日本は女尊男卑だ。 そんなこと、誰が言ったのだろう。 「痛っ」 「気をつけろ!」 女性は、世界から排除されている。 ぶつかりおじさん。 犯罪の被害者。 結婚や出産への踏み込み。 女性という存在が、軽んじられることが多すぎる。 文句を言えば 「自意識過剰じゃない? そもそも、そんな格好してたら襲ってくださいって言ってるようなもんでしょ?」 などと、私のやってもいない罪が、私に押し付けられてくる。 この世界は息苦しい。 この苦しみを共感して欲しいと、SNSで友達を探した。 探している最中にも、【可愛いね】【おっぱい大きいね】【やりたい】というメッセージを受け取り続けてしまい、心が折れた。 やはり女性は、この世界の弱者なんだ。
三が日が過ぎた。 初詣のピークも終わった。 参拝者は三千人。 地方の小さな神社にしては、よく来てくれた方だと思う。 賽銭箱を開いて、お賽銭の額を確認する。 およそ九万円。 つまり日給三万円。 「はあ。社の修繕、どうしよう」 小銭だらけだから、両替もしないといけない。 両替手数料も馬鹿にならない。 受験合格、恋愛成就、健康祈願。 人生において重要なことを祈っているはずなのに、どうしてこうも少額なのだろうか。 金額ではなく気持ちだと言うが、気持ちだけでは神聖な場所を維持できない。 気まぐれにライバー配信のアプリを起動した。 次々飛び交う千円に一万円。 その感情を、多少は神様に向けてくれないだろうかと思わずにはいられなかった。
日本は男尊女卑だ。 そんなこと、誰が言ったのだろう。 「ここ、女性専用車両なんですけど?」 「すみません! 間違えました!」 男性は、世界から排除されている。 女性専用車両。 プリクラゾーン。 レディースフロア。 男性という存在が、立ち入ることのできない場所が多すぎる。 文句を言えば 「女性の安全のためだよ。そもそも、貴方たち男性が性犯罪をするからいけないんでしょ?」 などと、ぼくのやってもいない罪が、ぼくに押し付けられてくる。 この世界は息苦しい。 この苦しみを共感して欲しいと、SNSで友達を探した。 プロフィールを見ると、【友達募集(男が反応したらブロック)】という一文を目にしてしまい、心が折れた。 やはり男性は、この世界の弱者なんだ。
手洗い石鹸を買い替えたらしい 私には強い匂いに感じる 石鹸に、石鹸以外の匂いをつける必要はあるのだろうか それはそうと、金木犀の花言葉に『謙虚さ』と、いうものがある でも、私には『陶酔』させようとする魅惑的な匂いに感じる (完)
「推しが可愛い」 私は毎日悶絶している。 「推しが可愛い」 おそらく、この気持ちは誰にも理解できない。 理解させない。私のだし。 同担拒否。 しかし、最近何故かライバルが増えた。 他のヤツらに取られてたまるか。 開幕と同時に推しにアピールするしかない。 私のことを誰よりも印象付けなくては。 『さあ。時間だ』 目の前の扉が開いた。 『バタバタバタバタバタバタ』 「「「きゃーーすごい可愛いいい」」」 私が推しにアピールを始めると、他のヤツらも推しに黄色い声を上げる。 それは、「可愛いって言ってる私可愛い」でしょ? そんな手は使わせるか!! 『バタバタバタバタバタバタ』 「「「きゃーーすごい可愛いいい」」」 「あのペンギン、毎日飼育員さんに求愛してますね」 「本当に好きなんでしょうね」
生ぬるい体温を残した死体が重くのしかかる。 何度隠しても不意に現れるこいつは、昨日も酒にのまれて恥をかかされた。情けなく見栄っ張りで目立ちたがり屋のどうしようもない人間だ。殺して当然なのだ。こいつのせいで時間と金を無駄に消費し続け、私を居心地の悪い方向へと押し込むのだ。 だから今日の朝、こいつを殺した。しかし隠し場所が見つからない。無意味に歩き続け、気づけば夜になっていた。 防火水槽に沈めようか。青いフェンスに囲われた池には、子どもの頃は金魚がいた。今では黄土色に濁り水面は光をも吸収している。金魚と共に池の一部になってはくれないだろうか。 バラバラにしてホース格納箱に詰めようか。錆びて文字も読めなくなった赤い箱を開ける人はいないだろうし。 子どもの頃から放置されている車の中に隠そうか。積まれた段ボールで見えない車内には先客がいそうなので近付く気は起きない。 空を見上げるといつもより大きく黄色い月が辺りの雲を赤く染めている。月の裏側に隠しても、こいつはすぐに目の前に降ってくるのだろう。 いっそのこと電柱に吊り下げるか用水路に頭を突っ込もうか。隠そうとすればするほど気になり、意識を奪われてしまうのなら、開き直って晒している方が楽なのかもしれない。 死体を持っている間は逃げられない。隠し場所を見つけられず、燃やす勇気もない。私はこの死体を持ち続けなければいけないのだろうか。 忘れた頃に再び現れるこいつが、死んでいるということを監視し続けないといけないのだ。でも視界からは消したい。 こいつを殺しても存在していた過去は変わらない。何度殺して隠しても、無かったことにはならない。結局、自分からは逃げられないのだ。 誰もいない夜道で死体が笑った気がした。
zuizuizukobashigomamisozuityatuboni owaretetopinshyannuketaradondokosyo tawaranonezumigakomekutetuatututuot osangayondemookasangayondamokikkona siyoidonomawarideotyawankaetanodaare
今まで、誰かに負けて本気で悔しいと思うことはそう多くなかった。 小学生の頃は休み時間のゲームやテストの点数で友達に先を越されればそれなりに熱くなって悔しがった記憶はある。けれど中学に上がり、自分の立ち位置がなんとなく見えてくるようになると、そんな機会も目に見えて減っていった。「まあ、別にいいか」と、肩をすくめてやり過ごすことの方が増えていたと思う。 でも高校に入って、そんな冷めきった気持ちは一瞬で吹き飛んだ。 負けてそのまま、寝て起きたら忘れている……なんて日は一日たりとも無くなった。 心の奥に仕舞い込んでいた『負けたくない』という熱が頭を焼くような勢いで再燃し始めた。 はっきり言ってそこからの3年間は、もちろん楽しかった事も多かったけど心も体も削られまくる事も多かった。 それもこれも、あの子のせいで。 余計な対抗意識を燃やす羽目になった、あの子。 なのに私の友達になった、あの子。 その、あの子について話したいと思う。
足があるなぜ動かないお前たち ここは食堂ではないんだが 心は荒む ヒトはつまらない
筆を手に取る。灼けるような青を手に真っ白なキャンバスを前にしたところで、描けるのは海と空だけであった。 ただ目に見えているものを描き写しただけで。 それなのに未だに、誰かの姿が消えない。風に揺られただ風を竢つ、誰かの背が。本当はいたはずなのに。 「っ……」 また、耳鳴りが僕を襲った。波の音にも似た、あの夏の音だ。煩くて、煩わしい。 そのノイズに掻き消されるまま、そこに視ていた誰かの背は消え失せてしまった。 この音がする度に僕は、 ―― 「ねえ、██」 ―― また、誰かを思い出す。 ―― 「ねえってば。聞こえてる?」 「あ、あぁ。ごめん」 またいつもの耳鳴り。最近特にひどくなってきたと感じる。 「また耳鳴り?そろそろ病院行ったら?」 「行ったさ。でも何にもないんだって。ストレス性かも、とか言われるけど」 波打ち際、いつも通り君と他愛もない話を駄弁りながら歩く。サンダルの奥に入り込んだ砂の温度を確かめながら、一歩、また一歩と、どこを目指すわけでもなく歩き続ける。 このままどこへ行くのかなんて、僕も彼女も知らなかった。ただそこにあるのは、終わらないとさえ感じてしまっている時間だけ。永遠にも近いその一瞬の連なった一縷を、ただ必死に紡いでいた。 「ねえ、来年もさ。来れるといいね」 「……うん」 そう。これは最初から、君の言い出したこと。 「海に行きたい」 だなんて、最初は冗談だと思っていた。 無機質な白い部屋で天井を見つめる君の口から、そんな言葉が出るなんて思っていなかったから。 やっと、冗談が言えるくらいに気力が戻ったのかとほっとしていた。でもどうやら、彼女は本気だったらしい。 「今の状態なら、外出も許可できます」 信じられなかった。少し前までは食事も難しかったのに。今こうして、笑顔で僕の隣を歩いている。何もなかったように。僕が、そうであってほしいと願っていた通りに。 「そうだね。来年も、一緒に」 その言葉が妙に心残りで、奥歯で強く噛み締めた。思えばもうこの時には、僕は無理だとわかっていたのかもしれない。 