最近のパソコンは音声で文章が書けるらしい。 早速試してみたものの、なかなかどうして正確な文章を書いてくれた。 読点も自動的に打ってくれて、これはタイピングが難しい人間にとってもパソコンが使いやすくなると感じた。 しかし肝心の音声入力の開始にはキーボード操作が必要であり、全くキーボード操作ができない人にとってはそもそも始めることにハードルがありそうだと気づいた。 鍵かっこを書く時も、書いた文章を校正する時も、なかなか難しい。 使ってみなくては分からないこともあるものだ。 「ああ、疲れた」 仕事の手を止め、コンビニに向かう。 今まで気にも留めていなかった点字ブロックや車椅子のスペースがいやに目立ち、本当に役に立っているのだろうかと、ぼくの頭をふとよぎった。
深夜の雨上がりのアスファルトに、赤信号の視線がにじむ。青がその座を乗っ取るとき、世界の景色が一変する。歪んだ支配から、あらゆる空間と自由が解放される。路面が、ただの濡れた路面でいられたのは、たった一瞬。ふたたび、制約が課され、そして、また…
「あっちゃん……それって……まさか!?」 とある小学校、体育前の教室中に、一人の男子の声が響く。 何事かと集まったその他の男子たちも同様に、驚きの声をあげる。 その視線の先では、あっちゃんと呼ばれた男子が、両手に腰を当てて、ドヤ顔をしている。 あっちゃんは、トランクスを履いていたのだ。 「ト、トランクスだと!?」 「マジかよ! 白ブリーフ卒業したのか!?」 「あ……あっちゃんが……大人に……」 白ブリーフを履く他の男子たちは、あっちゃんのトランクスを見つめながら。口々に感想を言う。 股間に集まる視線。 股間に集まる尊敬の眼差し。 あっちゃんはその日、教室のヒーローなった。 そして次の体育の時間。 「い、いずみくんもトランクスだ!?」 「うっちゃんもかよ!」 「え、えーすけ、お前まで……」 「おっくん……お前までそっち側に……」 トランクスが増えた。 「お前たちを、トランクス四天王に任命する!」 「「「「はっ!」」」」 トランクス四天王が誕生した。 その日以来、体育の時間が来るたびに、トランクスを履く男子は増えていった。 あっちゃんから一人始まったトランクス派は、次々勢力を増していき、あっという間に白ブリーフ派の数を逆転した。 「おい、お前まだ白ブリーフなのかよ」 そして、巨大な勢力は、時に差別を生み出す。 それは人類の歴史を紐解いても、当然の流れ、 少数派となった白ブリーフ派の男子たちは、時に嘲笑の対象となり、人目を忍んでこそこそと着替えるようになった。 だが、差別の手は緩まない。 カーテンに隠れて着替える男子から、差別の手が容赦なくカーテンを引きはがしにかかる。 「白ブリーフがいたぞおお!!」 「っせぇな! 白ブリーフの何が駄目なんだよ! 俺は気に入ってんだよ、白ブリーフ!」 「白ブリーフが怒ったぞー!」 白ブリーフ派は、ただ耐えた。 白ブリーフ派の男子も、もちろんトランクス派へと変わりたいのだ。 だが、そこには大きな壁がある。 国家の法律のごとき、大きな壁が。 家庭内ルールである。 家庭の絶対支配者である両親に懇願した結果。 「まだ履けるでしょ? もったいない」 「トランクスはまだ早い」 「よそはよそ、うちはうち」 絶対的支配者の一言によって、叩きつぶされたのだ。 こうなれば、たかが小学生に打つ手はない。 ただ支配と差別の下、慎ましく生きるしかないのだ。 「やーい」 「やめろよ!」 だが、トランクス派を作り上げたのがあっちゃんなら、その差別を止めたのもまた、あっちゃんだった。 「白ブリーフだからって悪く言うのは、俺が許さん! 色んな事情があるんだよ!」 教室はシンと静まり返った。 「……だよな」 「……うん」 「……ごめん」 そして、ちらほらと、謝罪が飛んだ。 あっちゃんは満足した顔で頷き、白ブリーフ派の方へと近寄る。 警戒する白ブリーフ派に、あっちゃんは優しく言った。 「トランクス……履きたいか?」 「え!?」 思いがけない言葉に、白ブリーフ派の男子たちは目を丸くする。 互いに顔を見合わせ。 「履き……たい……」 そう、絞り出した。 「そうか!」 あっちゃんは目を輝かせて立ち上がり、教室の男子たちに向かって叫ぶ。 「この中に、新品のトランクスが家にあるやつはいるか? あるなら一枚、こっそりと持ってきて、こいつらに渡してやって欲しい! こいつらだって、好きで白ブリーフを履いてるんじゃないんだ! 俺は、全員がトランクスを履ける自由があるべきだと思うんだ! 頼む! この通りだ!」 あっちゃんは頭を下げた。 その熱意に。 その夢に。 「おおおおおお!」 「俺持ってる! 次の体育の時に持ってくるぜ!」 「俺もだ!」 男子たちの心は一つになった。 そして、来るべき次の体育、の前の着替え時間。 「似合うじゃねえか」 すべての男子が、トランクスを履いた。 トランクスのみを身に着ける男子たちは、この日、男子から男になった。 「これで俺たちも、大人だああああ!」 「「「「おおおおお!!」」」」 教室中を走り回って、その功績を皆でたたえ合った。 教室を飛び出して、廊下で暴れ回った。 まるで、国を挙げて行う盛大なパレードのようだった。 「ぎゃああああああ」 「せんせー! 男子たちがー!!」 「変態ー!!」 パレードは続いた。 教師に止められるまでずっと。
ちらりちらりと雪が降っている。 私はテンションがあがった勢いで、外に出た。 髪に雪が引っ付くと、オシャレな宝石みたいでお姫様になった気がした。 機嫌よく歩いていると、向かいから女の子が歩いてきた。 女の子は傘をさしている。 (なんで、雪の日に傘をさしてるんだろう。雨でもないのに) すれ違う瞬間、不思議そうにする女の子と目が合った。 ちらりちらりと雪が降っている。 私はテンションがさがり、さっさと家に帰ろうと歩みを速めた。 傘に雪が乗っかると、少しだけ傘が重くなってげんなりした。 機嫌悪く歩いていると、向かいから女の子が歩いてきた。 女の子は傘をさしていない。 (なんで、雪の日に傘をささないんだろう。髪べちゃべちゃになるのに) すれ違う瞬間、不思議そうにする女の子と目が合った。
「ありがとう。ええっと、磯部くん?」 「福田です」 また、名前を間違えた。 でも仕方ない。 人の区別なんてつかないんだから。 「不和、ちょっといいか」 「なんでしょう、風見鶏先生」 「……阿久津な。不和、お前は成績もいいし学級委員としてしっかりやってくれているとも思う。でも、もう少し周りに興味を持ってもいいと、先生思うな」 私はたびたび、人の区別がつかないことを、治した方が良いと指摘される。 でも、私からすれば区別なんてつかないほうが普通なのだ。 「先生、日本人は黒髪だらけなのに、日本の漫画に出てくるキャラクターの髪色が、何故カラフルなんだと思いますか?」 「なんだ、その質問。そっちのほうが可愛いからじゃないか?」 「それもあるかもしれませんが、私は人間が、本質的に顔の区別がつかないからだと思っています」 「区別が?」 「皆が黒髪なら、キャラの見分けなんてできない。だから髪色を変えて、無理やり見分けさせている」 「そうか? そうなのか?」 先生が考え込んだので、私は会釈をしてその場を立ち去った。 先生が私の想像を信じようが信じまいが、どちらでもいいからだ。 人間は何も変わらない。 皆目が二つあって、手足が二本ずつある。 いっそ違う柄の羽根でも生えててくれればと、何度思っただろうか。 いや、私が気に食わないのはそこじゃない。 皆、私と一緒のはずなのだ。 たまたま仲の良い人間の顔を覚えているだけで、その他大勢の顔を覚えていないのを無視しているにすぎない。 だから、仲の良い人間がいない私を、顔を覚えていない無関心野郎だと非難してくるのだ。 皆同じことを考えるから、私はますます他人の区別がつかなくなっていく。
