閉鎖された屋上までの階段の踊り場が、自分の定位置だ。 なんとなく教室が息苦しくて、昼休みのひとときを過ごすのに、うってつけの場所を見つけたと、当時の俺は喜んでいた。 「今日もさ、隣の山田がさー」 「それはおまえが悪いんだろ、どうせ」 「違うって。ふつうに、黒板見えませーん、って言って」 「その言い方、めちゃくちゃムカつく」 「うわ」 「うわ、はこっちのセリフだよ」 二人の笑い声が、こちらにも届く。 同級生よりも悪く響かないのは、彼らが先輩だからだろうか。 俺は不本意ながら、彼らの会話を盗み聞きしている。ちょうど自分のいる場所は死角だ。 彼らから俺の座る場所は見えていないし、邪魔をするのも野暮と黙っているからこうなっている。 どうやらクラスが別れている友人同士。聞けば聞くほど、仲の良さが伺えるのに、距離感は一定のままで、最近は進路の話が見え隠れしている。 「いい加減、ちゃんとしろよ」 「ちゃんとしてるって」 「どうだか。それで南高、大丈夫なのかよ」 「うるせーって」 予鈴のチャイムが鳴る。二人は足早に立ち去って、それぞれの教室に別れていく。 それを確認してから、俺は自分の教室に戻る。 「いつか」 口に出してしまった言葉。そう思える相手はできるのだろうか。俺の手の中には、彼らへの憧れだけが残されていた。
暇だ。 買い物先のスーパーで繋がれている犬を撫でる。 犬も僕に興味なさそうにしている。 僕からにじみ出るつまらない奴オーラが犬にも察知できるのだろう。 少し拗ねた気分で自転車を漕ぐ。 小鳥の声が聞こえてくる。 さえずりに癒されようと思っているのに小鳥の鳴き声もなんだかストレスフルだ。 ああ皆余裕がない。 小鳥を飼って鳥小屋に閉じ込めとく・・・。 やめとこう。 鳥は大空を飛ぶからこそ美しい。 そして僕も美しく生きたい。 たとえ世の中がどんなに醜くても。 でもそんな世界も美しい。
「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 店はいつでも大繁盛。 自家製麺に、自家製スープ。 ラーメン一筋でやってきた。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 最初は客も来なかった。 だが、近所のお客さんが常連になってくれた。 常連の紹介から、口コミで広がる。 今では、そこそこ有名になった。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 とは言え、悩みもある。 人手が足りない。 正社員はすぐに独立してしまう。 バイトはすぐ辞めてしまう。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 麺もスープも調子がいい。 なのに、店を休まなきゃならない時がある。 人手が足りない。 店が回せない。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 バイト募集の貼り紙を貼った。 時給は平均より高くした。 賄いにうちのラーメンも出る。 条件は悪くないと思っている。 でも、応募が来ない。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 このままじゃあ店が潰れちまう。 何度か若いお客さんに直接言ったことがある。 よかったらうちでバイトしないか、と。 だが、お客さんは遠慮しとくと断った。 飲食店には、ブラックなイメージがあるそうだ。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 悲しいな。 これだけ美味いラーメンを作れるようになって。 これだけお客さんが喜んでくれるようになって。 働きたいと思わせられないなんて。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 閉店を決めた。 当日に告知した。 店の周りに人混み作って、近所に迷惑かけたくなかったから。 「悲しいよ」 「また食べたいよ」 最後の言葉も温かい。 でもな、言葉だけじゃあ店は続けられねえんだ。 俺の味を望む人たちが、週に一回でも手伝ってくれたら続けられてた。 そう思う俺は、求めすぎだろうか。 シャッターを下ろす。 俺の歴史が一つ、幕を閉じた。
「ほら、ここならよく見えそうだよ。二人きりにもなれる」 「だね。あとちょっとで始まるよ」 僕と彼女は街の外れの小さな高台に来ていた。 あと少しで始まる花火大会を見るためだ。 「あ、あそこ見て。この前できたかき氷屋さん。すごい混んでるね」 「すごい美味しんだろうなあ」 ふと街から視線を外し横にいる彼女の顔を見る。 その特別白い肌に街の光が反射して、 夏なのに涼しげな雪を連想させる。 一瞬で奪われた僕の目を、 君がどこかにしまい込んでいるのだろうか。 返ってくることはないのだろうか。 僕の視線に気づき彼女もこちらを見つめ返す。 花火が上がった。 その瞬間、 世界は静寂に包まれた。 僕らは目を離さず、 互いの目の淵に反射した花火を嗜むかのように、 じっくりとゆっくりと。 その目の輪郭を準えた。 気づくと花火は終わっていた。 彼女が口を開く。 「ねぇ、私たち 」 その後、僕の中で彼女は亡くなった。 あの日から今に至るまで彼女は僕の前には現れなかった。 理由はわからない。 明確に示してはくれなかった。 だからこそ、彼女はいつまでも僕の中にいた。 嫌でも薄れていく記憶の中で、 僕は何度も何度も上から同じ線を準えて。 幾度も修繕されたその絵画はもうすでに原本とはかけ離れたものになっているのだろうか。 彼女の声、指先の温度、その一つ一つが確かに消えていく。 もう二度と確かめることのできないその体温が、どうか僕の体温よりも冷たいことを願って。 花火大会の数日前、初めて彼女が泣いているのを見た。 何が合ったのかはわからない。 僕は月並みな言葉をかけてやることしかできなかった。 もしあの時、僕がこの世のどこにあるのかわからない、あるかもわからない、彼女のためだけの言葉を見つけれていたら。 何か変わったのかもしれない。 そう思うだけがただ辛くなった。 あの日から八年。 今でも毎年花火大会の日になると街の外れの高台に来る。 僕の記憶に花火はないはずなのに。
自宅に帰ろう、と汽車に乗った。 あら、今は「電車」と言うんだっけか。地元では「カンカン車」に「はとぽっぽー」なんて呼ばれていたが。 ゆっら、ゆらゆっら…… 電車は動くと、振り子のように揺れる。それが定めだもの。電車に乗る私は、なぜだか揺れの魅力に憑かれて、もっと乗っていたい、などと思ってしまう。 物騒な走行音から、ゆりかごの中へ。私が誘われる気分を味わっていると、窓越しに太陽の光が差してきた。それは、するどく眼を刺すような光であった。 私は思考する。揺れに身を任せるように。 ただ、太陽の光を見ていた。 その光がアルミホイールの窓枠にのっかり、てらてらと反射するさまを見ていた。 そこから煙がむわっと浮かび上がって、バーベーキュー台の代わりになるのを見ていた。 光が私の頭にも差して、中をジリジリと焼きつくすさまを見ていた。 やがて肌は焦げ、中にある脳ミソがごちゃごちゃに炙られていくのを見ていた。 そこに見知らぬ男がやってきて、私のジューシーになった脳を「いただきます」と手を合わせ、喰いつく威勢のよさを見ていた。 よって男は舌を火傷し、「はあ。やはり人間の肉なんて喰うべきじゃなかった」と他責思考に生きるさまを見ていた。 すると光が男の両眼につき刺されて、思わず眼をつむった男のまぶたの裏が、ときに赤へ、ときに黒へと変わっていくのを見ていた。 男が去って、その後を追うように別の男がこちらに来て、隣に座った。 男は言った。 「嗚呼、かなしいんです。とってもツラいことがあったから。今、わたしはかなしいんです」 そのとき、またも光が差して、私と男の顔を覆った。男は光を浴びて、喜び、いさんで「希望だ希望だ」と雄叫びをあげる。 男の言うところには「おてんとさんの光を見るだけで、なんとも気分のいいものですなあ。光なんて見るだけでいいんです。そこに在るだけでじゅうぶんなんです」と。 いそいそと男が泣くので、光はたまらず男の涙に反射して、再び私を一から人間へとつくりかえる。 そうして、私が眼を開けると、いまだに光は窓から差したまま、煌々としていた。 人間は、火をつかうことで進歩したのだそう。なら、やはり火こそ、生きるの象徴なんだね? ああ、そうだとも。 ゆっら、ゆらゆっらゆら…… 電車はいまだ揺れるので、私は電車の揺れが、母さんの胎内に居るときを思い出させるのだ、ということを思い出していた。 電車はいまだ揺れるので。
