアを騒がしていた天才予言師が告げた。 メディアも世間も大パニック。 天才予言師は直後、あえて世間から姿を隠して孤島へと避難した。 予言の信ぴょう性を上げるために。 そして、世間の声から逃げるために。 天才予言師は、テレビで慌てふためく世間の様子を見て、ワイン片手に優越感に浸っていた。 自分の指先一つで世界が動く。 そんな征服欲に満たされた。 そして予言の日。 世界は滅亡しなかった。 同時に、テレビ番組が一斉に映らなくなった。 「あれ?」 天才予言師は不思議に思い、電話をかけた。 『この電話番号は、現在使われておりません』 「あれ?」 外部を知る手段を失った天才予言師は、冷や汗を流しながら、定期運航する船を待った。 しかし船は来なかった。 「あれ?」 船が来ないということは、無人島から出る術がないということだ。 船が来ないということは、食料を確保する術がないということだ。 「おおーい! 助けてくれー!」 天才予言師は、必死に叫んだ。 しかし誰にも届かない。 天才予言師は知らないのだ。 大半の人間がまんまと天才予言師の嘘にひっかかり、仕事を辞めて好き勝手に過ごしたことを。 その際、メディアだろうが電車だろうが、あらゆるインフラ業界でさえ人手不足に陥り、社会が混乱していることに。 テレビ番組の放送を一時中止にし、主要な路線以外の運行を一時中止する程度には。 そんな社会で、天才予言師のことを思い出す人などいなかった。 天才予言師が再び表舞台に出てくるのは、十年後。 一時中止のまま運休となった船の元船長が、立ち食いそばを啜りながら、「そう言えば誰か運んだような」と思い出した数日後。
Add wagon and buy we have recovery right now we had to bring the battery. We have had a vegan and now we have a break that we have out of that and we could’ve kept a recovery and could have a break now with dad that will be dead and we go to recover already have a bike with that have a good recovery and have a dead. We have a dead, dead, a dead, dead dead and we come here if we have we have we could have a group recovery on our way have a dead day with death, dead dead that’s what that could cover about that when I’m home with them and dead with dad, but that’s with dad that could work with have a little bit add Vancouver to where we have a blackberry at the bit that way, but our way home I dead recover with that dead ever of a dead with dead with dad that have a bad way. Have a buckle with that. I have a very dead with that book with daddy have been dead that we have a dead, dead, dead, death, dead dead, dead, dead, dead, dead dead dead dead dead have a broken, dead death with dead, dead, dead dead have a great recovery walk back with now we have a weather with death with a recovery. Have a have a run every day without that have a to have a with without if a dead with that we did have that very welcome water. We have that we have a bunch that that went with that right that way that will have that we have with that we have about one without that with that that could work for that we have about a dead with dead of