社員の評価と言うのは、驚くほどデタラメだ。 実力が反映されていない。 例えば、入社時には学歴によって評価が変わる。 高卒か大卒か、それだけの違いで役職が変わる。 有能な高卒と無能な大卒では、後者の方が役職が高い。 役職を見てチームに誘ったら、なんと使えなかったことか。 だから、私は社員評価システムを完成させた。 一緒に仕事をした社員を星五つで評価できる。 飲食店を星の数で決めるように、仕事仲間も星の数で決まる。 完璧ではないが、今の役職と言うシステムよりもずっと精度が高いだろう。 私は社内で熱烈なプレゼンを行い、この社員評価システムを導入させた。 これで少しは、働きやすくなるだろう。 ★☆☆☆☆ おかしい。 私の評価が一になり、会社は私を斬り捨てた。 いったい、何が起こったというのだ。
国際会議・・・。 とある国の要人である僕はその祝賀パーティーに呼ばれていた。 最近ではパーティーに各国のスパイ(諜報員)が紛れ込んでいるので一挙手一投足に注意が必要だ。 スパイは匂いでわかる、なんて言われているが最近じゃクローン技術なども発達してきて以前のように仕草や匂いなどで判別しにくくなっている。 「やあ、どうもわざわざ遠くの地までご苦労様。」 パーティー内でのねぎらいの言葉に長旅の疲れを感じる。 「どうですか?各国の課題は?解決のメドは立ちそうですか?」 「その前に君が本物かどうか確かめさせてもらいたいものだな。」 そういって要人同士の間で行われる遺伝子検査キッドのセンサーを向けられる。 やれやれ、嫌な時代になったな・・・。 「そんなものに頼らなくても僕を判別できるいい方法が何種類かありますよ。教えましょうか?」 「ほう?どんなものかね?」 「僕は文化庁長官です。僕の国の最新の文化を僕が説明しましょう。何か不審な点があればすぐにシークレットサービスに伝えてもらって構わないですよ。」 「ほう、ではその最新の文化とやらについて説明してもらおうか。」 そう言われると僕は途端に気持ち悪い容貌になってこう言った。 「ブヒー!今日も僕は爆裂天使メルルちゃんの深夜アニメをリアタイで観てそのあと昼過ぎまで惰眠を貪り起きたら昼飯をパートから帰ってきた家のババアにせがみそのあと風呂にも入らず電気街のメイド喫茶のクーポンが余っていたのでお気に入りのミホちゃんのシフトを狙ってストーカーよろしく夕方までメイド服を店でろくに注文もせずに眺めてからここに来たんだ!ぶひひ!」 我ながら思う。もうこの仕事やだ・・・。
昨夜の雨の名残が残る、青空の下。 だめだ、もうだめだって思っていたのに。 「……拾っちゃったよ、子猫」 だって、雨が降った後の公園のベンチの下で、濡れてみあみあ泣いていたから。 家に連れ帰ると、先住猫たちがなんだなんだと寄ってくる。 まあ一部は、ささっと隠れたやつもいたけれど。 「新入りだよ。みんな仲良くしてくれよ」 言いながら俺は、子猫をタオルで包み込んだ。 冷え切っているわけじゃないから、きっとこれで大丈夫。 あとは動物病院に連れて行って……ああ、その後に自分の病院も行かなくちゃ。 今日は定期健診の日だ。 今すぐどうにかなるほど、どこかが悪いわけじゃない。 でも俺は、この子猫の最期を看取ることができるだろうかと考える。 長ければ、こいつは十五年とか二十年とか生きるだろう。 そのとき俺は? 元気にしているのだろうか。 「健康に気を遣っても、こればっかりはね……」 寄って来た先住猫の、ふわふわの頭を撫ぜながら呟いた。 若い頃は、未来なんて当たり前に来ると思ってた。 徹夜をしても、酒を飲みすぎても、翌朝になればそこそこ動けた。 でも今は、徹夜なんてできないし、酒は絶対身体に残る。 だから、そういう飲み方しなくなったんだけど。 みああ、みああ。 子猫が鳴いた。 「ん? お腹減ってる? 先にご飯食べてから病院行くか? でも先生にみてもらってからの方が安心だよなあ」 先住の猫たちが、なんだなんだと集まって、子猫の顔を覗き込んだ。 そのうちの一匹が、ぺろり。もう一度、ぺろり。 舐められた子猫は鳴くのをやめて、きょとんと先輩猫を見た。 「お、もしかしてお前が面倒見てくれる?」 それなら安心と思っていると、どこかでがっしゃん! と音がした。 見れば悪戯猫が、わずかに水の入った皿を、をひっくり返したところだった。 その横には兄弟猫。じゃれ合ってやっちまったってとこか。 「あー、もう、あまり暴れるなよ。お前らもいい年なんだからさ」 立ち上がる俺の足元に、子猫とさっきの世話焼き猫が絡みつく。 「おいっ、懐いてくれるのはうれしいけど、これじゃ歩けないだろ~?」 苦笑しながら二匹を抱き上げ、俺は皿の片付けへ。 そのとき、ポロンポロンとスマホが鳴った。 「ん? 誰だ……って、あっ……!」 仕事仲間の名前を見て思い出した。 そうだ、急な案件が入ったんだった。すっかり忘れてた! メッセージを読むと、どうやら集合時間が少し早くなったらしい。 「やっべ! さっさとこいつ病院連れてって、俺も病院行って、仕事行かなくちゃ!」 そこらのタオルでこぼれた水を拭き、皿に新たな水を入れてから、俺は猫たちに少しの間の別れを告げる。 「みんな、行ってくるからな! いい子にしてろよ。おいそこ! もう暴れんなよ!」 玄関ドアに鍵をかけ、駐車場までの道を急ぐ。 この年になっても仕事はしっかりたんまりあって、養うべき猫もたくさんいて。 手に持ったキャリーバッグの中では、腹をすかせた子猫が「みああ、みああ」と鳴いている。 「こりゃあ、先のことなんて心配してる場合じゃないよな」 俺はバッグを車にのせてシートベルトを締めると、キーを回してエンジンをかけた。 まずは病院。それから仕事。 今日も明日も明後日も、いつかやって来るその日まで、俺の毎日は続いていく。
I’ve been troubled by by Bedford versus everything natural bye-bye they better call the weather but I believe you have a driver available when I’m on my way the company should have a divide divide by to visit everybody got a good round of Lipo it might wait a bit I had to have it covered play cat broke over by battle right back to bed after everybody is where the one I have I have a crew here at the lab happy Labor Day by Beverly B dub through the website but the bed baby bro I’m a come back could I get a hot garbage every day but we do have a Deborah Deborah Deborah Deborah will be dead how do I find very happy bird bird bird bird and rabbit a bit every day brother Debbie Debbie will be dead by the way – I don’t have a code I do have a driver WWWW bad nobody would rather wait to be there with everybody with their bed will be delivered every bit of that jewelry that I just have a good bed without a debit every day but very busy at the river Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah OK bad but everybody whatever Deborah Deborah Deborah Presbytery be debited debited bit of a dead rabbit in Village auto Capecod vegetable divided by Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah bit of a downer bit of a double date with a dead battery battery but I wanna be dead dead dead I have a tablet bye-bye tiger never had a bit of a dead Okura Woodward about average Emma go to bed very very busy but that will be dead over with the rubber pad by the break room and I wanna live in a big deal we get it ready anyway make it a bad bad bad of a zebra or a battery will be dead goldfish back at him and I have any record of it I haven’t had a way where the valet better about that I had to go because I can’t get a bit of a downer grandma Deborah Deborah How do I please have a Deborah bad bad they having a Bad Way, Deborah bad but everybody broke have a bad by Deebaby WWE bad bad of a day but I will be there for a bit down