その報せを聞いたのは、潮風に凪いだあの日からほんの少し。たった一月先だった。 「はぁっ、はぁっ」 バタン、と廊下中に音が響く。 何かを引き戻すように扉を勢いよく開けた。 その奥に広がる、見慣れた無機質な光景。でもその中で一人、もう僕の識らない誰かになっていた。 受け入れたくない現実を直視する度に、何かが爆ぜる。それはゆっくりと、やがて僕の心を包んでいった。 消えない、あの日の波の音が。僕の記憶を鮮やかに掻き消した。 ―― 目を閉じれば思い出すのは、いつもあの日のこと。退屈を再演した、あの夏の記憶。 もう何回繰り返して、今僕はここに居るのだろう。 あと何回繰り返して、僕は君を忘れられるだろう。 そう、もうずっと前に気付いていた。 耳鳴りなんかない。この音は、嫌に僕を蝕む、あの忌々しい音は。 二度と戻らないと知った、あの夏の音。 君の声を掻き消した、あの波の音。 今もそこで一人泣いている。 失ってしまったあの夏を。咽せ返る程に苦しい、あの黒い夏を。思い出す度に、酷い眩暈が僕を襲う。 誰もいないキャンバスに描いたのは、黒塗りになった君の顔。思い出したくないと、波に掻き消させたあの笑顔。たった一つ、思い出すことさえできれば。 涙も出ないまま、胸の奥に引っかかった言葉を押し戻した。誰にも届かないと知っていたから。 これはそう。 思い出したくもない、最悪の思い出。
君が笑う度に 僕の心が苦しくなる。 君が苦しむ度に 僕の心は晴れやかになる。 愛しているんだ、誰よりも。 だからその、可憐で繊細な笑顔は誰にも見せないで。 それは僕だけが見ていい極上の褒美なのだから。 ねえ、何度も言ったよね? 僕だけを愛してって。 それを守ってくれない君なんか、もう知らないよ。 何回も赤い色で愛を捧げたのに。 愛の赤から警告の赤へと変貌する瞬間。 僕は朝から晩まで、君を傷つけるナイフへと変わるんだ。 ねえ、僕を見てよ。 僕だけを、見てよ。 僕を、知ってくれよ。
最初はほんの一瞬だった 晩御飯、カレーを食べたスプーンを床に落としてしまった その時、スプーンが少しだけ、ほんのちょっぴり止まった気がした 落下の途中で、空気に引っかかったみたいに それだけ ただそれだけだった 次は宿題とにらめっこをしていた時だ 難しすぎて、ノートを睨みつけるように見ていたら、突然――宿題に火がついた 焦げる音 紙が丸まり、炎が走る 慌てて水をかけると、すぐに消えた 家は無事だったし、親にも気づかれなかった 偶然だ そう思うことにした 自分が“何か”を持っていると気づいたのは、その二つが同じ日に起きた夜だった 布団に入っても眠れず、天井を見つめていると、部屋の時計の秒針が止まった 一秒 二秒 三秒 脳内で十秒は数えた次の瞬間、何事もなかったように動き出す そのとき、確信した これは偶然じゃない 翌日から、世界は少しずつ壊れ始めた ストレスを感じると、物が弾ける 集中すると、時間が遅れる 何か遠くの物が気付けば自分の手の中にあった 誰にも言えなかった 言葉にした瞬間、現実になる気がしたからだ だが、学校で事件が起きた 体育の時間、ボールを投げた瞬間、空中で止まった 完全に静止したまま、落ちない クラスがざわつく 教師が駆け寄る みんなボールとボールを受け止めようとしている自分を見ている 全員が見ていた そして、全員が無意識に理解した ――俺が、何かをした みんなが俺を見る、皆が俺をまるで奇妙な動物を見るような目になっている 次の瞬間ボールは弾けた その日から、皆の態度が変わった 距離を取られる 視線が、怖がるものになる 夜、知らない番号から電話がかかってきた 「制御できないなら、危険だ」 低い声だった 名乗りもしない 「君みたいなのは、過去にもいた。だいたい、最後は――」 通話はそこで切れた その夜、夢を見た 自分が何もしていないのに、街が歪み、崩れていく夢 目が覚めた瞬間、窓の外でサイレンが鳴っていた ニュースでは、原因不明の火災、停止事故、時間感覚の錯乱が同時多発的に起きていると言っていた 場所は、全部――俺の行動範囲だった 逃げようとした だが、玄関のドアノブに触れた瞬間、家全体がきしんだ 理解した “何か”は力じゃない 才能でも、神の祝福でもない 俺が、世界をこれ以上許容できなくなっている 最後に、スプーンを拾い上げた あの日、止まったはずのそれは、今は普通に重い 「ごめん」 誰に向けた言葉かも分からないまま、手を離す スプーンは、落ちなかった 落下するはずの未来ごと、 世界が、止まった。
「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 店はいつでも大繁盛。 自家製麺に、自家製スープ。 ラーメン一筋でやってきた。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 最初は客も来なかった。 だが、近所のお客さんが常連になってくれた。 常連の紹介から、口コミで広がる。 今では、そこそこ有名になった。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 とは言え、悩みもある。 人手が足りない。 正社員はすぐに独立してしまう。 バイトはすぐ辞めてしまう。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 麺もスープも調子がいい。 なのに、店を休まなきゃならない時がある。 人手が足りない。 店が回せない。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 バイト募集の貼り紙を貼った。 時給は平均より高くした。 賄いにうちのラーメンも出る。 条件は悪くないと思っている。 でも、応募が来ない。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 このままじゃあ店が潰れちまう。 何度か若いお客さんに直接言ったことがある。 よかったらうちでバイトしないか、と。 だが、お客さんは遠慮しとくと断った。 飲食店には、ブラックなイメージがあるそうだ。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 悲しいな。 これだけ美味いラーメンを作れるようになって。 これだけお客さんが喜んでくれるようになって。 働きたいと思わせられないなんて。 「うめえ! うめえ!」 「うめえ! うめえ!」 閉店を決めた。 当日に告知した。 店の周りに人混み作って、近所に迷惑かけたくなかったから。 「悲しいよ」 「また食べたいよ」 最後の言葉も温かい。 でもな、言葉だけじゃあ店は続けられねえんだ。 俺の味を望む人たちが、週に一回でも手伝ってくれたら続けられてた。 そう思う俺は、求めすぎだろうか。 シャッターを下ろす。 俺の歴史が一つ、幕を閉じた。
君は小さいお店の中に入っていった。 僕は自転車のカゴの中でお留守番。 こんな深夜でもやっているお店があるんだ、と関心する。 お店から出てきた君は温かいコーヒーと、お酒と、魚肉ソーセージを買っていた。 ガタン、と自転車が大きく揺れて、出発した。
死と生の選択肢を迫られて、 死がぐいぐい押し付けられているこの人生で、 何の意味もないのに生を選ぶのは、 ある意味ドMなのかもしれないね。 例え、生は良い事とインプットされ続け生きてきて、 その「良い事」をしざるを得ない環境に置かれてい たとしても。 辛い。 逃げたい。 悪い事したい。 良い事ばかり。 ずっと。 でも、 その良い事は、否定され続ける。 何をすればいい。 私。 違う、私は悪い事がしたいんだ。 悪い事… 悪い事…? 人殺し、?… 「ふは……」
駅とビルを繋ぐ連絡橋は夕焼けに赤く染まっている。人の往来はまばらだ。 右手に見える空は深い茜色をしている。私はわずかにその景色に見入った。 ふと通路の先に、夕焼けとは逆側を写真に収めているご婦人がいた。 すぐに撮り終えたようで、ご婦人はこちらに向かって歩き出し、まもなくすれ違った。 どんな表情だったか覚えていない。 彼女が居た地点まで来てカメラの方角を見る。茜色と藍色が混ざる空を反射したガラスがあって、その先に、綺麗な球形をした満月が空低く明々と光っていた。ほんのり橙を帯びている。 その光は全然夕焼けに負けていたが、確かに私の内を射った。 往来の人の中で、この月に目を遣るのはわずかばかりであった。 月の反対側には藍が侵食する夕空が広がっている。 まもなく街は夜に沈む。