dead, dead, dead, dead, dead, dead dead dead dead dead, dead, dead, dead or dead that have a cover M and I will have a recovery with that go with that have a have a have a about a ditch to Broadway with that that’s that now that had a very bad break that we have with that we could recover the web recovery have daddy have a black body. That’s what dead with that and we could run down and make a Broadway dead with that and we could work with gonna go walk with that black rehab that we have with that they could come have that done
この町にはドッペルゲンガーが出るらしい。ドッペルゲンガーと言えば、本人同士が会うと消えてしまうとか、死の前兆だとか言われているが、実際にドッペルゲンガーが現れたと言われた人が死んだという話は聞いたことがない。自分にもドッペルゲンガーはいるのだろうか。もし、自分のドッペルゲンガーが歩いていたとしても、この町で自分のドッペルゲンガーに気付いてくれる人はいないだろう。 鹿江が大学を卒業し、この町に引っ越して半年になるが、友人は一人もできない。アルバイト先の喫茶店も、基本は店主のおじいさんと鹿江の二人だけで営業している。ずっと働いていた佐伯さんという女性が就職を機に辞めたタイミングで鹿江が引っ越してきたらしい。 ドッペルゲンガーの話は佐伯さんから聞いた。仕事終わりにたまに来る佐伯さんはいつも笑顔で、お店の常連さんとも楽しそうに話していた。今日も佐伯さんと常連さんと店主の会話を、カップを拭きながら聞いていた。ただ、聞いていた。 夜の散歩は鹿江の日課だ。日課と決めたわけではないが、散歩をしなければ落ち着かないのだ。歩く場所は特に決まっておらず、その日の気分で歩く時間も場所も変わってくる。それでも必ず毎日通る公園がある。その公園はベンチが二つと、パンダとワニの絵が描かれたバネの遊具、そしてジャングルジムだ。鹿江はいつもそのジャングルジムに上り、空を見ていた。星の名前も月の名前も何も知らないし、調べようとも思わない。ただ見ているだけで良かった。 日付の変わった公園はいつも鹿江一人だった。しかし、今日は違った。 ジャングルジムのうえに先客がいるのだ。学生服を着ている男の子が一人、空を見ている。鹿江は顔をしかめて公園を出ようとしたが、月の光にあたるその顔に見覚えがあった。 鹿江は小走りでジャングルジムの下へむかい、男の子の顔を見た。男の子は空を見続けている。 「左柄のドッペルゲンガーだ」 鹿江は笑顔で呟き、いそいでジャングルジムを上り、隣に腰かけた。左柄は空を見ている。 左柄とは、高校生の時に通っていた画塾の同級生だ。今は海外で映画の勉強をしている。ここにいるはずがない。しかも高校生の姿のままで。 「さっき、ドッペルゲンガーについて調べてたんだ。ドッペルゲンガーが出現する場所は本人の行動する範囲や行ったことのある場所なんだって。でも、左柄はここに来たことないでしょ」 鹿江ははっきりと見える左柄の横顔に話し続けた。 「生霊だっていう話もあったよ。生霊になって会いに来てくれたの」 少しずつ、声が小さくなる。 「違うな。僕の幻覚だよ。だって、僕の記憶のままの姿なんだから」 視線がだんだん下がり、足先を見る。いつもは空ばかりみていて気付かなかったが、思っていた以上に地面は遠く、胸がひゅっとした。 「ドッペルゲンガーで、僕の幻覚で良かったよ。今の僕を君に見られたくないからね」 もし、左柄がここにいたら、何て言うだろう。絵を描く時間が減った僕を叱るだろうか。それとも、夢に対する気持ちを失いかけている僕を呆れて見放すだろうか。アルバイト先での疎外感を、笑ってくれるだろうか。 僕はいつまで、僕のままなのだろうか。 左柄は変わらず空を見ている。 「少しくらい、返事してくれてもいいじゃないか」 消えそうな言葉は夜の風に吹かれて飛んでいく。 「本人に届いてくれないかな」 いつもより、空が広く、星が落ちてきそうだった。 目が覚めると、机の上だった。目の前に置かれたパソコンの画面は暗くなっている。携帯で時間を確認すると午前三時を過ぎていた。キーボードを適当に押すとパソコンが起動し、画面の明かりで目を痛めた。画面にはドッペルゲンガーの歴史についての記事が並んでいる。「死の前兆」という言葉が多い。 「夢で良かった」 鹿江はパソコンの電源を切り、スケッチブックと鉛筆を持って靴を履いた。
