五月

こどもの日もあるんですけど こどもの日もあるんですけど ねぇ こどもの日もあるんですけど なんなの? この宿題の量。 ねぇ こどもの日もあるんですけど? あ、そうやっていらいらして 「うるさい」っていうのって あ! 五月だからなんですね! わぁーーーー 五月だからなんですね!

自画自賛。自己卑下。

私は目を瞑り1人の少女を見つめている。 少女は現実を放棄し、悲しみに暮れ、汚れた心を隠しながら生き延びていた。 私はそんな少女を時に憂い、共感し、嘲笑する。 少女のことは私が1番好きだ。でも1番嫌い。 少女を1番理解しているのも私だ。 私と少女の関係は俗に言う愛などよりも、もっと深いのかもしれない。 彼女の間違いを訂正するために、本心では無い正論を放つ。 あなたは悪くないと言い聞かせる。 また今日も少女は傷を見て悩み 汚れた心を洗うように泣きわめく夜を過ごしていた。 そしてこの世界から消えてしまいたいと強く願う。 少女を好きで嫌いでたまらない私は願いを叶えるために 少女を地獄から救うために 吊り下がったロープに私の首を通した。

挨拶がパクられた

「おはようございます」   「あ、ぼくの朝の挨拶パクったね」    朝一から、変な因縁を付けられた。  どういうことなの。   「どういうことなの」    思わず、声に出た。   「だ、か、ら! 『おはようございます』ってのは、ぼくが今朝使った挨拶なの! だから、パクらないでって言ったの!」    おかしいな。  私の耳が悪くなったのか、それとも頭が悪くなったのか。  二回目聞いても意味が分からない。   「であれば、なんとか『なの』って表現は、今日私が最初に使ったので、『ぼくが今朝使った挨拶なの』って言葉は私のパクリってことですよね?」   「え? 何言ってんの? パクリになるわけないじゃん。馬鹿じゃないの?」    頭痛が痛い。  時々いるんだ。  強いマイルールを持つやつが。  自分の中では筋が通っているんだろうが、周囲には理解できないやつが。    案の定、周囲のやつらは動きを止めて、私たちを見ている。  誰か助けて。   「さあ、挨拶を撤回するのか、それとも使わせてくださいって頭を下げるのか!」    ごみっかすみたいな二択を突きつけられて、私は溜息を零す。   「ハイハイ撤回シマース」   「わかればいいんだ!」    満足げな表情にイライラしつつ、私はその横を通り過ぎる。   「あ、おい! ぼくへの挨拶がないぞ!? 挨拶は常識だぞ!」    面倒くっさ。  何こいつ、面倒くっさ。    私は脚を止め、振り返り、笑顔で親指を立てて下に向ける。   「黙れカス」    後ろでギャンギャン喚いていたが、私は無視して歩いた。    世の中には、変な奴もいるものだ。

I do recall really had a break a bed by Travis be down

I definitely can’t relate but try baby in the world with pod by the way he sees Genevieve had a bad battery with me that are you have you come with a cabaret him every baby that I meant to be a bad Burbage with dad and he’ll be dead without burning it down about coming to be with dad today how do I could’ve capability capability but I can be by today baby dad to bring a batch would be dead I just have a cable Vegeta rabbit valuable to be dead to miracle Mile Mabe bourbon without I don’t have a cricket Beverly detriment detriment available that will be dead on the car because I broke up a battery weedeater back to Broadway deli with dad I’m at kebab anyway dad I will be with a battery battery battery did you look at my birthday Deborah Deborah birthday bye-bye dada ridiculous WDB dad had a guy because my dad will be dead Bible – cook up a little bit never dead we did Ruby weapon will be dead I did grab a good mood we didn’t really have a bad voodoo daddy I drank a battery be dead tree could be bad battery battery be dead to Cabo rabbit bed to be dead probably be dead repeat battery will be dead I don’t care what kind of baby Luigi with the travel weather there will be dinner there but will be dead by Michael Bublé vegetable bed bed with me that I had to go back up and ready for bed my bed a bit of a dead rabbit by the way do I go to bed that will be the day to be dead red dead with it on the cabin cabin room adaptable baby that will be dumped a battery WWWW bye-bye bye-bye bye dad toilet without the guy but could you give me Richard Raymond Bhad Bhabie dividend to the Bible with the tablet right back to the boat with my dad right by the dead River get my mouth I wanna go because my dad you’re a bad bad with the devil to get a look at what would be the river with me that would be the weather will be detrimental preventable deaths are you gonna come over with a check up but when I gave her a couple Robin Hood banana welcome to be that I had to go back