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「クリスマスの魔法をかけます」 お母さんに手を引かれて、ぼくと妹はスーパーへ。 お客さんはほとんどいない。 サンタクロースの服を着た店員さんもほとんどいない。 「じゃーん! なんと、ケーキが半額です!」 お義母さんはスカスカのケーキコーナーから、サンタクロースの色みたいなシールが貼られたケーキを籠に入れる。 残り二つあったが、何故か三割引き。 お母さんが店員さんをじっと見ていると、店員さんは急いでやってきて、三割引きのシールの上に半額のシールを貼った。 それを、すかさず籠に入れるお母さん。 「嬉しいねえ。ケーキ二個の値段で、四個も買えたよ。家に帰って、お父さんと食べようね」 お母さんはその後総菜コーナーに向かって、半額シールの貼られた唐揚げとフライドポテトも籠の中に入れた。 お刺身が残っていない時だけは、ぶつぶつ文句を言っていた。 「メリークリスマス!」 家族で囲む食卓。 普段とは違う豪華な食事。 半額で買った食事。 この日だけは、魔法がかかる。 ぼくの家って貧乏なんだなって。 だから、ぼくも自分に魔法をかける。 一日だけ大人になれる魔法。 「どう? 美味しい?」 「うん! 美味しい!」 ぼくの残念に思う気持ちを隠して、お母さんが喜ぶ言葉を言えるように。
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悪縁を断ち切れる神社があるという。 ある者はパワハラ上司がいなくなったと、 ある者は友達との縁が切れたと、 またある者は邪魔者が自殺したと、 そして口々に彼らは言う。 「冗談で行くもんじゃない」 かくいう私もその1人だ。 先日、友達と縁切り神社に行ってきた。 彼氏がDV気味なこと、職場で苦手な部下がいること、今年厄年なこと。 友達も似たようなものらしい。ともかく私たちは、救いを求めてやってきた。 「冗談で行くわけじゃないもんね」 「そうそう、ガチだから、私たち」 そう言い聞かせながらついた先には私たちのような、いわゆる『ガチ』な奴らが列をなしていた。 もれなく私たちも後方に並び、少しずつ自分たちの番が来ることを待つ。 自分の番は、思ったより早かった。 そしてまあるい穴をくぐるだけで、あっさりとしたものだった。 「これでいいの?」 「ずいぶん簡単に縁が切れる…」 そのあとは呑気に立ち飲み屋に寄って、新幹線で寝て、明日早いし新幹線の駅で解散。 私たちも、あっさりした関係だ。 とぼとぼ家路まで歩く間、ふと、疑問がよぎる。 「…これでいいのか?今後の人生」 かと言って、過ぎた出来事。もうどうすることもできない。 「まあ、いいか」 私の独り言は、暗闇の電柱の光に吸い寄せられて消え去った。 友達が言っていたDV気味な彼氏とは、これが初対面だった。 憔悴しきっているのか、やつれているように見えた。腫れぼったいまぶたを隠さずに、ハンカチで口をおさえている。 礼儀作法も知らないままお辞儀をし、たどたどしく口を開く。 「まさかこんなことになるなんて」 「ええ、真由美は常にはつらつとしてましたから。僕もこんなことになるなんて夢にも思わなくて」 2人で黒縁に飾られた写真を眺める。まさか、その下の白い棺桶にこの前まで生きていた友達がいるなんて、夢のようで信じられなかった。 事故、だった。 真由美が新しく趣味として始めた登山。その日も朝早くから出かけて、帰ってこなかった。崖から転落した、と聞いた。 (…そう、これは事故) 自分に、言い聞かせる。 (願ったけど、ここまで望んだわけじゃない) (これは、俺(私)のせいじゃない)
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『恋人に点数をつけるなら90点。残りの10点は、これから好きになる分』 なんて、言えたらな まぁ、恋人なんて居ないんだけどね。 (完)
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「最近、付き合い悪くね?」 「え?」 「全然、俺らと話さなくなってきたしさあ」 友達から、突然のクレームが入った。 「プロになったからって、お高くとまってんじゃねえよ」 追撃も来た。 友達は、言いたい放題言った挙句、捨て台詞を吐いてどこかへ行った。 酷いやつだ。 別に、お高くとまっていたわけじゃあない。 単純に、仕事が増えてしまったのだ。 増えた分は、遊ぶ時間と睡眠時間を削っているのだ。 友達と話す時間が減るのも、それが理由だ。 でも、友達は私の言い分なんて聞いちゃくれない。 友達の要望はただ一つ、昔と同じように遊ぼうぜ、だ。 でも、それは無理。 昔よりやることが増えてしまったんだから。 もう、昔には戻れない。 「わかるー。マジそれなって感じ」 「こっちは人生の頑張り時なんだから、邪魔すんなって感じよね」 「別にまったく遊ばなくなったわけでもないのに」 だから、私の足は必然的に、同業者のいる場所へ向かう。 共感が溢れ、私に対するやっかみもない。 とても居心地がいい。 友達といるときと同じことを口にしているはずなのに、お高くとまっているなんて言われることもない。 「最近、プロとばっか遊んでんな。さすがプロ様だ、もう素人の俺らは用済みですか?」 うん、用済みだ。 素人だからじゃない。 私の都合を顧みないからだ。 ずっと友達だと約束した昔の私、ごめん。 人生は、同じ速度で走り続ける人としか歩めないんだって、大人になって気づいちゃったんだ。 ごめんね。
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異界監視センターよりお知らせです。 夜遅くに、家のチャイムが鳴ったことはありませんか? すぐに玄関から離れてください。 チャイムを鳴らしているのは【検閲済】です。 以上の状況が当てはまる場合には、速やかに当センターにお知らせください。 〈ピンポーン〉 午前2時半。アヤカはチャイムの音で目が覚めた。何時だと思ってんの?とイラッとして起き上がると、隣で寝ていたダイスケが慌てて止めてきた。 「アヤちゃん、危ないよ。警告CM見なかったの?」 「あ、これ監視センターが言ってたやつ? 危な、ドア開けようとしてた……」 「センターに連絡しなきゃ。電話番号分かる?」 「待って、今調べる」 アヤカはスマホをつけ、異界監視センターの電話番号を調べようとした。が、やけにネットが遅い。すると―― 〈ピンポーン〉 「ひっ」 ダイスケは飛び上がり、アヤカはサッと玄関を睨んだ。2回連続でチャイムが鳴った。周りを見てみても、何も異常は起きていない。けれど、何か嫌な予感がする……。そう思った時だった。 〈ピンポーン〉〈ピンポーン〉〈ピンポーン〉 「えっ、どっ、ど、どうしよう……!」 「ダイスケ、しーっ」 パニックになりかけるダイスケを、アヤカは慌ててなだめる。その間も、チャイムは鳴り止まない。何か恐ろしいものが近づいているのを感じ、知らないうちに体が震え出す。アヤカは必死に落ち着こうと努めた。 「だ、大丈夫よ、流石に中には入ってこないでしょ」 「ダメだ、お、俺、おれ……」 「え?」 頭を抱えてうずくまるダイスケが何か呟くので、アヤカは耳を寄せて聞き返した。すると彼はぴたりと口をつぐみ、ゆっくりと体を起こした。その目はゾッとするほど虚ろだった。 「おれ、いかなきゃ」 「えっ、ちょっと、ダイスケ? ダイスケ!」 ベッドを下りたダイスケは、玄関に向かって歩き出した。アヤカは慌てて追いかけ、力ずくで止めようとする。しかし、女性1人の力ではどうにもならない。ダイスケはアヤカを押しのけ、玄関の鍵を開けた。 〈ガチャ〉 ひとりでにドアノブが回った。ゆっくりとドアが開く。部屋に差し込む街灯の光を背に、玄関先に立っているモノがいた。 アヤカはそれを見てしまった。 異界監視センターより コーポ福来での【検閲済】との接触事故について 102号室 檜田スバルさん 頭部増加 シズカさん 足部欠損 レオンくん 色素消失 202号室 堀越アヤカさん 脳波異常 川島ダイスケさん 脚部増加 犠牲となった方々に、祈りを捧げましょう。
空の青も ほんとうは透明で 海の青も ほんとうは透明で 近づいていくと そこにはなにも無いみたいで 空の青も 自分の色を知らなくて 海の青も 自分の色を知らなくて 遠くからでないと 見えない色があるみたいで ひとの目には ほんのひと握りの波長しか見えないのに 私のこの目は 全てを観てきたかのようにふるまう ほんとうはなにも見えてなくて ほんとうをいつも見えてなくて ほんとうなんてなにも知らない もうなにも信じられないよ なのに キミは 「2025年、もうすぐ終わるってよ」 は?ウソでしょ? 12月30日どこいった? すごい寝た自覚はあるけど。 もう なにも信じられないよ 地続きの来年が 今日になるまで あと 何時間?