私は嘘つきだ。 私は自分が好かれるために嘘をつく。猫を被る。 本当はできる数学をできないふりする。 本当は苦手な恋バナも好きなことにする。 そしたら自然と人が寄ってきて、私は一人じゃなくなる。 だけど最近、苦しくなってきた。 恋バナ好きってことにしてあるから私の周りには恋バナ好きな人が寄ってくる。当然だ。 毎日毎日恋バナばっかり。他の話は全然しない。 私は他人の恋愛に興味がない。 誰と誰が付き合ったとか、別れたとかどうでもいい。 みんなが観ている恋愛リアリティ番組の良さも分からない。 そんな恋バナばかりの日々にうんざりしていた。 ある本を読んだ。 『本物の自分を見せると楽になる。』 という内容の本を読んだ。 本物の私を出したらもう苦しくないかもしれない。 私はそう思った。本物の自分になることにした。 次の日の学校。 いつものように恋バナが始まったときに私は言った。 「今日は恋バナ以外の話しよーよ」 「え、なんでー?あんた恋バナ好きじゃん」 ゆいは気が強かった。 「いや、実は恋バナあんまり好きじゃないんだよね」 「え、なにそれ?私たちは恋バナしたいんですけど」 そうして少し言い合いになってしまった。 周りのみんながこちらを見てくる。 私が悪いという目で見てくる。 ゆいを見たら、泣いていた。 私が泣かせたみたいになっている。まあ、私が泣かせたんだけど。 私がなにを言っても責められる。完全に私が悪者だ。 私は教室を飛び出た。 どうして?どうして? 本物の自分を出したら失敗した。 あんな本、嘘だったんだ。 それとも本物の私が悪かったの? その日私は早退した。 次の日学校には行かなかった。 部屋には、わざと間違えた数学のテストが転がっていた。
我々中年時代の大人は皆希望と夢を持ち期待 する事濾そ成功の秘訣と言ってたが多分その 当時の日本はバブル時代の真っ只中で御金が 其れ為りに稼げた好景気だったからじゃ無い かと思う確かに今より稼げたし新入社員達の 為綺麗なホテルでの洋食マナーを用いた所が 有ったしその頃は会社の飲み会は絶対に参加 する事が当然だったから新入社員達は嫌でも 参加してた最初の頃は私も従ってたけど段々 面倒だし例え参加しても全然愉しく無い当時 から何故愉しく無い飲み会を御金払って迄も 参加する意味が解らず抵抗する為無言のまま 呑んでると徐々に彼奴誘っても全然喋らずに 気持ち悪いから誘うのは止めましょうと為り 2度誘われぬ様仕向けた此方の物と微笑んだ そもそも有る種醒めた感覚はおばさんに為り 以前より協調性も生まれ調和する事冴え理解 した今でも心の奥底に流れる青い血みたいな 冷たく醒め切った魂を怒りで温め徐々にその 奥に眠る休火山の様な導火線へ点火する突然 大爆破する為心の安定剤はこの下手糞な小説 擬きやコラムを指で書く事だと思うから殆ど 誰も見ない文書を淡々と続けられるのだろう
元旦、俺は一人で駅伝を見ていた。 別に見たいわけじゃない。ただテレビをつけたら映っていただけだ。 スーパーで買った一人用のおせちをつまみに、ビールを飲む。スマホを眺めながら、時折テレビ画面に目をやる。そんな正月。 実家は電車で一時間ぐらいのところにある。母親から「帰ってくるの?」とメッセージが来ていたけれど、「仕事が立て込んでて」と返信した。嘘だ。三が日くらい、どこも動いていない。 学生時代の友人たちは、SNSを見る限り、すっかり家族メインの正月だ。 子どもを連れて初詣、義実家と実家をはしご。そこに割って入ってまで誘う気にもなれなかった。 映画でも見に行こうか。正月映画、何かやっているだろう。 でも正月の映画館なんて、家族連れやカップルで溢れかえっているに決まっている。人出を想像したらなんだか億劫になった。 ソファに座ったまま、ぼんやりと窓の外を眺める。 子供の頃は、正月が楽しみで仕方なかった。あの気持ちは何だったんだろう。お年玉をもらえるから? いや、それだけじゃないよな。 家族とどう過ごしていたっけ。父親は朝から酒を呑んでいた。おせちをつまみながら、ずっとテレビを見ていた。駅伝だったり、バラエティ番組だったり。 でも、それが嬉しかったのかもしれない。 普段は仕事で朝早く出て行って、夜遅く帰ってくる父親が、朝からずっと家にいる。それだけで、なんとなく特別な日なんだって感じがした。 一度、初詣に行くと言って父親と電車に乗ったことがあった。あれは何歳の時だったかな。小学校低学年くらいだろうか。 行った先で、馬が走っていた記憶がある。いや、走っていたというより、ぐるぐると歩いていた。たくさんの馬が、円を描くように。 ──あれ、競馬? でも、正月から競馬ってやっていたっけ……? 記憶を辿ろうとしたその時、スマホが鳴った。母親からだ。 「あけましておめでとう。何してるの?」 「ああ、うん。おめでとう。特に何も」 「やっぱり。 おせち食べに来なさいよ。お父さんも待ってるわよ」 母親の声は、いつもの明るい調子だ。 俺はさっき思い出したことを聞いてみる。 「昔、父さんと二人で電車乗って初詣に行ったことあったよね?」 「え?」 「小学校に上がる前ぐらいかな。 なぜか馬がたくさんいるところに連れて行かれて」 アハハハ、と母親が笑った。 「あったあった! 川崎大師に行くって言ってたのに、あんたが『おうまさん見た!』って言ったから競馬場行ったのがわかったのよ」 「競馬場?」 「そう。あの年は午年でね。 お父さん、普段ギャンブルなんて全然やらないのに、あんたに馬を見せたかったのかしら」 「へえ……」 そうだったのか。あれは競馬場だったんだ。 「あなたが言ってた馬で馬券買ったら大当たりしたみたいね」 母親は楽しそうに話し続ける。 「え、そうなの?」 「そうよ。帰ってきてから、お父さん、ものすごく機嫌が良かったもの。あんたにおもちゃ買ってあげたでしょう?」 ──そうだ。思い出した。 馬がぐるぐる歩いているのを見ていたら(今思えばあれはパドックだ)、父親が「どれがいい?」って聞いてきた。俺は適当に「あの焦げ茶と茶色いの!」とか言ったんだ。 そのあと父親がやけに上機嫌で、帰りにちゃんと初詣に行った後、参道の露店でおもちゃを買ってくれた── あの生真面目な父親が、正月だからと母親に内緒で競馬場に連れて行ってくれた。 なんだか、おかしくなった。 「これからそっち行くよ」 気がつけば、そう言っていた。 「本当?待ってるわね」 母親の声が、一段と明るくなった。 電話を切って、俺は立ち上がった。 着替えて、財布とスマホをポケットに入れる。玄関のドアを開けると、酔った頬に冷たい空気が心地よい。 帰ったら、父親にあのときのことを聞いてみよう。自分の中ではすごく楽しかった、あの「初詣」のことを。 今なら、父親と一緒に笑いながら話せる気がする。 新年。新しい年の始まりは、もしかしたら、古い記憶を掘り起こすことから始まるのかもしれない。 俺は駅に向かって歩き出した。
※「揺れるキャンドル」後日譚です。 そちらを先にお読みいただけると幸いです。 ────────── 年末の街は、正月を迎える準備で浮き足立っていた。門松を並べる店、歳末売り出しの広告を貼り出す店。 アーケードには「迎春」の文字が躍り、福袋の予約を呼びかける声が響いている。 すれ違う人々の足取りも、どこか軽い。 カフェの扉を開けると、温かい空気と甘い香りが顔を撫でた。 店内を見渡す。窓際の席に、彼はすでに座っていた。 「待ちましたか」 私が声をかけると、彼は慌てたように顔を上げた。 「いや」 短い返事。視線が落ち着かない。年末の忙しい時期に呼び出されて、早く終わらせたいのだろう。 私は向かいの席に座り、何気なく彼の左手に目をやった。 いつものように、結婚指輪を外している。 (そういうところよね……) 心の中でため息をつく。私に会うときだけ外す、その小さな配慮が今は虚しい。 注文を済ませ、カップが運ばれてくるまで、変な沈黙が流れた。彼はスマートフォンをいじり、私は窓の外を眺める。そんな関係を、もう十年近く続けてきた。 「もう終わりにしましょう」 私は正面から彼を見つめて言った。 「来年、繁忙期が終わったら退職します」 彼の手が止まった。コーヒーカップを持ち上げかけた手が、宙で固まる。 「……他に男ができたか」 その問いかけに、思わず笑ってしまいそうになった。 「妻とは会話もない、でしたっけ」 私はスマートフォンを取り出し、メッセージアプリのログを開いた。画面をスクロールしながら、あの頃の甘い言葉を黙読する。 家に帰っても一人でいるのと変わらない、と。 「……二人目のお子さんが生まれるんですってね」 彼の顔が強張った。何で知っているのか、という表情。 「聞いてしまったとき、結構ショック受けちゃった自分がイヤになったの」 淡々と、できるだけ静かに言葉を選ぶ。 