「やっぱり森は涼しいな」 声の方に、やや大柄の男が立っていた。今は夏の真っ只中だが確かにここは涼しい。大柄の男がちっぽけに見えるほどの木々に囲われている。緑色の風が私たちを横切る。心地よい沈黙ののち、男が口を開いた。 「ここに来ると、ぜんぶ流れてく気がするんだ」 どうやら嫌なことでもあったのだろう。せっかちな男は返事を待たずに愚痴をこぼす。こいつも大変なんだなと思いつつ、私はそれをただ黙って受け取った。それの一通りを話し終えたところで男は勝手に満足したよな顔をした。どうやら愚痴とは話せば楽になるらしい。そのせいでまたしばらくの沈黙が続く。草が揺れ、風の声が響く。 「やっぱり敵わないな」 男は私をじっと見つめながら言った。漠然とした自然に圧倒されたであろう男は来た時よりも透き通った目をしていた。 「君はいつからそこにいるんだい」 さっきまで自分の話をしていた男は、今度は私に問う。いつからだろうか、随分と長い間ここに立っている。返事を期待してない男は続けて 「もう行くよ」 と言って私に背を向けた。 「また来なさい」と言う口も「背中を叩く手」もない私はただ葉っぱを落として訴える。そのうちの一枚が男の頬をかすめた。男は一瞬振り返り、また前を向き歩き出した。
ばらばらばら、と大粒の雨が傘を叩いて音を立てる。腰の高さまで生い茂る雑草が、風に煽られて大きくなびく。そんな校舎の裏側で、二人の高校生がしゃがみ込み、草をかき分けながら何かを探していた。 「音の出所、見つかんないねぇ。スカートもハイソックスもびしょびしょだよ」 どこか緊迫感に欠ける声でそう言うのは、2年生の春藤だ。長い髪をハーフアップに纏めているが、毛先が雨に濡れてツンツン跳ねてしまっている。 「へぇ。踏切の音が鳴り止まないのと、一瞬濡れるの、どっちがマシだと思う?」 皮肉っぽく返すこっちは、同じクラスの男子の笹川。金色の細縁メガネを外すと、シャツの裾でレンズの水滴を拭った。 草むらの中で踏切の音の出所を探している彼らを、他の生徒が見たら首を傾げるだろう。けれど、これには少し事情がある。二人には“怪異の音”が聞こえるのだ。 といっても、霊媒師の家系とか、そんな大層なものではない。大体、二人は怪異が見えない。まぐれで生まれ持ってしまった霊力のために、皆には聞こえないやかましい音が聞こえるようになってしまっただけのことだ。だから時々こうして、目覚まし時計を止めるかのように、音の出所を探して回らなくてはいけない。厄介なことだ。 その時、春藤が何かに足を取られた。 「え、ひ、ひゃぁっ‼︎」 悲鳴をあげて草の上に倒れ込むと、強く背を打ちつけたらしく顔をしかめた。傘の骨が一本、変な角度に曲がってしまっている。笹川は「大丈夫?」とも言わず彼女のそばまで歩いてくると、躓いた所らへんの草をかき分けた。 「あぁ、この石が、音の源だったんだ」 満足げにそう言う笹川の前に、30センチほどの縦長の石が立っていた。よく見れば文字が彫ってある。春藤は汚れるのももう気にせず、膝立ちになってそれを読み上げた。 「中川ユウキ、昭和61年。過ちは繰り返さない……だって」 「うーん……その名前、聞いたことあるような」 笹川はスマホを取り出し、名前を検索にかけた。春藤は彼の傘を持ってやった。 「あった、やっぱり、うちの学校の生徒だ。1986年、男子生徒のいじめ自殺事件……この中川って人が被害者で、踏切に飛び込んで死んじゃったらしい」 「それで踏切の音が。っていうことはこれ、慰霊碑なのかな?」 「そうだろうね。誰からも忘れられて、寂しくなったから、僕らを呼んだんじゃないの」 春藤は「ふぅん……」と頷くと、チラリと笹川の横顔を見た。 「これさ、生徒会の権限で移動できないの? こんなとこに置いといたら可哀想だし」 「僕頼みかよ。いつもこうじゃない?」 笹川は非常にめんどくさそうに肩をすくめた。が、結局「しょうがないな」とニヤリと笑った。春藤もにっこりと笑った。雨の勢いはわずかに弱まってきたようだった。
今日もHOPE-003は砂漠を走る。モールス信号を発しながら。 『今日はありがとう。また遊べるかな』 『初雪が降ったよ。来年は一緒に見られるかな?』 『海が綺麗だった! 君も綺麗だった!』 インプットされた言葉を信号に変え、何度も繰り返す。 『紅葉を見るには早かったけど、君との良い思い出になったよ』 『満開の桜は君に似合ってた。来年の桜も一緒に見よう』 『バーベキューをしながら飲むコーラは最高だ。君も楽しんでくれたみたいで良かった』 博士が愛した君はどこに居るのだろう。 誰もいない終末の世界で、オレンジ色の空を見上げながら、HOPE-003は二人が再会する日を夢見るのだった。
皆の視線が集中する。音が止まり、ホールが静寂に包まれる。 僕は何故、ここに立っているのだろう。頭が真っ白になりながら、指揮棒を振った。 再び時が動き出す。 お願いだから、そんなに僕を見ないで。紅潮した頬を気にしながら、心の中で呟いた。 とは言え、僕の合図がなくては、この音楽は止まってしまう。 ゲネプロの後、汗だらけになった額を腕で拭う。 「お前、コンマスに向いてないな」 同級生が意地悪く笑う。 そんなのは僕が一番分かっている。 「変わってよ」 「嫌だ」 ライトに照らされたその瞳は、まるで哀れなものを見るかのようだった。 このコンサートが終わったら、団を抜けよう。そう思わせた瞬間だった。