「お〜い、お〜〜〜い」 高校から帰る途中だったりんは、遠くから呼びかけられて振り返った。声の主は、サラリーマンらしき若い男性だった。さっき通り過ぎた曲がり角の前に立っている。しかし、その人の顔がおかしい。 (あれは……ピエロ?) あたりが暗くてよく見えないが、彼の顔は不自然なほど真っ白で、鼻や口が赤くて大きかった。スーツとは全く似つかわしくないそれは、どう見てもピエロのメイクに違いなかった。 なんでそんなメイクしてるんだろう……とじーっと見ていると、次の瞬間、ピエロは手を振りながら、こっちへ向かって走り出してきた。軽く駆け寄るなんてものではない、本気の猛ダッシュだ。りんは思わず悲鳴を上げて逃げ出した。 「だ、誰っ⁉︎ 助けて‼︎」 りんは必死に叫んだが、誰もいない静かな通りにこだまするばかりだ。りんは不運を呪いながら、足にさらに力を入れて走った。しかし、ピエロは凄まじい速さで追ってきていた。唇が耳まで裂けたその恐ろしい顔は、もうりんのすぐ後ろにあった。 「つ、か、ま、え、たぁ」 「ぎゃっ‼︎」 大きな手で突き飛ばされ、りんは転んで地面に倒れ込んだ。意識がふっと遠くなった。 🤡 「ねぇ聞いた? りんちゃん行方不明になっちゃったんだって!」 「えっ……?」 「一昨日の下校中にいなくなっちゃったらしいよ。誘拐かなぁ。怖いよね〜」 「……私、昨日りんちゃんに会ったよ」 「うそ! どこで?」 「帰りに駅に行く途中で。でも、なんかすごい様子が変で……」 「どんな?」 「顔にね、ピエロのメイクをしてたの。それで、手を振りながらこっちにすごい勢いで走ってきて……」 「え、なにそれ……? それで、その後は?」 「私、怖くなって逃げちゃって……。そうしない方が良かったかな……」 「いやいや、しょうがないよ。っていうかそのピエロ、りんちゃんに姿が似てるだけの不審者だったんじゃない?」 「そうかなぁ。すっごい似てたんだけど……」
窓の外を見ながら、 「ねえ、何にするの?」 言ってはみたけれど、言葉の先に友人の姿はなかった。 「んー。ああ、あそこに書いてあるカフェ・コレットって、あれ、なんだろうねえ」 「あ、ごめんなさい。さっきまで友人が」 「うん、そのようだね」 「あ、ちなみに、エスプレッソにお酒が少し入ってるものです」 見ず知らずの男性とこんなにスマートに話をしてるなんて、自分でも驚いている。 「お酒?」 「ええ、グラッパとか、ブランデーのこともあるみたいですけど」 「ああ、カフェ・コレット?」 「ええ、カフェ・コレット」 「うん、知ってる」 「え」 私の驚きを見た男性の、にやりとした顔が、でも、少しも嫌味がなく、好感がもてるとさえ言ってもいい。 「カフェ・コレット。イタリアでは、昼間から飲まれたりするよねえ」 「ああ、ええ。そう… みたいですね」 「そう、みたい?」 「ええ。そうみたいです」 男性が窓の外を見て、つられて私も見た。視線を戻したとき、男性はすでに私を見ていた。 「行ったことないかな、イタリア」 「あ、ええ、まだ」 「そう。じゃあ、いつにしようか?」 「え?」 「イタリア」 「ごっめーん、電話してたー」 友人が帰ってきて、男性との会話はそこまでになった。 あと少しでイタリアに行く約束をしていたところだったのに。 遠く私の視線の先に、男性の背中が、やけに眩しい。
夢の中で 卒業式のレンシュウ。 枕の隣で 私と一緒に突っ伏した古典の参考書 私は涙目で起きたのに ソイツはツップシタまま まだ 土曜日のお昼寝 卒業式のレンシュウは 起立が合わずにやり直し 返事の声が小さすぎてやり直し 私より前の男子が 腕立て伏せのペナルティ 私より前の女子が 熱中症で倒れて保健室 私の番 私の番 私の番…… 夢の中ですら卒業式が終わらないのに 試験の日だけが近づいてくる もう。 ヤダ。
「なんて哀れな娘なんだい。哀れすぎて見ちゃあいられないよ」 魔女が杖を振ると、シンデレラの姿が変わっていきました。 三日に一回の銭湯通いできしんだ髪の毛は、トゥルントゥルンのキューティクルに。 うっすらと漂っていた体臭は、フローラルの香りに。 古着で揃えた染み付きシャツとよれよれのスカートは、ファッション雑誌さながらのシャツとスカートに。 オーエスのサポートが終わった型落ちスマホは、最新機種に。 「さあ、これで準備は整った。マッチングアプリを始めて、デートに行きなさい。婚活パーティに申し込んで、出会いを探しなさい」 シンデレラは自分の姿を見て、その変わりように驚きました。 そして、部屋に散らばった財布や化粧品を見た後、魔女を睨みつけました。 「ここまで変えてくれるんなら、財布にもっと沢山お金を入れてください。化粧品も高級ラインの物に変えてください。こんなんじゃ全然足りません」 感謝の言葉の一つでももらえるかと思っていた魔女は、シンデレラの放った言葉に耳を疑い、そのまま家を出ていきました。 「あ、こら! 逃げるな! ちゃんと最後まで面倒見ろ!」 シンデレラは魔女を追いかけましたが、箒に乗って空を飛んだ魔女には追いつけません。 魔女はシンデレラの家を離れ、空から日本の街を眺めます。 多様性。 平等。 権利。 綺麗ごとを吐くだけで努力を惜しむ人々が、そこにはたくさんいました。 「これが、あの美しい国の末路か」 魔女はそのまま、どこへともなく飛び立っていきました。 跳んでいる間に落ちた水は、雨か涙か。
( ˙꒳˙)s₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾g◝(⑅•ᴗ•⑅)a٩(๑❛ᴗ❛๑)p(o゚ロ゚)ow……………ヽ(`Д´)(`Д´)ノ ヾ(˙❥˙)ノ その後は 怪人が巨大かしたり 博士が作ってくれたロボットが上手く変形しなかったり 怪人が急に泣き出したり と、なんだかんだあったが どうにか怪人をやっつけることができた 俺たち五人は戦いを終え打ち上げもそこそこに、それぞれの【仮の生活】に戻っていった 「こんにちは。本日カットを担当するパールです。よろしくお願いします。本日はどのようにしましょうか」 ここはパールが働く美容院。パールはお客さんの髪に慣れた手つきでハサミを入れる。チョキチョキと髪を切る音が心地よく店内に響く。 カットを終え、シャンプー台ヘお客さんを案内する。席を立ったお客さんが床を見て驚愕する。 「パールさん…これ…私の切った髪でなんか書いてあるんですけど…」 「あっ、これですか?こう書いてあるんですよ」 「怪人!ヒキコモリー&ヒキコモーラセの乱!!終わり!!!」
「何このもやし?」 少女は、古い写真を見て言った。 令和と呼ばれた時代を生きた男女は、少女の価値観からすればあまりにも細すぎた。 「この時代は、これが美しかったんだよ」 もやしという言葉に吹き出しつつ、たまたま隣にいた少年は少女に説明をした。 「どうして? 喧嘩したらすぐに死にそう」 「この時代は、全ての人間が食べ物に困らない時代だったから。食べることを我慢できる人間が、優れた人間って本能が育ってたんだよ」 「ふーん」 食べ物に困らない時代を想像できない少女は、納得したようなしていないような、複雑な顔で少年を見た。 ついでに、食事の時間が来たので、壁から生える管を腹に開いた穴に刺した。 管からは栄養が流れ込んできて、少女に現在必要な栄養が過不足なく少女の体内に供給された。 「じゃあ、今の私たちって、何が美しいと感じるの?」 「そうだなー。管の接続穴を作りやすい骨格をしてたら、美しいと感じるかも」 「あー、羽型骨格ね」 「そうそう」 少女は、栄養を入れ終えたので、管を少年へと渡す。 少年は受け取った管を自分の腹の穴に刺し、栄養を摂取していく。 少女は、じっと少年の腹と管のつなぎ目を見て、少し上のあたりを叩いた。 「……何?」 「私は、この骨格好きだよ? とっても管が刺しやすそうで」 「それはありがとう」