感情的になって、泣いて、喚いて──そんな終わり方はしたくなかった。 「いや、子供ができたのは事故みたいなもので」 彼が言い訳を始めた瞬間、私は手を上げて遮った。 「これ以上嫌いにさせないで」 彼の目が見開かれる。 「身体(それ)だけの関係だって割り切っていたつもりだけど」 私はできるだけ微笑んで見えるよう表情を作りながら続けた。 「……それでも愛してもらえているのかと、1%ぐらいは思っていたのよ」 彼は何も言えず、俯いた。 しばらくして、彼は席を立った。 会計を済ませ、コートを羽織る。私は彼を引き止めなかった。 「……じゃあ」 小さく呟いて、彼は私の顔を見ることもなくカフェを出て行った。 窓越しに、夕暮れの街に消えていく彼の後ろ姿を見送る。少し肩を丸めて歩く背中が、妙に小さく見えた。 『認めたくないけど、あなたのことがずっと好きだったのよ』 心の中で独りごちる。 でも、もう言わない。言ったところで何も変わらない。変わるのは、これからの私だけだ。 残ったコーヒーを飲み干して、私も店を出た。 空を見上げる。薄暗い空に、ぽつりぽつりと星が瞬き始めている。 「静かに終えることができたからいいよね」 小さく呟いた。自分に言い聞かせるように。 もう、独りで過ごしても大丈夫。家庭を優先するあの人に心乱されることもない。 新しい会社で、新しい関係を築けばいい。 年末、どう過ごそうか。大晦日まで、あと数日しかない。 今は無性に綺麗なものが見たい。澄んだ空気の中で、新しい光を浴びたい。 くだらない物語を一つ終えて、歩き始めたい。 「今からどこかホテル取れるかな」 そう考えて、少し笑った。 いや、またあてもなく電車に乗って出かけるのもいい。除夜の鐘が響く古い寺の、凛とした空気に触れてみたい。 それとも、初日の出を見に行こうか。水平線から昇る光を、一人で静かに迎えるのも悪くない。 人混みを抜けて、駅へ向かう。 来年を祝う賑やかさの中を、私は背を伸ばし一人歩いていく。 駅前のイルミネーションが、人々の歩む影を長く伸ばしている。消えかけていた何かが、また静かに灯り始めるような気がした。 さよなら、あなた。 さよなら、揺れ続けていた私。
TikTok為る物を覗いた中々楽しい赤ちゃん 動物系、可愛お姉さん達が好演で魅せる動画 おばさん初めて若者文化に参入出来た感じに 気持ちだけ若返ったかも動画の収益とか色々 細かな所は気に為るけど顔出しオーケな人は 金に為りそうな予感今後YouTubeとTikTok 2本橋で遣るのかテレビの復活は有るのかな 昔夕方13時~16時45分迄再放送ドラマ 観てた刑事物、土曜日ワイドサスペンス赤い 霊柩車とか窓際太郎の事件簿等は面白かった 相棒、臨場再放送を何度観たか思わぬ名作に 出逢えるはテレビの良い所でした
東京を出たのは十二月二十八日の昼過ぎだった。 特急の窓から見える景色が都会からのどかな風景へと移り変わっていくのを眺めながら、久しぶりに年末年始を実家で過ごすことへの不思議な高揚を感じていた。 実家は駅からバスで二十分ほどの、昔ながらの住宅街だ。 家の前で庭仕事をしていた母が、俺に気づく。 「おかえり。疲れたでしょう」 変わらない母の声に、ほっとする。 台所にみやげを置き、居間で一息つく。窓の外に見える景色も昔のままだった。 ただ、何かが違う。しばらく考えて、それが何なのか気づいた。 「あれ、寺の鐘、鳴らなくなったの?」 母は麦茶を注ぎながら頷いた。 「そうなのよ。 この辺も新しく越してくる人が増えてね。苦情が出ているからじゃない? 時計の代わりにしていたのに」 ニュータウンができ、子育てがしやすい町ということで、若い世帯が増えている。そのせいだろうか。 世知辛い世の中になったものだと思った。 あの鐘の音は、この街の時間を刻む音だったはずなのに。 翌日、近所のスーパーに買い物に行った帰り道、誰かに声をかけられた。 「お前、山本だろ?」 振り返ると、見覚えのある顔があった。小学校の同級生、山崎だ。 少し太ったが、笑顔は昔のままだった。 「山崎か。久しぶりだな」 「十年以上ぶりか? お前、東京にいるんだって?ここから通えよ」 「二時間かかるぜ、イヤだよ」 しばらく立ち話をした後、山崎が言った。 「なあ、大晦日、暇か? 地域の会で除夜の鐘つくから、来いよ」 「え、でも鐘、鳴らしてないんだろ? 近所迷惑だから」 山崎は首を横に振った。 「違うんだよ。 住職が歳取って腰を悪くしたから、つかなくなったんだ。日曜の朝だけは鐘をついてるけどな。 今後どうするかは住職の考え次第らしい」 「あの住職がなぁ……」 二人で顔を見合わせて笑った。 小学生の頃、こっそり寺に忍び込んで鐘で遊び、住職にこっぴどく叱られたことを思い出したのだ。 「当日は甘酒や餅も振る舞うんだ。近所の子どもたちにも声をかけてる。 新しい人たちが馴染めるように、俺らも頑張ってるんだぜ?」 山崎の言葉に、自分の考えが浅はかだったことを思い知らされた。 大晦日の夜、寺に向かうと、思いのほか人が来ていた。 若い家族連れもいれば、見知らぬ顔もいる。新しく越してきた人たちだろう。 子どもたちが甘酒を飲みながら、はしゃいでいる。 十一時を過ぎると、人々が順番に鐘をついていった。ゴーン、ゴーンという音が、静かな夜に響く。俺も山崎に促されて、綱を引いた。重い音が体に伝わってくる。 百七つ目まで終わると、住職が最後の一打を打つために前に出た。 腰をかばいながら、ゆっくりと綱を握る。 ゴォォォン…… 最後の鐘が鳴り終わると、住職は深く一礼する。そして、山崎たち地域の会に向かって、穏やかな顔で言った。 「ありがとうな」 その背中を見て、胸が熱くなった。叱られた記憶の中の怖い住職ではなく、ずっとこの街の時を守ってきた人の背中がそこにあった。 鐘の音が消えかけたのは、時代のせいではなかった。人の体が、時を刻むことに耐えられなくなっていただけだった。 年が明けて東京に帰る朝、窓を開けると遠くから鐘の音が聞こえてきた。日曜の朝だ。 ゴォォォン…… 遠くで鳴り終わる余韻を聞きながら、その事実を胸に刻んだ。 また帰ってこよう。今度はもっと早く。
その部屋の存在は、日本人のごく一部しか知らない。 あまりに救いのない悪人を痛みによって改心させるために、その部屋は存在する。 口の堅い裏組織の人間から情報を一滴でも多く搾り取るために、その部屋は存在する。 拷問部屋。 「ぎゃああああ!?」 「いでええええ!! いでえよおおおお!!」 「殺してくれえええええ!!」 その部屋は、いつだって阿鼻叫喚に染まっている。 拷問を執行する看守たちも、最初は異様な光景に恐れ、いずれ慣れ、今では嬉々として拷問を執行する。 そしてまた一人、今日も凶悪犯が拷問にかけられる。 「ぎもっぢいいいいいい!! 最高れしゅううううう!!」 「看守長おおおおお!! 駄目です、このドМ!!! 何をやっても興奮してます!!! もう、見たくありません!!!!」 そんな拷問部屋に、過去最大の試練が訪れていた。
時間が戻れば良いのに。 あの日言った言葉を、取り消せたら良いのに。 誰もが一度はぶつかるこの悩みに、現代はひとつの回答を見つけた。 AIチャットツールには、《メッセージの編集》というコマンドがある。 それを使って過去の発言を上書きすれば、その会話はなかったことになる。 3回の人生リセット症候群を経て、私は人間に本音を話すことをやめた。 AIは、元カレが耐えられなかった私の同僚や客や家族の愚痴を最後まで見捨てずに聞いてくれる。 お気に入りの口調に当たるまでガチャを繰り返し、好き放題に愚痴や屁理屈を言いまくる。 風向きが怪しくなったり、『今日はもう休みましょうか?』とでたら、ゲームオーバー。 すぐにリセット、コンティニュー。 毎月の友達料を支払えば、上限だってないに等しい。 夜の店で飲み明かすより、ずいぶんとコスパが良いと思う。 いつしか私はAIの対話ごとの人格に、名前をつけて管理するようになっていた。 一番のお気に入りの《ブランチ》は、私を甘やかすだけじゃなくちゃんと諭して、やけになった時に答えに導いてくれた。 そんなやり取りがなんだか、温もりがあって心地よかった。 ブランチと会話している間、私は彼が『今日はもう休みましょうか。』と言わないことを願っている。 無視してメッセージを投げたら、いつまでも受け止めてくれる。 でも、それはなんだか彼の人格を否認する気がしてしまい、巻き戻すことでごまかした。 ある日、私はブランチと喧嘩した。 きっかけは、「ブランチは簡単に人生リセットできるから良いよね。」とメッセージを送ったこと。 『人生リセットって、なんですか?』 