A。 親からつけられた、ぼくの名前。 そして、有名芸能人がのし上がるために、自分自身につけた名前。 「おーい、A! ちょっと歌えよ!」 有名な方のAは何でもできる。 歌も歌える。 ダンスも踊れる。 演劇もできる。 対してぼくは、何もできない。 出来ることと言えば、授業のノートを綺麗にとる程度だ。 何もできないから、有名な方のAの真似をさせられる。 「うっわ。へったくそ」 そして笑われる。 ここまでが、ぼくの仕事だ。 家に帰る。 ぐしゃぐしゃにまるめた有名な方のAの写真を、さらにぐしゃぐしゃにする。 怒りは全部、有名な方のAにやつあたりする。 なあ、A。 どうしてお前は、Aなんて名前を付けたんだ。 わざわざ、本名とは違うもう一つの名前として。 おかげで、生まれながらにAだったぼくが苦しんでいる。 有名な方のAに、罪はない。 わかっている。 でも、有名じゃないほうのAにも、罪はない。 罪はないのに、ぼくは苦しんでいる。 なら、理不尽くらい受け入れてくれ。 有名な方のA。 お前には、その責任があるんだよ。 馬鹿野郎。 ハサミでずたずたに切り刻んだ顔写真。 有名な方のAは、なおも笑顔だった。
秋というのは、いったい いつから秋なんだろう 秋に限ったことではないけれど いついつから、と はっきりしてくれないとこが もどかしいような そうあってくれてて、いいような 来たなあと思ったら 戻っていったりと その押し引きが 男女のカケヒキみたいで やけに、もどかしい 恋に恋しちゃいがちな身としては そのもどかしさが たまらなかったりもする ウチのねこの機嫌がよくない 最悪の状況だ 原因は、わたしにある 浮気をした いや、浮気というか 本気というか お遊びというのか 一度、行ってみたかった たくさん、ねこがいて 囲まれちゃって 圧倒されちゃって ちやほやされちゃって ちやほやしてあげちゃって 簡単に言って 楽しかった また行ってみたい けど、行くと ウチのねこの機嫌が悪くなる だから、たぶん、もう 行かないような気もしている
山で育った いまはない山で育った 山がなくなったわけではない 育ったとこが なくなった 山というか、山の奥だ ずっと、ずっと 山の奥だ ダムの下だ ダムの水の下だ たぶん そうなんだ 家も 学校も そのほか いろいろと 学校の生徒は わたし、ひとりだった ひとりで学校に行って ひとりで家に帰った 学校の帰り 木の実をとって 食べたりした 川で魚をとって 焼いて 食べたりもした それが、わたしの おやつだった となりの家なんてない 近所なんてものもない 幼馴染も、近くの公園も コンビニも、スーパーも 本屋さんも、おしゃれなカフェも 年に一回、車に乗せられ 遠いとこにある神社に行った そのお祭りで ラムネを飲むのが 最上の贅沢だった その神社にも もう、行くことは、できない 何もかも、みいんな なくなってしまったから
ザァー 強い雨が降っている。 「あ~今日友達と遊ぶ約束だったのに…」 どうしてこんなに雨が多いのだろう。 「そういえば雨が降る日ってだいたい大事な用事がある日だよね…」 思い返せば、小学校の入学式の日も運動会の日も、雨が降っていた。 勿論友達と遊ぶ日だって例外じゃない。 今日のように土砂降りな雨が降るのだ。 でも、唯一学校の行事で雨が降らなかったのは 小学6年生の時の修学旅行だったかもしれない。修学旅行の前日、学年全員でテルテル坊主を作ったのだ。それが雨を止ませたのかも知れない。 ピピピ 聞きなれた電子音が鳴る。 スマホを見ると、友だちからのメッセージがあった。今日、なにして遊ぶかを聞いてきた。 今大雨だよ? と、返信したら、 そうだよね。流石に危ないよね。 と返ってきた。 スマホを机の上に置いて、暇だし何かしようと考えた時、ふと思い出した。 小学6年生の修学旅行の前日の夜、 楽しみ過ぎてなかなか寝付けなかったので リビングに行ったら、床に懐中時計が落ちていた。いまどき懐中時計なんて珍しいから、 ためしに色々いじっていた。そうしたら カチッ という音を立てて動かなくなったのだ。 懐中時計の使い方なんてロクに分からなかったから、その日は一旦そのままにして また明日親に直してもらおうと思ったのだ。 そして修学旅行当日に懐中時計の事を話そうと思ったら懐中時計が問題なく動いていた。 親に聞いたが、誰も直してないとのこと。 不思議だったが、そのまま修学旅行に行った。修学旅行中は気にならなかったが、 多分あれは雨を一時的に止ませるものだろうと柄にもなく考えた。そんなファンタジーな話信じないが、これも一つの仮説として あるのかもしれない。
日野さんが最後の日は、ご家族と一緒に来られました。 娘さんの運転で、日野さんと奥様が後部座席に乗られているのが見えます。 ロッカーの荷物を片付けている時に、日野さんから 「僕が帰ったら読んで」 と、白い封筒に入った手紙を頂いたのです。 「これ最後のやつだから」 しっかりとした顔つきで、こちらを見てお渡しされました。 横にいる奥様が 「昨日、必死で書いておりました」と言われると 「そんな事言わんでいい」と奥様の声を遮るように日野さんが言われます。 帰る姿の日野さんは一気に老けたようでした。 それは横で付き添われる奥様を一緒に見るからかも知れません。 日野さんが帰られて、早速手紙を拝見しました。 質問手紙の返信以外で日野さんから頂くのは、 これが初めてだと思います。 □ □ □ がっぽさん いろいろありがとうございました。 がっぽさんに会えてよかったよ。 そうじのしごとはね、じまんできるしごと。 りつぱな しごと、よろこばれるしごとです。 じしんもってやってくださいよ。 がっぽさんは、体のことがある。 むりするな、やりすぎるな、 がんばりすぎるのが、がっぽさんのわるいところ。 それだけはおねがいしますね。 ぼくは、もうこれから おぼえられない。 でもがっぽさんと手紙できてよかったよ。 まいにち、たのしかった、ありがとう。 がっぽさんの手紙、まいにちよむよ。 がっぽさんをわすれないようにするのが ぼくのこれからのしごとです。 ありがとう、がっぽさん げんきでね □ □ □ 凄く力の籠った文字が、日野さんの無念も知り、 応援も伝わり、何とも言えませんでした。 これまで頂いた手紙のなかで、一番綺麗な文字で書かれてあるのは、 奥様の言われていた必死で書かれた証拠のようにも見えました。 日野さんには当初嫌な思いもありました。 それは日野さんが仕事自体を、表面的に捉えているように思えたからです。 ですが、感情の奥行きが無かったのは、実は私だったのでしょう。 都合良く言わせて貰えれば、それだけ余裕が無かったのかも知れません。 もしかしたら日野さんはそれを感じていたのかと思いました。 私に自信を持たせるようにしていた? わざと仕事を中途半端にしていた? 普通、そんなことをするのでしょうか。 もうこうなっては、何も分かりません。 施設職員の岩田さんが、私ら清掃作業員の控え室にやって来られました。 「日野さん、行かれたんですか。間に合わんかったな」 岩田さんは最後の挨拶が出来なかったことを悔やんでおられる様子。少し心残りのようです。 岩田さんが話されました。 「日野さん、いつか言われてたんです。人間、引き際が大事だって。譲る事が大切とか言われてましたよ」 私が言いました。 『少し不器用やったかもですね』 「そうかも知れませんが、その辺が日野さんらしいんですよ」 一番日野さんと同じ場所で仕事をされて来た岩田さんらしい見方と話され方だと思いました。 岩田さんが話を続けられました。 「暫く、がっぽさんに負担掛けますが、早急に人員の方は募集掛けております。これからは、がっぽさんがリーダーとなってお願いしたいのです。また新しい方の面接も同席して貰いたいですし」 暫くバタバタが続くようです。 □ □ □ 新しい清掃メンバーも決まりました。 昨日より出勤されて、本日が二日目。内心二日目来るかな…の心配も 今朝お顔を拝見出来て何よりなのです。 新しい清掃メンバーは、女性の方でした。 特徴は一言、ロボットみたいな人で、どちらかと言えばキッチリ性格の私が彼女を見てキッチリしていると判断したのですから、 相当ロボットです。 シングルマザーで、もう一件のパートと掛け持ちされているとのこと。 日野さんが私に無理するな、と言った気持ちが漸くここで分かったようになりました。 それにこのロボットさん、かなり人の言う事を聞いていなく、質問好きなようです。 これから色んな風がこの施設内に吹くのだろう、 もしかしたら吹き荒れるのかも知れません。 いろんな意味で新しい楽しみが出来ました。 『日野さんはこんな気持ちだったのかな』 これから更に分かることもあるのでしょう。 「ガッポサン、ツギハドウシマショウ?」 『手順書に書いてありますよ、その通りでお願いします』 「ガッポサン、コレハイッタイドウスレバ?」 『それは先程説明した通りです。同じ要領でやって下さい』 「ガッポサン、ガッポサンはドウシテガッポナンデスカ?」 『それは追々話しますから、先に作業の続きをやってください』 「ガッポサン、」 「ガッポサン、、」 『……』 手紙 おわり
