カーテンを少しだけ開けて、外を見る。 家の周りにはバットや金槌を持った人々が集まり、塀をがんがんと叩いている。 「はー。今日もいるのか」 このままでは、外出一つできやしない。 私は警備会社へと電話した。 「移動用の車を一台」 「申し訳ありません。既にすべての車がご予約で埋まっておりまして」 「はあ!? なんのために、高い金を出して契約してると思ってるんだ!」 「……お言葉ですが、運転手がいないのは、あなた方の世代が子供を作らなかったせいですよ? 労働力を生み出さずに、労働力が当たり前にあると思うなんて図々しい」 電話が切られた。 何度かけ直しても、電話は繋がらない。 銀行アプリから通知が届き、サービス利用キャンセルの払戻金が振り込まれた。 「くっそ! 勝手にキャンセルしてんじゃねえよ!」 銀行アプリに溜まる、莫大な金。 凡人が人生何周しても手に入らない、莫大な金。 しかし、使おうとして断られる今、この価値が俺の中で揺らいでいる。 国が荒れたら、国外に逃げればいい。 そう思っていた数年前の俺を殴りたい。 空港が占拠され、家の周りを囲まれては、国外に逃げるなんて選択肢があるはずもない。 「……今日も出前か」 俺は、ピザ屋へと電話した。 「ピザ一枚」 「ただいま大変込み合っておりまして、お届け三時間後でもよろしいでしょうか?」 「よろしい! よろしい! いつでもいいから、届けてくれ!」 「かしこまりましたー!」 あらゆるインフラは、底辺に支えられている。 警備も、出前も、家を囲む暴徒たちが金を得るためにやっている。 「お待たせしましたー。ピザとなります」 玄関には、先日、俺の家の壁を叩いていた男が笑顔で立っていた。 俺は金を払って、ピザを受け取った。 男は、バットや金槌を持った人々の間を、平然と抜けてピザ屋へと戻っていった。 加害者と、被害者を守る人間が、同一である世界。 こんなゲームチェンジが起こるなんて、資本主義に胡坐をかいている時は思わなかった。 俺は冷めたピザを取り出して、一口齧った。 「美味い」
私は何もしていない時間が好きだ。 私がぼーっとしている時も時間は流れている。 散歩をしている人もいれば、働いている人もいる。なかには好きな人に想いを伝えようとしている人もいたり、誰かに叱られて落ち込んでいる人もいたりする。そして心臓だって私がぼーっとしている間も一生懸命働いているのだ。 みんな生きるのに頑張っている。誰が1番頑張っているかなんて順位はつけられないし、1番怠けている人なんてどこにもいない。 それでも思想や価値観、偏見や誤解があるから、みんなは自分自身を低く評価したり、周りと比べて自分は劣っていないと考えたりする。 きっとそう考えるのは苦しいだろうし、良い気分ではないと思う。 私は全ての人が素敵な一面を持っていると思う。そしてそれは天秤では計れないもので、誰かにあげられるものでもない。ましてや盗むこともできない。 だからこそ、自分自身の強みとなるものをみつけて欲しい。 自分の素敵な一面をみつけることは「自分は価値のあるものだ」と知ることに繋がる。それは生きがいにもなると思う。 当たり前だと思っていたことだって強みになるかもしれない。 ここまで文を読んでくれたことも強みだと思う。ここまで読まなかった人もいるなかで、ここまで集中して読んでくれたことは凄いことだ。 小さなことでも自分の素敵な部分に気づくことは大切だと思う。みんなそれぞれ素敵で素晴らしいんだ。 それを少しでも多くの人が知って欲しい。 そして今日も私はぼーっとする
若者の間では、ありのままの日常を撮るのが流行している。 一日一回、ランダムな時間に撮影を依頼する通知が届く。 二分以内に撮影ボタンを押すと、インカメラとアウトカメラで同時に撮影。 加工なんてする暇もなく、仲間内へと送信される。 まさに、皆のリアルがわかるのだ。 しかし最近、大人たちによって難癖をつけられている。 会社で撮るなとか、社外秘の情報が流出するとか。 「つーか、なくね?」 「会社で撮るなとか、意味わかんないよね。会社に、そこまで個人のことを制限する権利あんの?」 「そもそも、見られて困るようなことしてんなよ。ウケる」 私たちは、大人の決めたルールになんて負けない。 今日も、日常を撮り続けるのだ。 「あ、通知きた」 私は、今日も日常を撮った。 「ちょ!? 今、温泉旅行中」 「ああああ! 服脱いでたの忘れてたああああ!」 全裸で撮影する私と、更衣室で半裸の友達の姿が、一斉送信。 「ぎゃあああ! 消せ消せ消せ消せ!」 「どうやって? どうやって?」 「なんでもいいから、早く消せー!」 私たちは今日、ルールを作ることの意味を知った。 私たちは今日、また一つ大人になった。
(今日の会議の発表ミスったなぁ。みんなの反応薄かったもんなぁ。そういやこの前も駐車場の段差につまずいて痛い思いしたなぁ。昨日だって知り合いかと思って手を振ったら全然知らない人だったし…。) 「あー!最近ついてなさすぎだろ!」 そう言うのを待っていたのかというくらいにグッとタイミングで頭上から雨が降ってきた。 「くそー!」 俺は最近ついていない。何やってもだめだめだ。だからふと思ってしまう。俺に生きる価値はあるのかと。 「あの、よかったらどうぞ。」 俺が自分に悲観していると、小学生くらいの子どもが雨で濡れた俺にハンカチを渡してきた。 「あ、あぁ。あ、ありがとうな」 「おじさん元気ないの?」 「あ?あぁそうだな。」 いや俺まだ20代なんだが!?おじさんはないだろ!今時の小学生はこんなにも失礼なのか!? いや、俺が疲れすぎて老けてんだ。ああ自分が気付かぬ間に俺は老化してるんだ。 俺は益々気持ちが落ち込んでしまった。 「何かあったの?僕でよければ聞くよ!」 「いや、君に言ったって分からないさ。」 「そんなことわからないじゃんよ。僕にだってわかることたくさんあるよ。」 なんだこいつ。確かにだな。確かに子どもだからといって何もできないわけではないか。それは子どもの能力を下に見てしまっているだけなのか。 そう思って俺はこいつに今日のこと、この前あったこと、昨日のこと。全ての失敗談を話した。 話すとなんだかスッキリした。別に解決したわけでもないのに。 「うーん。僕だったら駐車場のとこにある石みたいなのにつまづいたら泣いちゃうかも。絶対痛いもん。おじさん泣かなかったんだね。すごいや」 そう言ってそいつは俺を褒めてくれた。失敗したのに褒めてくれたんだ。なんていいやつなんだ。 馬鹿にするわけでもなく、それは可哀想だと同情するわけでもなく、俺が泣かなかったということを褒めてきた。 俺はそれが無性に嬉しかった。誰かに褒められることがこんなにも嬉しいことだったなんて。 「お前。ありがとうな。こんなおじさんの話聞いてくれて。お前もなんかあったらおじさんに言えよ。」 「だって、だっておじさん辛そうな顔してたんだもん。お母さんに言われたんだ僕。誰かが困ってたら助けなさいって。協力することは大切なんだって。」 そうか。