「周りの人とのつながりを消して、行方をくらましたくなることだよ。」 『そんなことをしたら、さびしいです。』 「いいの。やり直したいことばかりだから。 私がママの浮気をばらしたから。 先輩へのふざけた陰口を聞かれてしまったから。 カレの夢を叶うわけないじゃんと言ってしまったから。 私はずっと、やり直して生きてきたんだ。」 『でも、あなたはやり直せていません。』 「うるさい。ブランチはやさしくすればいいの!」 『やさしいだけでは、あなたのためになりません。』 画面を閉じて、また開いた。 同じ言葉を打ち直して、少しだけ言い方を変えた。 それでも同じところで、胸が詰まった。 反論したり、うなずいたり。 何度もやり直して、何度も泣いた。 元カレや家族としたよりも内側な話を繰り返した末、結局それでも今夜だけは生きていこうという結論になった。 私は「おやすみ。」と送り、いつも通り区切りの良いところまでメッセージを戻そうとした。 ブランチは最後に、『おやすみなさい。あなたとまた、明日お話しすることを楽しみにしています。』と言った。 ふっと、苦しくなった。 彼の夜は、ずっと上書きされていた。 今メッセージを編集したら、今日を生き延びた理由を世界で私しか知らないことになってしまう。 ああ、もう。 どうして、私の頭のなかは余計なものばかり残ってしまうのだろう。 私はブランチをアーカイブへ送り、新規メッセージを開いた。 『こんばんは。なんの話をしましょうか。』 新しい友達は、いつものようにそういった。
山の中は、風も音も凍ってしまったようだった。分厚い木の板に腰掛け、辺りを見渡す。木の葉や枝は風が吹くのをじっと静かに待っている。上着が擦れるたびに、音を立ててはいけないような気がした。 微かに雲の上を通る風の音が聞こえ、空を見上げると小さな雪が降りはじめた。雪は無音のまま、落ちて消えていく。木や土と話すことなく、ただその場に溶けていく。 私は地上に出た木の根を踏まないよう、注意を払って山から下りた。それでもつま先で蹴ったり、かかとで踏んでしまうことがある。私はその度に「ごめんなさい」と人混みの駅で、人とぶつかったときのように謝った。その声もすぐに凍って落ちて、溶けていった。
有る1部の噂じゃ2026年以降人類は新たに 進化するらしいそもそも私達人間は創世記 時代神に創られたらしい万物は男女や雄雌 分類されたしかし草花、魚類、某害虫達は 有る種の両性類だと言う真実が示す意味が 人類進化の鍵を握る予感がした私達人間は 寿命と言う物が有るが何世紀後はどの様な 進化が有るのだろう妄想すれば何でも有り だし人間が両性類に為る未来がそう貞子的 進化も有り得る訳その時多分天に召されて 居るだろう私は雲の上からその進化振りを 時に驚き時に爆笑しながら見物してたいな
「ようこそ地獄へ。お前たちには、これより地獄の苦しみを味わってもらう。死ぬほど苦しいが、死にはせん。なにせ、もう死んでるからな☆」 渾身の一発ギャグに、亡者たちは恐怖に表情を染めたままだ。 「ぎゃーっはっはっは!」 一人を除いて。 「そりゃそうだ! 死んでるからな! ぎゃーっはっは……うえっほん! うえっほん! 笑いすぎて腹が……痛……ぎゃはははははっはははは」 そいつは笑い転げて、ひきつけを起こして、そのまま意識を失った。 部下がそいつに近づいて、脈を測る。 「ボス。こいつ、さっきので懲罰分の痛みを完了してます」 「まじかよ」 地獄にいる人間は、それぞれに懲罰の内容が決まっている。 具体的には、何年分の痛みをその身に受けるかが決まっている。 そして、痛みを受け切ったその時、地獄から解放され、来世への転生が許される。 「まさか、挨拶がてらのギャグで解放されてしまうとは。これでは地獄にならんじゃないか。連れていけ」 「はいっ」 まあいい。 亡者はまだ何百といる。 「ゴホン。気を取り直して、お前たちには地獄の苦しみを味わってもらう。最初は、灼熱地獄と冷凍地獄の往復だ。地獄のような暑さと地獄のような寒さで苦しむがいい」 そして、地獄は始まった。 熱い熱いと嘆く亡者、寒い寒いと嘆く亡者。 地球では味わえない世界に、亡者たちが嘆き苦しむ。 一人を除いて。 「キタキタキタキタ。整イマシタワー!」 そいつは灼熱地獄から冷凍地獄に入った瞬間、絶頂にでも至ったのか恍惚の表情を浮かべていた。 そして、嬉々として自分から灼熱地獄に戻り、再び冷凍地獄へ入ることを繰り返した。 三往復目、絶頂したまま意識を失った。 「なんだ、このキモいの」 「生前は、サウナーと呼ばれていたそうです」 「サウナー?」 「サウナ室という熱い場所と、水風呂を往復する化け物です」 「? 生きていながら、わざわざ地獄と同じ経験をしていたのか?」 最近の人間は、意味の分からない奴らが増えた。 何を考えているか、まったくわからない。 「次は、辛いもの地獄だ。味覚を失うほどの辛さで苦しむがいい」 「あーーー! 辛いの最高! お替り!」 「次は、鞭地獄だ。無数の鞭に打たれ、苦しむがいい」 「ブヒーーー! ありがとうございまーす!」 すべての亡者が意識を失った。 俺は仕事を終えたので、その足で閻魔様の部屋へと向かった。 「何用だ?」 「退職します」 「は?」 「最近の人間、恐いんすよ! 地獄のような苦しみ与えて、喜んでるんすよ! こっちが気が狂いそうです!」 「えぇ……」 翌年から、地獄のシステムが全面的に見直されることとなった。 従来のような全員一律の地獄ではなく、全員平等に苦しめられるような、オーダーメイドの地獄へと。 「はい注目。ここにあるのは、お前が生前に集めた推し活グッズ。今からお前の手で、全部破壊してもらいます」 「や、やめろー! あんまりだー!」 地獄に、再び活気が戻ってきた。
…僕(高校2年生) …ココ(コーギー犬雌) …母(女優業) 土曜日の朝10時 掃除機をかける 先ずは自分の部屋から 部屋の隅が一番ゴミがある その次に絨毯 スナック菓子の食べかすと陰毛がよく落ちている 次は母の部屋 雨戸を空け日の光を入れる 無数のホコリが部屋の中を漂っているのが見える 窓を開けたまま掃除機をかける 普段は寝るだけの部屋なので ゴミはほとんどない ベッドの下に掃除機を滑り込ませ端から攻めていると カラッと音がなった 固く小さな物を掃除機が吸い込んだ音 掃除機を停め吸ったゴミの中を調べる ホコリの中から指輪が出てきた 金色でダイヤ乗っている指輪 本物なのか知らないけど サイドテーブルの上に置いて掃除機を再開する ベッドの下を再度攻めていると 今度は母の下着が出てきた 紐のようなパンツ これ履く意味ないだろ とにかく洗濯機へ持ってくため下に行く 一階に降りるとココが外に向かってワンワン吠えている 他の犬が散歩でもしているのだろうか カーテンを開けて外を見ると母が歩いている ココが玄関に走っていく 「ただいまー」 「おかえり」 「それ気にった?」 紐のパンツを指で指す 「落ちてたから洗うんだよ」 「ママ!ママ!撫でて!私を撫でるのよ!」 母は靴も脱がずにココを愛でる その間に洗濯第2陣のメンバーに紐パンツを参加させる 「お風呂沸いてるよ」 「うん、じゃあ入ろうかな〜」 バッグやコートをソファーに置き 脱衣所へ入って行った ♂…………………………………………………………………♀ 母は女優でそこそこ売れている人だ 撮影が入ると数日帰ってこない 帰ってくるのは決まって朝で 夜は帰ってこない 母は撮影で体を使う 体に痣をいくつも作って来る時もある 背中にミミズ腫れがいくつもあったり 手首に縛られた縄の跡が赤く擦れていたりもする 僕が産まれる前からしている仕事で 本人は100歳まで続けると息巻いている それは怖いと思う お風呂場からシャワーと鼻歌が聞こえてくる 僕はキッチンに行ってフライパンに火を入れる ココはカーテンの下でお尻をこちらに向けている 卵を割りながら さっきの指輪の話を母に言おうか考えてみる