「安西先生。小説が、書きたいんです」 「書けばいいじゃん」 至極当たり前のアドバイスをしたはずなのに、目の前の人間は渋い顔をした。 「それは、そうなんですけど」 「うん」 「書けないんです」 「なんで? 腕にマヒがあるとか、激務で起きている間ずっと仕事してるとか?」 「そうじゃないんですけど」 「じゃあ、書けばよくない?」 「……酷い! パワハラだ!」 「えぇ……」 私は真摯にアドバイスをしたはずなのに、目の前の人間は泣きながら走り去っていった。 泣きたいのはこっちだ。 「意味わかんね」 書きたいなら、書けばいい。 もしかして、目をつむっていたら妖精さんが勝手に小説を書いてくれるとでも思っているのだろうか。 もしかして、AI様が頭の中をスキャンして代わりに小説を書いてくれると思っているのだろうか。 小説を書くのは、人間だ。 書きたい小説があるのなら、それを書くのは他でもない自分なのだ。 ならば、書くしかない。 書けないなんて言う暇があったら、書くしかないのだ。 「まあいいか。人のことを気にしている場合じゃない。書こ」 そんな人間もいるんだなあと、私は一つの学びを得て、パソコンに向かった。 パソコンの隣にお菓子に、自然と手が伸びる。 美味い、高カロリー最高。 これは頭が回復する。 「はー、瘦せたいなあ」 さ、書くか。
あるサバンナに、楽しいの泉がありました。 その泉は人々に、 娯楽と水を与え続けていました。 人々への富、豊は、 莫大なものとなっていました。 人々の泉への感謝は、 計り知れません。 ある日、 愉快で明るい笑顔に不快で暗い影を落とすような男が、泉を訪れました。 男はこの泉のパワーを恐ろしい兵器に使おうと考え、 泉の周りの村を追い出して大きな工場を建てました。 工場の上澄みの従業員となった男は、 その水のパワーを試運転して分析する仕事を任されましたが、 あまりにも珍しいチカラだったので、 その水のパワーを全て使い果たしてしまいました。 それから泉は二度と戻りませんでした。 手厚い利用者は退屈になりました。 ある村では娯楽がなくなったことで貧乏になりました。 人々はなんとか泉を復活させようと試みました。 しかし数年、数十年経っても叶いませんでした。 人々はとうとう泉の研究に乗り出しました。 泉は、時の流れにより面影もなくなっていました。 それでも研究はなされました。 が、これといった成果はなく、 打ち切りとなりました。 研究チームが突き止めたのは、 泉が亡きものとなった数ヶ月後、 工場は大規模な火災に遭って崩壊したこと。 そして、この泉に泉源、つまり水のパワーの源、「楽しさ」が、 どこにもなかったこと。 それ以上を追い求めてはいけないという動きもないといえば嘘になります。
人と話すのが怖い。 実際には何を恐れることもないのだが、「知らない人」、もっと厳密に言うと「これから関わることになる今はまだ知らない人」と話すことが怖い。 頭の中では「知らない人もそのうち既知の同僚になる」と理解できているが、心は彼らを恐れている。未知の世界は探究心や好奇心よりも恐れの方が勝る。 高いところから川に飛び込むには、勇気よりも愚鈍さが肝要だ。飛び込んだ先に大岩があって頭を打つかもしれない、たまたまスッポンがいて耳に噛み付かれるかもしれない、誤って背面から飛び込んでしまって水面に首を強打するかもしれない、なんてことをいちいち考えていたら飛び込むことなどできはしない。 飛び込むことで勇気を示し、周囲の人々からの侮蔑を僅かばかり上回る尊敬を得ることにのみ注目するべきなのである。道を拓くのは進んで愚鈍になった者だけだ。 保身と小賢しさを持つものはかえって軽蔑されるし、自らの居どころが一向に進まない。どこにも行くことができない。 愚鈍になるとは本当の意味で愚かになることではない。暗澹たる航路を進むために灯台の光を探すことであり、暗がりからいつまでも抜け出せずに幽霊船になることではない。 愚鈍さとは光を探す意志である。人と話すことはお前の生命を前に進める行為である。
「ようこそ地獄へ。お前たちには、これより地獄の苦しみを味わってもらう。死ぬほど苦しいが、死にはせん。なにせ、もう死んでるからな☆」 渾身の一発ギャグに、亡者たちは恐怖に表情を染めたままだ。 「ぎゃーっはっはっは!」 一人を除いて。 「そりゃそうだ! 死んでるからな! ぎゃーっはっは……うえっほん! うえっほん! 笑いすぎて腹が……痛……ぎゃはははははっはははは」 そいつは笑い転げて、ひきつけを起こして、そのまま意識を失った。 部下がそいつに近づいて、脈を測る。 「ボス。こいつ、さっきので懲罰分の痛みを完了してます」 「まじかよ」 地獄にいる人間は、それぞれに懲罰の内容が決まっている。 具体的には、何年分の痛みをその身に受けるかが決まっている。 そして、痛みを受け切ったその時、地獄から解放され、来世への転生が許される。 「まさか、挨拶がてらのギャグで解放されてしまうとは。これでは地獄にならんじゃないか。連れていけ」 「はいっ」 まあいい。 亡者はまだ何百といる。 「ゴホン。気を取り直して、お前たちには地獄の苦しみを味わってもらう。最初は、灼熱地獄と冷凍地獄の往復だ。地獄のような暑さと地獄のような寒さで苦しむがいい」 そして、地獄は始まった。 熱い熱いと嘆く亡者、寒い寒いと嘆く亡者。 地球では味わえない世界に、亡者たちが嘆き苦しむ。 一人を除いて。 「キタキタキタキタ。整イマシタワー!」 そいつは灼熱地獄から冷凍地獄に入った瞬間、絶頂にでも至ったのか恍惚の表情を浮かべていた。 そして、嬉々として自分から灼熱地獄に戻り、再び冷凍地獄へ入ることを繰り返した。 三往復目、絶頂したまま意識を失った。 「なんだ、このキモいの」 「生前は、サウナーと呼ばれていたそうです」 「サウナー?」 「サウナ室という熱い場所と、水風呂を往復する化け物です」 「? 生きていながら、わざわざ地獄と同じ経験をしていたのか?」 最近の人間は、意味の分からない奴らが増えた。 何を考えているか、まったくわからない。 「次は、辛いもの地獄だ。味覚を失うほどの辛さで苦しむがいい」 「あーーー! 辛いの最高! お替り!」 「次は、鞭地獄だ。無数の鞭に打たれ、苦しむがいい」 「ブヒーーー! ありがとうございまーす!」 すべての亡者が意識を失った。 俺は仕事を終えたので、その足で閻魔様の部屋へと向かった。 「何用だ?」 「退職します」 「は?」 「最近の人間、恐いんすよ! 地獄のような苦しみ与えて、喜んでるんすよ! こっちが気が狂いそうです!」 「えぇ……」 翌年から、地獄のシステムが全面的に見直されることとなった。 従来のような全員一律の地獄ではなく、全員平等に苦しめられるような、オーダーメイドの地獄へと。 「はい注目。ここにあるのは、お前が生前に集めた推し活グッズ。今からお前の手で、全部破壊してもらいます」 「や、やめろー! あんまりだー!」 地獄に、再び活気が戻ってきた。