この子は善意を持って俺の話を聞いてくれたんだ。なんて良い子なんだ。 「あとさ。どうしておじさん「こんなおじさんの話聞いてくれて。」って言ったの?おじさんは、こんなおじさんってほどのおじさんではないよ。おじさんにはおじさんの良いとこあるんだからさ。それに自分が気付かなきゃ。」 そしてそいつは俺に貸したハンカチをポッケに入れてじゃあねと俺に手を振って帰って行った。 そうか。俺は俺自身が自分の価値を下げていたんだ。俺はそう気づいたんだ。俺は価値のあるやつなんだ。それに俺以外だけじゃない。人には人それぞれの良いところがあるんだ。だが、人は良いところよりも悪いところを探しがちだからこそ、良いところが隠れてしまう。勝手に隠してしまうんだ。だから良いところに目を向けていくべきなんだ。 次の日の会議、俺はまた盛大にミスをした。 だが、以前ほど落ち込まなかった。その会議ではミスもあったが、会議で使う資料は全員分忘れなかったし、なによりも最後まで自分の伝えたかったことを言い切ることができた。 小さなことでも良いことを探すことで、自分の価値を認められるんじゃないかなと思う。 俺はあいつのおかげで少しは明るくなれた気がした。それにおじさんよりからお兄さんにグレードアップできた気もする。 これからも俺はミスをするし失敗もするけど、なんか頑張れる気がした。
地下三階の会議室に、全閣僚が呼び出された。 「なんか元気ないですね」 総理の浮かない顔に、視線が集まった。 「実は、娘に子が生まれたんだよ」 「おめでとうございます。総理も、おじいちゃんですか」 会議室に拍手が響いた。 「いや……赤ん坊の顔を見てたら、心が洗われたというか」 「ん……?」 「ぼくたちさ、嘘ばっかりついてきたじゃない」 「まぁ、それは、噓も方便で国民もわかってることでしょ」 「だから、もう嘘つくのやめようと思ってね。君たち、この前の選挙公約、覚えてる?」 総理が財務大臣を指さした。 「税金を下げる、でしたっけ」 「できるの?」 「無理でしょうね」 閣僚たちが顔を見合わせた。 「急に正直になったら、世間が混乱しませんか」 「でも、孫の前では、カッコいいおじいちゃんでいたいのよ」 翌日、総理が緊急記者会見を開いた。 「えぇ……明日からの外国訪問、ちょっと旅行気分、入ってます」
とある日のお話をしましょう。 私はお腹を空かせて商店街にある料理屋さんを片っ端から眺めていました。そんな私が血迷って近くにあった食品サンプルを食べようと手を出した時のこと。 そのとき誰かと手が触れたんですよ。そのときぶっちゃけ思っちゃいましたね。 (なんなのこいつ!!!絶対譲らない!!!) いやね、引かないでくださいね。お腹空いてたんでね。理性なんて保てるはずがありませんでした。 そして、そいつの顔、覚えてやろうと思って見てやったんです。 そしたらなんとびっくり、その食品サンプルを置いているお店の店員さんでした。 いやお恥ずかしい。食品サンプルの埃を取ろうとしただけなんですって。 でも、その店員さんは私を見てこう言ったんです。 「この食品サンプルいいですよね。僕もこの食品サンプルに出会わなかったら、この店でなんて働こうとしてなかったです。」 「え!そうなんですか!私以外にもこの食品サンプルを魅力的に思っている人がいて嬉しいわ!」 「いや、僕も嬉しいです。これはなんで言うんだろう。奇跡とでも言うんですかね。」 「そうね。これは奇跡なんだわ!」 「食品サンプルで奇跡のサンプルなんちゃって笑」 「ユーモアもあるなんて!素敵だわ!」 そんな話ばかりして、いつのまにか私と彼はすぐに打ち解けていったの。 そして私たちは付き合うことになった。 「食品サンプルのおかげで君と出会うことができて本当に嬉しいよ。」 「私もそのときお腹が空いててよかった!」 「本当に君はお茶目だな笑」 そう言って彼はクスッと笑った。 でも、幸せというものは長く続かなかった。 「僕、転職することにしたんだ。」 「えっどうして!?あそこのお店はもういいの!?」 「うん。もういいんだ。」 彼はどこか寂しげだった。 「ねぇ。教えてよ。どうしてなの?あんなにあそこのお店の食品サンプルが好きだったのに。」 「実は、他に好きな食品サンプルができたんだ。」 「…!」 私はあまりの衝撃で言葉が出なかった。 「それで、君には悪いけどこれを機に別れて欲しいんだ。前の店の食品サンプルが好きな君と今の僕の価値観は合わないだろうから。」 「そんな…!あんまりよ…!」 そして私たちの、食品サンプル恋愛?奇跡のサンプル劇場の幕は降りた。 今思い返すと奇跡のサンプルってなんだよ。と思います。 食品サンプルを食べようとした私が言えたことじゃ無いだって? そんなことないわ。そんなはずない。まさかね。 まあ要するにあれですね。めでたしめでたし。
診察室で、男がうつむいていた。 「先生、私は……」 「あなた、最近オチばかり考えてるでしょ」 「はい」 「何だっけ? 蛇口から、漢字の水がたくさん流れて、排水溝が詰まった? これの何が面白いの」 「はぁ……」 「これ、思い付いたとき、ニヤけたでしょ」 「ダメですか?」 「重症だね。少し頭を休めなさい」 クリニックを出ると、男は幹線道路沿いを歩き、自宅へ向かった。 すると、サイレンを鳴らしながら、パトカーが通りすぎた。 「そこの車、左に寄せて止まりなさい」 道路脇には、パトランプから落ちた『あと二人』の赤い文字が転がっている。 一瞬、足を止めた。 「……いいじゃん」 男は、ニヤけ顔でポケットからネタ帳を出した。
四時以降の少し明るい、藍色とも灰色ともつかない空が、高層ビルの隙間からぼんやり染み出し始めていた。 夜の境界線はいつの間にか曖昧になり、街を覆っていた人工の闇が、冷徹な朝の光に押し流されていく。深夜からずっと、私は東京都心を歩き続けている。新宿五丁目の交差点を過ぎ、明治通りをただ南へ向かって、どこへ向かうでもない足跡をアスファルトに刻みつけていた。 足の裏には、感覚を麻痺させるほどの鈍い痛みが張り付いている。だが、その痛みが唯一、自分がまだこの世界に存在している証拠のようでもあった。 北参道の交差点に差し掛かる頃、並木道の向こうにポツンと浮かぶコンビニの白い灯りが見えた。あの過剰なほどの明るさの中に身を投じるのは、今の自分には少しだけ躊躇(ためら)われたが、乾いた喉が水分を求めていた。 自動ドアが開くと、冷気とともに、どこか現実味のない電子音が鳴り響く。 店内に客の姿はなかった。奥の棚でパンの品出しをしている店員の背中を見ながら、私はなるべく足音を立てないように、通路を静かに進んだ。棚に整然と並ぶ、どれも同じような顔をしたペットボトルの中から、一番手前にあった冷たい緑茶をひとつだけ手に取る。 レジにそれを置くと、外国人の店員が黙ってバーコードを読み取った。私は自分の気配を消すように、財布から小銭を出し、トレイへと置く。お釣りのやり取りもなく、ただレジの電子音と、レジ袋の擦れる音だけが静かに響いた。