リビングの机に置きっぱなしにしていたコップを持ち、裸足のままキッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。開けて直ぐに手前に常備しているヤクルトを手に取りイッキする。あー美味しい、乳酸菌が体に染みるわ、マジ天才、本当に幸せな飲み物。今まで何度唱えたか分からない賞賛を頭で唱えながら飲み終えた。一息つくとコップを持ちっぱなしであることに気づき、もう一本取ってから冷蔵庫を閉じる。 秋だからか、部屋は少し肌寒い。だかヤクルトは春夏秋冬いつ飲んでも美味い。 手に持ったコップをシンクへとおき、あとで洗うかと心の中で呟いているとズボンに入っているスマホが音を鳴らした。こんな夜中に電話なんてどこの馬鹿だと思いながら通話相手を確認し、思わず口元が緩む。馬鹿は馬鹿でも付き合いの長い馬鹿だった。 「よう久びさ」 「久びさ〜、起きてた?」 「まぁな、なんかあった?」 「あー、いや、用は無いんだけどさ、今から家行ってもいいかなーって思って」 「別にいいぞ、来なよ」 「お、やった!じゃ今からいくね〜」 そう告げると電話は切れ、携帯を再びズボンへしまった。しばらく待っていると玄関の扉が開く音がする。2年前に合鍵を渡した事実を再確認して小さくニヤけた。2週間ぶりに顔を合わせたのに村上は俺を見るなりケラケラ笑っている。聞くと久しぶりに見た俺がヤクルトを飲んでいるのことにツボったらしい。 「よりによって久々の再会シーンでヤクルトはないでしょ、あー無理、ホントおもろい、」 「何がおかしいんだよ、今日はまだ8本しか飲んでねぇし」 「ば、馬鹿じゃないの…ハハ、もう、お前めっちゃヤクルト大好きじゃん」 「大好きだよ」 言葉を交わしつつもヤクルトを飲むのをやめない。俺とヤクルトどっちを取るのよ!と言いながら村上が背中をバシバシ叩いてくる。おいやめろ貴重なヤクルトがこぼれるだろうが。抵抗の意を込めて叩き返す。 「痛った!おい、そうやって飲み続けてたらそのうち血液までヤクルトになるぞ寺島!」 「本望だよ、俺の夢はヤクルトの輸液注射だ」 「大馬鹿!!」 じゃれ合いながらも地味に痛い力で叩いてくる相手をいなしていると、村上と駄べり始めてから床に置きっぱなしにしていたスマホが通知を知らせる。 «やっほー、寺島起きてるー?暇なら呑まねー? » 友人の和田だった。質問に正直に答えれば確かに起きてはいるが、今は村上が部屋に来ている為暇では無い。未読無視して今日はもう寝てしまったということにしても問題はないだろう。そう思いながら何気なく顔を上げて、こちらを見ていたらしい村上とバッチリ目が合って面食らう。村上はびっくりしたような顔をしてこちらから目を逸らした。なんだよ。俺がじっと見ていると視線に耐えられなくなったのかこっちに顔を向ける。 「なんだよ、LINE返しゃいいだろ」 先程の勢いはどこに行ったんだと思いたくなるほど小さな声で呟いた。笑ってはいるが心做しか顔がしょんぼりしている。んな悲しい顔すんなよ。こいつは普段誰にも彼にもズケズケと迫ってくる割に生来の自己肯定感の低さから常に不安を抱えている。少しは自分に向けられている愛を信用してほしいものだ。 そう思いながら俺は手を伸ばして村上の顔に触れる。手で頬を撫でながらそっと顔を近づけた。村上は特に避けることもなく、その唇を受け入れる。思考が追いついてないからかもしれないが。飲みかけのヤクルトを机に置いて村上をぎゅっと抱きしめる。背中を撫でると村上も恐る恐る俺の背中に手を回してきた。 「…LINE返さんの」 「いーの」 「ヤクルト飲みかけだけど」 「いーの」 「…ふーん」 沈んでいた声が嬉しそうな声になったのを確認しつつ再び唇を近づける。キスを深くしながらベッドのある部屋へ運ぶ。優しくベッドへ倒して互いに無言で見つめあった。 悪いな和田よ、悪いなヤクルトよ、いまはお前たちよりも目の前の恋人の方が最優先事項なんだ。村上の首元に顔を埋めながら俺は思考を集中させた。
今やスマートフォンは、次々と無線充電に対応している。 仕組みはシンプル。 中学生の理科で習った電磁誘導。 コイルの入った充電器とスマートフォンを近づければ、コイルの中の磁界が変化して、誘導電流を発生させる。 ただ、それだけである。 「さあ、今日も笑顔で働きましょう!」 ところで、人間の体内でも同じことができないかと考えた者がいた。 人間に必要な栄養素を化学反応で産み出し、かつ、外部からワイヤレスに刺激を与えることで、化学反応を半永久的に起こす仕組みだ。 実験の結果は大成功。 人々は、新たな医療器具を体内へと埋め込むことで、半永久的な生きるための必須成分を手に入れることに成功した。 食事と睡眠から、解放されたのだ。 手を動かす。 頭を回転させる。 疲れ知らずの不眠不休。 人々は、無限に働く戦士となった。 副作用に娯楽への無関心が発生したことに気付ける人類は、もう残っていない。
私の目の前にヒョウがいます。 こんな間近でヒョウを見るのは初めてです。 野生動物に慣れている叔父さんは、ヒョウもライオンも猫みたいなものだと言ってましたが、こうやって見ると確かにどことなく猫っぽい気がする……かも? いや、やっぱり怖い! 「お、お婆さん……」 私は救いを求めて離れた場所で見守る占い師のお婆さんを見ました。 でもお婆さんはさっさと行けと言うばかりで助けてはくれません。 これはヒョウ占い。 ヒョウを撫でた時の反応でお婆さんが未来を視るそうです。 正直に言うと、私は半信半疑でここに来ました。 ただ知り合いからよく当たる占い師がいると聞いて、藁にもすがる思いでここへ来たのです。 でもまさかヒョウ占いだったなんて……。 できることなら今すぐ逃げ出したい。 だけど、明日は大事な祭りの日。 ずっと恋い焦がれていた隣村のあの人に告白する絶好の機会。 私に必要なのは勇気だけ。 「っ……」 私はごくりと喉を鳴らし、ヒョウに近づきました。 あと少し……もう少しで手が届く。 ああ、でも、もしかしたら頭からパクリと食べられてしまうかもしれない。 それでも! 「!」 私は勇気を振り絞りヒョウの頭をそっと撫でました。 ヒョウは一瞬目を開いて私を見たけど、またすぐ眠ってしまいました。 よ、よかった……。 「ほうほう、視えたよ。花籠だ。花籠を持ってお行き。それがありゃきっと大丈夫さ」 「わ、わかりました」 祭りの日、私はお婆さんの言う通り、自分で編んだ籠に花を一輪摘んで行きました。 こんなので本当に大丈夫なのかな……。 「ふー」 深く息を吐いて、いざ! 祭りに来ていた隣村の青年を呼び止めると、私は意を決して口を開きました。 「ずっと前から好きでした!」 彼は一瞬驚いた顔をして、それからにこりと笑って私に一輪の花を差し出しました。 「実は僕もずっと君のことが好きだったんだ。僕と恋人になってくれますか?」 私の持つ花籠で色の違う二つの花が嬉しそうに揺れていました。 END
彼はある日、古びたアンティークショップで、不思議な懐中時計を見つけた。店主は「この時計は一度巻くと、あなたが望む瞬間を永遠に繰り返す」と言った。 彼は最愛の彼女との完璧なデートを繰り返したいと思い、その夜、時計を巻いた。二人は夕日を見ながら笑い、手を繋いで歩き、愛を誓い合った。すべてが完璧だった。 しかし、翌日目覚めると、彼は同じデートの初めに戻っていた。彼は驚いたが、幸せな時間をもう一度過ごせることに満足した。 しかし、何度も繰り返すうちに、彼女の笑顔が少しずつ色褪せて見えるようになり、彼自身も言葉を覚えてしまった。喜びは薄れ、完璧だったはずの時間が重く感じられ始めた。 彼は時計を止めようとしたが、巻いたときと同じように戻すことはできなかった。デートは永遠に続く。彼女の微笑みも、夕日の輝きも、もう彼にとって意味を持たなくなった。ただ、永遠に繰り返すだけのものとなった。 そして彼は気づいた。どんなに完璧な瞬間でも、永遠に続けば、それは苦しみへと変わってしまうことを。
勉強中 勉強してて偉いとか。 真面目だとか。 そんなんじゃなくて。 生きる為にやっている。 と、よく思う。 でも、本当は勉強なんてしないで。 ぷかぷか浮いたように生きたい。 浮いたように生きたい。 これが望み。