希望と夢、そして未来へ羽ばたいてー知的障害、精神疾患、関節の病気を持っていても自分らしくそして、誰かの役に立ち誰かの助けになれたならー

この病気がわかったのは幼稚園の時。他の子より少し言葉が遅いこと、他の子より表情が硬いことがあったらしい。自分は、いつも1人だった。 誰もいない場所に行ってみたり、先生とケンカしたりしたこともある。そして、小学校に入っても輪の中に入れずいつも1人でなにかしていて、 中学になっても人が嫌いで誰かと馴れ合うことを嫌い、一人でいたい。と言っていた。先生とはケンカしたし、揉めたりもした。でも、仲良くなったけど。高校に入ってすぐいじめが始まった。 親にはいえなくて1人で毎日、毎日泣いていた。 でも卒業式の前にお母さんにぼそっとつぶやいた私ね、いじめられたんだ。でもさ、私は そいつらを許す気ないし謝ってもらおうとか思ってないけどさ、いじめはダメだよね。とよく言っている。私の病気は、治らない。100治らないから普通の人と違ってなにか違うものを見ている時がある。たまに、まーちゃんってさなんか病気あるの?と聞かれる度に思う。うん、この病気は 治らないのって言えるかな、自分なりに考えている。この病気がなかったらと。。。何度も、 何度も考えていた。幼少期、祖母に言われた 病気持ちの嫁と孫はいらねぇからこの家から出ていってくれ!!と。私は、傷ついてしまった。 そして、祖母は冷たく当たってきた。病気があるとわかった時人が180℃変わり、私にズケズケ物事を言うようになり、暴力や言葉の暴力が ひどくなった。私は、その時父親の暴力も 絶えず身体にも心にも大きな大きな傷と アザがあった。私は、今でもあの言葉が怖くて、抜けない。私はいつも夏と冬が来る度にまた 父親に殴られて、寒空の下に放り出される… そんな恐怖がある。私は、幼少期父親に 殴られて、蹴られてその挙句薄着の私を 外に放り投げて、こんな言葉を吐いた こんなやつ、飢え死にしちゃえばいいんだよ!!!ぎゃはは!!!と。私は寒くて、寒くて、妹の部屋の隅のほうでカタカタ震えていた。本当に死んでしまおう。と思い、隠していた 風邪薬を大量に飲んだ。きっと、辛かったんだ 今の私にはそれができない。そして、23歳になった今私の隣にいるのは相棒の空とプリン、 くーとみっちー、いもちゃん、いもたん というアカハライモリの兄弟、彼氏さん。 長い付き合いの女友達。私は、いつも どこかで傷ついていた。でも、たまに お母さんに言わずリスカしたり、泣いてしまう。 苦しかったんだ。あの日のことを思い出さないように必死で、自分の心に蓋をして可愛くて自慢の妹の前で泣いたらダメだと自分に鍵をかけていた。でも、、、弱いんだ。私は結局弱虫だ。 そして、私は夢が見つかった。ポジティブインストラクター、不登校児支援相談員をすることにした。もちろん、親もそうだし、その子の悩みも聞いてあげたい。私にできることは、それくらいしかない。かつて私も学校が大嫌いだった。 ヤンキー番長だったし、先生とケンカしては学校に登校。挙句の果てにはもう退学したいならしてもいいよ。と言われこっちも負けずに言ってしまった。あぁ !!いつだってやめてんやんよ!! こんなところよ!!!と。私は、親戚にも言われいたから余計にカチンと来ていた。でも、不思議なことに今は知らない人とお話してたり、困った人がいたらサッと手を差し伸べたりしている。 例えば、ご高齢のおじいちゃん、おばあちゃんだと杖とか、持ってる方がいて会計とかの時に 落としてしまったり。私はその時誰よりも早くかけつけて、おばあちゃん、どうぞ。落としましたよ。と優しい笑顔で渡す。私は、助け合いが ひとつの運命を変えると信じてる。自分の彼氏さんもパワハラでうつ病になったらしいんだけど、 私は違うんだ、私の場合多忙な職場でメンバーさんとの気が合わず、自分の生きる力もみんなとやって行ける自信がなくなって、去年やめた。 親にはいえなくて、初めてお母さんに泣きながらこぼした。もう、耐えられない、苦しいよ。。。 と。なにかが切れたように涙が止まらなくなった。お母さんは、うん、まー、ちょっと待ってなあんたの相談員さんに電話するから。 そして、、翌日相談員さんに話し 気づけば2年の歳月が流れ退職になっていた。 私は、今大きな夢がある。自分のようになってほしくない。私は確かに普通の人と違うでも 、自分らしく生きていきたい。確かに見た感じは 普通の人に見えると思う。でも、中には自分より重い病気がある人もいるって私は思うんだ。でも、その人たちの力にもなりたい。私は、 誰かのために生きたい。そして、誰かの役に立ちたい。昔から身体が弱かった。今も変わらないよ?全然。でもね、これは誰かに伝えたかった。 自分らしく生きていいんだよ。 こんな私に言われても仕方ないよね ごめんなさい 不愉快になったら見なくて大丈夫です。 たまにnote15でポエム書いてます。