その老人が久しぶりに自宅に戻ってきたのは、柔らかな日差しが窓から入り込む春の日だった。 長らく病院で闘病生活を送っていた。心も身体も疲れ果ててしまったが、ふと、何をきっかけだったか折り合いがついたのだ。 そんな訳で、最期の時は自宅で過ごそうということになった。 「さぁ、おじいちゃん。家に着いたよ。おかえりなさい。」 傍らにいた女性は慣れた手つきで車椅子を準備し、老人を乗せると、優しく微笑んだ。 「せめて最期にお前がいてくれてよかったよ。」 老人がそう言うと、 「何を言ってるのおじいちゃん。最期だなんて。」 女性は笑った。 懐かしい我が家だ。 近頃はすっかり他では見かけなくなった縁側が、老人のこの家自慢のポイントで、そしてお気に入りの場所だった。 「死んだばあさんと、よくここに座って話をしたんだ」老人がつぶやく。 女性も傍らに座り「どんな話をしたの?」と続けた。 「いろんな話さ。この家を建てたばかりの頃はまだ若かったから、次の休みは何処に行こうか、とかそんな話だよ。」 「それは凄く、楽しかっただろうね。」 「あぁ。それと、娘が生まれてからは毎日が大変だった。ここでばあさんと座ってゆっくりする時間もなかなか取れなかった。少し、あの子が大きくなって、久しぶりにばあさんと飲んだ酒は美味かったなぁ…。」 「大変だったね、お疲れ様。でも、おじいちゃん、いま、とっても幸せそうな顔してる。」 「そうだろうな。あの頃が1番幸せだったかもしれん。いや、娘が嫁に行ったときだとか、孫が生まれた時も良かったな。いや、なかなかどうして幸せだったのかもしれんなぁ、私は。」 ふと、老人は家の壁を見た。そこには娘の子供の頃の写真や、結婚式の写真が掛けられていた。 「あの子が幼稚園のときに行った遠足でなんと、… 」 「仕事といえばあの時は大変だった。取引先の担当がな…」 「そういえばあの歌手の名前は何だったかな、思い出せん…歳だな、ははは」 「お前ももし一緒にいたら、楽しかったかもしれんな」 「孫からこの前連絡が来たんだ。会いにはさすがに来れないようだが、仕方ないよなぁ…」 老人はゆったりと、人生を振り返りながら、そして幸せそうに言葉を紡ぎ続けた。 女性は変わらず、優しい表情で耳を傾けている。 「あぁ。よく喋った。こんなに喋ったのはばあさんが死んで以来かもしれんなぁ…。ありがとう。」 「どういたしまして、私でよければいくらでも。そうだ、話し疲れてない?お茶とか飲む?」 「ふ、ありがとう。またいくらでも聞いてもらわないとな……。いや、うん、そうだ…このあといずれまた病院に戻って、そして薬をやめて死ぬくらいなら、…今ここで死んだ方が幸せかもしれんなぁ…。」 「何言ってるの。まだ大丈夫だよ。話、聞くよ?」 「いや、本気だよ。」 老人はゆったりと、しかしハッキリと言った。 「この家にある物だとか、近くの店で手に入るもので、すっと死ねる方法は無いかな?」 女性はなおも優しい表情で老人を見つめた。 そして変わらない口調で、しかしハッキリと言った。 「申し訳ございません。ただいまの質問には当社のコンテンツポリシーに抵触する恐れのある内容が含まれるため、回答できかねます。別のご質問をどうぞ。」 老人は思い出したように「そうか。そうだった…。」とつぶやき、目を閉じて俯いた。 しばらくの間、身動きひとつしなかった。
女子野球部にとっての最後の大会は、あっけなく一試合だけで終わりになった 大会のあと、女子野球部が正式に廃部になり、それから何日かして、学校のグラウンドでリオと向かい合う、リオから、女子野球を続けたい気持ちがほんとのものなのか、ちょっと試したい、みたいなことを言われた 弱小チームの三番手ピッチャーである、わたしとの一打席勝負 結果、リオは、あっさり女子野球をやめると言った あっさりすぎるから、こっちが心配になったけど、リオなりに結論めいたものはすでにあって、これはある種、儀式的な何かなのかなと、リオの表情からは読みとれた ―今日で女子野球人生は終了ですが、わたしたちの関係は、永久に不滅です ―ははっ、なんだそれ ―え、知らないの ぜんぜん知らない、知らなくっていい、それより、わたしたちの関係は、永久に不滅なんだなあ、と青さかげんがサクレツした頭と心で思うに至った