まだ冬の寒さを残す白い朝。 周囲に、1人で歩いているのは彼女だけだった。 椅子に座り、揃えられた足に靴下の跡。 後ろ姿と、僅かな横顔。 配席番号二十六番、ハ行だろうか。 扉が音を立ててひらき、部屋は静まりかえる。 男性の自己紹介が、ぼんやりと聞こえてくるが、意識は靴下の跡に留まっていた。 揃わない拍手が、視線を上へと戻す。 誰かのくしゃみと、それを小さく笑う声が耳をくすぐる。 反射で白く光る時計で時刻を確認するよりも早く、始まりと終わりを告げるチャイムが響く。 靴下を引き上げる配席番号二十六番の彼女を、ぼんやり目に留める。 差し込んでくるまだ低い白い光に目を細める。太陽が雲に隠れ、人影が揺れる。 不意に後ろを振り返る彼女と目があってしまったような気がして、涼しさを感じた。
昔の古傷を舐めた 痛くも痒くも無いけど 皮膚から伝わる舌先の感触が脳内に響く 勲章の傷って訳じゃなくて 単に自分のドジで生まれた訳で… 古傷を舐めて慰めるようにまた見つめる (完)
「このアイス、美味しいよ」 美しい海を表した名前の先輩が教えてくれたこと。あと、色彩検定は高校生のうちに受けた方が良いってこと。 おとぎ話に出てくる少女のように優しくしっかり者の先輩。悪意なく素直で、子どものような柔らかな話し方で誰からも好かれる先輩。 私はそんな先輩が苦手だった。それは今日も変わらない。あなたに対する劣等感は消えない。きっと、ずっと消えないです。 でも、あなたが美味しいと教えてくれたアイスは美味しかった。 いつか、また一緒にアイスを食べてください。
この世界はその辺の虚言師より 『狂ってて』、『イカれてる』 この世界はその辺のクズより 曲解した理解力を持っている。 (完)
うちの学校には、秘密の部活がある。 その名も宿題屋。 一年生から三年生までの生徒が所属していて、お金を払えば宿題を代わりにやってくれるのだ。 もちろん、先生たちは宿題屋を知らない。 ぼくたちも、誰が宿題屋の部員なのかを知らない。 ぼくは、宿題はまじめにやるべきだと思っている。 でも、今回だけは、宿題屋を使うことを許して欲しい。 数学の授業では、授業前に宿題の答えを板書しておくのだが、一番難しい問題があたったのがぼくなのだ。 一番難しい問題をサラッと解く。 そんなかっこいい自分を、見せたいんだ。 放課後の旧校舎。 一年一組の扉を叩く。 「どうした、忘れ物か?」 「はい。筆箱を机の中に忘れました」 「よし、入れ」 合言葉を使って教室の中へ。 教室の中には仮面をつけた生徒が一人と、机の上に置かれたスマートフォンがあった。 仮面をつけた生徒は、バイトの生徒だ。 宿題屋の部員ではない。 その証拠に、ぼくもこの役をやったことがあるからだ。 「依頼は何だ?」 声でわかった。 こいつ田中だ。 しかし、田中と呼ぶことは許されない。 ここでの呼び方は、決まっている。 「フィクサー。数Ⅱの教科書の四十四ページの応用問題二を解いて欲しい」 ぼくは教科書を広げて、田中に渡す。 田中は、小さくうげっと声をあげた後、机の上に置かれたスマートフォンに向けて教科書を開く。 スマートフォンのカメラを通して、宿題屋のメンバーが確認しているのだろう。 『承知した。代金は、小遣い一ヶ月分だ』 スマートフォンから、ボイスチェンジャーを通しただろう機械音が返ってくる。 痛い出費だが、仕方ない。 「わかった」 『代金は後払い。このことは他言無用。このスマホに入っているSNSを友達に追加しておいてくれ』 ぼくが机の上のスマートフォンを手に取ると、画面にはSNSのアプリのアイコンが一つだけあった。 ぼくはフィクサーに見守られながら、アプリを起動し、友達追加を進めていく。 余計なことはしない。 そんなことをすれば、フィクサー経由で宿題屋に伝わってしまう。 「できました」 「ご苦労。では帰宅し、宿題の回答を待ちたまえ。教室を出るところも見られるなよ」 「了解だ」 ありがとう、田中。 ぼくは音を立てずに外へ出て、旧校舎から立ち去った。 家に着く頃には、見事な解答が届いていた。 翌日。 ぼくは自信満々に、宿題の答えを板書した。 「ここ、間違ってるな」 そして、盛大に間違えた。 自信ありますと答えた手前、いつもの百倍恥ずかしかった。 「どういうことだ!」 ぼくは放課後、恥ずかしさの余り旧校舎へと乗り込んだ。 合言葉なんてくそくらえだ。 教室の中には、机の上に置かれたスマートフォン。 そして、先生たちが立っていた。 ぽかんと立ち尽くすぼくの前で、数学の先生が自分の手に持っているスマートフォンに話しかけた。 「これが、宿題屋の正体ってことさ」 『これが、宿題屋の正体ってことさ』 先生の声と機械音の声が、重なり合って響く。 「あ……あ……」 掌で踊らされていたんだ。 そう思うと同時に、ぼくは膝から崩れ落ちた。 数学の先生は、ぼくの近くへ寄って来て、ぼくの肩を軽く叩いた。 「約束通り、他言無用な。後、宿題屋に頼んだら英語の宿題の解答をもらえたって噂も広めといてね。お前、英語の成績よかっただろう?」 これは、甘い罠だったんだ。 気づいたときにはすべてが遅すぎた。 真面目な優等生のぼくのイメージは、先生たちの中で完全に破壊された。 「こ、これには訳が!」 「内申点、楽しみだな?」 「あ……あああ……」 うちの学校には、秘密の部活がある。 その名も宿題屋。 先生たちが所属していて、お金を払えば宿題を代わりにやってくれるのだ。 ただし。
私は自分がいつまで生きると予定して過ごしているのだろう 今書いているこのボールペンのインクを使い切る前に 自分の時間が尽きるかもしれない 来週、尽きるとしても自分は変われないだろう 今までそうやって生きてきたんだ 制限時間を設けられたところで、結局人は変われない このボールペンのインクが尽きる時 少しでも好きな自分になれますように