体粉する商魂

ひどい眠気だ。 毎度思う。深夜に面白いラジオをやるから眠気に襲われるのだと。昼間にやってくれればラジオをかけて仕事の効率が上がるから…いや、上がらないのか?ま、全国民が聞けば、全国民の能力が下がり、結果的に国は衰退するし、そうなれば休みも増えるし、寝てようが関係なくなるか。完璧じゃん? そう毎度思う。思うだけだ。何も進めない。粛々と日々の業務を済ます。当たり障りのない企画書と、当たり障りのない日常。素晴らしい。 ただ、眠気だ。寝るわけにはいかない。当たり障りのない日常を続けるためには当たり障りのない人間で居なければならない。無遅刻無欠席ノー居眠り。なので自動販売機でコーヒーを買う。全ては眠気を飛ばすため、意識が飛ぶ前に。 ボタンを押す。 ガタッと落ちる。 拾う。 熱っ! 何が起きた?間違えて押した?あまりの眠気のせい?あれだ、睡魔だ。睡魔のせいで間違えたのだ。全く、以って、仕方ない。第一、冷たいものはずっと冷たいからいい。温かいものは冷めたら不味くなるのになぜ売るのだろうか。温かいうちは美味しい。そういう規格だろう?冷めたら不味くなるものを売ってどうする? しかし、買ったのは自分、客観的にみれば。睡魔のせいにしても虚しい。間違えたのも自分、払うのも自分。現実。 そう思いながら、拾い上げる。 缶を開ける。 猫舌なのでおそるおそる、傾けて飲む。 「あまっ!!!」 あれ?ブラックコーヒーを選んだはずでは?いや、待て、そもそもコレはコーヒーの甘さですらない! 「お汁粉…?」 何でこんなものが?と改めて自動販売機を見る…。 そもそも、お汁粉なんてねぇじゃねぇか。 いや、どういうことだ…?というわけで、自動販売機の会社に電話をかける。 「もしもし?」 「はい?」 「あの、コーヒー押したら、お汁粉が出てきたのですが…?」 「はぁ…、ウチはお汁粉は取り扱っておりませんが…?」 「はい?」 「ちょっとその地域に配送している者に聞いてみますね?」 「ハァ…?」 どういうこと? で、折り返し。 「いま、担当の者と連絡が取れました。どうやら間違えたようです」 「商品としてないのに?」 「はい」 「商品としてないモノをどうやって間違えるの?」 「いや、でも本人が『間違えた』と言っているので…」 「…わかりました。その担当の者と会わせてください」 説教してやる。 というわけで、怒りであっさり睡魔は去り終業後、喫茶店にて担当と会うことに。 「いやぁ、どうも、この度はすみませんでした」 軽くないか?と思いつつ、コーヒーを飲む。 「まぁ、いいですが…いや、よくはないのだが、どういうことなんだ?仕事は真摯に取り組まないとダメだろう?」 「いやぁ、ムシャクシャしてて」 「ムシャクシャしててやることではないだろ」 どんな教育されたらそうなるんだ。 「やっぱバイトでこき使われてイライラするんですよ、人間どもって。なのでムシャクシャして…」 「いや、イライラしてもコーヒーの代わりにお汁粉を入れよう!とはならない…ん?『人間ども』?」 「ええ」 はぁ…鬼か、こいつ。 いや、鬼なの? 「…あぁ、鬼なのね…そうか…なんで鬼がお汁粉…?」 そう聞くや否や、俯いてた彼は満面の笑みでこちらに向いた。 「気になります?いや、それより、味はどうでした?」 「いや、美味しかったけど…」 いきなり圧上げるんじゃねぇ。 「ですよね!!!いやぁ良かった!!!コレは成功だな!!!うん。成功だ!!!」 「いや、なんの成功もしてな…」 「いや、成功です!」 「…なにが?」 「いや、鬼ってのは大豆が食べれないんですよ。でもこの世は大豆製品ばかりじゃないですか?だから少しずつ駆逐しなきゃいけないんですよ。その中でまずきな粉を仮想敵として色々と試行錯誤してたのだけれど、コレは大きな一歩です!」 「はぁ…」 「いやぁ、実はこうやって自動販売機にわざと入れて商品開発に活かそうという面もあって!ヒアリングしてるんですよ!」 「はぁ…」 「というわけで、お客さんにはサービスとしてですね、お汁粉をさらに1ダース渡しますね!」 と、押し付けられるまま貰ってしまった。そして、気に入ったらSNSで感想を『鬼のお汁粉』で挙げろ、あと定期購入ご希望ならコチラから…などなどと畳み掛けられた。商魂たくましくて羨ましい。 「では!毎度おおきに!」 まだ毎度と決まったわけではないが…と言う間も与えずルンルンに去って行った。 帰宅後、余りの出来事に夕飯を作る気力もなく、仕方なく正月に貰った餅の余りをお汁粉に入れて食べる。まぁ、美味しいのは美味しいな、と、甘いモノを食べたからかその日はぐっすり寝、翌朝にはSNSで呟いておいた。 さして当たり障りのない善意をこめて。

病気と葛藤ー23歳最後の春ー

6月で24になるから、23歳の自分へのメッセージを書く。この病気は治らない。確かに治らない。 でもね、あなたはあなたらしく生きてほしい。 かつての私は人が大嫌いで人混みにはいる度に 怖い、怖いという言葉しか出なくて人多いところがダメだったねそして、できることも限りなくすくなくて。でも、この1年自分を振り返ってみたらさ、できることが増えてきたね。前よりも成長したし、お母さんともお父さんとも話せるようになった。そして、しっかりしてきた。かつての 私はわがままで人に噛み付いてた。葛藤が 激しくて、誰かに相談することに不安と恐怖を感じていたね。でも、ここ1年あなたはずいぶん変わった。お母さんもね、まーは変わったね。すごく大人っぽくなった。といってくれた。あれだけ1人の買い物が怖くて足がすくんでいたのに今じゃ行ってきます!!と言えるようになった そして、どんなときも自分は自分だよと言えるようになったね。大好きな叔母が他界する前 ばあの介護もしてた。そして体育祭で誰よりも早く赤組のリーダーになって、色んなことを学んで、社会に出て色んな間違いや人とのふれあい そして、繋がり。彼氏とも出逢い、別れ、 彼氏に貰った夢、そして祖父母のかつての願い それは、まー、お前はお前らしく生きろ という大きな願い。この先、自分に降り掛かってくる不幸や大きな荷物。たくさん、経験する悲しさや、痛み、苦しみ。自分がもしも、母親になった時自分の子供に自分の想いだけを押し付けず子供の意見も聞こう。そして、他人に優しく自分に厳しく生きていこう。不登校でだらしなくて 親にもたくさん迷惑かけた。もちろん、たった1人の妹にもいっぱい迷惑かけた。親友にもまーちゃんごめんねと泣かれたけど、私が悪かったんだ あなたが悪いわけじゃないわ言葉足らずな私が悪いの。私は、この先たくさんの人に出逢い、 恋をして仕事をして嫌なことも辛いことも 悲しいことも苦しいことも経験していくと思う。 私は、よく祖父母に言っていたまーちゃんね!じいちゃんとばあちゃんの病気治す人になりたい!!笑顔で話していた幼少期の私。そして 高校卒業してすぐお菓子を作る仕事に入った。 けれど、やめた。今はね、ポジティブインストラクターという仕事をしてみようと思うんだ。誰かのために頑張ってみたい。自分のためにも ありがとうと言われて、まーさんがいてよかったって言ってもらいたいの。私ね、夢があったんだ。その夢は……『ハンドマッサージ師』。 闘病生活を続けていた叔母の方を揉んでいた時、言われたのがきっかけ。まー、あんたあんまさんになりなさいよ笑と言われたから。私も、小さなマッサージ屋を開きたかったけど、資格がなくて そこまで自信がなかったから。でも、いつか この夢を叶えてね、天国にいる祖父母たちに あ、まー夢を叶えたんだな、よく頑張ったなぁ さすがおらの孫だって言って欲しいんだ。 目に見えなくてもね、どこかで繋がってるって信じてるの。たまに、苦しくなって、どうでも 良くなってしまう時がある。でも、ここで 諦めてしまったらきっとまた廃人化してしまうから、、、諦めたらいけないって思ってる。 だけど、本当はどこか苦しかった。 この病気がなかったらって自分と世界を恨んだ。 お母さんに言えば泣かれてしまうから、 いつも『本当の私を』殺して生きてきた。この病気がなかったらなんて、思う。何度も何度も、 自分に刃物を突き刺して、傷つけて本当の私を探してたんだ、きっと今も本当の私を探している。 見つからない夢の先を探している。自分が 嫌いで、嫌いでこんな私を殺して欲しかったんだ。お母さんには言えないし、言いたくない 本当は辛かった。だから文字にして書いている。 苦しみに耐えるにはこれしかないから本当の私は消えてしまったから。自分がどれか分からないから。お母さんには言ってないこと、言えないことたくさんある。本当は自分のことを忘れていることも自分の手を傷つけてることも。言えばまた 怒られるから。でも、傷つけないとやっていけないの。痛くてもどんな血がにじみでても、私は 自分が嫌いなの。大嫌いなの、だから なんだ 好きでやるわけないじゃん 。 病みそう今日も