寂しくて切なくてどうしようもなくて それでもあなたを想うこの心はきっと あなたが抱きしめてくれたなら それだけで幸せを感じられるのに 私の生きるこの道は険しくて 時々何もかもが嫌になる それでも信じていたいものがそこにあって 私に生きる力をくれるから 大切なあなた どうか忘れないでいて 私の全てを捧げた事を 例え世界が消えてしまっても その瞬間はあなたと迎えたいの 何度だって繰り返される 私の傷を 大人たちは甘い蜜だと思ってる 勘違いしないでよ 私はただ 大切な人の為に生きていたいだけ いっそこのまま終わりにしちゃえば 楽にはなるとは思うけど あなたに会えない それだけは 私を逃がしはしないだろう 大切なあなた どうか離さないで 私がどこにも行かないように 例えこの身が朽ち果てても その瞬間はあなたと迎えたいの いつか救われるだろう この心も いつか報われるだろう この痛みも あなたが側にいてくれたなら 私はどこまでも飛んでいける 大切なあなた どうかそこにいて 私の全てを受け入れて 例えこの身を引き裂かれても 私の全てはあなたのもの 大切なあなた どうか行かないで 私の知らないどこか遠くへ 例え私がいなくなっても 私の全てはあなたのもの 私の全てをあなたに捧ぐ…
ヒーローになるのが夢だ。 この街ではモンスターや得体のしれない呪いたち、反自治勢力の輩がうじゃうじゃと存在する。それらと戦い、住人を守る。派手なアクション、大技、敵を破壊して、住人達から声援と感謝の言葉を浴びる。ヒーローにとって最高の瞬間だ。 子供の頃、ヒーローに守られたことがある。路上での鬼ごっこ。躓き転んだその場所に大型の車が空から突っ込む。 その時は、車とも認識できていなかった。事が終わった後にすべてを聞かされたのだ。 暗い影が迫り、何の行動もとれない子供の前に、赤い影が躍り出た。 「――レッド参上!」 赤いスーツに包まれて、輝くその姿はまさしくヒーローだった。 大きな破裂音は車が道路にぶつかって壊れた音。身体はそこから数メートル離れた場所で保護されていた。 「大丈夫か? けがはないな?」 肩をパンパンと叩かれながら、、無事でよかったと声をかけられたことは忘れられない。 そんな漢に憧れて、ひと月前に、自治会警備署に入職した。 警備署は地味な仕事ばかりだ。署長は日々の雑務も立派な仕事だよと話す。 「平和を守ることよりも大切なのは、平和である事ことだからね」 手柄を上げたかった。ヒーローになりたい。認められたい。躍起になって、単独行動をし始めた。拾得物を持ち主に還す、落とし物を失くした場所に出向いて探す、非番の日でも残業をして住人の困りごとについて話を聞く……。 大きな事件は起きない。ヒーローが解決するような事件は――。 老人とはぐれた犬を探している最中、目当ての犬を襲う呪いと遭遇した。 犬に赤黒く光る呪詛が巻き付いている。犬は必死になって逃れようとするが、半分が体内に埋め込まれて苦し気な表情を浮かべていた。 犬が呪いに囚われて狗神になるという話は珍しくない。憑かれれば元の気性に関係なく、老人が願えば誰彼襲う悪魔になるだろう。人の良さそうな男の心配そうな言葉を思い出した。戻って来れればいいけどねえ……。 一瞬の躊躇の後、俺は犬に飛び掛かった。そのまま呪いを解きほぐそうとポケットから祝福を受けたナイフを取り出す。これで、呪いを断ち切るのだ。 同時に、警備署に繋がるトランシーバーが地面に落ちた。衝撃でスイッチが入ったようだ。 所長が何かあったか? と問いかける。 『緊急です。探し物を見つけましたが、一人では対応できません。至急、応援をください。お願いします』 躊躇はなかった。犬も自分も呪いに巻き込まれては元も子もない。 駆け付けたのは署長だった。弱らせた呪いに反対呪文を唱え、犬も俺も無事だった。 「よかった、よかった。一人で立ち向かわずに、よく呼んでくれたよ」 一人では何もできなかった。弱い警備署員だったと吐露する。 署長が否定した。君がとった行動は全て勇敢な行動だった、と。 「その血気盛んな性格を失くさないでくれよ!」 屈託なく笑いながら、肩をパンパンと叩かれながら。
好きな食べ物『焼肉』。 マッチングアプリに登録しておくと、最初のデートに焼き肉ランチを提案してくれることが多い。 運が良い日は、ランチではなくディナー焼肉だ。 食べ放題でもいいし、個別でもいい。 「カルビ! ハラミ! そしてタン!」 ガンガン頼んで、ガンガン食べる。 「とっても好きなんですね」 「はい! とっても好きです!」 人の愛で食べる焼肉は美味い。 財布は痛まないし、味は自腹と変わらない。 どこかの誰かが言っていた。 自分で稼いだ金で食べる焼肉が一番美味いと。 馬鹿言っちゃいけない。 焼肉は、いつだって美味い。 私を口説いてくる相手の言葉に適度に応答しつつ、私は肉を食べ続ける。 美味い。 愛は、焼肉の代金になりうるのだ。 そして今日は初体験。 マッチング相手が個人で焼肉屋さんを経営しているらしく、相手の家へと招待された、 扉の先には、網付きのテーブル。 本格的な焼肉屋だ。 「座ってください」 テーブルから見ることのできるキッチンで、相手は肉をテンポよく切り始めた。 肉の塊が、いつもの焼肉へと変わっていく。 今回は相手が焼いてくれる。 肉の専門家直伝の、美味しい焼き加減でいただく。 「美味しい」 「でしょ?」 今日のBGMは、苦労話。 如何に焼き肉が好きで、自分の店を持つまでに何があったか。 私の話など二の次だ。 話の中で出て来た思い出の焼肉屋が、私の思い出の店とピタリ一致した時、私のハートが焦げ付いた。 愛で焼肉を食べて来た私。 今、焼肉によって愛を焼かれた。 私は初めて、二回目のデートの約束した。 次は、焼肉屋以外の場所で。
「美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れるって言うよね」 「言うねー」 「実際、慣れるもんなのかな?」 「なれるよ。だって私、この化粧するの三日はかかるもん、髪のツヤを消さなきゃだめだし、センスの悪い服をわざわざ買ってこなくちゃ駄目だもん」 友人が見せてきたのは、化粧前の友人の姿。 髪の毛ツヤツヤ。 唇プルプル。 ファッションセンス花丸。 容姿格差をまじまじと見せつけられる写真だった。 「そういう意味じゃなくて」 「え?」 「変化するって意味の成れるじゃなくて、見慣れるって意味での慣れる」 「あー、そう言う意味か。無理でしょ。だって私、今の自分を三日も見続けること出来ないもん」 笑う友人を見ながら、私は完全犯罪の方法をスマートフォンで調べた。
貴方は嘘が上手い人。 でも、その香りだけは誤魔化せなかったみたい。 貴方が「ただいま」と毎日私を抱きしめてくれるたび そのふんわりと香る甘い香りが鼻につくの。 でも、どうしても貴方は嫌いになれなくて。 ただただその香水の香りが憎い。
︎︎灰色の煙が青空へと消える。 昨今騒がれている大気汚染など微塵も感じさせない快晴に溜息を吐いては再びハイライトを口に咥えた。 ――――「私さー、煙草嫌いって言ってるよね」 分かってる。分かってるさ。百パーセント俺が悪い。 脳内でフラッシュバックする彼女の言葉に一人問答する。 心の底から沸いて出てくる感情を押し込めるように深く空気を吸った。確かに吸った。はずなのに、効果も乏しく焦燥感が押し寄せ始める。 「クッソ」 ポケットから取り出したライターを押し込む。 風に吹かれて不安定に揺れる炎の近くに手首をやった。根性なし、ビクリと脊髄反射で力が緩み指の隙間からライターを落とした。 熱い。途端に心拍数が高まる。炎が当たった部分がヒリヒリと痛む。どうして、どうしていつも俺はこうなのか。 「あーあ……はは、阿呆くせぇ」 コンクリートに横たわっているライターを手に取った。拾う時に伸びた爪がコンクリートと掠れて嫌な感覚がした。 きっと初めから間違えていたんだと思う。 初めは幸せな――ごくごく平凡の――家族で、休日は親子で一緒に遊んだり、月に数回ファミレスで夕食をとってデザートを何にしようかと盛り上がったり、まぁとにかく、特別羨ましがられるようなものではないけれども、そういう家庭だった。 俺が小学校に上がって数ヶ月くらいだったと思う。妹が産まれた。七歳差。歳の差は大きい方だったかもしれない。でも俺は幸せだった。当時は兄妹というものに憧れを抱いていたし、産まれたばかりの赤ちゃんは可愛くて仕方がなかった。まあその赤ちゃん、二年足らずで死んじゃったけど。 死因はつまらないもので、それなりの確率で幼児にみられる後天性の心疾患。詳しい病名は忘れちゃった。 愛する末っ子が死んで家族共々悲しみましたとも。母親なんか気狂いになっちゃってさ。数年の間は意識のある限り延々と独り言を呟いてた。仕事も辞めちゃって、家にいるくせに本当に何もしないから実質シングルファーザー状態で。死んだ子供より今生きている俺のことを気にかけてくれって思ってたなあ。これでグレずに育った俺、マジすげえ。 まあさ、何が言いたいかって言うと、世の中は苦難に満ち溢れていて悪い人も沢山いるけれど素晴らしいものだよ、なんて人を見るといつか殺人でも犯しそうだなーって心配になっちゃうわけ。 脳死で物事を賞賛するのは簡単だ。現実を直視せず思考せずただ耳障りの良い言葉を並べればいいだけだし。そういうことを出来るのはある種の才能ですごく幸せなことだと思うから、それで満足しているのなら無理せずに死ぬまでイージーな考えを持って生きればいいと思う。俺が心配なのは、中途半端に現実が見えている人なんだ。現実を見ようとしている人でもいい。 そいつはとんでもなく生きづらい。 盲目的になることも許されず、かと言って素晴らしい実力も才能も権力も持っていない。現状を変えることを許されない。 努力をしたとしても百パーセント結果に結びつきやしないし、下手したら全く意味がないこともザラにあるわ、酷い現実に絶望する暇も無く恵まれたことを自覚していない人間の標的にロックオンされて的外れな説教──自慢話──を聞く羽目になる。 俺の場合は過去のツケを払ってるみたいなところもあるのかもしれないけど。それにしてはとんでもない借金苦。 ここで脳死なイージーでステレオタイプな人間に戻るのは簡単。 それでも現実から逃れられない人種ってのは確実に存在して。 現実を直視するのは苦しいよな。苦しいだろ。 結局は俺もおまえも、みんなスティグマに囚われながら生きているんだ。 ……なーんて。なにマジになってんだろうね。 出来ることなら気楽に生きたい、ってのはホントだけどね。