「やべえ。一日間違えた」 神は頭を抱えていた。 人類へ、世界を滅亡させると宣告したまでは良かった。 カウントダウンをはじめ、カウントダウンタイマーが二十四時間五分前を示した今、神は気づいた。 世界滅亡するの、五分後だったと。 神の使い魔が、神の横で大きなため息をつく。 「何してんすか、カミサマ」 「どうしよう、どうしよう」 「世界滅ぼすの一日遅らせればいいんじゃないですかね?」 「無理だ。既に宇宙のすべては、今日地球が滅ぶことを前提に作られている。一日ずらせば、巻き込まれて宇宙の百や千がまきこまれて滅ぶ」 「じゃあ、五分後に滅ぼせばいいじゃないですか」 「可哀そうだろ、人間が! あと一日しかないと言っていたのが、突然あと五分になるんだぞ!」 「はあ。優しいんだか、優しくないんだか」 神は思考する。 最善の方法を。 しかし、いくら考えても、何かを犠牲にするより解決策がなかった。 千の宇宙か、数十億の人間か。 神の頭の中で、天秤が揺れる。 「後三分ですね」 「ひいっ!」 「ま、頑張ってください」 「何をしてる?」 「カップラーメンにお湯入れました。世界が滅ぶと同時に完成します」 「ジーザス!」 神は悩み続けた。 そもそも、世界が滅ぶことは決められたことだった。 神が滅ぼすのではなく、世界の理として始めから決まっていたことだった。 誤算だったのは、人間という生物が、想定以上に長生きしたこと。 宣告は、発展させた文明が突然滅ぶのは人間にとって悲しかろうという、神の恩情。 だから、神は悩み続けた。 このままでは、温情だったものが止めの絶望を指す凶器になってしまうから。 「後一分ですね」 「オウ、マイ、ゴッド!」 「いや、神はあんたでしょ」 「ジーザス!」 後に、使い魔は本を書いた。 地球に住む人類が「あと一日あったはずじゃ!」と神を恨みながら死んでいったのは、神の優柔不断が理由であると。
大晦日イブのこの時に人々はスーパーへ正月の 買い物する為出掛けレジに沢山の列が出来る事 其れが当然だった好景気時代誰もが籠から溢れ 出る様な山盛りの食材が隣の列に並ぶと見えた 昔は現代の様な入力すればお釣迄出してくれる レジが未だ存在して無い頃レジの店員さん達は ブランドタッチの如く指を滑らせて一つ一つと 入力してる為どうしても差が出る慣れた店員の 列は流れる様に進むけど不慣れな店員のレジは 大行列が出来あちこちから早くしろ慣れた奴と 交代指せろと罵声が聞こえ御客様は神様時代の 象徴クレームの雨霰高校生位の店員さんが客に 怒鳴り付けられ泣きそう為りながら懸命にレジ 打ちしてた姿が印象的でした別の意味人間達が 一番元気で金持ちに見えた私は働けど働けど的 小貧乏維持の当時の私は幾らレジ打ちが遅くて イライラしても行列全体に聞こえる様な大声で 自分の娘と変わり無い店員に怒鳴り捲る御客が 不思議で不快だった御金持ちそうなのに何故だ 金持ち喧嘩せず的な言葉は御客様は神様時代に 通じなかったかもそして動き止めるので余計な 時間が加算されて更に混雑と混乱の負の連鎖は 広がりバーコードリーダーやセルフレジが有る 今じゃ想像出来無いレジに並ぶと大体30分~ 酷い時は1時間以上掛かったスーパーのレジは 金持ち時代で御客は神様の人間達を現してたの かも知れない
「なんで浮気なんかしたの?」 そう問いながら、涙と共に僕を刺す君を見て美しいと思ってしまったのは、僕がおかしいからなのか、君がただただ整った顔をしているからなのかは、人と接触することを禁じられ、外に出ることすら叶わない僕の壊れてしまった脳では考えることすらままならない。もちろんオセロ症候群を患う君にもわからないだろう。
きっと、物心付く前のことだったからだろうか、付いたすぐ後のことだったからだろうか。僕はあのときのことを、あまり鮮明には憶えていない。 微かに憶えているのはその少女の笑顔だけ。碌に話した記憶も残っていないくせに、僕は未だに、彼女が残した言葉だけを覚えている。 「好き」 なんて。 直接聞いたわけでもないのに。彼女が昔、僕のことを好きだったらしい事だけが妙に頭に残っていた。たかが五歳児の言葉だ、好きなんてそんな言葉、要する恋愛感情なんてものじゃないだろう。 そう軽く考えていたのだが。どうしても、やはりその言葉が離れない。なにせ、彼女とは中学一年生の頃までは関わりがあったからだ。 「一緒に映画観に行こう」 なんて誘っては僕のことを連れ回してくれたし、メッセージアプリでもよく連絡を取っていた。あの時間はなんだったのだろうと、今になって静かに口を噤む。 もう僕らも大学一年生。五年以上連絡すら取っていない彼女はもう、僕の人生から消え失せたに違いなかった。 お互いの進路も、知らないまま。 そういえば、と思い出す事が幾つもある。 彼女は保育所にいた時から中学一年くらいまで、毎年のように二月の十四の日に僕にお菓子をくれた。きっと全て手作りだろう、綺麗に形作られ、彩られた物を思い出す。その度に僕は、お返しに何かを作って返していた。 僕の作った物は、ちゃんとお返しになっていただろうかと、今になって心配をしてみたりする。 もう一つは、小学校を卒業する時のこと。元々通っていた小学校自体違う学校で、学区の関係でお互い違う中学に通う事が決まっていたのだが。 「私も同じ中学に行きたい」 と、彼女は何度も親に話していたそう。結局違うままだったが、彼女は何を思っていたのだろうか。 その全ての行動が、僕にはまるで理解できなかった。 そもそも、記憶がないのだ。 「好き」 なんて、そんなことを言われた記憶が。 彼女は本当に、僕を好きだったのだろうか。 思い出す度に、いつもなんとなく胸を締め付けられたりしてみる。 誰も僕の事を愛さない、自分にさえも見放されたこんな世界で。彼女は本当に、僕のことが好きだったのだろうか。 今の僕を見ても、未だ好きと言ってくれるのだろうか。 きっと違う、僕にはわかる。彼女は今頃、彼女なりに幸せを見つけている。 僕なんか記憶の彼方に捨て去って、今は別の誰かと。 それでいい、それがいいと、静かに握った手を見つめた。 別に僕は、最初から彼女のことなど好きではなかったのだから。 __ なんて、いつも通りに僕は天井を見つめていた。 『スマホ変えたらトーク履歴消えちゃったんだけど、○○で合ってる?』 そんな通知が、人っ気のない画面に響いた。 『合ってるよ』 何気なく、そう返してみる。 『久しぶりだね』 僕はその言葉に、何も返すことができなかった。