「拝啓、君が存在しない世界は」Episord -lost story- 続編執筆中

「定期通信、定期通信、こちら柊翠(ヒスイ)だ今日も元気か?」 「君が失踪してから今日で5年が経った」 「毎日こうやって連絡をしているが今日は私達にとって特別な日だ」 「我らの診療所に仲間が増えることになった」 「私の自慢の弟子が正式に配属されることになった」 「といっても私とお前と弟子の三人しか所属していないのだが....」 「私は弟子を取らないってあんなに言ってたのにお前にはお見通しらしいな」 「お前がもし生きているのなら一度会ってみてほしいな....」 「本当にお前にそっくりなやつが来て吃驚なんだ」 「最近本当に毎日が楽しくてな、お前がいなくなってからは寂しかったし、患者との会話とか、研修医の頼りない奴らとしか会話することがなかったのだが」 「弟子が私の話し相手になってくれてな、少し生意気だがそういうところがお前に似てて懐かしいよ」 「本当に私の診療所に入ってくれて嬉しく思うよ」 「そうだ、今度お前が帰ってきたら皆で祝おうじゃないか」 「私の酒豪さに耐えれる奴なんてお前ぐらいしかいないと思っていたのに、なんと凄いことに新しい弟子は私と対等に張り合えるぞ」 「じゃ今日の定期通信もここまでか」 「明日は学会があって弟子にもノウハウを沢山叩き込まなきゃいけないんでな」 「じゃあ早く帰ってきてくれよ」 「じゃおやすみ 相棒...」 Episord -lost story- END...

ダンビラムーチョの原田さんと代々木上原で飲んでいた時のこと

お会計して店を出ようとした時に声をかけてくださったご家族の方々がいました。 「私はお笑いは詳しくないのですが、息子と娘が気づきまして、頑張ってくださいね!」 お父様が威厳と優しさを兼ね備えたような深みのある声でそう言ってくださった。隣で上品そうな奥様が微笑みながら頷いている。端正で凛々しい顔立ちの息子さんが、いかにも好青年といった潑剌とした笑みをこちらへ向けてくれている。娘さんに至っては朝ドラの主演女優のような美人で、潤んだ瞳が輝いていた。 僕と原田さんはそんなご家族の素敵すぎる雰囲気に圧倒されてしまった。 「ありがとうございます、頑張ります!」 僕達はそう言い残し、何故か逃げるように店を出た。 二軒目でしばらく飲んでいる時に原田さんが「さっき俺達、素っ気なかったかな」と言った。 「僕も考えてました。素敵さに圧倒されましたね!」 あの時のご家族の方々、声をかけていただきありがとうございました!

ぼくの役目さ

毎朝、電線にきちんと整列して すずめが、歌を、歌う そうやって、すずめが わたしを起こしてくれる ウチのねことしては それが、気に入らないらしい 起こしてあげるのは、ぼくの役目さ とでも、言いたいようなのだ そんな、ねこの思いを 知ってか知らずか すずめは、今日も わたしを起こしてくれる すねてしまったねこに 朝ごはんをあげる ねこと一緒に 朝ごはんを食べながら 明日の朝は、キミがわたしを起こしてね ねこに言ってみる ねこは、知らん顔をして ごはんを食べ続ける そんな、一日のはじまり