ヽ(`Д´)(`Д´)ノ=3 (˙❥˙)ノ 「お前、黙る!うるさい」 「うるさいはお前!ダメなヤツ!頭悪い!」 「お前、ムカつく!喋るな!」 怪人ヒキコモリーとヒキコモーラセは人を飲み込む度に成長していく。 ブラックホール団は怪人に引きこもりの家族を次々に飲み込ませ、休ませることをしない。 「……………」 「なんか言ったらどうなんだ?黙っていたら分からないだろう?」 「おれだって自分の気持ちなんか分かんねぇよ!」 「お、お前が分かんなきゃ、誰も分かんねえぞ!」 怪人の二つの頭は分かり合えず黒い思いは膨れ上がる 「はい!そこまで!あんた達!とっとと次の家に行くわよ!っもう、おんなじ身体で仲良くしなさいよ!」 サーナルシスはコールセンターの仕事を抜け出して怪人と街を歩いていた 人々は悲鳴を上げて逃げ惑っている 「あらあら、人間達が虫の様に逃げていくわよぉ。あんた達!そこの人間達も飲み込んじゃいなさい!」 「…うん」 怪人黒い霧になり逃げ惑う人々に覆いかぶさる 黒い霧の中に人々は沈んでいく 「助けてくれー!ぎゃー!」 そこに、騒ぎを聞き駆けつけたホワイトレンジャーが到着した! 「見つけたぞ!ブラックホール団!」 「やっぱりあなた達の仕業だったのね!」 サーナルシスがホワイトレンジャーの前に出てくる 「あらあらあら。はじめまして噂のホワイトレンジャー。あんた達ね私達の邪魔をしているお邪魔虫ってのは」 「お、お前は!」 「IKKOさん?」 「やだもう!どんだけぇ〜!背負投げ〜!」 「田中邦衛さん?」 「まだ…まだ…まだ子供達が食ってる途中でしょうぐぁ!」 「ラッキー池田さん」 「そうです!私がラッキー池田です!って、ラッキー池田どうやんのよ!やったことないわよ」 「改めて、私の名前はサーナルシス。どうぞお見知りおきを」 サーナルシスは怪人に向かって言う 「お前たち、出番だよ。私は帰ってシャワーでも浴びるわ。」 「ちょっと待てよ!」 「キムタク?」 「戦う前にひと言言わせてもらいたい」ホワイト 「誰でも辛い時は自分の殻に閉じこもるものです」スノー 「引きこもりは、誰にでもあることですわ」アイボリー 「今まで頑張ってきた自分を認めてあげるのよ」パール 「そしてもう頑張らなくていいのじゃよ」月白 「よし!今言ったことはいったん忘れて、突撃だ!」ホワイト
「落としましたよ」 目の前を歩いていた人がハンカチを落としたので、拾って声をかけた。 その人は立ち止まって私を見て、無言でハンカチをとって、立ち去って言った。 別に感謝されたかったわけじゃない。 でも、一言お礼があってもいいんじゃないかと思ってしまった私は、心が狭いのだろうか。 コスパタイパを叫びながら人間の温かみを忘れた現代人を見ると、まるで心の氷河期の様だと思ってしまった。
=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ( ˙꒳˙)s₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾g◝(⑅•ᴗ•⑅)a٩(๑❛ᴗ❛๑)p(o゚ロ゚)ow 「もしもし、こちら引きこもり相談センターです。はい、はい…」 ブラックホール団の秘密基地は、電話が鳴りやまなかった。 怪人ヒキコモリーとヒキコモラーセを更に強靭にする為、黒い思いが必要なのだ。その黒いエネルギーを集めるため引きこもり相談窓口を設けたのだ。 電話で聞いた住所を元に一軒一軒引きこもりの家を訪ねていって引きこもりの家族を飲み込んでいく。地道な作業だ。 だいたい一日五万歩は歩く。夜寝るときには足が棒になっている。本当は車を使いたいところだが、車は盗めるが、免許がない。 ※ちなみに飲み込んだ人間達は異次元空間でのんびりしているだけなので安心するんだ ピロロロロロロロ 「も〜団長!電話が鳴り止まないわよ!ちょっと手伝って下さらない!?」 「分かった分かった、手伝うよ」 「団長!三番!電話!」 「え、はい、あ、もしもし、えー引きこもり相談センターでございます。はいはい、それはそれは…」 ヽ(`Д´)(`Д´)ノ=3 「以上午後のニュースでした」 ここはホワイトレンジャーの寮 「最近一家全員行方不明になる事件が多いわね」 「これはブラックホール団の仕業に違いない。しかしどうしたらよいものかのぉ」 「どの家も家族に引きこもりの人間がいたらしい」 「そう言えば、この間うちの本屋で引きこもりの本を買う女性がいましたよ。悩んでいるけど相談出来ずにいるご家庭は結構多いのかもしれないですね」 「それにしても、もしブラックホール団が引きこもりのご家庭を誘拐しているとしたら、それは引きこもりの人が必要だからですよね?どうしてだろう?」 「それだ!アイボリー!奴らは引きこもりの人が必要なんだよ!だから引きこもりの家が分かれば未然に防げるかもしれない!よし!博士に言って引きこもりのエネルギーを調べてもらおう」 ベルト型トランシーバーにホワイトは話しかける 「もしもし、博士?今、引きこもりのエネルギーを…」 「大丈夫。話は全て聞かせてもらった。もうすぐそっちに引きこもりセンサーが届くはずだよ。Amazonだからすぐ届くよ」 それからホワイトレンジャー達は出動準備を終え、各々過ごしていた。 前回までの戦いの記録をする月白。 家の掃除をするスノー。特にトイレは入念に行う。 筋トレをしながらにゃんこ大戦争をするリーダーのホワイト。 サウナにはいるパール。 インスタライブをするアイボリー。 ピンポーンAmazonから品物が届いた。博士からの贈り物はスマホ型のセンサーで引きこもりのエネルギーがある所をマップで示してくれる代物だ とりあえずホワイトレンジャーは一番近い引きこもりエネルギーの家に向かった。
今日は、だいぶ遅くまで仕事。えらい疲れた。明日は休み。安アパートの一室に帰ったら、すぐ熱い湯を落として風呂に入ろう。 ちょっぴり贅沢に、炭酸が入ったシュワっとする入浴剤も。 入って一瞬 えふっ てなる。そうそう、この瞬間がね、たまんないんだよ。
第一話〚知りたい。〛一部 僕は教師であるにもかかわらず、生徒の面瀬結凪(おもせゆいな)に想いを寄せている。堂々とこんなこと言う教師、他にいないだろう。面瀬は僕を何とも思ってないらしい、でも別に構わない。今の関係で何かあっては困る。厳しい社会の中、のほほんと恋愛してる場合じゃない。けど、何も起こらないという現実にもそろそろ限界になってきた。 2月14日今日はバレンタイン。チョコが42個置いてある机を見て、先生達がざわざわし始めた。まあ…教師がこんなに貰うなんて聞いたことないからな。そう思ってるとチャイムがなって授業に向かった。クラスメイト達が矢鱈と質問してくる。それはチョコレートの数についてだが別に自慢したいわけじゃないから言わなかった。 授業を始めようとすると、いつも通りある生徒に目がいった。面瀬結凪、クラスメイトから人気で頼りがいがあり、素直で明るい生徒だ。一見どこにでもいそうな感じがするが、惹かれたのはそこじゃない。惹かれたところは…もっと… 僕を改めて生徒に惹かれた理由を思い出すうちに自分って変なのかもと感じた。 家に帰ると携帯が鳴った。一通のラインがきた。どうやらまた会いたいらしい。もう関係は切ったはずだが…今は会いたくないから既読無視にした。 《ピンポーン》 誰だ?宅配ではないと思うが、出る気もない。 最近はなんだか疲れて、いよいよ学校以外に外に出る機会もなくなってしまった。友人の家はここから結構離れているし、じゃあ一体誰だ? 《ピンポーン》 流石に出た方が良さそうだ…ドアを恐る恐る開けるとそこには…え? 何で面瀬がいるんだ?どういう状況だ、?どうやってここに来たんだ?というか何で俺の家を知っているんだ?