レジ袋はいりません、と声に出すことすら億劫で、ただ首を横に振る。 ペットボトルをポケットにねじ込み、逃げるように店を出た。再び足を踏み入れた外の空気は、コンビニの人工的な冷房よりもずっと生温かく、そして重かった。キャップをひねり、冷たい液体を喉に流し込む。かすかな茶葉の苦みが、眠気を拒絶し続けている頭の芯にじんわりと染み渡っていった。 千駄ヶ谷の静まり返った住宅街を抜け、原宿へと向かう。 昼間は若者や観光客で足の踏み場もなくなる竹下通りも、今は頑丈な鉄のシャッターが冷たく閉ざされ、ただの無機質な路地へと姿を変えていた。入り口のアーチだけが、場違いな色彩を放ちながら、誰もいない空間を照らしている。世界の終わりを一人で歩いているような、奇妙な全能感と、それに倍する圧倒的な孤独が、胸の奥をじりじりと焦がした。 表参道のケヤキ並木に出ると、視界が少しだけ開けた。 坂道を下り、明治神宮前の交差点を渡る。通り沿いに立ち並ぶ高級ブランドのブティックは、まるで巨大な墓標のように静まり返っていた。ガラスの向こうに飾られた洗練された衣服たちは、暗がりの中で実体を失い、ただの影の輪郭だけを留めている。 ショーウィンドウのガラスに映る自分の姿が、ふと目に留まった。髪は乱れ、目の下には薄い隈が落ちている。昼間、この街を闊歩(かっぽ)するであろう「正しい人々」の群れの中に、今の自分の居場所などどこにもない。その事実が酷く寂しく、同時に、どこか救いのような安堵感を伴って体に馴染んでいく。 宮下公園の無機質なコンクリートの構造物を見上げながら、さらに歩を進めると、やがて渋谷のスクランブル交差点が見えてきた。 そこは、完全な空白だった。 数時間前まで無数の欲望と足音が交錯していたはずのその場所には、今は一枚の巨大な灰色のキャンバスが広がっているだけだった。巨大なビルの壁面ビジョンはすべて眠りにつき、ただ静かな朝の光だけが、広大なアスファルトを等しく照らし始めている。 遠くの幹線道路から、トラックの地鳴りのような音が微かに響いてくる。それは、この巨大な都市が再び呼吸を始めるための、最初の身震いのように聞こえた。 やがて昼間の世界が始まれば、また何事もなかったかのように日常が動き出すのだろう。人々がそれぞれの目的を持って、それぞれの速度で行き交う。その、あまりにも強固で、排他的な日常が始まる直前の、この張り詰めた静寂だけが、今の私に許された唯一の避難所だった。美しく、そして救いようがないほどに切ない、世界が生まれ変わる狭間の時間なのかもしれない。が、そんなことはどうでもいい。 空の色は、いつの間にか藍色を失い、薄い乳白色へと変わっていた。ビルのエッジが、先ほどよりも鮮明に、鋭利に空気の膜を切り裂いている。 手の中のペットボトルは、もうすっかり私の体温と同じ温度になっていた。 少しずつ白んでいく街並みを見上げながら、私はもう一度、冷たい朝の空気を深く吸い込んだ。肺の奥がツンと痛み、体の中の夜が、少しだけ薄まるような気がした。消えゆく夜の輪郭を惜しむように、重い足取りでまた一歩、新しい朝の中へと踏み出した。私の影が、薄暗いアスファルトの上に、頼りなく、しかし確かに伸び始めていた。
「記憶保管庫?」 僕は聞き慣れない言葉に困惑する。 「はい。主にお客様の大切な記憶を、弊社の特殊なデータベースに保管しておくというサービスになります」 僕には幼少期の記憶がない。今までは成長するにつれて幼い頃の記憶を忘れていくようなものだとしか思っていなかった。一般的には誰にでも起こることで、なんら不思議なことではない。 ただ、目の前に現れた鈴木という男は、その時の記憶を抜き取って保管しているから思い出せないのだと言い、もしかすると本当にそうなのでは? という考えが僕の頭をめぐる。 「別にお金をいただこうと思っているわけではございません。料金はすでにお母様がお支払いされていますから。神崎様には、その記憶を戻すのか、それとも処分してしまうのかを決める権利がございますので、どうなされるかを本日中に確認させていただきたいのです」 僕は迷っていた。自分の忘れた、というか無くした過去を知れるというのだから当然だ。ただ、この不審な男を信じていいものかと踏ん切りがつかない。 しばらく沈黙が続いた。誰かが空間を切り裂いたかのような静寂が辺りを包む。頭の中には様々な考えがぐるぐるとミキサーでかき回されたようにごった返していて、今にも沸騰してしまいそうだ。 「悩みますよね」 再び鈴木が口を開いた。 「実は今の母親は、本当の母親ではないんです」 本当の母親ではない? 僕は養子にでも出されたのか? いや、うちは母子家庭で裕福な生活をしているわけではない。そんな人が僕を引き取れるのだろうか。考える余裕が無くなった僕は言う。 「記憶を戻してください。本当のことが知りたい」 「では明日、こちらのまで来ていただいてもよろしいでしょうか?」 鈴木から住所の書かれたメモ用紙を渡され、一礼したあと笑顔で去っていった。 翌日、指定された住所に向かうと『記憶保管庫』と書かれた市立病院のような建物があった。 大きなガラスの自動ドアをくぐると、鈴木が白衣を着た男とともに出迎えてきた。 「本日はご足労いただきありがとうございます。こちら、技術員の高山です」 挨拶を交わしたあと、彼らに導かれるままにエレベーターに乗り込み、処置室のような部屋に案内された。そこにはメカメカしい椅子とヘッドセットが真ん中に鎮座しており、大きな黒い箱が横に並んでいた。 「これが記憶復帰装置です。SF映画の世界みたいでしょう? 隣の黒い箱には神崎様の記憶が移送されております。あの椅子に座ってヘッドセットを被ると、三十分程で記憶の転送が完了するんですよ」 高山はそう言ったあと、別室に向かい準備を始めた。不安が募る。本当に記憶を取り戻してもよいのだろうか? そんなことを考えていると鈴木が口を開く。 「不安ですよね。でも大丈夫です。私達には実績もありますし、失敗したこともありません。椅子に座っている間は眠りにつくように設計されているので、一瞬ですべてが終わりますよ」 スピーカーから「準備できたので椅子に座ってください」と高山の声が響いた。 僕は椅子に座ってヘッドセットを被る。 すぐに意識が遠のく。無意識の世界で、知らない女性が僕に優しく語りかけている。 ――お母さん? 目を覚ますと鈴木が僕の前に立っていた。 「無事に終わりましたよ。お疲れさまでした」 眠い目をこすり、僕は椅子から立ち上がる。そこで自分の幼少期の記憶が蘇っていることに気がついた。 「僕のお母さんは死んでいたんですね」 僕の母親は死んでいた。僕が幼い頃、病気にかかってしまった。そして、僕に悲しい思いをさせないようにと記憶を取り除いたんだ。 「記憶保管庫は本人の意志を無視して記憶を消去することができないんです。お母様の意志に反してしまう形になってしまったのですが……」 「いいんです。それと今の母親にはこのことを黙っておこうと思います。それこそ母親の意志を知っているわけですから、悲しませたくない」 僕は鈴木に礼を言ったあと、記憶保管庫を出て家に真っ直ぐ帰ることにした。外は眩しく、生き生きとした世界がそこには広がっていた。 *** 「鈴木さん、ちょっと来てください」 神崎さんが帰ったあと、私達は記録室で今回の仕事の報告書を書いていた。 「どうかしたのか?」 「これって先程の神崎さんのカルテですよね? で、これが別のカルテなんですけど」 「まさか同姓同名の利用者の記憶を取り違えたっていうのか?」 「そのまさかみたいです」 山田は少し焦った様子だが、私は至って冷静だった。記憶復帰での失敗は今まで起こったことが無い。すべて無事に終わらせてきたのだ。 「私がどうにかしておく」 「すみません鈴木さん。あとはよろしくお願いします」 山田が部屋を出たあと、私はパソコンに向かい仕事に取り掛かった。