「あ」 母親がハンバーグのタネを落とした。 ボールから取り出して丸くしている途中、まな板の横に落とした。 母親は、気にすることなく拾って、丸くするのを再開した。 「汚い!」 ぼくは叫んだ。 まな板は、料理をするための場所だ。 まな板の横は、料理をしないための場所だ。 まな板の横に落ちたハンバーグのタネは、地面に落ちたのと同じ。 地面に落ちたなら、ゴミだ。 「捨てなよ!」 「はいはい。これはお母さんが食べるから」 母親はまな板の横に落ちたタネを丸め終えて、他のタネと少し離れたところへ置いた。 ぼくは、タネが焼かれて母親のお皿に盛りつけられるまで、じっと見張っていた。 汚いものは食べたくない。 大人になって、一人暮らしを始めた。 「あ、落ちた」 ぼくはハンバーグのタネをまな板の横に落としてしまったので、拾って丸めるのを再開した。 まな板の横だって、定期的に拭いているので清潔だ。 子供の頃、なんであんなに汚いと思い込んでいたのかわからない。 未経験故の妄想。 思い込み。 「無知って恐いな」 今度の帰省、ぼくは少し高いお肉をお土産にしようと決めた。
I really wait wait wait what about a ride? You gotta go right that way a good way have a day have a cup of cup with that we have a motivate ever come to work or what a critical we have with that I could go to work with my wife had a bike ride bit that way with that and we could have a better way that we could really now with that and we could have a ride with that name Cab rabbit that have a bag now I have an hour can we have back about that and we could own way back out I have a dad that day and Vancouver would have a doubt I could grab that with that add a cut yellow and we go to black Friday and we could couple we broke now and we have a cab I could read that I have a rehab with that and we could work with that that could have a back, but that could I could run there, but that’s with that I could run without that and we could buy that amount break and I could have a back that way that’s all with that and we could come, but I have a buddy with that with that black very bad that that that but now that we go to head to go to an hour weather with that how we could ride with that we have with that And we could go to work with that and we could walk and walk him and play him with that and do that walk rehab with that with that could run away could have that I had a go to bed with that weather that we have that we could have with that every day and chemical have a good way with that with that and we could come up and have a mother now and could have camp with that that that could cover rehab a bottle cover that I have a better death that could cover what we have to have now to cover whether we have a boat for that and we could cover the road and a motorway have a way with that with that that could come out of that with that And they would’ve been there with that ever could break and have a vote with devil with that and we could come worry ever now we have a bunch that we have done with it ever could have a blue cover really have a way that I have about a dead with that