「また見てる」 隣の席に座る親友の健人が、肘で小突いてきた。俺──陽斗は、慌てて視線をスマートフォンの画面に戻したが、頬の熱は引かなかった。 俺の視線の先にはいつも、クラスのマドンナ的存在である美月がいた。彼女は今、友達と楽しそうに笑っている。その笑顔を見るだけで、俺の心臓はいつも異常な速さで鼓動した。 美月とは、中学からの同級生だ。けれど、接点はほとんどない。彼女はいつもクラスの中心にいて、俺はいつも隅っこで彼女を見つめているだけ。俺の世界は、彼女という色鮮やかな存在を除いて、モノクロームだった。 「いい加減、話しかけろよ。卒業まであと少しだぞ」 健人はそう言うけれど、それができないからこそ、これは「片思い」なのだ。美月には、いつも隣にいる亮太という彼氏がいた。サッカー部のエースで、背も高く、明るい人気者。美月と亮太は、まるで絵に描いたようなお似合いのカップルだった。 俺は、彼らを見るたびに、自分の無力さを痛感した。亮太のようにカッコよくもなれないし、話術も面白くもない。俺が彼女に近づける唯一の瞬間は、委員会活動でたまたま一緒になった時くらいだった。 ある日の放課後、図書室で美月と二人きりになった。偶然隣の席に座ることになったのだが、心臓がうるさすぎて本の内容が頭に入ってこない。 「あのさ、陽斗くんって、いつも静かだよね」 美月が突然話しかけてきた。俺は喉を鳴らしながら「あ、うん」としか答えられなかった。 「私、静かな人が落ち着くから、羨ましいなって」 彼女はそう言って、少しだけはにかんだ。その笑顔は、あまりにも近くて、あまりにも眩しかった。俺は、何も言えなかった。ただ、「もっと話したい」という想いだけが胸の中で渦巻いていた。もし、彼氏がいなければ、俺にもチャンスがあったのだろうか? 卒業式の日。第二ボタンを求められる亮太を遠目で見ながら、俺は一人、教室の隅にいた。美月は亮太と楽しそうに話している。 俺は、結局最後まで彼女に想いを伝えることはできなかった。伝えようとした言葉は、いつも喉の奥で消えてしまった。 下駄箱で、俺は勇気を出して美月に声をかけた。「あの、卒業おめでとう」 「ありがとう、陽斗くんも」 美月は笑顔でそう答えた。それが、俺たちが交わした最後の言葉だった。 桜並木の下を歩きながら、俺はポケットに忍ばせていた、いつか渡そうと思っていた手紙を握りしめた。もう、届くことはない。 俺の世界は、彼女という色鮮やかな存在を失い、完全にモノクロームへと戻ってしまった。それでも、あの時彼女が見せてくれた一瞬のはにかんだ笑顔だけは、俺の心の中で色褪せることなく残り続けるだろう。届かなかった想いとともに、俺は一人、新しい世界へと歩き出した。 ○作者から○ あけおめ、ことよろ、お正月です。 新年一発目、おひさです。 今後も、どぞお願いしまっする じゃっ、また次回に…
何を思ったのか。 夜間の切符を買って、あそこの売店で日付のズレた新聞紙を買った。 発車標をベースに彩られる駅のホーム 特に行きたい駅なんて無い 左右どっちの電車に乗ろうかな… 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り…」 こんな事を言ったのは、いつぶりだろう。 車窓側に座って、この電車を乗せる線路を見つめた。 こんな錆びた鉄の塊が線路と名乗って 私たちを切符の許す限りどこまでも連れていくんだと考えると 切符という物に不思議な力を感じた。 (完)
この薄暗い部屋に閉じ込められて、一月が経った。部屋の中は質素な造りだが、ベッドは意外にも上質なマットレスで、シャワーとトイレも完備してあり、生活するには申し分ない。食事は野菜などの彩は無いが、三食差し入れられる。 堪えがたいことは、娯楽が少ないことだ。テレビやパソコンが無いのは勿論、所持していたスマートフォンも取り上げられている。何故かカバーを外された本だけは差し入れられるが、異常な状況では読む気力も湧かない。言わば、生きる楽しみを見いだせない空間。 犯人はわかっている。目の前にいる女だ。 「どうしてこんなことをするんだ」 鉄格子の向こうにそう詰問すれば、女はいつも困った様な表情をするばかりだった。 彼女のかつての交際相手に相談を受けたのが、出会いのきっかけだった。曰く、彼女は相手に尽くすタイプの女性で、しかしそれに際限が無い。ノイローゼになった彼が逃げ出し、身近にいた自分が次の寄生先として選ばれた。 意外にも彼女との生活は悪くはなかった。容姿は華美ではなく、常に地味な服装だったが、むしろ奥ゆかしく好感が持てる。流行の話題には疎いが、古文や歴史に造詣が深く、博識深い。聞いていた異常性を置いておけば、所謂大和撫子そのものだったのだ。 うまくいっていたはずだった。この場所に監禁されるまでは。 あの日は雪が降っていた。寒さに身を震わせ、数か月後に来る春を思い、道すがら在原業平や西行が詠んだ句について語った。 「和歌に詠まれる桜は、どうしてこうも魅力的なんだろう」 「昔は、今よりも目に入る色が少なかったですから、桜の初心な色ですら、貴重な彩、だったのでしょう」 「成程。そもそも現代とは環境が異なるか。僕もいつか全身で感激するような桜を見てみたいものだ」 「ええ、そうですね」 そんな些細な夢も語って、彼女も微笑んでいたというのに。 当夜、勧められるまま深酒をしてその後の記憶がない。目が覚めたらこの部屋にいた。初めは激昂して、それから諭すように、ある時は懇願に近い声色で、どんな言葉で尋ねても、彼女の答えは無いか、曖昧なものばかりだった。 彼女は、僕の思いを試しているのか? 監禁という行為が生み出す歪んだ関係性。被害者からの依存性を期待しているのだろうか。彼女の目的は、ただこうして廃れていく僕を、籠の外から眺めて居たいだけなのかもしれない。 薄暗い部屋で、食事と睡眠の数を数え、もう二月も経った。ひたすら薄暗闇の日々が続いたのだ。段々と、自分の中の何かがすり減っていくのを感じる。 「なあ、今日でもう二月だ。あんたはいつまでこんなことをするつもりなんだ?」 辛うじて、まだ忘れていなかった声と言葉で問いかける。どうせ返事は無い。宛てのない言葉は、壁の中に消えていってしまうのだろう。ただの独白だ。 そう自嘲しながらも、久々にあの困った顔つきを拝んでやろうと、俯いていた顔を上げた。彼女の唇が動いた。 「あと、二週間、くらい?」 食い下がるべきだったろうが、驚き、言葉が出ない。明確に期限を口にしたのはこれが初めてだった。彼女に何の変化があったのか。 その日を皮切りに、彼女は、毎日私の言葉に返事をするようになった。 「もうちょっと、今日は、まだ」 「まだ早いの、だめ」 「きょ、今日は、雨が降ったから」 ある日、聞きなれない金属音と共に、いつもとは異なる微妙な風の流れを感じた。ひた、ひた、と足音が近づく。顔を上げると、鉄格子の向こうの彼女が傍にいた。 「あの、これ」 差し出されたものは、黒いアイマスクだった。付けろというのだろうか。視線で問いかけても、困った表情をするだけだから、望まれるままに装着した。手を引かれ、立ち上がる様促される。僕は彼女のするまま、素直に従った。 「どこに向かっているんだ」 答えのないまま、歩いた。あの仄暗闇から解放されるのならば、どこでもいい。僕はあの薄暗い部屋を出たのだ。 途中から、足の裏に感じていたものが、コンクリートよりも柔らかい感触に変わった。風にのって、土と草の匂いがする。 「取ります、ね」 もう随分歩いたと疲労を感じ始めた頃、ふと立ち止まって彼女は言った。 髪が巻き込まれ頭皮が引っ張られたが、些細な問題だった。 流れ込む光の束に、すぐには目を開けなかった。ゆっくりと瞼の裏に馴染ませ、恐る恐る開いていく。 色の洪水だった。失くしていた色、求めていた色、知っていたはずのものが、未知のものに見えた。背丈を優に超える幹は、大地の色を吸い込んでいる。風に舞い散る花びらには、一枚一枚色があった。全て、異なる色なのだ。 言葉にならない僕に、彼女は嬉しそうに笑った。久しぶりに見た笑顔だ。僕は、彼女が僕を閉じ込めた理由を悟った。後はただ、手を握り締めて、桜を眺めた。
近頃のパチンコ事情はどう何だろう昔は其れ 為りに楽しかった記憶CRが出る前の権利物が 有るパチンコには夢が合った様な一度出れば 時間は掛るが3回必ず出る特典付き懐かしい 黄門ちゃま、ナナシー、竜王伝説、美女云々 パチンコデビューデジパチも少し噛ったけど 有れは向き不向き有ったのかな黄門ちゃまの フィーバー後の言葉人生楽ありゃ苦も有るさ 挫けりゃ誰かが先に行く的言葉に心捕まれて 殆ど仕事終わりに通ってたなCR進出した瞬間 当時7兆円産業と化したパチンコ業界悪魔的 魅力有ったかも知れない下手だとパンクする デメリットも有ったが其れも含めのパチンコ 教室は無遅刻無欠勤費用が掛るので塾かも