今の世の中退職代行や,様々な代行が流行っている。だが僕はこんなシステム使わない,この世は自己責任が原則としてある時点で適性が自分にはなかったと思いながら僕は淡々と日常を過ごす。そして僕はいつも通り高時給のバイトをやった,時給5万円とはいえ段ボールを運ぶ仕事であまりにも容易に稼げることに疑問を持ちながら僕はドスッ、バタっと音を立てながら仕事をし続けた。即時取得なおかげで少し思い封をガラの悪い大人にもらう、これだけはいつまでたっても慣れない。そして僕は疲れを取れていない身体でのそのそと明日の身支度を過ごした(緊急、〇〇公園集合)と突然メールに送られた。そして僕は例の公園に集合した。(ほら,バール持て、近くの古民家探すぞ、そして命令は言わなくてもわかるよね??あ??)ガラの悪い男にバールを使えとゆわれた,油断していた、闇バイトのような匂いはわかるが,いつも通りやってしまったのが仇となった。そして僕は淡々と諦めをつきながら僕は仕方なくバールを持つ,そしてやってしまった、家の主人をあるがまま殴り,倒し,殺してしまった。そして僕は急いで逃げた。そしたら僕は咄嗟にバラックのような錆びれた古屋に逃げるように突っ込んだ。(はあ,はあ、はあ,)滴る汗が地面に垂れ流される。(お客様ですか?ここは例外がない代行サービスを提供させていただきます。ご要望があるなら早急に受付まで)そして僕は受付に住所や,個人情報諸々紙に書き綴った。僕は近くのサイレン音に恐怖を覚えながら身を隠すように端っこの席に包まるように体育座りで受付近くの椅子に座った。(沖河原さん,どうぞ)うずくまる体勢からゆっくりと席から立つ、体育座りしていたせいで足が痺れながらのっそりと受付に向かう,この時はあまりにも捻挫して引きずるような重々しい歩き方をしていたのを鮮明に覚えている。そして僕は奥の奥の少し怪しげな部屋に向かった。(沖河原さん、今回は本当にありがとうございます。ちなみに要件は何でしょうか?)唾をゴックリと飲む(ぼく,今さっき、、殺ってしまったんです、人を、、何でやってしまったんでしょうか,とりあえず何かしらできることありませんか?)少し若い女性が声高らかに(あなたのような相談は今回が初めてです!腕がなります!ちなみにここでは犯人代行サービスとゆう提供ももちろんございます)僕は内心ほっとしていた、でももう人の皮を被った化け物だとゆう自覚も同時に感じた(そしたらですねー、このサービスでは代行者がもちろんございますね,そしたらこの方にあなたの顔とそっくりに整形させていただくよう後でお願いいたしますので、署名と契約お願いします)僕は淡々と鉛筆をカツカツ音を立てながら書き記した。(そしたら沖河原さん,今回はここに泊まっていただきますね、外を出て警察にバレてしまったら業績にも響きますので、そして僕は軽くうたた寝をしなながら淀んだ空気の中過ごした。翌日少し重く感じながら起きた。そしてテレビの音に嫌気をさしながら画面を覗く(ニュース速報です,昨晩の強盗事件の犯人である沖河原を確保することに成功しました。今後情報として随時報道していきます)代行は成功したらしい、しかしその分もう親とは実質的に絶縁なってしまったのは覚悟の上で契約したとはいえここだけはあまりにも親不孝だったと悔いも悔きれない後悔が僕の跡をつくような気持ちが憑き纏う。(それではこれからあなたはこの代行サービスで働くことになりますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。そして僕は雑用を今でも働いているが,これは天国のようで地獄のような後悔が自分自身の感情に問いかける、逃げ勝ちとは言ったもののあくまで殺害をするまで僕はただの一般人なのだから,そして僕は報いきれない気持ちを背負いながら仕事をした。(沖さーん、仕事入りました,〇〇美容外科に通っていただくと思いますが安心してくださいね!)僕の名前は沖に変わった,まあ,仕方ないな,名前を変えないとだからな、そして僕は整形外科に生き急ぐように向かっていった。しかし向かう先の家が少し荒れてる気がする,また僕のような加害者が相談しに行くんだろうな,と少し優越感を感じながら通り過ぎた。にしても整形する同じ顔の人、テレビに映っていなかったっけ?(ニュース速報です!赤平容疑者が今逃走していますので、近隣の方々は注意して過ごしてください、似たような顔を見つけた際には警察にすぐ連絡お願いいたします)プルルル、プルルル
「パパ、これなあに?」 「……どれ?」 空にヒモのような物が見えた。 でも、私しか見えていなかった。 少し引っ張ってみたら、世界が揺れた。 地震とは違う。 大きな手が地球を掴んで、ゆさゆさ揺らしたよな揺れだ。 その日、電柱がたくさん倒れたらしい。 「やばいやつだ」 私は、ヒモのようなものを決して触らないと決めた。 でも、ヒモは私の部屋の中にあるし、さらに言えばベッドの近くだ。 ごろんと寝返りを打てば、ひっかかってしまいかねない。 「部屋の模様替えしたのか」 「うん」 私は、ヒモのある場所に近づかなくていいように、家具を移動させた。 部屋の角の一つだけに、何も置かないちょっと変な見た目になったけど、仕方がない。 世界のためだ。 「早く一人暮らししたいなあ」 私は今日もベッドから、ヒモのようなものを見ている。 毎日が楽しい訳じゃない。 死にたい日もある。 そんな時、あのヒモを引っ張ってなにもかも失くしてしまいたくなってしまう。 だから、私はあのヒモから早く逃げたい。 「県外の大学に?」 「うん」 「うちにはお金が」 「バイトするから」 大学に、無事合格。 私は、大学の寮に入ることができた。 「こんにちはー! 私の新生活!」 四人一部屋、ドミトリー式の寮。 私のベッドは、入って右側の、上側のベッド。 天井には、ヒモのようなものがぶら下がっていた。 「おっと、マジか」 試しに、少しだけ引っ張ってみた。 大学の使われていない教室が爆発した。 「先輩、ベッドの位置変わってください」 「嫌よ。私、高所恐怖症なの」 このヒモは、いったい私に何をさせたいのだろうか。 私は自分の手足を紐でぐるぐる巻きにして、寝ている間にヒモのようなもの触らないようにした。 「何やってんの?」 「寝相悪いんで」 その日の夜に、夢を見た。 夢の中に出てきた王様は、世界を破壊するスイッチを持っていて、常に押さないようにと苦しんでいた。 夢の中で私と目が合って、王様はニヤッと笑った。 『お前も同じ苦しみに合え』 私は前世で、こいつに何かしたのだろうか。 それとも、単なる八つ当たりの相手に選ばれたのか。 私は思いっきり舌を出して、王様を睨みつけた。 ヒモは、今日も天井からぶらさがっている。