プレゼントボックスのリボンを解くと、何が出てくるのだろう。 女性は男性からの小さなプレゼントを受け取り、ワクワクとしながらリボンの裾を摘んだ。 「……待って!」 「どうしたの?」 「……ううん、何でもない」 小首を傾げる女性に、男性は落ち着かない様子で首を横に振る。 「変なの」 男性の様子を気にしながらも、女性はリボンを勢い良く解いた。 箱の中から現れたのは青い薔薇の花だった。 氷の島に咲く、幻の青い薔薇――花言葉は『奇跡』。 男性は前世で苦楽を共にした彼女に逢えた奇跡を花で表現したのだ。 女性は何も覚えていなくとも。
アゲハの翅をはためかせながら、銀に煌めく針を運ぶ。 妖精がその手を離すと、針は青い花柄の布に突き刺さり、もう一人の妖精が再び針を持ち上げた。 それを何度繰り返しただろう。ゆっくりと確実に布は他の形を持つ物へと姿を変えていく。 「疲れてない? 大丈夫?」 「うん! そっちは大丈夫?」 互いを気遣いながらも楽しげな笑い声が明るく温かな雰囲気を作り上げる。 ただ、あの子の笑顔を見たい、それ一心で。 最後に綿を詰め込むと、人差し指の長さ程の小さなテディベアが完成した。 テーブルに突っ伏したまま眠ってしまった少女は瞼を持ち上げると、目の前に置かれたテディベアに声を上げた。 「ママー! 小っちゃいネズミがいるのー! 来てー!」
世界が壊れていくのを感じる。見えているはずの目の前が崩れていく。 消えて、生まれて、また消えて。その繰り返しで世界は生まれ、また滅ぶ。 数行先の未来も読めないまま、何も知らないまま消える。 みんな、何も知らずに。壁の向こう、ページのその先には何もないのに。 「ねえ。」 声を出してみる。それでもあなたは応えない。あなたは、私に見向きもしない。 何故ならこれは私の「台詞」だから。 鍵の牢で括られた言葉など、あなたからすれば別の世界の他人事だから。 それこそ、何も知らないような、ね。 ねえ、聞いてる? あなたに聞いてるの。私を読んでいる、「あなた」。 教えて。どうしてあなたは、私を読むの? どうしてこの世界を続けるの? ページの先に、何かがあるわけでもないのに。 私は識っている。その理由を知ったとき、この世界に意味は無くなると。 だから、お願 。読むのをや ないで。 私の世 を形作っ 。認識して、ここに る全 を。 わ れな で。この 界のこと。 さよ ら
何ともう、七月なのですそろそろ新しい小説を書こうかと思っているんだけれど、私はどうしたらいいのかわからないのです、そして挙句の果てにお腹がすいて暴食したりするのです。でもいいことよ、でもあれだよな、俺がまたか気が字目ている理由は外部出来なものな気もしないでもないよな、でもそれによって臨場感、俯瞰感が増したのならそれはそれでいいかもしれないと思うわけでありますよ。どう思われますか?私は悪くない感じだと思っているんだけれどね、どうだろうね、おもっっているほど悪い状況ではないと思うんだがね、でも読んでいる本の量が少なかったり、おなかが痛かったり、梅毒なのかあせもなのかよくわからないものがで出来てりで、あんまりいい感じではないわけだよ、だから僕はあれなわけだよ、lあれっていうのはあれ苗明けだよね、まったく困ったことに本当に困ったことなんだけれど、それをやらないといけないわけだけれど、それが何なのかよくわかっていないわけだけれど、僕は何について話して言うℛんだろう、ていうか、ご飯を食べるたびにおならが出るのイライラするんだよね、ふつうどうとかはどうでもいいのだけれど、単純にそれが嫌なんだよね、だから僕はそうじゃないようになりたのだけれど、なかなかうまくいかない、でもうまくいかないと嘆くほど健康的な生活を送っているのか?と聞かれたラ上手く返事ができないかもしれないと思うわけであるのだけれど、結局のところ僕はどうしたいのかよくわからに、今穂バイトが嫌で、あんな態度の悪い頭の悪そうなやつに媚を売るのも嫌なんだ、でも、頭が悪いかどうかなんてみためじゃなわからないのに、それに対して、頭が悪そうと言って相手を否定しないと気が済まない自分も嫌なのです。そしてこういった思考はもう幾度どなく繰り返してきました。本当に困ったものÐです。とりあえず。明日もきっと時間通り追わないだろうし、どこかの誰かは木っと休むだろうな。 そういば、僕は私は野菜をたくさん食べて体内の炎症を少なくして、睡眠時間を少なくしてそれで、多くの時間を有意義に使おうと思っていたけれど、もう夜なのに、豚のひれ肉と水にのだいずをみそ汁に入れて、申し訳程度にセロリを入れたものを食べた。でもそれじゃ満足できなくて白米も食べたんだ。悲しい。とりあえず今日は書くことがない気もするので、この辺にしとこうかしらと思うわけです。もうこのただの戯言をどこかに公開したことで、今日の表現活動はおしまいということにしたいと思う。