目には目を、そして眼帯を

 芸能人に、人権はない。  帰宅途中の道で、記者たちが群がり、マイクとカメラを向けられる。   「Aさんですよね? ちょっとお話よろしいでしょうか?」   「はい。○×テレビ局の ピー さんですね。なんでしょう?」   「……え? なんで名前? 初対面、ですよね?」   「はい。初対面です」   「……」   「……」    では、芸能人に人権がないのであれば、記者には人権があるのだろうか。  匿名の陰に隠れ、テレビや雑誌という媒体で他人を叩く存在は、何の権利に守られるというのでしょうか。   「え、えーっと。では、質問させて下さい。先月の十六日、ドラマで共演しているBさんと夕食に向かい、その後二人でAさんの自宅に入っていったという証言を得ていますが、事実でしょうか?」   「はい、事実です。ところで、二年前に結婚して一歳の子供をお持ちの ピー さんは先月の第一金曜日、新人歓迎会の後に新人の ピー さんを連れてホテルに入っていったという証言を得ているのですが、事」   「事実なはずないだろう! 出鱈目言うな!」   「実は、入っていく写真も持っていまし」   「プ、プライバシーの侵害だ! 今すぐ消せ! おい、カメラマンも何を撮ってるんだ! さっさと撮影をやめないか! 何もない! 断じて、何もない!」   「もしもし。 ピー さんのお宅でしょうか? 私Aと申しまして、今、貴方のご主人から取材を受けていまして」   「ちょっと待て! なんでうちの番号知ってるんだ!? いや、それよりも、いったい何を言う気だ! やめろ! プライバシー! 個人情報! 人権侵害だ!」       「そういえば、あの時の取材は結局どうなったんだっけ」    そう思ってつけたワイドショーには、私の取材など流れていなかった。  代わりに、別の時間帯のバラエティ番組特番で、取材班の逆スキャンダルとして放送されていた。    ご丁寧に、私の顔にはモザイク、声もボイスチェンジャーで変えられており、私だとわかる視聴者はいないだろう。  それは、取材をしてきたやつも同様。  全てがピー音で隠されていて、どこの誰かはわからずじまい。    SNSでは犯人探しが始まっているが、まあ、根拠のない予想がいくつかあがって終わるだろう。   「最近、取材が来ないなあ」    私はというと、優雅なコーヒータイムを嗜める程度の余裕ができた。  調べさせた記者の情報は、まだ何百人分もあると言うのに。    ムダ金となってしまいそうだ。

茜色に染まる君

初めての彼女だった。中二の秋なんの前触れもなく転校してきた彼女はすぐにクラスに馴染み、常にみんなの輪の中心にいた。正直釣り合っていなかったと思う。たまたま席が隣で、たまたま好きな教科が一緒で、たまたま好きな漫画が一緒だっただけ…。それでも僕は運命だと思った。月日が経つごとに僕たちの距離は縮まっていった。彼女が転校してきて1ヶ月、僕は告白した。彼女は快く受けてくれた。ふと、彼女の顔が赤くなっているのに気づき、どうしていいか分からなくなり動揺していると、 「夕日のせいだから」と彼女は言った。頬を赤らめまっすぐ僕を見てくる彼女の顔を僕は一生忘れないと思う。僕たちはこれから色んなことを経験するんだ。そう考えただけで高揚し胸が高鳴った。その日の夜僕は僕たちの明るい未来を想像し、眠りについた。 季節は夏から秋へと移り変わり、風が肌寒いと感じるようになった頃、僕たちは別れた。3ヶ月。長いようで短い期間。最初の頃はきっとうまくやれていたんだと思う。毎日一緒に登下校し、休日は映画館や公園へ行ったり。ありふれた恋人だったと思う。いつからか、あの頃の胸の高鳴りは消え彼女といることが習慣化されてしまった。心臓が飛び出てしまうくらいドキドキしていた恋人繋ぎでさえ面倒と感じてしまうほどになった頃、僕から別れ話を切り出した。彼女は何度も首を横に振った。どこが嫌なのか教えて欲しい、私が全部治すから。何度もそう言う彼女の顔はとても脆く、触れただけで壊れてしまうようだった。結局友達に戻るということで彼女は納得してくれた。今考えると本当に最低なことをしてしまったと思う。罪悪感に駆られその日は一睡も出来なかった。 溶けてしまいそうな日差しが降り注ぎ、蝉の声が煩わしくなった頃、僕は彼女の夢をみた。透き通る白い肌に艷めく黒い髪。僕が大好きだった人。高校生になった僕は勉強と部活に追われ、彼女のことを長らく忘れていた。僕は本当に最低だ。あんなことをしてしまったのに、会いたいと思ってしまう自分がいる。想いを断ち切るため僕は海へ向かった。小さい頃から悩み事があると海に行って気が済むまで眺めていた。眺めているだけで気が安らぐのだから海は本当に凄いと思う。夕方なだけあって昼間よりかは幾分か日差しもましになっていた。僕の視界一面に澄んだ蒼色が広がりだした時、僕は足を止めた。本当に運命の人なのだと思った。砂浜を歩く彼女の姿が僕の身体を硬直させた。別れを告げてから約二年、彼女はあの頃とほとんど変わりはなかった。艷めく黒い髪に茜色に染まる横顔。僕が大好きだった彼女。ただ一つあの頃と違うのは、横にいるのは僕ではなく彼だったこと。恋人繋ぎをしながら楽しそうに歩く二人の姿は僕には眩しすぎた。少しでも復縁できるかもなどと思い上がってた自分を心から惨めだと感じた。どうしてあの時彼女と向き合おうとしなかったんだろう。その場に立ちつくす僕の視界は次第に滲んでいった。 馬鹿野郎…。沈みゆく夕日にそう言われているような気がした。