「クリスマスだから早く上がろう」 上司がそう言って、定時きっかりにフロアを出て行った。 あっという間にオフィスから人が消えていく。デスクを立つ同僚たちの会話が耳に入る。 「じゃあ、例の店で八時ね」 「独身組は全員集合な」 誰かがこっちを見た気がしたが、目を合わせないようにモニターに視線を戻した。 静まり返ったオフィスで、キーボードを叩く音だけが響く。 待ってる家族もいない。かといって、独身同僚たちが集う飲み会に参加する気もない。 クリスマスイブに傷を舐め合うような集まりに、何の意味があるのだろう。 クリスマスは家族のため、誰かの幸せを祈れる人のイベントだ。それを毎年、思い知らされる。 楽しくなくなったのは、いつからだろう。 子供の頃は好きだった。ケーキを食べて、ご馳走を食べて。 母が作ってくれたローストチキンは少し焦げていたけれど、家族三人で食卓を囲んだ。 そして、翌朝の枕元にはプレゼント。あの頃は、父も笑っていた。 けれど、小学四年生のクリスマスイブから、何かが変わった。 両親の会話が減った。父の帰りが遅くなった。 サンタクロースが枕元にプレゼントを置かなくなったのも、その頃だ。 中学に入る頃には、父は週末しか家に帰らなくなった。 「仕事が忙しい」と言っていたが、子供心にも嘘だとわかった。 母の目が赤く腫れている朝が増えた。それでも二人は離婚しなかった。俺が成人するまで、形だけの家族を続けた。 父は生活費だけは入れてくれたけど、母はフルタイムで働いた。 「将来困らないように」と言って、休みの日も働いていた。 高校の修学旅行も、大学の入学金も、全部母が出してくれた。 そして大学入学前、奨学金の申請のために戸籍謄本を取り寄せた日。 父親の項目に、見知らぬ名前があった。認知された男の子の名前、年齢は7歳。 その瞬間、すべてが繋がった。 父が家に帰らなくなった理由。母が一人で働き続けた理由。俺たち家族が壊れた理由。 あれから父からのメッセージは、すべて既読無視している。 月に一度は来る。「元気か」「仕事はどうだ」。 今さら何を、と思う。 母が俺を愛してくれているのはわかっている。 電話をすれば優しい声で応えてくれるし、帰省すれば好物を作って待っていてくれる。 だからこそ、余計につらかった。父の愛情が、俺の知らない子供に向けられていることが。 ふいに、スマホが母からの着信を表示する。少し迷ったが、電話に出た。 「もしもし」 「あ、出た。今、忙しい?」 「いや、大丈夫」 「そう。今年も年末は一人で過ごすの?」 母の声は、いつもより少し寂しげだった。 「まあ、仕事もあるし」 素っ気ない返事をしてしまう。母は少し黙った。 「……そう。無理しないでね。ちゃんとご飯食べてる?」 「食べてるよ」 「そっか。じゃあ、体に気をつけてね」 電話が切れた。 モニターを見つめたまま、しばらく俺は動けないでいた。 母の声が、頭の中でリピートされる。寂しそうな声。気遣うような声。 ──母も、一人なのだ。 俺は父を拒絶することで、母まで遠ざけていたのかもしれない。 クリスマスを一人で過ごしているのは、俺だけじゃない。母も同じだ。 それなのに俺は、自分の傷だけを抱えて、母の寂しさから目を背けていた。 ──あの、認知された子供は今、どうしているのだろう。 もう高校生になっているだろう。会ったこともない。名前しか知らない。憎むべき存在のはずだった。 けれど、もしかしたらその子も、自分の存在に苦しんでいるのかもしれない。 あるいは、その子の母親。父の愛人だった女性。 両親が離婚するまでの長い間、彼女もまた傷ついていたのではないだろうか。 自分だけが被害者だと思っていた。 けれど、父が作り出した歪みの中で、誰もが苦しんでいたのかもしれない。 俺は目を閉じた。 年末は母と過ごそう。ちゃんと向き合おう。 そして、いつか──今すぐは無理だけれど、いつか──顔も知らない弟のことも、憎しみではなく、同じように傷ついた存在として受け入れられるようになれたらいい。 心の中で、静かに祈った。 母に、穏やかな日々が訪れますように。 あの知らない子供に、温かな居場所がありますように。 そして俺自身も、いつかこの怒りを手放せますように。 来年の今日は、もう少し違う景色が見えているだろうか。 俺はパソコンをシャットダウンして、オフィスを出た。冬の空気が冷たく頬を撫でる。 イルミネーションの光が、少しだけ温かく見えた。
あれはきっと、恋心じゃなかったんだと思う。ただ純粋に、彼女と関わりを持っていたいだけだった。 最初はほんの一瞬。体育の授業で怪我をして、保健室に寄った時の事だった。カーテンの隙間からその先がちらりと見えた。一瞬しか見えなかったけど、そこにいた少女は確かに可愛らしかった。 ほんの好奇心が、少しの興味が。僕を動かしたのだと思う。 「どうしたの?」 「……」 「どこか具合悪いの?」 「……」 最初はずっとこんな調子で、何も話してくれなかった。でも話しかけ続けるにつれ彼女も折れたのか、次第に話してくれるようになった。 そうすると、いくつかの事が浮かび上がってくる。まず一つ、どうやら彼女は僕と同じクラスの生徒らしい事。もう一つは、彼女がみんなのところに行けないらしい事だった。 彼女も詳しい事はわからないらしい。けれども教室へ向かおうとすると何かに阻まれるように進む事ができないらしいのだ。 当然僕にもわからない。けれども僕は、それ以上彼女を問い詰める事はしなかった。ただ話を聞いていれば良いと、それが最善だと思ったから。 それが他者を理解するために大切な事なのだと、あの頃から僕はどこか達観していた。夢を、見ていた。 何度も保健室に通い一ヶ月。ようやく彼女が顔を覗かせてくれた。 初めて、いや、はっきりとその顔を見た。同級生の誰とも比較できないほどに綺麗な顔立ち。その華奢な佇まいに、僕は違和感すら感じてしまう。本当に、同じ世界の人間なのだろうかと。 こんなに可愛いのに、教室に来れないなんて残念だな。 そんな言葉が頭をよぎった。 当時の僕にそんな気は無いはずだった。でも思い出してみれば、私は確かに彼女を憐んでいた。同じ世界に来てほしいと、その手を握ってしまった。 「ありがとう、あなたのおかげで私、ちょっとだけど普通に学校に通えるようになった」 あれから少しづつ彼女と話しては学校に通う方法を模索し始めた。どうすれば行けるようになるか、とか。そもそもどうして行けないんだろう、とか。少なくとも僕は、必死になって彼女に寄り添っていた。 だからその言葉を聞いた時、僕はこの上なく嬉しかった。 ……確かに、教室の真ん中で咲くその顔は綺麗すぎた。 違和感。 そうだ。彼女はあまりにも綺麗すぎる。この教室の真ん中で咲くには、あまりにも目立ちすぎている。 やがて彼女には友達ができた。少しづつ彼女も慣れていった。 そうして気付けば、僕から離れていた。 思い出すのは、いつもベッドの上の君。 何かに魂を掴まれているかのように、虚な目で天井を眺めている。 それが気になって仕方なくて、僕は彼女に手を差し伸べたのだ。 今でも夢に見る、あの日々のこと。無機質なはずの保健室で、彼女と二人で話に花を咲かせていた。 彩る音は微かに。風に乗っては流れていく。その声が、笑顔が、温度が。僕にはあまりにも眩しすぎた。 その全てが、今になっても僕の胸を締め付ける。この頭から離れない。 「あはは、それでねー」 数人の女子に囲まれて、その日も、いつの日も咲いている。 似つかわしくないほど、鮮やかに。本来ならば、そこに在るはずなどなかったのに。 手を差し伸べたのは。 救ってあげたのは僕なのに。 僕はもうどうしても、彼女に近付くことができない。その手をもう一度握る事はできない。 きっともう、恋人もいるのだろう。色々な人に囲まれて、幸せになっていくのだろう。 「僕って、最低だな」 彼女からずっと遠い桜の木の下で、僕は変わらず手を伸ばしていた。 「救えないな」 訳もわからないまま、その残像に影を落としていた。