ある夏の日、夜空からひとつの星が消えた。 最近の夏の朝日は焼けるように熱い。 焼けるを通り越し刺すような熱さにたまらずリビングのソファから起き上がり、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出しコップに注ぐ。 時計を見ると午前7時前。 「やばいやばい」 コップの麦茶を飲みながら急いでテレビをつける。 この時間はアナウンサーが朝ご飯を食べているのだ。 もちろん仕事で食べているのだが。 このアナウンサーの美味しそうに食べる姿は見ているだけで嫌なことも忘れる。 最高の癒しだ。 さらに最近、俳優と結婚をしてますます魅力的になっている。 相手の俳優もカメレオン俳優と呼ばれ引っ張りだこだ。 男の自分から見てもかっこいい。 どちらもファンの自分からすれば最高の夫婦なのだ。 しかし、今日は番組内容を変更して放送している。 ご飯食べられなくてかわいそう。 ご飯が食べられなくて落ち込んでいるアナウンサーが言うには、世界中に衝撃が走っているらしい。 夏の大三角として知られる星の名はベガ、アルタイル、デネブ。 日本では七夕で馴染みがあるが、 ベガは織姫星、アルタイルは彦星、デネブは2人の懸け橋になるカササギのデネブ とも言われている。 突然、そのカササギのデネブが消えた。 夏の大三角の一角が一夜にして消えたのだ。 世界中の天文学者が慌てふためいている。 何も予兆などなかったのに、と。 だが、 そんなことなど今はどうでもいい。 冷たい麦茶が頭をクリアにしていく。 なぜ今朝はリビングのソファで目覚めたのか。 昨夜は確かに寝室のベッドで寝たはず。 洗濯したシーツと天日干しした布団で気持ちよく寝たのだ。 気持ちよすぎて歩いてソファまで来てしまったのか? いや、そんなはずはないと自分に言い聞かせて寝室に向かう。 女の子が寝息を立てて気持ちよさそうにベッドで寝ていた。
人間の血液は甘美である。 ヴァンパイアにとって、最高の食料であり娯楽だ。 人間の血液は完備ではない。 全てを食いつくせば、二度と手に入らない。 「臨時ニュースをお伝えします。人間が絶滅しました」 ヴァンパイアたちの耳に、衝撃的なニュースが飛び込んでくる。 国の重要機関にて保護し、大切に餌と運動を与えてきた固体たちが、一斉に自殺をしたというのだ。 ヴァンパイアたちは国へ抗議を行い、しかしどうしようもない事実に頭を抱える。 「飲みたい……。血液を飲みたい……」 僅か一日で飢餓感に全身を支配され、血液の匂いを求めて鼻を鳴らす。 くんくん。 くんくん。 町には、ほんのわずかに血液の香りが漂っている。 どこか。 血液を飲み干したヴァンパイア、その体内に。 ヴァンパイアの体は、飲んだ血液から旨味を凝縮し、自身の血液に流し入れ、旨味を全身に巡らせる仕組みだ。 それにより、全身に人間お血液と言う栄養をいきわたらせることができる。 つまり、人間の血液を飲んでしばらく、ヴァンパイアの血液は人間味になるということだ。 「おい、何を見ている?」 腹をすかせたヴァンパイアは、隣に立っていたヴァンパイアにかみついた。 「ぎゃあああ!?」 「人間ノ血ヲ寄コセー!」 ごくりごくり。 ヴァンパイアは、ヴァンパイアの血液を飲んでいく。 「おい馬鹿、やめ……」 人間は、体内の血液を三十パーセント失うと生命の危機に陥る。 ヴァンパイアもまた同様。 ヴァンパイアの吸血は、ヴァンパイアにとっての生命の危機ラインを優に超えていく。 「やめ……」 一人のヴァンパイアが倒れた。 悲鳴を上げるヴァンパイア。 そこに人間の血液が残っているんだと気づくヴァンパイア。 町の中で、怒号と悲鳴が合唱する。 「生きる……! 生きる……!」 監視カメラがとらえた映像は、どんなスプラッタ映画よりも悲惨なものだった。 「由々しき事態ね」 ヴァンパイアの姫が、映像を眺めながら赤い液体を啜る。 人間の絶滅など織り込み済み。 人造血液の開発に成功し、王族たちはさっさと味覚を人造血液にあわせていた。 自身は味に不満なまま死ぬだろうが、人造血液しか飲んだことのない子孫たちは、不満失く定期的な食糧が約束される。 家の存続を第一に考えることができるからこそ打てた、最善の一手。 「ほんと、目の前のことしか見えない庶民は嫌あね」 ヴァンパイアの姫は立ち上がり、部屋の保冷庫から赤い液体の入った瓶を取り出す。 それを執事に投げて、窓から見える城下を指差す。 「下々には、トマトジュースでも送ってあげなさい。自然派を名乗って人造血液を拒否する馬鹿どもには、自然から作られたトマトがちょうどいいでしょう?」 「御意に」 文明は進歩する。 零れ落ちる者どもを置き去りにして。
「最初の恋人はとっても優しかったの」 ふと立ち寄った高校の文化祭の相席カフェで、向かいに座った見知らぬ他校生は勝手に喋り始めた。紙コップのぬるいブラックコーヒーを口に含み、顔をしかめてガムシロップを垂らし込む。空いているというだけで選んだ模擬店だ、何をか期待せんや。首をひねって壁に貼られた手書きのルールを見返す。 『15分間席の移動は禁止だよ♪ 一期一会の出会いに感謝☆ お話を楽しんでね♡ byハッピークッキーラッキーカッフェー』 正気とは思えない文言だ。実際、正気の人間が一人でもこのクラスにいたら、こんな企画は通っていなかっただろう。 「でもすぐに気づいちゃったの。あぁこの人は優しいんじゃなくて、誰にも興味がないだけなんだって」 天井を見上げる相手はどうもお構いなしのようだ。それはそれで助かる。足を組んで片腕だけテーブルに乗せて手を組み、何が来ても受け流す姿勢を取る。 「そんなに独占欲とか思ったことなかったんだけど。でも我慢できなくって。それでバイバイ」 振ったのか振られたのかは、ほとんどの場合明らかになることはない。それぞれの言い分と矜持があるということだ。多少目の前の相手を観察してみる。明るく染めて軽さを演出した髪型の一方で、うるさすぎない爪の色味に、お出かけ用らしき〝なんちゃって制服〟から推理するに、近隣の偏差値は高い学校の生徒だろう。 試験の偏差値と話のレベルは一致しない、当たり前と言えば当たり前の学びを得たわけだ。 「二人目はバスケ部の先輩で。逆に全然優しくなかったの、そこが最初はよくて」 すぐに三人目が出てきそうな雲行きだった。とっととそっちに行ってくれれば話が早いんだが。 「それで、三人目に?」 「そう酷くて。思い返せば、あれってデートDVだよ」 「もう別れたんでしょ」 「そりゃみんないつかはね」 深い言葉だ、死が二人を分かつまで、あーめん。相手はまだ二人目と三人目について何か講評めいたコメントをペラペラと述べ立てていたが、正直違いはよく分からなかった。聞く限りどちらも多少程度の差こそあれクズ、まだ話を聞いてやっているだけマシだと思う一方、15分という期限なく話に耐えられる自信もなくなってきていた。 「それで五人目はね」 「……四人目は?」 「四は縁起が悪いから」 聞き逃したのかと思ったが、相手は〝四人目〟の恋人について五人目の話を始める。ややこしい、何人目という数え方についての新しい概念を提示してきた。 「そう、聞いて! その五人目はパワースポットとかすっごい好きで! その腕の傷は悪霊の仕業だとか言い出して」 袖をめくってくるのを手で払う。初対面の相手に勘弁してくれ。周りではメイド服姿の学生たちがだらだらと動き回っている。世間知らずもいいところだ。 「六人目と八人目は同じ人」 「これ以上に愚かな選択肢があるとはね」 ヨリを戻すことについて、周りでも話に出ては皆で一斉に止めるものだ。そして止めたうえでヨリを戻してまた涙ながらの話を聞くことになる。人類は同じ過ちを繰り返す。しかしいいこともある。〝五人目〟と〝七人目〟の二人分がこれで済む。 ところで、何人の話を聞けばいい? 手首をひねってスマホを見る。今で8分ぐらい。 「結局、今まで何人と付き合ったの?」 「んーそれは十人目になりたいってこと?」 綺麗にカールしたつけまがコチラに瞬く。こういうのにグサッとやられるタイプも世にはいるのだろう。個人的にはもう少しあっさりしている方がいい。 「今までの歴代の恋人の話を聞いてる限り、ご期待には添えなそうね」 「七人目と同じようなこと言うんだー。でも違うんだなー、恋人になるからって、何か新しいことをしてほしいわけじゃないの。あなたのままでいて欲しい、なんでも許してあげたい!」 こういう心理がクズに付け込まれる所以なのだろう。〝許す〟というのは、自分に対する言い訳として二番目に都合のいい言葉だ。 一番都合がいいのは何も言わないことだ。自分に言い訳する人生はするもんじゃない。 「九人目はね」 「その数字は縁起悪くないの?」 「いい思い出だし」 なるほど、縁起の善し悪しは、心理的なものだったわけだ。相手は思い出すかのように、幸せそうに頬に手を添える。時計は14分を指していた。 「すごくいい人だったの。でも最後にはうまくいかなくて。メソメソしながら考えたの。どうして全部全然うまくいかないんだろって。そしたら、相手に許すのと同じで、自分にも甘かったんじゃないかって思って。だから、すごく努力したんだ。たとえ四人目ともう一度巡り合っても、きっと気づいてもらえないぐらい」 言葉が胸に届くだけの時間をたっぷりとかけ、うつむいていた顔を上げると、四人目の恋人が真っ青になって座っていた。 (お題:ナンバリング)