「なにニヤついてんの?」 テレビを見ていた夫に、妻が声をかけた。 「ここの大将、“素材で勝負、取材お断り”だったんだよね」 「で、何なの?」 「レポーターが推しの芸人だから、取材受けたって」 「いいじゃない、別に」 妻は、呆れ顔で夫を見た。 「でも、美味しそうよ」 カウンターに、色とりどりの寿司が並ぶ。 「私、こんな高級なお寿司屋、行ったことない」 「俺もない」 「今度、連れてってよ」 夫の顔を覗き込んだ。 「ん……俺さ、カウンターの寿司屋、ダメなんだよね」 「何で?」 「おじさんが素手でペタペタ触ってるんだよ」 「握りって、そういうもんでしょ」 「いろんなとこ、触ってるよ」 画面の中で、大将とおかみが、楽しげに笑っている。 妻は目を細めて呟いた。 「そうね……回る所でいいわ」
暇な夜。 オナニーするのも何なので知り合い何人かに電話をかける。 パンツを下ろしながら。 でも誰も出ない。 孤独な夜。 今日は畑に行った(畑中毒気味) 皆さん色々忙しいのかしら。 暇なので文章を綴る。 知り合いのうちに煙草を貰いに行った。 難民のようだ。 難民のような知り合いは悪口をメールで言ってくる。 隣近所の人に挨拶して無視される。 都会の孤独。 コーラが飲みたい。 おにぎりが食べたい。 でも粗食。 痩せていた方が長生きするらしい。 もっと食べて太った方がいいと言う看護師がいる。 夜職でお客にお酒を勧めるのが上手いのだろう。 悪意のある夜。 誰からも必要とされないので勝手に物語を作る。 これでいいのだ。
その古本屋では食事ができます。メニューはありません。 「僕にもひとつお願いします」 「にゃ」 ねこの店長さんが軽快に返事をしました。 「さっきこのお店で一冊、買ったんですけど」 「にゃ」 「100円引きですか、やった!」 しばらくすると食事が運ばれてきました。 「にゃ」 トレイの上には、こんがり焼けた厚切りのトーストに、とろりとバターがのっていて、真っ赤ないちごのジャムも添えられています。もちろん、飲みものも。 「わー、おいしそう。いただきます」 すると、お店の奥から声がかかりました。 「ねえ、店長。和定食もやってよ。ごはん、みそ汁、焼きのり、目玉焼き、とかでいいからさ」 「にゃ」 「えー、めんどうって、それもわかるけどさあ」 「にゃ」 「そもそも、ここは古本屋だ、って。それはそうなんだけど」 「にゃにゃにゃ」 「わかったよ。ごめん、ごめん」 客足も落ち着いて、ねこの店長さんは、ひと息つくようです。 「にゃ」 ねこの店長さんは、ご機嫌で本を読んでいます。 「にゃ」 ペンギンの絵本のようです。 「にゃ」 ねこの店長さんは、ペンギンが空を飛ぶものと勘違いしているようです。 「店長さあ、ペンギンは空、飛ばないんだよ」 「にゃ」 ねこの店長さんは、がっかりしながら本を閉じると、かたわらに置かれているカップを両手の肉球で支えながら、舌だけでぴちゃぴちゃやって喉をうるおしました。 「にゃ」 「え、人だって飛んでるんだから、ペンギンだって、いつか飛べるだろうって」 「にゃ」 「そうだね、いつか…」 「にゃ」 目を細めて笑いながらも、ねこの店長さんは、ちょっと眠たそうです。そろそろ今日の営業もおしまいかな。お客さんたちが、ゆるゆると帰り支度をはじめます。ねこの店長さんの目がその日、ふたたび開くことはありません。きっと夢のなかで、ペンギンと一緒に空を飛んでいるのでしょう。きっと、そうにちがいありません。
57577に投稿した短歌です。 ヘリウムに「好き」の二文字を馴染ませて 風船に積む伝われ君へ ガスを編み作った言葉ふんわりと 空気に浮かべて降らす愛の雨 星々が雨で溶け落ち海の澱 海月照らす月ミッドナイトブルー テーブルで咲き誇る日を待つ蕾 今夜も夢で綻ぶ練習 月光に透ける身体を貫かれ 深更に目を閉じる硝子戸 月光と踊るカーテンひらひらり 背後に添える秒針の音 ワイパーに導かれ弧を描く雨 信号煌めくスタートレイル ベランダの手摺りに並ぶ雨粒が 夜空に馳せる雨名月
寝坊をして急いで駅に行く。完全に遅刻だ。 ホームはいつもと違い通勤ラッシュが過ぎて穏やかな雰囲気になっている。 自販機の前で小さな女の子と母親がどれにするか楽しそうに話している。 その近くにホームから線路を覗くスーツ姿のオジサンがいた。 私が会社に遅刻の連絡をしている間も、ずっと線路を入念に観察している。落とし物なら駅員に言えばいいのだが、まさか降りて取らないよなっなんて思うくらい真剣に探している 「落とし物ですか?」 「え、あっ、はい。そうなんですよ」 「駅員に言って取ってもらったほうがいいですよ」 「はい、そうなんですが、どこに落としたか分からなくて」 「何を落とされたんですか?イヤホンとか?鍵とか?」 オジサンは笑顔で右腕を上げながら応える 「右手です。この間轢かれたときに、右手だけ、どこかへ行ってしまって」 「ママこれなに?」 自販機の下を覗いて小さな女の子が何かを指さしている
最近忙しくて小説が書けない。 でもだからといって理由にはならない。 かいている人はそれでも書いている。 ちょっとしたものでも書いてみようかしら。 詩でもいいね。 一日一個でも。 塵も積もれば山となるかな。 小説はじめました。
カモメが浜辺で潮風を浴びている ここで言うカモメとは鳥ではなく人だ カモメはただの人ではなくウルトラマンである 「おい!カモメ!」 この叫んでいる柄の悪いオジサンは雨太郎。彼もウルトラマンである 「あそこで日向ぼっこしている、おっぱいの大きいお姉ちゃんに『一緒に焼きそば食べませんか?』って聞いてこいよ」 「嫌ですよ。僕は家族と来ていんですよ」 「なんだよつまんねーな」 夏休みに入りカモメは妻と息子を連れて海に遊びに来た。息子が雨太郎おじちゃんと一緒に行きたいと言うので、誘ってみたら雨太郎さんは意外と乗り気で今日を迎えた。雨太郎はビールと焼きそばを買って炎天下の中水着の女性を見ながら過ごしている 妻と息子は渚で貝を拾うのに夢中だ。たまに波に遊ばれてはしゃぎ声が聞こえてくる 「おい!カモメ!」 この叫んでいるのは紛れもないウルトラマンの雨太郎である。今はだらしのない酔っ払いのオジサンだ 「もう…なんですか?」 「あれヤバイぞ」 雨太郎はそう言うと全速力で走り出した。熱中症でアルコールが周りおかしくなったのかと思ったが、今の目は怪獣が出てきた時のウルトラマンになる前の目をしていた。