粉雪

 カーテンを開けると、外はものすごい吹雪で、昨日キッチンにぶちまけた小麦粉を思い出した。心ここにあらずで料理をしようとした自分が何を考えていたのか、なんとなくわかる気がする。何かしていなければ、もう何もできなくなってしまいそうだったからそうした。それだけだ。  料理でなくても掃除だってよかったし、それは結果的に真っ白になったキッチンを原状復帰させる作業によってどちらも達成することになったのだけど、あれもきっと今の自分には必要なことだったのだと思う。フローリングの目地にまでしっかりと入り込んだそれを取り除く作業はかなりきつくて、終わったらそのままソファに倒れ込んで眠ってしまった。薬を使う以外では、肉体的な疲れでなければ、昨夜の自分を睡眠へと誘うことはできなかっただろう。春の終わりに付き合い始め、二人で過ごす初めての冬を一緒に迎えようと楽しみにしていた恋人は、もういない。その事実が絶えず頭を揺さぶってきて、眠りたくても眠れなかったはずだ。  僕はいつだって、そうだ。たった一人にだけ、自分を一番に据えてほしいと思えば思うほど、相手は呆気ないほど簡単に離れていってしまう。反面、もうどうでもいい、自分一人で生きていけるように力をつけなければ……と動きはじめた矢先、ひょっこりとそれは現れる。それの繰り返しだ。そして、今度こそ最後、を数度繰り返したあとに気がついたのだ。  誰も、僕のことを「最後」にしようなどと思っていない。  もとい、誰にも「これが最後」と思ってもらえなかった。  きっと、答えはそれなのだ。ホームで待っていれば次が来る、都会の電車と同じだ。目的地に着くまでの間、用事を思い出して途中下車しても、すぐに次がやってくる。時が経つほどに本数は少なくなったって、よほどのことがなければ乗り遅れることはない。恵まれた環境に生まれ育てば、そんなことは当たり前になる。いちいち一本逃したくらいで喚き散らすことも、悲しむこともない。過去の恋人に「このまま終点まで行ってしまおう」と誰にも思ってもらえなかった。その事実が鳩尾を殴ってくる。  もうダメだ、これ。酒でも飲んで二度寝しよう。出かけるのも止めにしよう。こんな雪の中で出かける気になれないし。ブツブツとモノローグを口から垂れ流しながら、僕はソファから起き上がって、キッチンの冷蔵庫へ向かった。  酒を飲む必要などないほど自分を見失っている……と自覚したのは、ドアを開けて二歩ほど進んだところでゴミ箱に足をひっかけて、昨日せっかく綺麗に元通りにしたキッチンを再び雪景色に変えた瞬間だった。いや、雪ではなく小麦粉なんだけど。小麦景色って言ったら白くないし。小麦粉景色って語感が良くないから。  もはや笑うしかなかった。昨日掃除をしたところまではよかったけれど、ゴミ箱を移動したままで戻すのを忘れていたらしい。それを思いっきりひっくり返して、結局元通りになってしまった。僕と彼女の関係は、いくら記憶を拾い集めても元通りにはならないのに。  仕方がない……と溜息を吐きながら、とりあえず粉をできるだけ集めようと、新雪のように積もったそれに手を伸ばした。  その時に僕は今更、右手の薬指にはめたままの指輪に気がついた。付き合い始めて間もなく、ずっとその指輪をはめたままで過ごしていた。結局、別れ話を終えて帰ってきた昨日も、それを外さないままで眠っていたらしい。彼女の指にはもう指輪の影も形もなかったというのに、なんで帰りに捨ててくることができなかったのか。自分の女々しさに、我ながら呆れかえってしまう。  最後の最後まで、位置を左手へ移すことがなかったそれを、ゆっくりと抜き取った。右手薬指の根元あたりが、わずかにくびれている。やがて時間が経てば、この跡も消えてなくなるのだろう。そうでなくては困る。彼女が忘れるというのなら、もう僕だって忘れてもいいじゃないか。  むしろ、僕の中にまだ彼女を想う気持ちがあるのならば。  そこは綺麗さっぱり、忘れてあげることも礼儀のはずだろう。  ミニチュアの冬山のように積もった小麦粉の上に、指輪を静かに落としてみた。わずかに粉をまきあげたそれは、白い山の頂上に、休火山の火口みたいな輪を描く。  僕は、山の麓の両側から切り込むように、手を入れる。さらさらとした感覚が伝わってきた。この山の中心にあるものは、まだ今も微かに熱を持っているはずだけれど、もうその熱を感じることはできなかった。 「全ての物事には意味がある」という言葉が本当なのだとすれば、いま導き出すべき正解は、こういうことであってほしい。  いや、きっとそうだ。  もう、それでいい。  自分に言い聞かせてみると、肩の荷が下りたように、すっと気持ちが軽くなった。  僕は、両手いっぱいに掬い取った小麦粉の山を、ゆっくりとゴミ箱の中に捨てた。

匂い

君が息を吐く音が聞こえる。 君が、もう時間が無いって言うから、 ふたりで手を繋いでる。 君が言う。 「もうすぐ行くよ、やっぱり、こわいや、」 僕は言う。 「忘れないよ、泣かないで。大丈夫だから。」 君は目を閉じた。 「おやすみ」 僕も目を閉じて言った。 「おやすみ」 僕らは飛び降りて、死んだ。

あの星になりたい。

「僕は星と会話ができるんだ。嘘じゃなくて本当なんだ。」 「えーっ!すごいすごい!ねぇママ!お兄ちゃんのおはなしをきいてよ!すごいのよ!」 「あはは。たとえば、あの星の名前はミシル。この前340歳になったばかり。人間だったら何歳だろな。」 「お星さまも歳をとるの?」 「そうだよ。僕はミシルの隣のあの星になりたいんだ。」 「ふーん、、、じゃあわたしはもう一個隣のお星さまになる!」 「そっか、死んじゃってもずっと一緒だね。」 「うん!」 、、、 懐かしいな。お兄ちゃんと、あの話をしていた頃から、もう十年くらい経つのかな。 お兄ちゃんはあれからすぐ事故にあって、 お星さまになったんだよね。 今死んだら、星になって、お兄ちゃんと会えるのかな。 わたしはあの星になりたい。