フクロウとカラスは天敵らしい。 最近ではフクロウの個体数が減ってしまって都会ではカラスの鳴き声しか聞こえない。 キリスト教ではカラスはノアの箱舟から最初に放たれた動物であるらしい。 またフクロウは古代ギリシャでは知恵、理性の象徴であるらしい。 カラスはノアの箱舟から放たれて帰ってこなかったらしいが不浄の世界の死肉を食べるという役割を与えられていたらしい。 お腹いっぱいに死肉を食べすぎて太って飛べなくなったのかしら? ネットでカラス、フクロウ、ハトをキリスト教的視点で考察するとかなり深い論点になると書かれていた。 ハトまで登場してまるで聖書を基にした鳥獣戯画図のようだ。 しかし僕は動物に例えるとピンクのカエルなのでカラスやフクロウに食べられてしまう。 昔埼玉に行ったときにあなたはカエルちゃんだから、と言われたのが今になって謎が解けた。 明日もフクロウ、カラスに食べられないように土の中で冬眠してよう。 べんべん。
あたたかい紅茶の入ったカップを両手で包む。手のひらに移ったわずかな体温以上のぬくもりに、あの人がこじらせた風邪を思い出す。 汗の浮いた額、重くかすれた息づかい… この世の終わりのような、ふたりっきりの世界のような。 そんな、今は昔のものがたり―
1月1日 男性 餅を喉に詰まらせ窒息死 1月1日 男性 ヒートショックにより死 1月2日 女性 階段でつまづき 転落死 1月3日 男性 喧嘩で椅子で殴られ、脳挫傷を起こし、死。 1月4日 女性2名 男性2名 N廃病院に侵入。院内を探索後、遭遇。壁に頭を打ち付け、お互いの眼球を奪い合う形でえぐりだし。絶命。 1月5日 男性 痴情のもつれから知人の男性と口論になり。道路に突き飛ばされる。轢死。 1月7日 女性 ハイキング中に毒性を持つキノコを誤食。8時間後に病院にて死 1月9日 男性8名 女性3名 N駅西口にて、遭遇。互いの目を奪い合い。指を噛み千切る。失血死。 男性一名が生き残ったが、六時間後、病院から脱走し、N廃病院の手前で野犬が骨を咥えているのを発見。 1月10日 男性 登下校時に車に轢かれ、轢死。 1月11日 男性13名 女性22名 N高等学校の廊下にて、男子生徒7名が遭遇。数分後に教室にて突然男子生徒が窓を割り、破片で他生徒4名を攻撃。 同じ事を遭遇した生徒6名が数分後に他の教室で行ったため。甚大な被害が起きた。 1月15日 男性 夜道を歩いていたところ、遭遇。奇声を上げて走り去る。職員の捜索むなしく、発見されず。 (追記 2月4日。N廃病院のエアコンの中から折り畳まれて発見。) 1月18日 男性 N廃病院に潜入。 当記録を発見。それを書き写し、2日後にネットに小説という形で投稿。 その2時間後に火事がおき。焼死。 1月21日 女性 道路を通行中 突如野犬に襲われ、死亡 野犬は駆除済み (追記 女性はネット上で18日の男性の小説を閲覧していたことが発覚) 1月23日 男性 ネットで小説という形で投稿された当記録帳を閲覧。 2時間後に溺死。 1月24日 女性 ネットに小説という形で投稿された当記録を閲覧。2時間後に失血死。 1月28日 男性3名 N廃病院にて当記録を閲覧。遭遇。 壮絶死。 1月29日 男性 ネットに小説という形で投稿された当記録を閲覧。焼死。 1月30日 男性 ネットに小説という形で投稿された当記録を閲覧。餓死。 1月31日 女性 ネットに小説という形で投稿された当記録を閲覧。溺死。
彼はびっくり仰天して、彼女がマンションの廊下で待っているのを見た。最初に会ったときと同じように、空色の着物を着て黒髪をお団子にまとめている。雪片が一つ一つ静かに漂うなか夕日を見つめる彼女は悲しそうに見えた。 早春に別れて以来、彼は彼女に会っていなかった。そして今、彼女は彼の前に立っている。彼が近づいて声をかけると、彼女は振り向いて微笑んだ。以前と変わらない左頬のえくぼが強調された優しい笑顔。 「どこに行ってたの。あちこち探したよ。」彼は懸命に涙を抑えながら言った。 「行ぐ前にさいならって言わねで、ごめんな。」彼女の東北なまりが柔らかな声に響き渡った。 「なぜ僕を残していったの。」 「俺だみんな、それぞれの事情があるべった。」 「でも…」 「それだども、俺たちはいつまでも一緒にいることを約束したんべ。だから、あんたさ会いに来たべ。」彼女は腕を広げて一歩前に出て、抱きしめるしぐさをした。 「えっと~、ごめん。僕は先に進んだよ。」 「どんた意味?」彼女の声は緊張し、眉をしかめた。 「今結婚している。」彼の声は弱くなった。 「何、もう結婚したんだか?」彼女は滑るように近づき、彼に冷たい視線を向けた。 「気分を害したら申し訳ない。」 「あんた、約束したべ。」 「でも…」彼は説明しようとした。 「約束したなだべ。」彼女の声は甲高くなった。強くて冷たい風が彼女のお団子をほどき、長い黒髪がうねる。彼女は目を見開き、殺意を込めて彼を見つめた。腕を伸ばして彼に駆け寄る。彼は後退したが、凍った床で滑った。彼女は彼を飛び越えると、大きなつららに化けた。つららは彼の浮気心に突き刺さった。溶けて消えて、胸にぽっかり穴が開いた。
俺はホームレスだった。テントを持っていたので今晩テントを張る場所を探して歩いていた。初めての町、右も左もわからない。人気のない山の方へ、勘を頼りに進んだ。辺りはもう暗かった。けっこう田舎の方で、少し広い道路を外れればすぐに街灯なんて無くなる。ある住宅街の中を、川に沿ってずんずん進むと、気づいたら高速道路の側道をあるいていた。真っ暗な高架下をくぐり、暗い所を歩き慣れてる俺でさえ、チラチラ後ろを気にしながら歩く程、気持ちの悪い雰囲気が漂っていた。冬だったので虫も鳴かず、静寂の中、高速道路を走る車の音だけが鳴り響いては止み、鳴り響いては止みを繰り返す。「なんか変なとこ来ちゃったな、、、」なんて呟きながらもとりあえず進んだ。すると先の遠くの方でなにか白い光が見えて一瞬立ち止まった。光は動かない。きっと高速道路の街灯かなんかが何かに反射してるんだろうと判断してまた歩を進めた。その通りだった。俺は墓場に出たんだ。白い光は墓石に街灯が反射したものだった。「この墓場、なんだか気持ち悪いな、、」なんて思って通り過ぎようとした時だ。ある墓の前で俺は背中にゾワゾワっと冷や汗をかいた。その墓は誰かがよくお参りに来るのだろう、花も供え物も新しかった。なぜ冷や汗をかいたのかというと、見えはしないのだが、その墓の前に誰かが立っているような気配を感じたからだ。もちろん誰も立ってはいないのだが、俺の頭にはそこに人の形が浮かんでいた。俺に霊感なんてものはないと思う。でもね、いくら想像だとしても、顔まで浮かんでくることってあるだろうか。ハッキリはしないのだが、爺さんの顔だった。俺は持っているライトで墓石を照らした。別に読んではいないが、深く刻まれた誰かの名前がそこにあった。「まあ、俺もいつか死ぬからな、別に怖がることじゃないわ。幽霊がいるとしたら、俺だっていつかは幽霊になるんだから」、なんてことをあえて気丈に声に出して言った。これは俺が怖い時によくやる癖である。その時だった。大した迫力もなくて悪いが、その時の俺にとってはめちゃくちゃ怖いことが起きたんだ。俺は確かに見た。墓に供えてある立派な花な、ぴら、、、って、花びら一枚落ちたんだよ。