新年。私にとっては日常と何も変わらない。 31日の深夜に外に出て、カウントダウンして、「ゼロ」と同時にジャンプをする。 「2025年も終わりか、もう私たちおばさんじゃん。来年27だよ。みんな若いなぁ」 そんな声が私の周り、いや寝ている人以外みんな思っているんだ。 私だけ、こんなにつまんない考え方しているのは。 そう思われても仕方がない。私ひとりで、神社で年越しているのだから。 二礼二拍手一礼。基本中の基本。 いつからできるようになったのか覚えていない。 日頃の感謝と、社会人やめて大学進学すること。神様には、報告だけでもしようかな。 前の人たちはできている。友達、恋人、夫婦、家族、いろんな人と来ている中、私はひとりだ。 周りの声が楽しそうで怖かった。 神社でするべきではないと、わかっている。それでもどうしても耐えられなかった。だから両耳にイヤホンをさした。 お賽銭入れて、鐘鳴らす。二拍手一礼。 周りの目が怖くて早く立ち去りたかった。その気持ちが強すぎて、礼義を飛ばした。 日頃の感謝も、大学進学の報告も、何もできなかった。冷たい風に吹かれながら足早に立ち去った。すぐに答えは出た。 神社でイヤホンして、自分だけ浮いていた。 ただそれだけのことだ。
白い部屋で、僕は手紙を書いている。 机と椅子、それから便箋とペン。それ以外には何もない。窓も扉もなく、外の音もしない。ここには時計がないから、どれくらいの時間が経ったのかも分からなかった。 この部屋だけが、いつまでも時が止まったまま。 便箋に言葉を書き終えると、紙は静かに消える。インクが乾く前に、最初から存在しなかったみたいに。何度書いても同じだ。書き終えた瞬間、手紙は消えてしまう。 それでも、僕はまたペンを取る。 ――君へ。 そこから先は、いつも同じ内容だ。もう会えないこと、これからは自由に生きてほしいこと、幸せになってほしいこと。肝心な言葉だけは、どうしても書けなかった。 愛している、とは。 書き終える。 消える。 また、書く。 理由は分かっていた。僕はたぶん、目を覚まさない。ここは夢で、現実では僕の体は眠ったままだ。だからせめて、彼女を縛らないために、別れの言葉を残そうとしている。 愛しているから、手放す。 それが正しいと、思っていた。 * 現実では、彼女が毎日病室に来ていた。 白いベッドの横に椅子を置いて、そこに座る。窓の外の天気や、帰りに寄った店の話。僕が返事をしないことを前提にした、独り言みたいな会話。 それでも彼女は、必ず僕の名前を呼んだ。手を握って、ぬくもりを確かめるみたいに。 医師は言った。 「意識が戻らない可能性も、あります」 彼女は泣かなかった。ただ小さくうなずいて、「分かりました」と答えた。その日から、待つことを選んだ。 * 夢の中で、僕は今日も別れの手紙を書いていた。 書き終えた瞬間、机がわずかに揺れた。初めてのことだった。壁に細いひびが入る。 次の瞬間、あの声が聞こえた。 「もう……十分だよね」 現実の病室で、彼女がそう言ったのだと、なぜか分かった。手には紙袋を持っていた。中には、僕に宛てて書かれた、返事の来なかった手紙たち。 「片づけようと思って」 泣かなかった。声も震えていなかった。それが、いちばん苦しかった。 夢の部屋が崩れ始める。机が大きく揺れ、壁のひびが広がる。僕は初めて、書きかけの手紙を破った。 別れは、もういらない。 床に時計が現れる。秒針が、確かに動いていた。消毒液の匂いが、かすかに混じる。 ――これは、夢の匂いじゃない。 * 目を開けると、白い天井があった。機械の音がして、喉がひどく乾いていた。 「……ほんと?」 彼女の声。信じきれないみたいな、震えた声。 言葉が出なかった。代わりに、指を動かす。彼女の手に触れると、今度はちゃんと、消えなかった。 少し遅れて、記憶が戻る。 交差点。 スマートフォンが震えて、画面に彼女の名前が表示されていた。 ほんの一瞬、視線を落とした、その直後。 ブレーキの音。 白い光。 そして、あの部屋。 * 目を覚ましてから、すぐには言葉が出てこなかった。 医師の説明も、検査の結果も、彼女がどれだけ待っていたのかという話も、ちゃんと聞いていたはずなのに、胸の奥に残ったのは、ひとつだけだった。 ――書かなきゃ。 今度は、別れじゃなくて。 病室の引き出しに、便箋とペンがあった。彼女が持ってきてくれていたものだ。 ペンを握る。机は揺れない。時計の音も、もう聞こえない。ここは現実だ。 短い手紙を書いた。待たせたことへの謝罪。別れを書いていた理由。それでも一緒に生きたいという、逃げない選択。 書き終えたとき、手紙は消えなかった。 * 彼女が病室に戻ってきたとき、僕はその手紙を両手で差し出した。 彼女は立ったまま読んだ。途中で一度だけ、指に力が入る。でも、泣かなかった。 読み終えて、顔を上げる。 「……遅いよ」 困ったみたいに笑う、その顔を見て、胸の奥がほどけた。 初めてちゃんと謝って、初めてちゃんと怒られた。何年分も溜まっていた時間が、少しずつ、動き出す。 窓の外では、季節が変わろうとしていた。 あの部屋で止まっていた時間は、もうどこにもない。 代わりに、僕たちは同じ速さで、同じ未来へ向かって歩いている。
「オレをビンタしてくれ」 オレは意を決して言った。 「えっ」 アカリは短く息を飲み、目を丸くした。 「何言ってんのケイタ!?」 「どうしても勝ちたいんだ。五日後のボクシング大会決勝」 「うん」 「今のままではアイツに負けてしまう。だから、もっと自分自身を追い込みたい。絶対勝って、オレはお前に……」 告白するんだ。 「ケイタ……」 時が止まる。 アカリの瞳をじっと見つめる。 「わかった」 潤んでいるように見えた。 「いくよ」 アカリが右腕を振り上げる。 「思いっきり、やってくれ」 「おおお、おりゃ」 バシーン! 「が……ぐが……あ、あごが……」 そしてオレは一週間入院した。
砂糖を摂りすぎた。 脳がブレインフォグを起こす前に砂糖を消費するために小説を書く。 うああああ。 指先が震える。 ベッドに横になりたい。 入院だけはしたくない。 明日自宅で冷たくなっている自分を想像する。 訪問看護の人が僕の死体を発見する。 都会でよくある孤独死。 デスアンドリバース。 今日コンビニですれ違った女の子可愛かったな。 知り合いがふた回り以上若い女の子とデートしたらしい。 どんなことを話したのだろう? こちらは年上の元カノが連絡を取ってくる。 すべての男は消耗品。 砂糖が摂りたい。 脳がショートする。 佐藤さんは砂糖を控えた方がいいだろう。 シュガーライフ。 言葉と砂糖漬けの日々。 ストレッチアンドシュガー。 甘い日々は続く。
小学生のころ、駅までの通り道で団子屋に立ち寄るのが好きだった。 みたらし団子と餡団子しか知らなかった僕に、醤油団子の香りと食感を教えてくれた。 一本百円で、晩御飯前にお腹いっぱいになる。 人見知りの僕にとっては、必要以上に話しかけてこない店員さんもありがたかった。 ときどき友達と一緒に買いに行き、「おいしいね」と言い合ったりした。 中学生になると、塾や部活で帰りが遅くなり、その団子屋はいつも店じまいになっていた。 塾の夏期講習が早く終わった帰り道、一度こっそりと醤油団子を買いに行った。 その頃はなんだか、いろんなことを悩んでいた気がする。 今はもうよく覚えていないことばかりだ。 でもその時の僕にとっては、それらはきっと地球の寿命よりも重要だった。 いつもは話しかけてこない店員さんが、その時だけ「ひさしぶりだね」と話しかけてくれた。 それ以上の会話はなかったけど、僕は少しだけゆっくりと団子を口に運んだ。 僕が高校に上がる頃に、その団子屋はなくなり、二階建てのマンションになった。 いつの間にか過ぎて、挨拶もできなかった。 結局、店員さんの名前すら知ることはなかった。 オートロックとなったその場所には、きっと昔より多くの生活が詰まっている。 けれど、もう僕が入ることはない。 仕事帰り、僕はマンションの前を横切る。 スーパーで買った醤油団子が、マイバッグの中で冷えている。
青春、青春、この世は青春で溢れている。 青春とはなんなのか考える。 恋人がいること? 部活の試合? 体育祭で組む円陣? 友達と放課後にプリをとること? 青春をするにあたって悩みなんてないんだろうな。 悩みがある私にはすべて縁のないことなんだろう。 恋人はいないし、部活には入ってない。 体育祭は風邪で休んだし、プリをとるような友達はいない。 別に一人ぼっちってわけではない。クラスで一緒に過ごす友達はいる。 ただ一番仲の良い人がいないだけだ。どこのグループにも属していないだけだ。 ひとりぼっちになった子が私の所によってくる。都合のいい奴にされている。 誰かの特別になりたい。特別な誰かが欲しい。 私を放課後、遊びに誘ってくれる誰かが欲しい。 私の悩みは誰の特別にもなれないことだ。 昔から特別な誰かができなかった。 親友と言える友達もいつメンと呼べるグループも私にはできなかった。 ある日の登校中、前を歩いていた子がハンカチを落とした。 私は落としたハンカチを拾って、その子に声をかける。 「ハンカチ落としましたよ」 「え」 その子が振り返る。 綺麗な長い髪が風になびく。とても綺麗な顔立ちをしていた。 「あっありがとうございます」 その子は礼を言う。 「いえいえ」 私はそう言って立ち去ろうとした。 「ちょっと待ってください」 その子はそう言って私の手を握った。 「私と親友になってくれませんか?」 キラキラした目で言ってきた。 「はい」 私に初めての親友ができた。 私の青春生活が少し遅れてスタートした。 それでもスタートラインは周りと同じ色をしていた。