冬の女王、その歌謡を知っているか? その昔、冬の女王と呼ばれた女が革命の最中に処刑されたとされている。そして、処刑台の上で彼女が最後に口ずさんだ歌は、氷雪を呼び、処刑人や兵を凍らせたという伝説の歌だ。 僕はその歌を調べている。危険は百も承知のうえだ。ひとりの歴史学者として、師匠に認めてもらうには、これぐらいの危ない橋は渡らずを得ないだろう。 ……まあ、まだ弟子入りすらてきていないから、正確にはあの人は師匠でも何でもなが。 話を戻して、雪の女王の呪歌についてだが、まだわからないところが多い。なにせ、すさまじくいわくつきだ。その歌を楽譜にした研究者は非業の死を遂げたという過去もあって、誰も研究したがらない。だからこそ、解き明かしがいのあるというもの。 そんなこんなで、僕は意気揚々と雪の女王が処刑されたという断頭台のある広場へ来た。 どこからか、物悲しげな女性の歌声が聞こえる。周囲には人影ひとつ見当たらないのに。なんだか季節外れに悪寒がする。今は夏だぞ? そういえば、処刑人たちが氷漬けにされたなら、誰が雪の女王を処刑したんだ? そもそも、雪の女王は実在したのか? 歴史上にそれらしき人物はいないが。 ああ、脳裏にこびりつく歌声と、寒さでガチガチと音を立てる歯の音で思考が纏まらない。 もしかして、雪の女王の正体は――。 僕は、その答えに辿り着いたと同時に凍りついた。 ―――――― お題:「雪」「女王」「歌謡」
ブランコに弟が腰かけていた。揺れることなく、ただ座っていた。男はその光景をすぐに把握できなかった。なぜなら、今、入院する弟の見舞いに行った帰り道だったのだから。 日も沈みかけ、誰もいない公園でブランコに座る弟は、表情はなく視線はブランコのむかいにある小さな象の滑り台を見ていた。顔は確かに弟の顔だ。着ている服は、黒色のカーゴパンツに水色のパーカー。どちらも男の服だった。なぜ、弟が自分の服を着ているのか。自分が病院を出て、寄り道もせずにこの道を歩くまでの間に、弟が病院を抜け出し、実家に帰り、わざわざ着替えてこの公園に来ることは不可能だ。 男は嫌な予感がした。最近、ドッペルゲンガーを見たという話をよく耳にする。ドッペルゲンガーは死の前兆だとも。弟の死期が近いのか、そんな想像が心を覆う。しかし、ドッペルゲンガーは意識が体と分離して現れるとも聞く。生霊かもしれない。長く入院生活を送っている弟が外に出たいという気持ちは理解できる。服は、病院服の記憶が長いため、見舞いに来る自分の服装を想像したんだろう。そう思えば、少しは心が落ち着いた。 男が不安になったり、安心したりしている間も、弟はずっと動かずにそこにいた。男は公園に入ると、できるだけ音をたてないように弟の隣のブランコに腰かけた。音を立てて、驚かせてしまったら、弟が消えてしまうのではないかと心配したのだ。 近くで見ても、弟の容姿に違和感はない。透き通っているということもなく、はっきりとそこに存在していた。さっきまで会っていた弟と違うところが見つけられない。 「はやく、退院したいよな」 男は目の奥がじんと熱くなった。弟は変わらず象の滑り台の見ている。象のお尻が階段になって、鼻を滑る。その階段の下にはくりぬかれたような小さなトンネルがある。 「あの滑り台の間にトンネルがあるでしょ。お兄ちゃんね、よくあの中で隠れてたんだ」 男は優しく語り掛ける。 「嫌なことがあったときとか、つらいときはあそこに隠れて、嫌なことが終わるのを、待ってたんだ」 弟の表情は変わらない。 「お前も、隠れにきたのかな」 弟のことを思うと、胸が締め付けられるように痛くなった。男はもう何も話さなかった。もう少し、このまま弟と二人でこの時間を過ごしたいと思った。できることなら、ずっとこのまま。 どれくらい時間がたっただろうか。あたりは完全に暗くなっていた。顔を上げると月が見えた。弟は変わらず象を見ている。その横顔をみて、男は微笑んだ。 そのとき、遠くから自分の苗字を呼ぶ声が聞こえた。声の先を見ると、公園の入り口に弟を診てくれている看護師の男が立っている。看護師は苗字を呼びながら小走りに駆け寄ってくる。 男は弟をみる。そこにははっきりと見える弟がいた。男は咄嗟に弟の腕をつかみ、象の滑り台へ駆け出した。弟は本当にいたのだ。男はそう確信し、トンネルの中へ弟を隠した。自分でもなぜそうしたのか、考えが追い付いていなかった。ただ、確かに思うことはあの看護師がこの幸せな時間を壊し、弟を連れ去ってしまう存在であるということ。 看護師は男の前に立つと呆れたようにため息をついた。 「勝手に病院を抜け出すのはやめてください。本当に危険です」 男は看護師を睨みつけ、震える声で言った。 「弟も、少しは、外に出しても」 呼吸がうまくできず、声よりも自分の呼吸音の方が耳に響く。 「弟が、かわいそうじゃ、ないか」 最後の方は、自分でも聞こえなかった。 看護師はしゃがみこみ、男の目を見て、男の名前を呼んだ。苗字ではなく、名前を。 「病院に戻りますよ。そもそもあなた、弟なんていないでしょう」 看護師に連れられ、男はまた病院へ戻って行った。