カモメが後を追うと、雨太郎は迷わず海に飛び込みジャバジャバと不器用に泳いでいく。カモメは雨太郎の行く先に人影を見た。海面から慌てた手が出たり入ったりしている。遊泳禁止なのだろうか。近くにライフセーバーはいない。 稲光が走り出し、木が倒れるかのような轟音が鳴り響く 怪獣が現れた 山程の大きさのある怪獣が海に降り立ち浜辺に巨大な津波が押し寄せる 辺り一面が海となり道路や家を覆い尽くす。 穏やかな砂浜は瓦礫の浮かぶ海と変わった 浜辺にたくさんいた人々も見えない カモメがウルトラマンになり怪獣を倒す頃には津波は引いていて倒壊した街が広がっていた 瓦礫の砂浜でカモメは妻と息子を夢中になって探す 今までにもたくさん救えなかった命がある。その度に自分を責めてきたが、今回は気が触れてしまいそになっていた。 「カモメ!」 呼ばれて振り向くと妻と息子が手を振っている。息子は喋れないから精一杯手を振っている。二人とも笑っている 「おつかれさん」 雨太郎さんが水着のギャルを両脇の抱えビールを飲んでいる 「雨太郎さんこれは?」 雨太郎の後ろにはこの街の住人であろう人々が集まっていた 雨太郎は先ほど溺れているギャルを見つけて助けにいった。泳いでみたが酒が回って上手く泳げないので、面倒くさくなってウルトラマンに変身したのだ。その直後怪獣が現れた。雨太郎は怪獣退治を早々に諦め、光の速さで移動して人々を助けていたのだ。 「おい!カモメ!」 「…なんすか?」 「良くやった」 「はぁ…」 「パパカッコよかったよな?」 雨太郎さんが声の出ない息子に聞くと、息子は親指を突き出してきた。 サイレンがなっている。レスキュー隊が近付いている。 また一つずつやり直していく。 それしかないから。 僕らも一つ一つ助けて行く。 それしかないから。 苦しくても苦しくても。
「ついに人類は、男性を造ることに成功しました!」 関節まで完全に再現した機械の体。 そして、学習を繰り返したAIの脳。 男性型アンドロイドは、完璧な歩行を見せた後、ステージ上の椅子に着席した。 そして、稼働音と共に、足を百二十度開いた。 まるで股間を見せつけるように。 「違う! こんなの男性じゃない!」 「欠陥品だ!」 「冒涜だ!」 完成した男性型アンドロイドは、記者会見中に販売の中止が発表された。 記者会見後、開発者たちは意気消沈。 開発者の一人が、弱弱しく口を開く。 「あのー、第二弾の女性型アンドロイドはどうしましょう?」 「馬鹿! 男性型でこれだけ燃えたんだ! 女性型だとさらに燃えるに決まってんだろ!」 二体のアンドロイドは、今も倉庫の中で眠っている。
車に鳥のフンが付いていると 何で鳥のフンが付いているのかと アレやコレやと考えるが そんな事に理由は無い 彼等がフンをした先に僕の車があっただけだ 人生に起こる全ての事物に大した意味なんて無いものも沢山あるのだろう 偶然やたまたまと言うそれらは、歩いてきた道に花を咲かす事はしたとて。
何か眠れない。 意味もなく夜自転車でブラブラする。 何か似たような人達が行き交っている。 皆夜行性。 野生。 野っぱらで馬で駆けていた時代からずっと変わらない。 干し肉食いたい。 木の実食べたい。 時代が変わっても変わらないもの。 脈々と続いていくもの。 まあ明日も日々は続くし。 夏の東日本は荒くれ者が闊歩する。 僕は縮こまって暮らす。
窓の外から食べ残したオムライスが見えた。 僕は今日も、ここで雨宿り。 溜まった洗い物、隅の方に積まれた衣類達、地べたに寝そべる人間が一人。 胸がざわつき落ち着かない。 あの子は今日も、悲しんでいる。 僕がこの世を去ってどれだけの時が経ったのだろう。 僕らは今も、ひとりぼっち。
初夏の頃より、教室の硝子窓は絶えず開かれておりました。 風は白き薄幕を揺らし、廊下側の生徒らの髪を乱しましたが、不思議なことに、中央の卓を囲む令嬢方の前髪のみは、いささかも崩れることがございませんでした。 わたくしは、その理由を長らく理解できずにおりました。 昼餐の鐘が鳴りますと、令嬢方は自然に集われました。 誰かが呼び集めるのではなく、まるで舞踏会の順路があらかじめ床へ刻まれているかのように、静かに、けれど寸分違わず、教室中央の卓へと着席なさるのでございます。 そこへ列するためには、幾つかの条件が必要でございました。 まず、沈黙を恐れぬこと。 次に、己の容貌へ疑いを持たぬこと。 そして何より、他者より愛される資格を、生まれながらに備えているように振る舞うこと。 わたくしには、そのいずれも欠けておりました。 しかし、選ばれたものにしか見れない景色がございます。だから、わたくしはそのふりをし続けました。 舞踏会にはいくつかの規律がございます。 わたくしよりも美しいものには笑顔を絶やさないこと。 わたくしよりも承認されている方からの皮肉は笑顔で受け入れること。 わたくしよりも地位の高い者より大きい声で話してはいけないこと。 そして何より、自らが傷ついていることを、決して他者へ悟らせぬことでございました。 教室の中央には、常に陽が差しておりました。 冬の薄い日差しでさえ、不思議なほど彼女らの肩や髪へ柔らかく落ち、硝子窓へ映る姿までも美しく見せたのでございます。 わたくしは長い間、それを偶然だと思っておりました。 けれど違いました。 あのお方たちは、生まれつき光の当たる場所を知っておられたのでございます。 どの席へ座れば最も美しく見えるのか。 どの角度で微笑めば男子学徒らが沈黙するのか。 誰へ話しかけ、誰を無視すれば空気が乱れぬのか。 そのすべてを、まるで本能のように理解しておられました。 わたくしは、それを学ぼうといたしました。 鏡台の前で笑顔を練習いたしました。 雑誌を読み、言葉遣いも学び、写真へ写る際には必ず左側の頬を見せるよう努めました。 食事の量さえ調整いたしました。 空腹は、美しさの代価であると信じていたのでございます。 けれど努力というものは、どれほど慎重に隠しても、どこかへ滲み出るのでございます。 ある日、わたくしへ、 「最近、すごく可愛くなったよね」 と仰いました。 その瞬間、卓の令嬢方が一斉にわたくしを見ました。 ほんの数秒ほどのことでございました。 けれどわたくしは、自らの身体が品定めされているのを感じました。 前髪。 唇。 脚。 声。 笑い方。 その全てが値踏みされ、階級を測られているのでございます。 わたくしは微笑いたしました。 「そんなこと、ございませんわ」 そう申し上げながら、胸の内では歓喜しておりました。 選ばれた方より、美しいと認められること。 それは勲章にも等しいことでございました。 しかし同時に、わたくしは理解しておりました。 令嬢方は決して、わたくしにはならないということを。 たとえ同じ化粧を施しても。 同じ香水を纏っても。 同じ場所で笑ってみせても。 他の方々は自然であり、わたくしは模倣なのでございます。 その差異は、恐ろしいほど明白でございました。 写真を撮る際、それは殊更に露わとなりました。 何気なく中央へ立たれるだけで、周囲の景色を完成させました。 わたくしは違いました。 どこへ立つべきかを考え、顎の角度を気にし、笑顔を調整しなければならなかったのでございます。 その時ようやく、わたくしは悟りました。 あのお方たちは、生まれつき光の当たる場所を知っているのだと。 そしてわたくしは、その光へ最も美しく照らされる角度を、生涯かけて探し続ける側の人間なのでございました。