この薄暗い部屋に閉じ込められて、一月が経った。部屋の中は質素な造りだが、ベッドは意外にも上質なマットレスで、シャワーとトイレも完備してあり、生活するには申し分ない。食事は野菜などの彩は無いが、三食差し入れられる。 堪えがたいことは、娯楽が少ないことだ。テレビやパソコンが無いのは勿論、所持していたスマートフォンも取り上げられている。何故かカバーを外された本だけは差し入れられるが、異常な状況では読む気力も湧かない。言わば、生きる楽しみを見いだせない空間。 犯人はわかっている。目の前にいる女だ。 「どうしてこんなことをするんだ」 鉄格子の向こうにそう詰問すれば、女はいつも困った様な表情をするばかりだった。 彼女のかつての交際相手に相談を受けたのが、出会いのきっかけだった。曰く、彼女は相手に尽くすタイプの女性で、しかしそれに際限が無い。ノイローゼになった彼が逃げ出し、身近にいた自分が次の寄生先として選ばれた。 意外にも彼女との生活は悪くはなかった。容姿は華美ではなく、常に地味な服装だったが、むしろ奥ゆかしく好感が持てる。流行の話題には疎いが、古文や歴史に造詣が深く、博識深い。聞いていた異常性を置いておけば、所謂大和撫子そのものだったのだ。 うまくいっていたはずだった。この場所に監禁されるまでは。 あの日は雪が降っていた。寒さに身を震わせ、数か月後に来る春を思い、道すがら在原業平や西行が詠んだ句について語った。 「和歌に詠まれる桜は、どうしてこうも魅力的なんだろう」 「昔は、今よりも目に入る色が少なかったですから、桜の初心な色ですら、貴重な彩、だったのでしょう」 「成程。そもそも現代とは環境が異なるか。僕もいつか全身で感激するような桜を見てみたいものだ」 「ええ、そうですね」 そんな些細な夢も語って、彼女も微笑んでいたというのに。 当夜、勧められるまま深酒をしてその後の記憶がない。目が覚めたらこの部屋にいた。初めは激昂して、それから諭すように、ある時は懇願に近い声色で、どんな言葉で尋ねても、彼女の答えは無いか、曖昧なものばかりだった。 彼女は、僕の思いを試しているのか? 監禁という行為が生み出す歪んだ関係性。被害者からの依存性を期待しているのだろうか。彼女の目的は、ただこうして廃れていく僕を、籠の外から眺めて居たいだけなのかもしれない。 薄暗い部屋で、食事と睡眠の数を数え、もう二月も経った。ひたすら薄暗闇の日々が続いたのだ。段々と、自分の中の何かがすり減っていくのを感じる。 「なあ、今日でもう二月だ。あんたはいつまでこんなことをするつもりなんだ?」 辛うじて、まだ忘れていなかった声と言葉で問いかける。どうせ返事は無い。宛てのない言葉は、壁の中に消えていってしまうのだろう。ただの独白だ。 そう自嘲しながらも、久々にあの困った顔つきを拝んでやろうと、俯いていた顔を上げた。彼女の唇が動いた。 「あと、二週間、くらい?」 食い下がるべきだったろうが、驚き、言葉が出ない。明確に期限を口にしたのはこれが初めてだった。彼女に何の変化があったのか。 その日を皮切りに、彼女は、毎日私の言葉に返事をするようになった。 「もうちょっと、今日は、まだ」 「まだ早いの、だめ」 「きょ、今日は、雨が降ったから」 ある日、聞きなれない金属音と共に、いつもとは異なる微妙な風の流れを感じた。ひた、ひた、と足音が近づく。顔を上げると、鉄格子の向こうの彼女が傍にいた。 「あの、これ」 差し出されたものは、黒いアイマスクだった。付けろというのだろうか。視線で問いかけても、困った表情をするだけだから、望まれるままに装着した。手を引かれ、立ち上がる様促される。僕は彼女のするまま、素直に従った。 「どこに向かっているんだ」 答えのないまま、歩いた。あの仄暗闇から解放されるのならば、どこでもいい。僕はあの薄暗い部屋を出たのだ。 途中から、足の裏に感じていたものが、コンクリートよりも柔らかい感触に変わった。風にのって、土と草の匂いがする。 「取ります、ね」 もう随分歩いたと疲労を感じ始めた頃、ふと立ち止まって彼女は言った。 髪が巻き込まれ頭皮が引っ張られたが、些細な問題だった。 流れ込む光の束に、すぐには目を開けなかった。ゆっくりと瞼の裏に馴染ませ、恐る恐る開いていく。 色の洪水だった。失くしていた色、求めていた色、知っていたはずのものが、未知のものに見えた。背丈を優に超える幹は、大地の色を吸い込んでいる。風に舞い散る花びらには、一枚一枚色があった。全て、異なる色なのだ。 言葉にならない僕に、彼女は嬉しそうに笑った。久しぶりに見た笑顔だ。僕は、彼女が僕を閉じ込めた理由を悟った。後はただ、手を握り締めて、桜を眺めた。
私はとても幸せ者だ 私には恋人がいる 友達もたくさんいて、親も私を愛してくれている 私はいつも誰かに囲まれて、笑っている だから私は幸せ者だ そんな幸せ者の私の、今日は誕生日だ 人生で一番幸せな一日だ 私は家で準備を進める シャンパンを冷やして、料理を作り、ピザだって頼んじゃう だって今日は特別な一日なのだから そうこうしている内に時間は来てしまう 恋人が来てくれた 彼は「誕生日おめでとう、いつも愛しているよ」 そう素敵な言葉をくれる 友達が来た 大勢だ 皆が口々に「おめでとう」と言ってくれる 私はみんなに「ありがとう」と返していく お母さんとお父さんも来てくれた やっぱり「おめでとう」と、「あなたの親で幸せよ」と嬉しい言葉をくれた 私は幸せだ そしてパーティが始まった 準備は全部自分でしたけれど 何より祝ってもらえることがとても嬉しい 皆が私を褒めてくれる お祝いしてくれる 称えてくれる だから私は幸せだ 2時間が過ぎた タイマーが鳴り響いた 恋人が言う 「お時間ですね、今回のレンタル料を頂きます」 友達が言う 「それにしても良く頻繁に呼んでくれますね まぁ私たちはお金がもらえればそれでいいんですけど」 親が言う 「またいつでも呼んでくださいね いくらでも相手をしますから」 皆はレンタル料でお金がもらえて幸せだ 私は皆がいて幸せだ 例え全てが借り物で、偽物なのだとしても 私は幸せだ