愛して、愛して

ずっと前から好きな人がいるんだ。 これは、誰にも打ち明けた事がない秘密だ。 好きな人を何としても振り向かせる。 絶対に、 今日もダメだった。あぁ、何で きっと、この斑点だらけの顔が駄目なんだ。 じゃあ、斑点を全て潰すために整形しよう。 今日もダメだった。あぁ、何で きっと、このヒョウ柄の服が駄目なんだ。 じゃあ、親友との思い出もゴミ箱に捨てた。 今日もダメだった。あぁ、何で きっと、お金が無いのが駄目なんだ。 じゃあ、過労死するくらいバイトを入れた。 今日もダメだった。あぁ、辛い 私はいつになったら好きな人と結ばれるのだろう。。 街角を曲がった時。ショーウインドーの先の自分を見て驚いた。目の下がくまでギタギタの自分が叫んでいたんだ。 自分が愛されたい人は自分だっ。

誰よりも綺麗な走馬灯を

「花ちゃん骨折したんだって」 「バイクに轢かれたんだっけ?大丈夫かな?」 「みんなおはよう」 「花ちゃん、腕大丈夫?」 「見た目ほど酷くないよ。利き手使えないのは不便だけどね」 「困ったことあったら、頼ってね」 「ありがとう。助かる。」 「あっ。そういえば聞いてよ。」 職場で倒れて、 救急車に運ばれて、 余命1年って診断されて、 今日はいろいろありすぎた。 病名は覚えてない。 何かすごく長くて難しかったのは覚えている。 余命以外に何を言われたっけ。 お医者さんの話は余命の衝撃でほとんど聞いていなかった。 職場には、訳を話して休職することになったし、親にもLINEを送った。 既読はついていないけど。 余命1年。 実感がわかない。 ぼーっとしながら歩いていた帰り道、本屋さんの前で足が止まった。 そういえば、仕事が忙しくて趣味の読書も最近できていなかった。 元々私はインドア派だし、 仕事を休んでいる間は、家に籠るのもいいかもしれない。 店に入ってすぐに本のポップが目に入る。 タイミングが良いのか悪いのか、紹介されていた本の題名は 「衝撃!?走馬灯の秘密」 なんとも趣味が悪い。 「あっ。そういえば聞いてよ。」 「何?」 「私ね、走馬灯見たんだよ。今までの思い出が、ばーって。」 ああ、そうだった。 昔、仲の良かった花ちゃんは、走馬灯を見たんだった。 どんな感じだったんだろう。 もっと詳しく話を聞いておけばよかった。 カゴを手に取り、ふざけた題名のその本と、気になっていた数冊の本を入れた。 家に帰り、走馬灯の本を読んでみる。 そもそも走馬灯とは。 走馬灯の内容。 実際に走馬灯を見た人の話。 題名のとおり、走馬灯について思っていたよりも詳しく書いてあった。 気がついたら本を読み終わっていた。 余命1年。 私が走馬灯を見る日も近い。 だったらいっそのこと、綺麗な走馬灯を見たい。 家に籠ろうと考えていたが、こうなっては仕方がない。 スマホで景色が綺麗な観光場所を調べる。 海外は多分無理。 そもそも飛行機に乗って大丈夫なのか? また倒れたら大変だし、一応近場の観光場所を調べる。 さっき買ったばかりの本は、そうだな移動中に読むことにしよう。 旅に出る理由が綺麗な走馬灯を見るためなんて、 世間からはネガティブだと思われてしまいそうだが、別にいい。 私にとっては、何よりの希望なのだから。

家政婦はちょうど見ていなかった

「うっわぁ、ド派手だ……」  家政婦一年目のマイは、ポカンと口を開けて辺りを見渡した。彼女はある裕福な一族のパーティーに派遣されたのだが、そこの会場のまあ派手なこと。赤が基調の中華風で、差し色は青。どちらも目がチカチカするようなきつい色で、マイは思わず顔を顰めた。それを先輩家政婦のフタミさんがつついて注意する。 「家政婦がそんな顔をしてはおしまいですよ。あくまで笑顔で」 「だって、この会場色彩センスなさすぎですよ。せめてカーテンぐらい……」  ふと背中を叩かれて振り向くと、不細工……いや、たいへん個性的なお顔をされた紳士が、マイを見下ろしていた。腕を組んで、何やらイライラしているようだ。 「今の聞こえたけどねぇ、そういうの軽々しく文句言うもんじゃないと思うよ?」 「も、申し訳ありません!」 「ほんとだよね。君、物事の本質ってわかる?」  面倒なことに、不細工なクソジジイは説法を始めてしまった。マイは言っていることの1割もわからなかったが、一応しょんぼりと反省しながら俯いた。そうこうしている間に、フタミさんは会場のプロジェクターを修理し始め、ビュッフェに群がっているお客様たちはざわめいている。何が起こっているのか見たくてたまらないが、クソジジイをこれ以上怒らせてはたまらないので、じっと耐えた。 「……だから、人に言われたことを鵜呑みにするんじゃないぞ」 「はい、ありがとうございました。勉強になりました!」  説法の話のキリが良くなったところで、マイは半ば強引に話を切り上げた。慌てて会場に戻ると、なぜかプロジェクターには誰かのキスシーンが特大で映されていて、会場のど真ん中では1人の男性が2人の女性にボッコボコに殴られていた。そしてカーテンの影ではフタミさんがニヤリと笑っている。 「惜しかったですね、もう少し早ければド修羅場が見られたのに」 「今も十分修羅場ですよ……これ先輩がやったんですか?」 「さぁ……」  フタミさんは口のはじを歪めてふっと笑う。マイは苦笑いすると、そっとプロジェクターを元の画面に戻した。