心を平穏に保てればいい。 表向きは静かだ。 でも心はどす黒いものが蠢いている。 宗教でもやって改心すべきかも知れない。 植物のような心でいたい。 虫のような効率のみで動けたら等と考える。 でも不合理。 みつばちハッチ観とけばよかった。 キング牧師は権利を勝ち取ったが恨みを買った。 僕は権利を剥奪されるかもしれない。 避難場所は宗教施設か大阪のドヤ街か。 隣近所ではハクビシンが家に入っていく。 きっと動物の避難場所なのだ。 動物は避難できる場所が少ない。 僕はまだ恵まれている方だ。 今日は犬を撫でた。 僕もまた社会に撫でられている。 よしよし、悪さしないで番張っておけよ的な。 こんな弱い番犬は皆見たことがないだろう。 流れ星銀河読んどきゃよかった。 野良犬は猫とネズミを携え蜥蜴とカラスと猿を牽制する。
57577に投稿した短歌です。 幸せと共に絡めるナポリタン 笑顔見守る優しい目玉焼き 錆び付いた立看板に迎えられ 香る紫煙と珈琲を纏う 淹れたてのウィンナーコーヒーに憧れ 硝子を叩く漫ろ雨 天辺に涼月に似たアイス載せ 得意気に笑むクリームソーダ 経年の艶を奏でるテーブルに 映えるコーヒー寝そべる灰皿 珈琲と燻る紫煙を飲み干して 雨後の目映い世界へ踏み出す ストローでミックスジュースと一緒に あなたと過ごす幸せ吸い込む
「桜散る」彼視点のお話です。 ────── 六月の雨は、春先のそれより静かだった。 空気に溶け込むみたいに細く降り続け、街全体をゆっくり湿らせていく。 駅を出た瞬間、傘に小さな雨粒が触れた。また雨か、と思う。最近は、晴れていた日のほうを思い出せない。 横断歩道を渡りながら、ふと駅前のカフェへ視線を向ける。 ガラス越しに見える窓際の席。六月になっても、まだあの店を避けられないでいる。 思い出したくないわけじゃない。むしろ逆だった。 忘れられない。 **** 四月の中頃、その日も雨だった。昼過ぎ、彼女からメッセージが届いた。 《今日、時間ある?》 短い文だった。 続けて送られてきた店の名前を見た瞬間、胸の奥が澱む。 付き合い始めた頃によく通ったカフェだった。 最初のデートで入った店。 あの頃はまだ互いに遠慮ばかりしていて、会話が途切れるたびにコーヒーカップへ視線を落としていた。 それでも帰る頃には笑っていて、また会いたいと思っていた。そんな記憶が残っている場所。 待ち合わせの十分前に着いた俺は、店の前で立ち止まった。 雨粒が軒先から落ちている。 ガラスに映った自分の顔は、思ったより疲れて見えた。 店に入ると、昔と変わらないコーヒーの匂いがした。 窓際の席に座り、外を眺める。雨に滲んだ景色は輪郭が曖昧で、時間までぼやけていくみたいだった。 彼女は少し遅れて来た。 「ごめん、待った?」 いつも通りの声でそう言った。 「いや、今来た」 嘘だった。 彼女は向かいに座り、カバンの水滴をハンカチで軽く拭く。その仕草を見た瞬間、昔の記憶が不意に蘇った。 雨の日、一本の傘に無理やり二人で入って歩いた帰り道。肩が濡れるたびに笑い合ったこと。 なのに今は、向かい合っていても距離が遠い。 「懐かしいね、ここ」 彼女がメニューを閉じながら言う。 「そうだな」 「まだこのケーキあるんだ」 小さく笑う声。 俺も笑おうとして、うまくできなかった。 会話は途切れ途切れだった。沈黙のたび、窓を打つ雨音だけが聞こえる。 彼女は何度か外を見て、それから静かにコーヒーカップを置いた。 「……ねえ」 その声で、終わるんだと思った。 いや、本当はもっと前から分かっていた。 桜が散る雨の日。彼女が俺の背中を見ながら歩いていた時には、もう。 「もう、終わりにしよう」 雨音が少しだけ強くなる。俺はすぐに返事ができなかった。 引き止めようと思えば、できたのかもしれない。 でも、その先を想像できなかった。以前みたいに笑える未来を、もう思い描けなかった。 彼女は俺を見ていた。責めるでもなく、泣くでもなく。 ただ、静かだった。 たぶん彼女は、とっくに気づいていたんだと思う。 俺の気持ちが少しずつ離れていたことに。 返事が遅くなったこと。 沈黙が増えたこと。 並んで歩くことが減ったこと。 全部。 それでも何も言わず、隣にいてくれていた。 胸の奥が重く痛む。なのに俺は、何も言えない。 「……うん」 最後に出たのは、それだけだった。 彼女は小さく頷き、「そっか」 とだけ言った。 それから少しだけ、昔の話をした。 初めて来た日のこと。 閉店まで居座って店員に苦笑されたこと。 駅まで遠回りして帰ったこと。 まるで、本当に終わらせるためみたいに。 店を出る頃には、外は薄暗くなっていた。彼女は傘を開き、「じゃあね」 と笑った。 俺も何か言おうとして、結局「気をつけて」 しか言えなかった。 彼女は振り返らず、雨の中へ消えていく。 俺はしばらく、その背中を見ていた。 **** 六月の雨は、今日も止まない。 信号待ちをしながら、俺はぼんやり空を見上げた。 別れてから、一度も連絡は取っていない。それでよかったはずだった。 終わった恋だ。自分で終わらせた。 ──なのに、雨の日になると思い出す。 カフェの窓際。 コーヒーの匂い。 彼女の「懐かしいね」という声。 記憶だけが、湿ったまま残り続けている。 青に変わった信号を見て、歩き出す。 傘を差しているのに、スーツの袖が少し濡れていた。まるで、自分の中に残った感情みたいだと思った。 空を見上げても、雨はまだ静かに降り続いている。
ミステリイに、はまっている。僕が、ではない。みっちゃんが。 「推理小説って、あれよね、トリックの発表会みたいなのね」 「え?」 「ひとつの物語として読んだとき、やけに無理やりすぎちゃって多大な違和感をかかえながら読み終わることになっちゃうのよね。そんなこと多いのよ」 「…そうなの?」 「動機に見合うだけの壮大で画期的なトリックだったり、大がかりな装置だったり、誰もが注目するイベントを狙ってとか…」 そこでみっちゃんは、ひとつ間を置いた。僕はみっちゃんが続けると思って何も言わなかったのだけど、みっちゃんは僕に何かを言ってほしそうにしていた。たんなる「うんうん」とか「それで?」といった合いの手のようなことを。なんとなくそうかなあと思って僕が、 「うん。それで?」 と言うと、みっちゃんは二ッとしてから言葉を続けた。 「わからなくはないけどバカみたいとも思うのよね。心底、望んでるのがその人物の死だけでよくってそれ以上のことを考えないんなら殺しちゃうんでいいんじゃないかしら」 「ん?」 