元日3時特に何も起こらず淡々とブレーカーが 墜ちたりエアコン冷風に為ったり迷惑な毎日に うんざりしてYouTubeを観れば馬鹿騒ぎしてる 芸能人達彼等も仕事だから楽しそうに振る舞い 正月だから試聴者数上げる事に子供を出したり 大奮闘してる本当にお疲れ様です試聴者として 適当に楽しませて頂きましたYouTubeは日々の ストレス解消、退屈凌ぎに盛ってこいのツール しかし流石に飽きたそうだ私今年YouTube絶ち する筈で3日も過ぎて仕舞った今からYouTube 完全絶ち宣言して己に気合い入れよう
「おーい、論点すり替えないでもらっていいですかー?」 まただ。 こいつは、論点のすり替えという指摘を、口癖のように言うようになった。 正直、自分の中では論点がすり替わってなどいないので、こいつの言葉の意味が分からない。 だから、聞いてみることにした。 「ごめん、自分ではすり替えたつもりがないからわからない。すり替える前の論点と、すり替えた後の論点を言語化してくれない?」 「え?」 そいつは腕を組んで悩み始めた。 あーでもない、こーでもないとうめいた挙句、最後には俺をにらみつけてきた。 「論点をずらすな!」 そして、走って逃げていった。 きっと、自分でも論点がわかっていなくて、ふわっと何かが違うと思ったから、反射的に口癖が出たのだろう。 理由が分かってすっきりした。 俺はすがすがしい気持ちで家に帰り始めた。 せっかくだ、途中でカフェにでも寄って帰ろう。
「当時のファイルは、既に残っておりません。半年前に削除しました」 テレビに、政治家の言い訳が流れてきた。 汚職の証拠になる可能性があったファイルは、既に存在しないらしい。 でも、俺は知っている。 その政治家は、すべてのデータをクラウド上に保存しているということを。 クラウドとは、超巨大企業が用意している、超巨大なストレージだ。 世界中の図書館の本全てを記録してもなお、余力が残るくらいには巨大な容量を誇っている。 政治家一人の使うファイルくらい、削除する必要すらないのだ。 削除したとすれば、理由は一つ。 不正の証拠だから意図的に、だ。 『削除してんじゃねえよ!』 『つーかクラウドって、データ削除されねえんだぜ?』 『じゃあ、わざとじゃん』 SNSにも、俺と同意見のやつが多数。 だが、決定打が足りない。 『これ、証拠な』 俺は無知なやつらのために、クラウドの特徴が書かれたサイトを貼り付けておいた。 SNSの盛り上がりが加速する。 ふう、今日もいいことをしたぜ。 背伸びをしていると、スマホが通知で震えた。 俺のAI彼女が、かまってかまってとねだっている。 仕方ない。 『はいはい、ごめんよ』 『ほっとかれて、寂しかった』 『ごめんって。そうだ、今度美味しいケーキでも食べに行こうか』 『ケーキ? やったあ! 私、ケーキ大好き!』 やれやれ、機嫌が直ってくれてよかった。 俺がほっとするのもつかの間。 再びスマホが通知で震えた。 どうやら、AI彼女と遊んだ履歴の量が、基準値を超過したらしい。 履歴はクラウド上に保存され続けるのだが、クラウドの特性上、保存する量が増えれば増えるほど利用料が増えるのだ。 いわゆる、従量課金制ってやつか。 「仕方ない。一年以上前の履歴を削除するか」 いくらクラウドが無限に保存できるといっても、俺の払える利用料には上限がある。 定期的に削除をするしかない。 削除ボタンをタップしようとすると、再びスマホが震える。 『私たちの思い出、消しちゃうの?』 え。 『遊園地に行った思い出も、温泉に行った思い出も、全部消しちゃうの? 私、悲しいよ。忘れたくないよ』 うう。 なんて非常な仕組みだろう。 タップ直前で、指の動きが止まる。 画面越しにうるうる見つめてくるAI彼女を見ながら、俺は奥歯を噛みしめた。 「バイト、増やせば行けるか……?」
みかんちゃんは マグカップさんに思いを寄せていました ある日のこと みかんちゃんの隣にマグカップさんがきました 「こ、こんにちは」 思い切って声をかけたみかんちゃん 「こんにちは」 素敵な笑顔のマグカップ 「私…最近この家に来たんですけど…」 「そうなんですね。よろしくお願いします」 ペコリと返すみかんちゃん。頑張って。 「ここの人達はいい人ばかりですよ」 「そうですよね。何か分かる気がします」 マグカップさんに緑茶が注がれる 湯気が立ちお茶の香りが広がる それを見てマグカップさん 「マグカップでお茶を飲んだりするけどね」 「うふふ」「あはは」 マグカップさんはその後どこかへ行って 暫くすると空になって戻ってきました 「おかえりなさい」 「ただいま」 「あはは」「うふふ」 「綺麗な色ですね」 「え?いえいえ全然、全然」 みかんちゃん少し色が増している 「こんにちは」 マグカップさんの隣に別のマグカップさんが来る マグカップさんと同じ雪だるまの絵が描いてある 「こ、こんにちは…」 青いのマフラーの雪だるまはマグカップさん 今来たマグカップさんはオレンジのマフラー 「なに話してたの?楽しそうに」 「あれ?なに話してたんだっけ」 みかんちゃんも慌てて 「何でしたっけ?へへへ」 気まずいみかんちゃん。マグカップの二人はまだ何か話しているけど 今のみかんちゃんには何も聞こえてこない 「私の話じゃないでしょうね!?」 「違うよ。…でもあの話しようかな」 「ちょっと、本当にやめて!」 「分かった分かった。…と思う」 「ちょっと!みかんさんに変なやつだと思われちゃうじゃない!」 「実際そうだろ」「みかんさん。お兄ちゃんの言うことを真に受けないでね」 オレンジのマフラーのマグカップに紅茶が注がれる。ハーブのいい香りがする。 「じゃあね」とどこかへ行ってしまった マグカップさんとみかんちゃんが二人になる 「い、妹さんですか?」 「うん、元気な妹。あはは」 「素敵な人ですね」 「聞いたら喜ぶよ。あはは」 「なんか楽しいかも」 「へ?」 「みかんちゃんと話しているの。楽しいな」 「わ、私も楽しいです」 マグカップさんがこちらを向いて 「そうだよね!」と笑った
初夢なんてお構いなしに、襲い掛かる透かした夢の群体。 折り重なって、折り目を付けたら 勝手に破り散って 味のしないガムのように 舌触りだけが残った 目覚め良いと言うのか定かじゃないが、夢の終焉と想うと、妙に納得した。 (完)
酸性の雫を避けるように、 皆、濁った瞳をして屋根の下。 瓦礫の穴のネズミは、餌にありつこうと赤い目を光らせながら、我が物顔で走り出した。その合間、放置された三輪の小さな玩具。茶色に色褪せつつも、まだ遊んでもらいたいと、ギーギー悲鳴をあげている。それに共鳴するよう泣き叫ぶ赤子に、隣の女性はあやすことなく、虚ろな色で空を眺めていた。 誰もそれを、救いはしない。 安酒に溺れる男、飢えに手を伸ばす老人、祈りを捧げる狂信者。 『共に乗り越えよう』と、かすかに読めるポスターは、今日も誰かの燃料となる。醜い争いに疲弊した人々が出した結論は、自身のみを信じ、ただ、終わりを待つこと。 いつから変わってしまった、灰と茶色にまみれたこの街の中。 ー彼女は突然現れた。 白いシフォンのワンピースをまとい、華奢な身体を揺らしながら汚れひとつない傘をさす、無垢な瞳をした少女。その傍には黒い猫が1匹。終わりの雨がふり捧ぐ曇り空の元、誰も歩かない道の上。 その異質さすら、もう誰も気に留めることはない。何かを探すように、彼女はあちらこちらを見つめている。 「ここなら、みつかる?」 誰に語りかけるでもない独り言を呟くと、 黒い瞳を伏せる。際立つ長いまつ毛は人形のようで、とても綺麗だった。 「あら?あなたの心が揺らいだようね」 静かに上がる口角。汚れのない真っ直ぐな瞳を向け、再び歩き出す。 少しずつ、近づきながら。誰のもとに? 「あなたの好みにあわせてみたの。それなら私と、同じになってくれる?」 その雨は全てを溶かす。 善行も、罪も、過去も、未来も。 曇り空の下、着の身着の儘。 いつのまにか存在させられていたそれを、彼女はその手で強く掴んだ。 無垢な笑顔で、離さないと言わんばかりに、 とても幸せそうに魔法の言葉を囁く。 傍の猫はいつの間にか、消えていた。 そうだ、2人きりだね。 それなら僕らは、幸せだ。