俺が固まって、頭を整理しようと躍起になっているとまた一枚、ぴら、、、って、落ちたんだ。あ、これおるわ、、って確信した瞬間だった。こういう時、俺は叫んだり、走ったりするのは苦手だ。早歩きもダメ。本当はめちゃくちゃ怖いんだけど、さも平気なフリしてゆっくり歩き去る癖がある。その時もそうした。クルッと墓石に背を向けて、ゆっくり墓場を抜けた。頭の中にはさっきの爺さんの顔形がまだ浮かんでいる。そして、なんとなくだけど、背中についてきている気がした。早く灯りがあるところにでたいな、、なんて思っていると少しずつ足早になっていった。ようやく見つけた街灯の灯りのしたに、避難するかのように入りこんだ。その時にはもう、何かがついてきている感じも無かったのだが、その場所からさっきの墓場がまだ遠目に見えて、少し余裕もできたのでちらっとその墓場に目をやった。遠いし暗いしもちろん確実とは言えないが、俺は見た、さっき俺が立ってた墓石の前に、けっこう小柄な何かが立っているのを。しかもな、それ動いたんだよ。多分最初はこっちに背を向けてて、それからちらっとこっちを振り返るような動作に見えた。それを見た瞬間、俺はまた歩き出した。結局その日はテント泊はせず、街中まで出てネカフェに泊まったんだよね。小説とは言えないかもだが、これ実話です。
刑務所の自由時間、庭の隅でぼんやり空を眺めていた一人の囚人が、ふいに「あっ」と言った。その視線の先には、一匹のチョウがいた。チョウはひらひらと空を飛んでいた。他の囚人たちもチョウに気づいた。みんなでチョウを見つめ始めた。ひらひらと飛んでいたチョウはやがて、刑務所の塀を超えていきそうになった。それぞれの囚人がそれぞれの思いでそれを見つめていた。しかし、塀の上部に張り巡らされた鉄条網の間で、チョウは動きを止め、もがき始めた。その鉄条網の間に、クモが巣を張っていたのだ。囚人たちは視線をそらした。そして苦笑いを交わしながら、それぞれの時間に戻った。穏やかな午後は、いつまでも続くようだった。
そのタコ焼き屋の店主の親爺には、カミさんの他に、愛人がいた。正確には、それは愛人ではなく、愛タコだった。何匹も愛タコがいた。この親爺はタコたらしだった。とにかくタコにモテた。水族館に、海鮮料理屋の生け簀に、そしてもちろんあらゆる海に、愛タコがいた。そしてこの親爺の恐ろしいのは、そうして囲った愛タコたちを、次々と殺して、店のタコ焼きの具にしてしまうことだ。殺タコはあらゆる場所で行われた。ある愛タコは、親爺に三本目の脚を愛撫されながら、包丁で刺し殺された。ある愛タコは、ドライブで訪れた明け方の海で、絞め殺された。ある愛タコは、耳元で愛の言葉をささやかれながら、沸騰している熱湯にぶち込まれた。そうして死んだ親爺の愛タコたちは、切り刻まれ、タコ焼きの具に姿を変えていった。親爺はそのことに快感を感じていた。異常者だったのだ。親爺のカミさんは、愛タコの存在を知らなかった。ただの平凡な、多少仕事熱心なタコ焼き屋の店主だと思っていた。しかし、そんなカミさんも、夫に関して、一点だけ、不審な点があることに気づいていた。この親爺は、いつもポケットに一枚の写真を忍ばせていた。そして時々それを取り出して眺め、ため息をついているのだった。カミさんが以前、そっと写真を覗き見ると、そこには、一匹のイカが写っていた。
=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ( ˙꒳˙)s◝(⑅•ᴗ•⑅)a٩(๑❛ᴗ❛๑)p(o゚ロ゚)ow 窓の外の雲を見ている。 ゆっくりと青い空を流れる雲。少しずつ形を変えて白い雲は流れていく。 たかしはベッドに横になりながら空を見ていた。 なぜ自分は普通じゃ無いのか。 なぜ皆が当たり前にしていることが出来ないのか。 高校生になったら、何となく友達が出来て、彼女が出来て、部活も頑張って、部活終わりに皆でゲームながら帰って。そんな毎日が送れるもんだと思っていた。今の自分が惨めで不思議で不快だ。 なぜ学校に行けないのか。誰からもいじめられていないし、嫌なことも大してないのに… 父さんのことは関係ない。絶対に関係ない。でもいてくれたらとは思うけど。 「ガチャン」 母さんが家を出ていった音がした。とりあえずトイレに部屋を出る。 たかしはトイレに入っているときも頭の中はおしゃべりな自分がいる。 朝、起きたときは不安が体を充満していて怯えてしまう。何に怯えているかは分からない。多分、生きることに怯えてしまうのか。 トイレの水を流す 怯えているのに、食欲はあるし、よく寝れる。余計に自分が怠けているのだと責めてしまう。 誰もいない家でキッチンに入り自分の茶碗を洗う。その後はソファーに座りYouTubeを観ながらお菓子を食べる。すると直ぐに昼になる。家にいると時間があっという間に過ぎ去っていく。学校に行っていたときは昼休みが待ち遠しかったのに。 昼ごはんはインスタントラーメンを作る。自分の昼メシくらい作らないと、母さんに、社会に、申し訳なさで死んでしまいそうになる。一瞬で食べ終わってしまうけど。 昼過ぎは、洗濯物を取り込んで畳む、夕方前には雨戸を閉じてしまう。少しでも自分は役に立っていると思わないと辛い。 まだ、母さんが帰ってくるには早い時間、エロサイトを観て素早く処理を済ました。外では下校中の子供達の騒ぎ声が聞こえる。楽しそうに。 使用済みのティッシュを持って部屋に戻る。雨戸の閉まった部屋は真っ暗だ。闇しか無い。壁に手を滑らせ照明のスイッチを押すと、部屋には頭が二つある怪物がいて僕に襲いかかる 「わぁー!助けてー!かあさーん!」 たかしを飲み込んだ影は一回り大きく成長する 「かあさん」 「たすけて」 「こわい」 「くるしい」
=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ( ˙꒳˙)s٩(๑❛ᴗ❛๑)p(o゚ロ゚)ow 時間を少し前にさかのぼる。 ブラックホール団の秘密基地では、新たな怪人が育っていた。黒いマシンの中に【社会の黒い思い】がぐるぐると集まっている。 マシンの前には二人の男が立っている。一人はゴリラのようにデカくゴツゴツした男、もう一人は白い顔に赤い大きな口のスラリとした男 「そろそろ生まれそうですねぇ~クロノス団長。今回は引きこもりのエネルギーが集まっているようねぇ」 「いいかサーナルシス!この怪人を利用して次こそはこの世界を我らのものにするのだ!」 「そんなこと私に言われてもねぇ〜怪人ちゃん次第なんじゃないの?」 クロノス団長がサーナルシスを睨む。サーナルシスの方は「睨まれても困りますけど」となれたようすだ。 「チーン」 ベルの音とともに黒いマシンが開く。中から出てきたのは頭を二つ持ったの怪人だ。 「あら、面白いじゃない。一つの体に二つの頭。オルトロスのようでカッコイイわね!」 「あなた達の名前は…そうねぇ…引きこもりの怪人だから『ヒキコモリーとヒキコモラーセ』ね。左のあなたがヒキコモリーよ。……いやいや私から見て左のあなたよア・ナ・タ!」 「ふん。名前などどうでもいい。さぁ行くのだ!この世界を黒い思いに満たし、我らの物にするのだ!」 「はいはい、どうでもいいですね。怪人ちゃん、いってらっしゃ〜い!」