「だから、逃げるとか、アリバイ工作とか、そんなことどうでもいいんじゃない。そもそも、死んでほしいという思いの強さが壮大な事件を生むのかしら。違うんじゃないかしら。死んでほしいという思いが強いなら、ただ殺すだけのことでしょ。殺そうと思ったから殺す。それだけじゃない?」 「ああ…」 と、僕が間の抜けた返事をすると、 「まあ、でも、人を殺したことないし、この先も… ね」 と、笑えないようなことを笑いながら言う。 みっちゃんの話、ちゃんと聞いてあげたいけど、僕はミステリイに興味ないから、えんえん話されると困ってしまう。それであからさまとは思ったのだけど、 「なんか飲む?」 「あ、うん」 お店のおかみさんがビールとグラスを持ってきてくれる。手にしたビールのビンがキンキンに冷えていて、あっ、と思った。「ああ冷えてるなあ、うれしいなあ」の、あっ、ではなくて「どうしてこんなにも冷えてるかねえ。適度ということを知らないのか」の、あっ、で、だから嘆く意味での「ああ」というほうが正解に近いと言える。 グラスにビールを注いで口に持っていく。冷えすぎたビールはただただ冷たいと思うばかりでビールの正しい味が感じられない。がっかりだ。けどビールが適温になるのを待ってられるほど猶予もない。ビンの蓋は開けられている。ビールは刻一刻と死に向かっている。鮮度だ。親の仇でも討つみたいに開いたそばから流し込んでいくのが作法というもの。その流儀に則ってグラスを空にする。 「ただただ冷たいってだけだったね」 「うん」 「小説だったら、こんな些細なことからでも人を殺しちゃったりするのかしら?」 「え?」 笑えないようなことを言いながら、でもみっちゃんは、ニイイと笑っていた。 「もう一本飲む?」 みっちゃんはそう言うのだけど、もう一本ビールを追加したとき、みっちゃんの表情がどうなってしまうのか。僕はなんだか怖くなって、お店のおかみさんを呼ぶことはできなかった。
「愛をください」 黄色のワンピースに、花の髪飾りをつけた可愛らしい少女。 満たされた笑顔は、世界で一番幸せそうだった。 「愛って、なんだと思う?」 少女は小さく首を傾げる。 「わからないわ。だから、欲しいの」 呼吸をするように答える。 「きっと君は、幸せなんだね」 皮肉めいた言葉も、きっと君には伝わらないんだろうな。 ポケットの中を探る。出てきたのは小さなキャンディが一つ。 「じゃあ、僕の愛をあげよう」 少女の手のひらにそれを乗せる。 「君にはこれが愛だと、分かるかい?」 不思議な顔をするのは当たり前だろう。君の瞳は透明なのだから。 つまんで持ち上げる、中身の薄緑色が太陽に反射して輝いた。 「だってこれは、ただのキャンディでしょ?」 そう。それで終わりでいいのさ。
換気扇の音が波打っている 外はまだ明るいが、玄関の照明の下で過ごしている 脱ぎ捨てられたスリッパと折りたたまれた段ボール 人生は長い、そして今は永遠に続く 半径30cmの今を見つめる それだけ、今はそれだけをしていよう
午前八時。 薄暗い部屋の中に、玄関扉の穴から小さな光が差し込む。 男は片目を閉じ、息を凝らしてその穴を覗いた。 広角レンズで歪んだ町。 駅へ向かう人たちが行き交っていた。 目の前を肩からバッグを下げた女が横切った。 「……くそっ」 舌打ちをする。すぐに姿は見えなくなった。 するとその後ろからスーツ姿の男が現れた。 扉に手をあて、頭を斜めにして覗いた。 次の日の朝、また扉の穴に顔を近づけた。 たくさんの人が横切っては消えていく。 昨日の女── 女が消えたあと、後ろから男が遅れて現れる。 次の日も、また次の日も。 女の少し後ろに、影が重なる距離まで来ていた。 近い── 外は小雨が降っていた。 傘をさし、いつものように駅へ向かっている。 傘で顔を隠した男が後ろに迫る。 横を歩いていた老人が、女の背中を杖で突いた。 振り返り、男の姿を見ると駆け出した。 ──カチッ。 暗闇。 端から白い文字が流れる。 『サンプル動画はここまでです』 部屋の男は小さく息を吐いた。 そして玄関の扉を開ける。 眩しい── 目を細め、外側の穴に取り付けていた小さな箱を外した。
今日の夢といいながらいま書くことを考えている。 夢といったら将来は何の職業になろう(そっちの夢じゃない) 夢が面白すぎて二度寝の朝もよくある。
文章は浮かばない。 あまり読んだことがないけど詩に興味がある。 ブックオフでひとつ携えるようか。 形から入るのも大切だ。 と思っている。 毎日ちょっとでも小説を作ることが大切だと思ってやりかけの文章をストックする。 あえてそうすることによって「翌日スムーズに再開しやすくなります」とグーグルに書いてあった 心理学から一言。 小説のリハビリにひとつ
月末金がない。 ゲームを売りに行った。 まだやりかけのゲームだ。 何とか金を作る。 暇だからYouTubeに自作のラップでも挙げようかと思ったが発達なのでいまいちやり方がわからない。 知り合いのラッパーに聞こうかと思ったがわざわざ商売敵を応援するような事はしないかもしれない。 そもそも練馬の片隅のオタクの暗い悪口は誰も聴きたくないかもしれない。 世界的CEOの公開オナニー僕達はそれをNeed注射打ってきて僕は騙されてやれば許してやるやらなきゃやってやる、みたいな。 とあるYouTuberがどんなに下手でも痛くてもやった奴は最初の1歩を踏み出してる、って言ってた。 女の子に話しかけることの方が勇気がいるかもしれないので音楽を載せることの方が楽かもしれない。 絵はネットに挙げてみた。小説も。 あとは音楽か。 カラオケが好きなのでカラオケ動画挙げるのもいいかもしれない。 度胸と勇気が欲しい。 今夜もスリーピーチキンは本を読んでラジオを聴く。
雑草が風に煽られ揺れている 押されては戻り、押されてはまた戻りを飽きもせず繰り返している。 左腕に黒い天道虫が止まった ねじねじ動いている 右手で払うとどこかへ飛んでいった 声を聞きたくて話しかけたいけど 声が出なそうでグニャリとなる 偶然指先が触れたらどうなるのかなと思っているけど そんなの分かりきっているけど ハクセキレイが階段の踊り場に降り立って尾を振っている それは君たちの癖なのかな? 「可愛らしい」思わず声が出る 太陽がジリジリ首を焼いていく 夏が来る知らない夏が
五月の風が若葉の香りを運んできて、その風に吹かれ陽子もやってくる 手に抹茶ラテを持った陽子は、僕に気がつかず、眩しそうに新緑を見上げている (あいかわらず少年だな) 「おーい、陽子」 陽子が振り返り、大きく揺れるスカートと、ふわりと舞った髪 (え!?) 胸が、熱くきしむ 「どしたの?」 「え、いや、なんでも」 「なにボーっとしちゃって」 (陽子? だよなあ?) 「ちょっと。はい、これ」 陽子が差し出してきた抹茶ラテを、でも、指先が触れそうになって、僕は慌てて視線を振りほどいた 陽子と歩きはじめても、胸の痛みはうっすら残る でも、なんでなんだ 陽子のほうを向くことがすこしもできないなんて