私は殺し屋。 今までも、幾万の人間から殺しの依頼を受けた。 もちろん。その中で一度も失敗などはしていない。 一度もだ。 なぜだかわかるか? 簡単だ、私は殺し屋であり、殺し屋ではない。 どうゆう事か混乱するだろう。 殺し屋の依頼の内容をしっているかい? 人を殺すだけじゃない。 その人間の遺品。依頼主から言われた所有物まで回収する。もちろん、殺し方まで。 マイナーな人は、殺しの風景を動画に撮ってほしいと、言う人までいる。 わかったかな? 普通、こんなことをすれば即バレる。 だが、私はバレない。バレても、捕まりもしない。 私の依頼主はいつも同じ人。私だ。 そして、殺すのは、私の感情そのもの。 どうだい?金も何も手に入らないが、なかなか良い物だ。 殺し方は十人十色。 感情によっても殺し方が変わる。 まぁ、完全に殺すのは流石に不可能だ。 時と、場所とそれによって感情の色も変わる。 感情の所有物であり、核は思い出。 ならば、思い出を、忘れれば、解決するのさ。 私の職業は、殺し屋。 どうぞ、ご利用のほど、よろしくお願いします。
ファミコンはわたしの青春だった。1983年の7月15日。まだ子どもだったわたしにとって歴史を変える出来事があった。任天堂の「ファミリーコンピュータ」の登場だ。 当時は、駄菓子屋でファミコンがタダで遊べたんだ! 発売当日は駄菓子屋に長蛇の列で賑わっていた。ファミコンと同時発売されたのがドンキーコングだった。 「すごーい!テレビにドンキーが映ってる!」 ここまですごいゲームはお金を払ってでしかプレイ出来なかったのに... しかもテレビに繋いで、タダで何回でもプレイ出来るなんて画期的なことだ! その後も、マリオブラザーズ、ゼルダの伝説、アイスクライマー、スターソルジャー、MOTHERなど、新作がどんどん登場した。けれど、ゲームは子どもにとって高価なものだから、友達に貸したけれど帰ってこない「また貸し」やドラクエ狩りならぬゲームのカツアゲなど社会現象になったものだ。ファミコンが流行していた頃、ゲームに夢中で勉強が手につかなかった子も多かったんだ。だから親は子どもに勉強させるため、いろいろな手段でファミコンを止めさせようとしたものだ。プレイ中に電源を抜いたりリセットを押したりする。RFスイッチを隠す、親の部屋に保管、ゲームソフト没収など。 ファミコンに夢中になった子どもは勉強がおろそかになりがちで、親にとっては「ファミコンを禁止するにはどうすればいいか」は切実な問題だったと言える。乱暴にファミコンが扱われた為に本体が壊れたり、ソフトのデータが消えたりして困ったという人もいただろう。ただ、元はと言えばゲームに夢中になり過ぎたのが原因だから自業自得かもしれないが…
今巷は何故か騒がしい年末だからかも知れない けど何の予定も自由冴え限られた5分程度しか 無い場合絶対ストレス堪るし自棄に為る行動を 興しそうな時は諦め最強まぁ~元々何も信じて 無かったかも知れない勿論神聖な存在はずっと 変わる事の無い羅針盤です偽弁や言葉のだけの 謝罪や騒がしだけの音楽イベントに一抹な不安 諦めに似た許しが有ったから絶望せず言葉だけ 怒る遊びが出来たと己を誇った
今、Z世代の若者たちの間でレトロが人気であると新聞の紙面を賑わせていた。最初のきっかけとなったのは昭和レトロで、喫茶店のクリームソーダが火付け役だった。昭和の香りが漂う純喫茶のようなクラシカルな場所でクリームソーダを飲み、その様子をSNSで投稿するのが2018年頃に流行った。やはりレトロの中心となるのは、やはり昭和レトロだ。 昭和レトロ 純喫茶のナポリタンやクリームソーダ、アテリアのグラス、バブル期のファッション、70~80年代のシティポップレコードなど。 平成レトロ 使いきりカメラ、Y2Kファッション、2000年代初頭のティーンブランドなど。古いものが新しいという新たな価値観は素晴らしい!また、ファッションにはマインドをインストールする意味合いもありそうだ。 ギャルから感じられる意思の強さや自由奔放などのマインドに憧れを持っている子たちがファッションを真似することでその精神を擬似体験したいという思いがあるように感じる。Z世代の子たちに話を聞くと、良くも悪くもSNS上で人からの目を気にしているようだ。SNSは誰とでも繋がれる一方で、炎上や批判などのリスクがある。周りの人に否定されるかもしれない…という不安がつきもの。だから、自分が憧れる時代のカルチャーを真似てSNS上で発信することは、周囲に角を立てずに間接的に自分の好きなものや考えを共有できる手段のひとつなのかもしれない。
有る者は死を恐れると言う事は守る者が居る から怖いのだと何処かの小説で書いて有った さすれば死を恐れず守る者が無い僕は最強と 有る種自虐的な言葉で自分しか愛せ無い者は 大いに嘆いたしかし涙冴え出ず心はポカポカ してる多分僕はAI機能に自動書き込みされた 様な気持ち徐々に何も期待せず淡々と再起動 繰返す内に大噴火する事が一番恐怖と博士は 告げた僕はぼんやり其れも有りかと笑った
「ゼエゼエ…ハアハア」今日もボクは走り続ける。走ることを最近の日課に取り入れている。 目標は5km。始めた頃は、1kmくらいからにしようと日々、ペースを上げて今日でとうとう一週間。目標の5kmに到達した。 心ない人間から、どうせ続かないよ。走るなんて何の得にもならねーじゃん。と馬鹿にされたりもした。だが余計なお世話だし、ボクとしては傲慢かもしれないけれど、運動しない人なんて人生の半分損しているなと思う。 走ることのどこに有意義を見いだすかと言えば、体力がつくこと、そして体を鍛えれば自ずと心も鍛えられることだ。 「ゼエゼエ…ハアハア」今日もボクは走り続ける。
朝日が告げた言葉は年末なんだから美容師へ 行き髪を調え染めましょう若く見えるし新年 お洒落して楽しく御出掛けしませんかと言う 確かに最近何処も出掛けられず籠の鳥状態で ストレスが噴火する予兆を感じるから近所の 美容師へ行く事は気分転換にも為るし言葉で 交わせる存在は某宇宙と言う未確認生物より 確実で信頼出来ると私の直感も朝日に同意を したから髪を染め電車で出掛けて久し振りな 買い物や百円均一巡りしましょうか運動にも 為るし一石二鳥とは来れ為り
公証人とは読んで字の如くですが世の中正しい 者が見捨てられるストーリーもう飽々しました 報われ無い人生は愛情と言う仮面の檻の中居る かも知れないが呑気で馬鹿な者は有る種正常な 者より強靭な平和と食が有るから無い神は自ら 購入すれば地獄も天国と変わるかも知れない 今日も太陽は燃えている
無機質なダンボールから私物を取り出していく。 空っぽの部屋に、私物をテトリスの様に詰め込んでしまい込んでいく。 お隣さんにも挨拶したし 新生活にも挨拶したし 近くに人は居るけど、孤独にも挨拶したし 近くに人が居るから、責任にも挨拶したし ひと段落はした。 自分にとってこのタイミングで引っ越すのが正しかったのかまだわからないけど、きっといつかの夜風が教えてくれる。 (完)