=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ( ˙꒳˙)s(o゚ロ゚)ow 「ふぅ、ただいま」 たかしの母親が家に帰った。生臭い匂いが微かにする。 家の雨戸は既に閉まっていて、洗濯物も畳んで置いてある。 手洗いを済ました後、母親はバッグを置いて洗濯物を寝室の引き出しにしまう。たかしの部屋を通り過ぎる時に、今日の夕ご飯はカレーだと告げる。母親はカレーを手早く作り、ぐつぐつと時間をかけて煮込む。お米を研ぎ終え、ジャーのボタンを押したあと、母親は今日買った引きこもりの本を読み始めた。本は既に彼女が知っている事ばかりが書いてある。その他には精神系の疾患についても詳しく書いてあった。病院に行って何か変わるものなのか。どうしても病院に連れて行くことをためらってしまう。今度は精神系の病気の本を買ってみようかと思っている。他に何かハッとする内容がないかとページをめくっていく。 突然たかしの部屋で ドン と音がする。母親は本から顔を上げ、部屋へ行こうと腰を浮かせるが、思い悩んでやめてみる。 しばらく耳を澄ますが何もない様子だ。 ピピピピ 冷蔵庫に付けたタイマーが鳴り本を閉じた。鍋の蓋を取るとカレーのいい匂いがリビングに流れ出る。 鍋の中のカレーを見ていたら、いつの間にか息子の産まれた時から今までの事をテレビのダイジェストの様に思い出していた。 出産予定日の一ヶ月前に足のむくみがひどく、念の為検診に行ったら、産婦人科の先生に、お腹の中の赤ちゃんの状態が良くなさそうだから、今すぐ帝王切開しましょうと言われたこと。 たかしの大きな大きな泣き声で助産婦さんが驚いていたこと。 夫が仕事を切り上げて駆けつけてくれて私より泣いていたこと。 家族三人でスタートしたボロいアパート暮らしでた日々のこと 小さくて狭くて分からないことだらけでたくさん迷惑をかけたけてお世話になって大変で楽しかった 夢の一軒家を購入してすぐたかしが白い壁にクレオンでお絵かきしたこと 越して直ぐに夫が事故で亡くなった日のこと たかしが小学生の時に私について書いた作文 中学生の部活で出来ない早起きを頑張って朝練に出かけていたこと 高校になって、休みがちになった時の辛そうなたかしの顔 私はどうしたら良かったのだろう たかしのカレーをよそっていると、たかしの部屋で、もう一度ドンと音がなった。 「たかし?大丈夫?」 返事はない 母親はコンロの火を止めたかしの部屋の前に行く 「たかし?開けるわよ…キャー!」 ドアが突然強く開き、母親が黒い影に飲まれていく。 怪人ヒキコモリーとヒキコモラーセがあらわれた! 「私はあなたの味方なのよ」 「そういうことじゃないんだ」 「病院に行ってみる」 「だから、わかんないんだって!」 怪人は二つの頭で会話をしている
「入社おめでとう。君たちも社会人になったことだし、ここらで生命保険に入っておくのがいいぞ。会社の推奨はこれだ」 とりあえず入った。 「確定拠出年金を始めないか? 毎月の給料からコツコツと積みあげて、将来の年金を増やせるんだ」 とりあえず入った。 「持株会に入らないか? 毎月の給料から少額の株を買って配当をもらうんだ。今なら、一口につき○○%の株プレゼントもあってお得だぞ」 とりあえず入った。 正直、何の目的で、将来どうなるのかよくわかっていない。 しかし、会社が大丈夫と言っているのなら、きっと大丈夫なのだろう。 上司の指示を聞くのが嫌だとフリーランスになった友達たちは、成長が楽しいと喜びながら、仕事がない貯蓄が不安だと嘆いている。 ぼくは、成長なんて感じないけど、仕事や貯蓄への不安もない。 多分会社が何とかしてくれる。 「酒、うま」 どっちが幸せなんだろうか、なんて考えるのも面倒になって、とりあえずお酒を飲んで寝た。
「「まるで寄生虫だ 。」」 そうバーニーから言われ、絶望に満ちるモニカ。 「ぁ 、 ぅ、 まっ、て、バー二、や、ぁっ、…なん、ぅ、」 嗚呼、言葉が上手く続かない。どうしよう。バーニーが怒っている。嫌だ。怒らせたくない。怒られたくもない。嫌われたくない。捨てられたくない。やだ、お願い。置いてかないで 「ちが、ぅ、ちがうの、ばーに、ぅ、ぁぁ、」 ーーーーー 「「……これで良かったんだ」」 なにかバーニーの心からすっぽりと簡単に抜け、人に縋る寄生虫が居なくなり、宿主は心の底で何かを後悔しながら普段の日に戻るのでした。
「夏が始まる頃と終わる頃には、夕焼けが紫色になることがあるんだ」 俺がそう話しても、お前はさして興味なさげに生返事をするんだろう。そんな姿がありありと目に浮かぶ。 けれどもきっと、俺だって同じ事をしているはずなんだな。どれがどうとは分からないが確信している。俺たちお互いが興味のあることが分からない関係なんだな。 俺が、子供時分にはよく山のなかで遊んでいた話をして「傾斜はジグザグに登るんだ」「木の根が見える所は崩れない」なんて言っても、確かに街で暮らす二人には何の意味もない話だし、お前はスマホ片手に「ふぅん」「へぇ」だった。 なら逆はどうだろう? 例えば、お前がNISAを始めようかと思っている旨を話した時だ。俺はきっとあの時「いいんじゃない?」としか言わなかったはずで、もしかするとお前にとっては大切な話だったのかもしれない。 例えば、お前が英語のLとRの違いを話していた時だ。あの時こそまさに、俺は「ふぅん」「へぇ」としか言わなかっただろう。 どちらもお前の語り口調は覚えているのに、どんな表情だったのかは知らない。つまり、お前の顔は見てなかったんだな。 そういうことだよ。判るだろ? この歳になって最近になって気づいたことがあるんだ。俺は冷めた人間なんだなって。そしてお前も冷めた人間だよ。 こんな二人が同じ時間を過ごしたところで、なにも生まれやしないし、なにも解決はしない。だのにどうして二人は一緒にいるんだろうな。いや、試しに訊いてみただけだよ。応えなくてもいいんだ。いつもみたいに「さあ」とだけ返してくれたらそれでいい。 ……。俺といる時間は退屈かい?俺はこの時間は悪くないと思ってる。でも正直に言えば、別になくても困らない時間でもあるよ。先週も俺の運転でドライブに行っていた時、急にお前がトイザらスに寄りたいと言ったよな。俺は別に構わなかったけど、サッカー盤で一人遊びに興じるお前を見ていた時、俺はバカな奴だと思ってしまったんだ。 お前はどうだ?俺が501か517か悩んでいる姿は、お前にはどう映った? 改めて考えるほどに、二人が一緒にいる理由がわからなくなるよ。毎週日曜日の十時にはお前の家まで迎えに行って、決まって十八時にお前を家まで送り届ける。 こんなやり取りの繰り返しで、俺たちはなにを見つけていたんだろうな。なにを育んできたんだろうな。たぶんきっと、なにかはあるはずで、そいつが未だに俺達を繋ぎ止めているはずだ。 けどその正体がわからない限りは、そろそろ限界が近いとは思わないか? 愛だなんだとか、そういう重たくもチンケなものじゃないと俺は感じるよ。俺はね。もしもお前が愛だと感じたなら……、感じたなら、どうすればいいんだろう。俺たちは別れたほうがいいと思うか? そういえば、思い出したことがひとつある。いつか俺がレイクの看板を見て「あの『イ』は新芽みたいな形だな」と言って、お前は「客は金を呼ぶ新芽なんでしょ。金融なんてそんなもんよ」とか返したよな。 あの時は何言ってんだコイツって思って、そこで話は途切れたけどお前の返事は「さあ」ではなかった。 何かがズレていたのは間違いないけど、それなりのやり取りが成立していた気もする。 あの時お前の頭の中では何が起きていたんだ?俺はレイクのロゴの話をして、お前はレイクの業種の話をした。共有できたのは、新芽が云々だけだったじゃないか。 そう。新芽だ。新芽なんだな。 俺たちは今まで意味があるのかどうかもわからない時間に金をとかしてきたけど、きっと新芽なんだな。 意味がどうか、考えるだけ野暮なんだな。 お前がいてもいなくてもあまり困らない俺だけど、どうせ当てのない俺だし、なにかが変わっていくことは、それ自体が悪いことじゃない。良いことでもない。ただ新芽が生えただけなんだな。 急に腑に落ちたよ。もういいんだ。いや、ホントにもういいんだ。 「ふうん。てかアンタさっきからウインカー出しっぱなしだよ」