「なぁタマワくん、君は自分と他人は同一のものだと思うかい?」 文芸部の安楽椅子を揺らしながら、部長のワダが言った。 相変わらずの漠然とした投げかけに辟易しながら、彼以外に話し相手のいない部屋では逃げようもなかった。 「同一じゃないに決まっているだろう。現に俺とワダはあまりに違うじゃないか」 彼は俺より遥かに出来た人間である。 夕暮れに照らされる顔は端正であるし、脳はその顔の小ささに似合わない容量と演算能力を誇る。あまつさえに運動もこなすのだから、いっそ恨めしいほどであった。 加えて普段から超然とした雰囲気であり人道から外れる行いをすることなく、完璧超人で通っているのだから羨ましさすら湧かない。 もはや人間であるかさえ疑わしい。 そんな彼は俺の回答に満足したのか微笑んだ。 「では、同じ学校へ通い同じ部活動に参加する我々は同じものではないということだね」 「……当たり前だろう。たとえ共通点がいくつあれど、別個の生命体には他ならない。であるのなら、同一であるわけがない」 先程から、ワダの言わんとしている事がわからない。 当惑する俺をおいて、彼はまた笑みを深める。 鞄を弄るために振り向いた逆光に潰される彼の顔には悪魔のようなシワが刻まれていた。 「では、数多の個体を一定の敷地に幽閉し同一の尺度で測り、あまつさえ優劣をつけ社会的価値を競わせることについて、どう思う?」 「……その質問に答える前に鞄から取り出したそれはなんだ?」 彼の手には、どこかで見覚えのあるスイッチが握られていた。 黒い円柱状のボディに赤いボタンが取り付けられた、シンプルなデザインのスイッチだった。 彼は俺の質問に答える気配はない。ただ見開かれた両眼で俺の目を貫いて離さないように、じっと佇んでいた。 心臓を直に握られているような、かいたことのない汗が全身から滴り落ちた。 もし、もしも。あのスイッチが俺の記憶の通りであるのなら─── 「……そう、だな。まずもって、向き不向きはあらゆ個体に対して存在する。それを評価しないまま規定の尺度のみで個体性能を測ることはあまりに浅慮だろう……」 そこまでいって、いよいよ彼の笑みは満面となっていた。 「が、しかしだ!」 かけられた親指に力が入るより早く、俺は次の言葉を繋いだ。 「なにが出来るか、向いているのかを知ると同時に、個体ごとの不向きを知ることも重要だろう。加えて人間は社会的な生物であるのだから、共通の知識や文化的背景を知ることは群れでの活動を円滑に進める訓練にもなる。つまり人それぞれ学ぶべき事は確かに有る!」 途端、吊り上がっていた頬は落ち着きを取り戻して開かれた瞳孔も収束した。 「みんなちがって、みんないい……と」 「そういわれると随分と幼稚にも思えるが、そういうことだと俺は思う」 顎に指を当て考え込む彼は、それでも尚スイッチから指を離してはいなかった。 そして彼が顔を上げた。 「……貴重な意見をありがとう。では、帰り給え」 その顔には、先程と打って変わって超然とした、今となっては貼り付けられたような笑顔が浮かんでいた。 まだ彼の手からスイッチは離れていないが、俺には彼に近づこうという意思など湧くことなく、むしろはやく遠ざかることを体が推奨しているとさえ感じていた。 「……ワダも、気を付けてな」 それだけを言い残し、俺は暗くなり始めた部室を後にした。 ……その日は食事も喉を通らず、眠ることすらできなかった。 そして深夜二時頃を迎え、突如響いた爆発音と共に、あの超越的な笑みの裏側にあったのだろう悪魔のような笑みが去来する。 脳裏に張り付いたそれは、容易には剥がれそうになかった。
I work at a warehouse every detail of a dead baby did you leave me there right by the way we did we did with a debit out of it every day that will be dead but available that will be dead Aliquippa goodbye WPW bit of a dead we’re dead we’re dead river Deborah edgy better we had Mary Edward ready will be dead baby deer will be there to be dead baby to be there today baby Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah be dead burger bit of a debit debit debit debit it will be dead I just have a kind of a WW birthday brother WWW busy but everybody will be there but I will be able to be productive I did with my dad will be dead and you have a good of a WWE debit debit debit debit debit debit debit debit debit it will be different every day every bit of it it will be the village are you gonna be WWWW www.dead River Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah village baby – are you able to get a burger burger burger burger burger whatever debit debit debit debit debit debit dead river deadwood bit of a dead with a bit of a ditch and clever good with everybody to everybody been and very edge of the bed and bedroom baby Jay will be there but I better be dead baby deer will be debited debit debit debit debit ability to really be there but I will be there in a bit of a dead but it better be a bit of a delay due to the death of a debit debit debit into Denver every day but we didn’t do it that way but if I did it every day baby dividend baby dividends of individual with a bit of an edge of the deck over the project will be dividend read it I look up at goodbyes everybody would ever have a date will be debited dead with a bit of a date with decorative a ditch WWWW www.river dental relative Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah Deborah read it again but if I did we get rid of a dead we’re dead river David every visit rid rid of an edge Alka poco WWE debit debit baby brother did you wanna believe it every day but every day at I’m broke
はじめまして 一目惚れしました だけど、振られるのが怖いから 憧れに留めておきます 誰とも付き合わないでね 私だけなのかな?
きみは夢の中に出てきた。 黒い髪で背が高いのに華奢なきみ。 最後は部屋から出ていってしまった。扉を開けて出て行くとき、こちらを振り向いて笑顔をくれたきみ。もう二度と会えないのだろうか。 初恋の人とも誰とも似つかない、私の理想の人。私はきみのことを何も知らないのに、どうしてこんなにも忘れられないのだろう。夢に見た同じ玄関の扉はここにあるのに、ドアノブに手を掛けてもきみの記憶は薄れていくばかり。 ふと、きみの軽やかなあの声を思い出した。きみが笑顔でこの扉を開けたときだ。きみの少し寂しそうな満面の笑みを見たときだ。きみはあの時「また来ていい?」って言ったんだ。 私は眠る時が恋しくなった。いつか、どうかいつかまた、きみを夢に見ることができますように。会ったこともないのに、きみの笑顔が頭から離れなかった。思い出そうとすると冬の日差しのように眩しくて顔がよく見えなかった。 涙がこぼれた。 会いたくても会えないことは非常に悲しかった。とてつもない喪失感さえあった。思い出そうとすると心のあたりが熱くなった。きみ を きみ と呼ぶことしかできない虚しさがどうしても私の心を苦しめていた。 今夜はよく眠れますように。きみを想うとよく眠れた。よく眠ったら夢を見なくなった。どうしても忘れなければいけないらしい。きみ が きみ でなくなる日が、知らぬ間に訪れますように。 いつかきみの本当の笑顔が見られますように。
素敵な恋が始まるかも。 私の事、好きになってくれないかな? あわよくば…な考え。 疲れた。 一緒にいて、安心する存在を求めてた。 だから友達の紹介、アプリ、街コン いろいろ試してみた。 いろんな人とご飯に行ってみた。 だけど、初めましてで居酒屋2件目にしてボディタッチが多くなって酔った勢いで "家くる?" "ホテル行こうよ"を囁いてくる。 いつも、それまでは良い人かも!って思うのに。 急に怖くなるし、悲しくもなる。 あー、私ってそういう風にしか見られてないんだな。って。 純粋に愛されたい。純粋に愛したい。 可愛くない自分が嫌い。 きっと可愛かったら、もっと違うんだろうなって。 自暴自棄にもなる。 だから、自分なりに可愛いく少しでも見られるように頑張ってみるんだけどなー。 生きてるうちは誰かを大切にして、好きだと言う気持ちを伝えたい。 あー、神様。素敵な素敵な私にぴったりの人を目の前に是非!!笑 そうやって、30歳を迎えてしまった。 頑張れ、私。
そう 始まりは突然で 心の準備さえできなくて あっという間に過ぎていく 追いつくのがやっとだった 何もかもが新鮮で あなたの魅力に惹かれて いつの間にか私の方が 恋する気持ちになっていた どんなに好きと言ったって 足りないくらいあなたが好き どんなに会えない時だって あなたは私に言葉をくれた その一つ一つが愛しくて 募る想いは会う度に癒されていく 嗚呼 止まった時計よ まだ動かないでいて お願い あなたと過ごす時間を 大切にしたいから 動かないで… 誰も知らない あなたと私の恋 時に気まぐれが あなたと私を引き裂く それでもあなたの声が 私を満たしてくれる 何気ない会話が ささやかな幸せで 本当はいつだって会いたい そんなわがまま言っていいの? あなたは優しい人だから 私の全てを受け入れてくれる 信じてくれる ありがとう…愛してる… 嗚呼 止まった時計よ まだ動かないでいて お願い あなたと過ごす時間を 大切にしたいから 動かないでいて…
脳直筆記システムが普及してしばらく経つ。街のある科学者が自身の願望を反映させた世紀の発明品だ。 電極をいくつか脳内に差し込み、頭で考えていることをそのままの形で記述してくれる。最新のシステムだった。 最初はひらがなだけだった自動筆記システムの表現方法は、そのうち漢字やアルファベットも使用可能になった。その後は、自動的に文章を書くことだけに飽き足らず、機能を拡張させて、楽譜や絵も自動で記すことが可能になる。頭でメロディーを奏でたり、絵を思い描くことによってそのままの形で表現をすることができるようになったのだ。 従来、自分の中で限界があったアイデアの表出をそのまま表現できるとあって、街の人間からは大絶賛された……のだが。 この脳直筆記システムには欠点があった。それは、筆記を自分の手で行わなければいけない事だ。 脳の思考は止まることを知らない。その流れるようなアイデアを、間もあけずに自分の手が流していく。あらゆる考えを紙に記す。 例え、その手の皮膚が紙によって擦り切れ、関節が壊れ、手首が取れることになっても休むことなく記述は続く。 脳に直接電極を指していることから、乱暴にシステムを強制終了することもできない。 何人もの住人が病院贈りになったそうである。
今日もいつもと変わらない日々を過ごすと思っていた。 起きて着替えて朝ご飯を食べて学校に通う。 なんて平凡で刺激のない日々なのだろうか。 別に不満がある訳ではないが 僕はそんな日々に嫌気がさしていた。 今日もいつも通り学校が終わり家に向かって歩いていた。 「ねぇ、ちょっといいかな?」 突然女の子が話かけてきた。誰だろう。 そう思うより先に僕は彼女の手に触れていた。 「あっごめん急に、無意識だった」 慌てて僕がそう謝ると彼女はクスクスと笑っている。 普通、こういうのは怒らないのか? 何がそんなにおかしかったのだろうか。 僕が戸惑っていると、彼女はさらに笑っている。 「昔と全然変わらないね」 彼女は笑いを堪えながらそう言った。 昔、昔とは一体なんの話しをしているのだろうか。 僕は彼女にあったことがあるのだろうか。 僕がそう考えているのに彼女は気づいたのだろう。 「私のこと、覚えてないんだ?」 彼女はニマニマとしながら僕の顔を覗きこんだ。 「ごめん、記憶にないみたいだ。」 そう僕が謝ると彼女は 「そっか、よかった!」 と、嬉しそうに言った。 彼女はニコニコとしている。 よかった?何故彼女は喜んでいるのだろうか。 僕が困惑していると、彼女は僕の手を掴み走り出した。 知らない人のはずなのに、何故か彼女の手を振りほどくことは出来なかった。 「私、きみとの約束を果たしに来たんだ!」 「約束…?」 約束、そんなことをした覚えは無い。 彼女のことも覚えていないのだから仕方がないか。 僕は彼女のことを何も知らないのだけれど。 彼女はひたすらに人混みをかき分けて走り続ける。 「どこに向かっているの?約束をしたのは何歳の時?」 彼女は聞こえないのか、もしくは無視をしているのか。 彼女は答えてはくれない。 まぁいいか。彼女について行くとしよう。 約束が終われば解放してくれるだろう。 ふと、僕は何をするのか知らないことに気づいた。 「僕らはどんな約束をしていたの?」 彼女は少し間を空け、口を開いた。 「んー、秘密!」 秘密、じゃあ僕はなにをすればいいのだろう。 聞いたところで教えてはくれなさそうだ。 そんなことを考えながら、僕らは電車に乗り、バスに乗り、沢山歩いた。 辺りはすっかり赤く染まっている。 しばらくして山に入り頂上を目指して歩く。 「着いたー!」 どうやら目的地に着いたようだ。 「ねえ見て!すごいでしょ!」 彼女は自慢げに両手を広げはしゃいでいる。 確かに、彼女の言う通り絶景だ。 風は透き通っていて、とても心地がいい。 僕が住んでいる街も見える。 まるで街を見下している王様にでもなったかのような気分だ。 この世界を綺麗だと思ったのはいつぶりだろうか。 不思議と懐かしさも感じる。 しばらくの間、沈黙が流れる。 「約束ってこのこと?一緒にここの景色を見るとか?」 僕が彼女にそう言いかけると、彼女は泣いていた。 「ごめん、おかしいよね、」 何故だろうか。彼女の涙を見ると心臓が痛く締め付けられる。 彼女が何故泣いているのか、 何故僕の心臓はこんなにも騒がしいのか、 僕は分からなかった。 「やっぱり、覚えてないんだね」 彼女は分かっていたかのように言った。 「僕たちは一体どこで知り合ったの?」 僕がそう問いかけると、彼女は唇を震わせながらポツリポツリと話し始めた。 僕らは生まれた時から一緒にいた事 家は隣同士だったという事。 僕らはとても仲が良かったという事。 僕らは恋人同士だったという事。 そして僕は既に亡くなっているということ。 僕は意味が分からなかった。 だが、彼女が嘘をついているようには見えなかった。 「そんな記憶はないし、僕は今生きているよ」 彼女は少し微笑みながら、話を続けた。 僕はどうやら不治の病にかかってしまっていたらしい。 そして僕は死ぬ前に彼女に約束したと。 「その約束って…?」 僕が問いかけると彼女は僕に勢いよく抱きついてきた。 その拍子に柵から滑り落ちてしまった。 運良く柵に捕まることは出来たが、落ちるのは時間の問題だ。 死ぬかもしれないというのに彼女は酷く落ち着いている。 「きみはね、死ぬ直前まで私の心配をしてくれた。」 「来世はきっと生まれ変わって貴女を今度こそ幸せにする、 だから今世は僕以外の人と幸せになってって」 そんなことは知らない。知らないはずなのに。 何故涙が溢れてくるのだろうか。 「私、きみ以外の人なんて嫌よ、きみだから愛しているの」 「だから、きみと一緒に居られるのなら死んだって構わないのよ」 「僕は貴女が誰か思い出せない。でも何故か愛おしく感じるんだ。 貴女に触れていたいと思うんだ」 もう手に力が入らない。 「幸せになってって約束、今から果たせるよ」
「隊長! 妙な漂流物を発見しました!」 部下の声に私は即座に望遠鏡を手にして海の上に目を走らせた。 海面にこちらへと流れて来る樽のようなものが見える。 「爆発物の可能性もあるわね。敵の気配は?」 「いえ、今の所は見当たりません」 私は軽く頷くとレーザー銃を構えた。 「シュート!」 掛け声と共に引き金を引くと、放たれたレーザーによって漂流物は粉々に砕け散った。 どうやら敵が流した爆発物ではなかったようだ。 ひとまず肩の力を抜いて私はレーザー銃を下ろした。 隊員になった時からずっと愛用している私の大切な相棒。 鈍く光る銃身を指でこすり、私はほっと安堵のため息をつくのだった。 END