「あんちゃんは食えない人だねぇ」 飛び出した旅先で見つけた山奥のトンネル。その先に見つけた緑あふれる集落の木造一軒家の居間にて、私はくつろいでいた。 「はは、よく言われますね。表情が読めないとか」 そう言うと、家内らしき女性は湯飲みをコトリと置き、私の隣に腰を下ろす。座椅子がぎしっと歪んだ。次いで送られるジロジロと、品定めしていることを悟らせるかのような視線を躱すべく、施された茶を飲んだ。含んだ湯気が鼻から抜けていくけれど、味はおろか匂いもよく分からない。 「でも大事だよぉ。中身のない奴ってのは、いつの時代も食い物にされてきたからね」 かけられていた圧が消え、一息ついて女性を見やる。虚空に視線を向ける女性の顔には、どことなく後悔が浮かんでいた。 よければ、聞かせてくれませんか?そう発したのはあまりに自然なことだった。 女性の視線は虚空のままに口だけが開いて、ゆっくり語り始めた。 「……あたしがこの家に嫁いでしばらく、旦那がおっちんじまったのさ。あたしと、こども三人残して」 ほんとはあたしが真っ先に死ぬべきだったのにねぇ……言い聞かせるように、そう呟いた。 「あたしは死ぬに死ねなくなった。子どもらを育てんといけない。稼ぎのない村のために働かんといけない。あっちこっち走り回って、気がつけば子どもはみんな飢えとった」 それよりも──そう続けようとして、女性は口を閉じた。視線は足元を、というよりも膝に置かれた両の手の平を見ているようだった。押しだまり、瞳を閉じて、数秒。ゆっくりと顔を上げ開かれるくすんだ両目はこちらへ向いて、恐ろしいほど真っすぐに私を見つめていた。 「なにより、私も飢えていた」 今も尚、その頬は痩けている。 「だから、食べてしまったんだ」 それでも、女性は飢えている。 「子ども…ですか?」 女性は神妙に頷いた。 「ここは森が近い。動物たちにやられたと言えば、みんな信じたよ。……信じるしかないくらいには、飢えていたんだね」 すぐさま座布団から立ち上がり、荷物を肩にかけると女性と距離を取る。すると女性はけらけらと笑った。 「言ったろう、あんたは食えない人だよ。どうしてか知らないけど、こっち側に入ってきちまった中身のある人さ」 女性が立ち上がる。先ほどは気が付かなかったけれど、体の節々はやけに骨が突っ張って肉がない。そして襲ってくるような様子も見当たらない。 「そのまま出ていきな中身のある人。旅してるなら長居はせんほうがいい」 言われずともそうしようとしていたところではあったけれど、ふと気になった。 「そういえば、中身の有る無しってなんなんですか?」 やや面食らったように驚いて、女性はまた虚空に目線をやりながら、今度は顎に指を添える。しばらく唸ったあと、告げた。 あたしにゃ内臓のあるなしくらいしか分からんよ、と。 痩けた身体とは思えないほど快活な笑顔で、彼女は私を見送って、見送られた私は後々気持ち悪くなるほどの全力疾走で、薄暗いトンネルをくぐった。
選挙間際世の中が荒れる私は淡々と理不尽な 事だけ動く世界で誰かを癒し宣伝したり全部 無償で行う日々否宣伝したよねお礼は無いの ステッカーも良いけど地獄の沙汰も金次第で 一応エネルギーと言霊で客寄せパンダ状態な 訳だし利益は分配するのが当然でしょう旨い 汁は吸い義理人忘れちゃ駄目に決まってるし 身勝手な人間は自分冴え幸せならば人はどう 為ろうが御構い無しの愚かで悲しい生物私は 其れが現代の人間の思考だと危惧する万が一 大地震や何らかの攻撃受けたら多分真っ先に 死ぬのは義理人を知らない者達だろう誰かを 思い遣り助ける行為こそ緊急時誰かと一緒に 行動する事は単独行動依り救助される確率も 高く1人じゃ見えない後ろ危険冴えも一つの 目依り二つの目的に合力も発揮そうで助けを 呼ぶ時は1人はその場に待機もう1人は声や 行動で救助を知らせ人を連れて来る事冴えも 可能な訳だけど普段から義理人が無く自分の 事しか愛せず他人を利用して粗末に扱う者は 普段の行いが祟り緊急時冴え誰も救助へ来ず 寂しく1人野垂れ死んで行く自業自得と言う 素敵な言霊かも知れない皆死ぬ事は怖いので 緊急時助かる為普通から他人に親切義理人を 忘れ無い正しき行いはこれからの日本で唯一 生き残る羅針盤かも知れない
とある友人が喋った。 「怖い話、ひとつあるんだけど良い?」 「うん」 正直、どうでもいいところはあった。 「ある暗い日、路肩でひどい嗚咽をしている背の高い女性がいて」 「声をかけた、『大丈夫ですか?』」 「そう話すと、背の高い女性は吐いてしまった」 「あらら」 「吐いた後に、目を虚げにしたんだ」 「何かと思って、見ている方向を見たら」 「高い塀があって、見れなかった」 「そう」 「見上げてみたら」 「人影が浮いていた」 「え?うん」 「何かと思って気になった?」 「手に針が刺さって、落ちた」 「後ろを見ると背の高い女性も、吐いた吐瀉物もなくなっていた」 「そうなの」 「何で知っているの?」 「あ〜ネットで、みたんだよ。」 「そうなんだ。」 「自分で体験したことなのに…」 となりを見ると友人はいなくなっていた。 もしかして、と思い、後ろの路肩を見ると 「嗚咽をしている背の高い女性がいた」