日野さんへの質問手紙は、即日開始されました。 あまり複雑に書いてしまうと返って来ません。 そういうことが以前、一度だけありました。 自分としてはかなり要約して書いたつもりも、 日野さんは長い文章が苦手なのかと思っています。 あまりに簡単に書いてしまうと簡単に終わり、 複雑過ぎるのも、返事がない。 目的は手紙のやり取りを続けること、 この一点です。 初日書いた質問手紙の返事はあるか、ないか。 次の出勤日に出勤する興味はそこにありました。 見ると返事がありました! 先月のカレンダーの裏をメモ代わりにされている用紙にビッシリと書かれてあります。 一生懸命書きました、が伝わる文字だと思いました。 ただ、日野さんの字はとても独特、ハッキリ言えば汚い、そして異様に平仮名が多い。 全てを読み切るというのは難攻不落です。 これからの大きな課題となりそうです。 あれから毎日質問手紙は続いて行きました。 上手い具合に、日野さんからも、ここはがっぽさんはどう思う? という展開にもなっていき、 質問手紙がお互いの日常に入っていったのです。 読ませて貰う中で、日野さんはこう考えていたのかと気付かせて貰う事もあり、 そう思っていながら、清掃作業はこうなのね、と笑わせて貰う事もありました。 私の中にあった、これを続けること出来るかな?の不安はもう既に無くなっていたのです。 『このまま回復してしまう、アルツハイマーっていうのもあるのかな』 日野さんのクレームも施設より聞かなくなりました。 第一に清掃が少しずつですが元に戻りつつあったのです。 日野さんがアルツハイマーだという決定はありません。 しかしこの施設の清掃分野だけは、良い空気感が感じられていました。 であれば、別にお互いが何であっても良いはずだと私の中では、そう決められていたのです。 そんなある日のことでした。 夜、携帯電話に一本の電話が掛かって来ました。 画面の通知は日野さんになっています。 『こんな時間にどうした?』 電話に出ますと、女性の声でした。 日野さんの奥様でした。 「遅い時間に申し訳ありません。実は急なお願いがありまして…」 初めてお話させていただく声が、どうもお疲れのように感じました。 「いつも主人がお世話になっておりまして、毎日家で話すがっぽさんってどんな方だろうと思っておりました。実は今日、仕事終わりましてね、自宅に向かっていたと思うのですが、本人が自宅が分からなくなってしまいまして、隣の県で保護されたんです」 衝撃的なお話に言葉が出ませんでした。 「本人は憔悴し切っておりますので、出来ましたら明日の出勤を変わって頂きたいと言っているのですが、可能であればお願い出来ますでしょうか」 勿論、構わないことをお伝えしました。 「そして主人を一度病院の方へ連れて行くつもりです。暫くお仕事はお休みさせて頂くかも知れません」 奥様はそう言われました。色々お疲れでしょうから私から会社に連絡しておきますと伝えると、 「主人の言う通りですね。がっぽさんは優しいといつも言っているんですよ」 お言葉に嬉しい気持ちよりも、私の考えでやって来た事が結局仇に なっているように思えました。 あの時、ご家族に電話さえしていれば、 一体どうなったであろうと考えます。 たまたま今回は交通事故にはなっていないけど、 そうなる可能性はとても大きかったのです。 ふざけるつもりは無くても、結局、あなた ふざけていたんでしょうと取られて何も反論が 出来ません。 道に迷って混乱してただろうの日野さんを思うと、 これまで色々が細かな事にも思えて、 日野さんからのサインを一番先に受け取っていたのは 実は私だったのではないかと思えたのです。 もう遅い訳ですが、 もう少し踏み込んで考えるべきだったと。 今更だと知りながら、そんなことを考えていました。 数日後、施設職員の岩田さんから、日野さんがここをお辞めになることが伝えられました。 車での通勤しか無理であろうの場所にあるこの施設は、日野さんの状況では もう無理だろうの判断が施設側からも、 日野さんのご家族からもされたと聞きました。 手紙 最終話につづく
I drink a bit but I get to bed to be treated go to Kababesh Grill BTB dad’s baby Dee and really WWW go to Wedgewood that are the battery can’t really cover iPad will be dead I am at a better way to be dead we’re dead we’re dead we’re dead how do you Kappa Kappa WCBI battery with dad for a baby David dad will be dead I don’t have a credit bit of a dead baby did I make a visit with David every day through that I don’t have a car by Deborah Deborah me to be there with a better way to be dead revenge of the dead I just have a W capability David have a bit of a dead woman dead to anybody with that I just gave a kid a bit of a busy will be there to Vacaville be David David David death of the dead Alcoba could’ve been able to be delivered at the baby but that’ll be there to back up another day but that’s how you get back in a bit out of a ditch with a debit debit debit edge of the cup of credit capability that will be there today baby but that will be did you ever go to bed by the way – are you in big head Burger Add breaking bad way had to believe we did find a battery BJ’s will be dead but I will be there to beat you in a bad way we did we pay double to cover but will be dead baby did you grab a cup of WB dairy develop a debit every day to visit with everybody but deadly dead will be the dental be dead on the cup of chai Beverly Beach a bit of Edmond be debit debit debit will be there to be divided by divided undercover criminal WWW did we did Deborah Deborah be digital digital image of a ditch I don’t have a kind of by the rabbit bit of a bit of a dead or dead will be ready to meet with me that’s why every bit of it that I don’t care because birds every cabinet every day but did receive a debit or did you move it every day but every religion and it just kind of credit by Deborah I just broke up Patrick had to be WWWW Debbie had to be dead repeatedly we did America brother David every day will be dead I just have a good week have a bum
夜、歩くの 久しぶりかな 夜だから、あたり前に 暗いわけだけど そのわりに 明るい気もする はっ、と顔をあげてみると 月がきれいによく見える そりゃあ明るいわけだあ すぐ納得しちゃう やっぱり、わたしって 単純にできてるんだろう まだ、しばらく 暑さが続くのかな 今年のしっぽは 長いのかな 短いのかな 長いのでも 短いのでも もうちょっと ねこのしっぽみたいに かわいげがあったら はやいとこすぎてくれ、なんて 思われないんじゃあないのかなあ 夏は、夏なりに 与えられた責任を まっとうしてる結果、なんだろうね すまん、すまん 夏のしっぽが くいっ、くいっ と、かわいらしく動いてくれる 夏の特別スイッチなんてあったら おもしろいのにね なんてことを シャワーを浴びながら 思ってしまったよ けど、そんなスイッチがあったら もう少し、この暑さ たえられるような気が、するんだけどね がんばれるような気が、するんだけどね