冬の寒さが身を冷やす頃 20xx年 コロナはなかった ✳︎ なにもなかった。 みんな、そのことを忘れてしまった。 ✳︎ 「ってな感じの、なんかちょっとハードなストーリーなんだけど」 と先輩が言った。 「い、いや…。絶対いいと思いますけど」 と私は言った。でも、本当にあんまりよくわかってなかった。なんの話だっけ? 先輩は続ける。 「これがね、地味にいっぱい書き溜めてあるのよ」 「……これ全部?」 「うん。だいぶ長いから、毎日ちょっとずつ読んでく感じだけどね」 私はその 『なんかちょっとハードなストーリー』 を想像しようとした。 「今度貸そうか?だいぶ長いけど」 「あ、はい!ぜひ!」 私は思わずそう答え、読書権を得るのだった。 先輩は少し首を傾げ、言った 「どうしたの?やけに元気じゃない?」 「元気いっぱいです!」 と私。 ✳︎ そんなことがあってから数日後の夜のこと… 私が家に帰ると母がこう言った。 「そういえば今日あんたの宛に荷物が届いてたよ。なんかコンピュータみたいなの。 部屋に運んでおいたからね。」 「あ、うん」 私は部屋に入り、そのコンピュータの箱を見つめた。 「あぁ、先輩からの。もしかしてあのストーリー?」 期待を込めて開けた。 「うわっ…何これ…」 開けて驚いた、随分古そうな型の物だ。 とりあえず、電源を入れた。 「おっ、動いた」 と思わず私は言った。 重低音のような起動音が部屋に響く。 でも…これなんの機械だっけ?よくわかんないけど、まあいっか! 私はコンピュータ内を探した、けれども先輩の言っていた物も、そもそもGoogleというものしか入っていなかった。 「まあ、とりあえず開いてみるか。」 開くと馴染みのある画面がパッと出た。 そこに先輩から聞いていた内容を打ち込んでみると、一番上に出てきた。 私はそれをクリックした。 私は画面に映る文字を食い入るように見つめた。 『20XX年 コロナはなかった……』 その言葉が妙に胸に引っかかる。 「コロナは別にないわけじゃないけれど、なんだか違う気がする。 これが差しているコロナって一体何…?」 胸がざわざわする。 ふと視界の端にちらつく影が気になった。窓辺に立つ人影? 「え?」 振り向くと誰もいない。画面に戻ると 『20X0年 武漢にて原因不明の肺炎が発生』という赤文字が突然表示されていた。 私は驚き、慌ててバツを押した。 ほっと一息つく。 『20X1年 累積感染者数2億4630万人』 『202X年 累積死者数500万人』 『2023年 マスク着用義務化』 バッとタブが現れた。 私は思わず、電源を切った。 「何だったの…あれ…」 「怖いし…コンピュータは箱にしめて、明日先輩に返そう。」 怖くなって布団でぐっすり寝た。 箱の中で赤い光が輝く。 『2020年 コロナはなかった』
夕暮れの駅のホームに、おじさんが一人立っている。夕日に照らされている。夕日に照らされて出来たその影は、巨大な『?』の形をしている。そういうおじさんがいる。おじさんを見た人たちは、おじさんの影が『?』の形をしていることに気づく。そして思う。「あのおじさんは何が疑問なのかしら」その時、駅にやってきた電車に、そのおじさんが飛び込んだ。おじさんはいくつもの肉片となる。作業員がそれを拾い集め始める。夕日がいよいよまぶしい。肉片を拾おうとした作業員が気づく。すべての肉片から延びる影が、もれなく『!』の形をしている。おじさんは何か解ったらしい。無数の『!』に取り囲まれた作業員は、恐る恐る、自身の影を見る。
冷蔵庫の扉には、掲示板のように過去の自分からの伝言が貼られている。どれも同じ形をした長方形の方眼紙に、同じような形の細い字が並んでいる。寝起きで視点の定まらない目を細めながら、今日の自分への紙を探していると一枚だけ見覚えのない紙があった。 罫線のひかれたノートの端を小さく手で折ってちぎったような紙に「チョコレートあるよ」と罫線を無視した歪んだ文字で書かれていた。その文字に見覚えはあった。しかし、誰の文字かは全く思い出せない。 その紙を貼ったまま、冷蔵庫を開けるとチルドケースの上の段に透明の袋でまとめられたチョコレートが目に入った。一粒一粒が赤や青、緑色の紙で包装されている。それは自分が学生時代に好きだったメーカーのチョコレートだ。冷蔵庫の冷気を浴びながら、口の中はなめらかなチョコレートの味を思い出す。 冷蔵庫を閉じ、玄関の鍵を見た。チェーンもかかっている。 もう一度、冷蔵庫に貼られた文字を見る。 差出人の分からないチョコレートを捨てる気にはなれなかった。
身の回りにあるもの、全てから逃げたかった 何も考えなくて良い悠久を求めていた 書き埋まったカレンダーをこの手で掻きむしりたかった 今日もただ時間だけが過ぎていく 当たり前のように1日を過ごす人の傍らで、1日というものに呑み込まれる私 どう比喩表現で誤魔化しても 濾しきらなかったクズが頭を霧のようにして 身を封じ込める どうリセットしても巻き返される事象 『結局は進むしかない』でも、進み方を見失った 残った欲望をかき集めて何を買おうかな そうだ。 あの自動販売機のジュースでも呑んで落ち着こうかな (完)
萌木色を観せて なんだか暖かく想う 包み込むような 飲み込むような 萌木色を手に乗せて 力加減がわからなくなる程の尊さ 耳に風走っていく心地良さ 視界に溶け込む存在感に、美しさを想う 萌木色 春の芽が咲く時 人恋しくなる時 抱き寄せて 包み合う (完)
「美しさ」が唯一の生存条件となった日本。痩せ細った肢体と人工的な美貌を持たぬ者は、社会から排除され、スラムへと追いやられる。それがこの国の「常識」だった。 警察庁長官官房、中村透。190センチの長身に、彫刻のごとき端正な顔。黒髪を短く刈り上げたその姿は「最高級の整形」と羨望を集めるが、彼はその言葉に吐き気を催していた。「整形だと思ってろ」――それが、天然の美しさを呪う彼の口癖だった。 ある夜、透は身分を隠し、未整形者が集まる居住区へと潜入した。そこで目にしたのは、家畜以下の扱いを受ける人々、そして、赤ん坊の顔を自らの手で揉みしだき「高く、細くなれ」と泣き叫ぶ母親の狂気だった。 絶望が支配するその場所で、透は「ユイ」に出会う。 彼女の右顔面は惨い火傷のケロイドで覆われ、目は癒着して閉ざされていた。だが、彼女は慈母のような微笑みで、飢えた子供たちに食糧を分け与えていた。「皮を一枚剥げば、みんな同じ赤色の肉だよ」と笑う彼女の精神は、虚飾に満ちた都会の誰よりも美しかった。 透はユイに惹かれ、彼女を守ることを誓う。しかし、彼女の「仕事」は深夜の強制労働だけではなかった。居住区の食糧を稼ぐため、彼女は上層部の男たちの悦楽のためにその身を捧げていたのだ。蹂躙され、ボロボロになりながらも、ユイは愛おしそうに自身の下腹部を撫でた。 「この子を守るためなら、なんだってできる」 彼女が宿していたのは、誰の子かも分からぬ「天然」の命。支配層が裏で欲する、無修正の生命力そのものだった。透は警察内の「天然」の仲間を集め、体制への反逆を開始する。美の祭典で重鎮たちの醜聞を暴露し、偽りの帝国を崩壊させた。 しかし、運命はあまりに冷酷だった。 ユイが命がけで産んだ赤ん坊は、生後二週間でこの世を去った。そして、特権を奪われ憎悪に狂った残党たちがユイを拉致する。 透が彼女を見つけたとき、そこには「人間の形」は残っていなかった。 喉は焼かれ、四肢は断たれ、歯は抜かれ、目も潰されていた。かつて命を宿した下腹部は無惨に切り裂かれ、内臓が溢れ落ちていた。 白い病室で、肉の塊となったユイを前に、透は自らの「美」を捨てた。果物ナイフで自慢の顔をズタズタに切り裂き、彼女と同じ地獄へと身を投じたのだ。 「……もう、終わりにしよう」 透はユイを抱き上げ、かつて二人で朝日を見た断崖へと向かった。 光も音も奪われ、死を待つだけのユイだったが、透の腕の中で最後の手応えを見せた。手足のない体を捩り、透の胸の鼓動を確かめるように、ぴったりと身を寄せたのだ。 二人の影は重なり合ったまま、暗紺色の海へと吸い込まれていった。 後日、日本から「容姿による差別」は消え去った。人々は自分の顔で笑い、自分の足で歩き始めた。海辺の断崖には、名前のない石碑が二つ寄り添うように立っている。 「美しすぎる世界」は死に、そこには醜くも愛おしい「人間」の国が、ただ静かに広がっていた。