都会

「今日も一段と色のない世界だ」 僕は地下鉄のホームから地上へ出ると毎日同じ感想を抱く。次々とビルは建つのに、どんなに歩いても景色の変わらないこの街はだんだんと色を失っている。道行く人は常に急ぎ足だ。まっすぐと目的地へ向かう。誰も彼も同じような格好だ。 僕には全てがモノクロに映る。 そんな世界も悪くはない。服装のセンスを気にしないし、常にシンプルに過ごせてストレスフリーだ。感情に振り回されることもなくなった。怒ることもないし、苦しいこともない。 ただひたすらに淡々と日常を繰り返すだけだ。 それなのに世界から色が無くなるに連れて、なぜか僕の生きる気力はすり減っていく。どうしてこんな世界になったのだろう。 あの日からだ。あの日から始まったんだ。僕の前から君が消えたあの日から。 君がいなくなって日に日に世界から鮮やかさが消えていく。 一緒に買ったIKEAのカーテン 一緒に育てたサボテンの花 一緒に食べた喫茶店のナポリタン 一緒に歩いたこの道も いつの間にか全てグレーに染まった。 ぽっかりと穴が空いたなんてものじゃない。穴という穴が僕を蝕んでいく。 君がいるはずのこの街を何度も歩いた。どんなに人とすれ違っても君はいない。いつでも君の影を追いかけて。それでも君は見つからない。こんだけ人がいるなら、1人ぐらい君であってもいいじゃないか。そう嘆きながら、灰色に映るこの街で僕は彷徨っている。 この世界が鮮やかさを取り戻した時僕はこの街から解放される。

Did you go to Lakehead the battery get about I’m broke as a big bum

How do you really got a break as a battery had a bad day just to make everybody be there to pick up Ruby Doobie did you keep a good everybody be there to make everybody be there to walk ability to be there to pick it will be that hard to keep a good ability to book up every day to make everybody be dead and you keep a good ability to work a bit of it we did Emma go to Verde Village had a couple good ability to GPT to make a bit of a DeBitetto by couldn’t build it how to keep a good ability to visit but that’s what I kept everybody be dead supposed to really be detrimental to be debited how to keep a good ability to work baby did America will be there but it had a cabin gonna be ready to pick up your visit to American Burger Deborah didgeridoo to make a bit of it if you did I look like a baby or did we do to make a very busy but that’s broken everybody with HVAC and Ruby debited I think I could ever will be there to back up a little bit every day to make everybody be there to make a blueberry that I had to keep a good ability to admit we did make everybody be dead broke up everybody beat it had to be ready How do you real quick but shrinkage of a deadly haven’t made it to Rokeby birthday will be detrimental to be deleted because you’re really rude that I think about going to be refrigerator repair will be there to look up a bird really did that and have a good day will be dead will be there but whether to make up a little bit of debt educated could’ve ever did your package of Louis did undergrad but couldn’t believe you did you go catch up with you dude I’m bout to be dead battery but we did get a make a bit of a ditch at the club I got a bit of a dead because you’re gonna visit America Ruby – OK we’re going to go to the Chillville redo that mercury – how to keep a good addition of a dead battery dead broke and you to be rude we did find a couple good about it we did with the ditch by computer video visit Rudy to make a Bluejay village I do but I give a WW birthday

踊り場のアメリカ人

 放課後のこと。  アメリカの学園ドラマでよく見る、スクールカースト最上位に君臨していそうなブロンドヘアーの見るからにチアリーディング部といった風体のアメリカ人娘が一人、階段の踊り場に転がっていた。  断わっておくが、ここはアメリカではなく日本であり、伊豆である。  伊豆半島東部にある全校生徒僅か5人の廃校目前の高校である。  当然その5人の生徒の中にアメリカ人など一人もおらず、それが今、同高校内の中央階段、二階から一階へと続く踊り場にアメリカ人娘が転がっているのは果たして何故なのか、さっぱりわからない。 「誰それ?」  突如声をかけられ、ギョッと後ろを振り返ると、一階からこちらを見上げるように水沢さんが立っていた。  水沢さんは5人の生徒のうちの1人であり、俺の唯一の同級生でもあった。  一段一段ゆっくりと階段を上り、夏休み行きたくもない博物館に無理やり連れて行かれた子供が土偶を見るような眼差しでアメリカ人娘を見つめている。 「藤村君の知り合い?異邦人?」 「いや知らん人。多分アメリカ人。」 「なんでアメリカ人ってわかるの?」 「アメリカのドラマに出てきそうだから。」 「じゃあアメリカ人だ。で、アメリカ人がなんでここに?」 「わからん。転校生かな?」 「もうじき潰れるこの学校にわざわざ?」 「そんなやつもいるだろ。」 「……そんなもんかね、」 と踊り場まで来た水沢さんは俺の隣にしゃがみ込み、アメリカ人娘に不躾な視線を送る。 「……なんか、スクールカースト最上位のテンプレ女って感じだね。」 「俺も思った。テンプレアメリカンチアリーディング部だなって。」 「うん、テンプレアメフト部の脳筋と付き合ってそう。」 「そうそう。それでテンプレアメリカンホームパーティーで大麻回し吸いしてるのな。」 ハハハ。 ハハハ。 「――待って、なんか小さい声で言ってるよ。」 「本当だ。でも日本語じゃないな。」 「アメリカ人だからね。」 「水沢さん英語わかる?」 「わかんない。アルファベットは覚えてるけど。」 「すごいな、アルファベット覚えてるんだ。じゃあ何て言ってるかわかる?」 「頑張ってみる。」 と水沢さんはアメリカ人娘の口元に耳を近づける。 「――うん、分からない。」 「そうだろうと思ったよ。なんか足抑えてるな。」 「つったんじゃないかな。」 「つっただけでこんな息も絶え絶えになるかね。」 「アメリカ人は大袈裟だからね。」 「……あれ、今ヘルプって言った?」 「言った?」 「うん、確かに蚊の鳴くような声でヘルプって。」 「リスニング成功だね。」 「――でも、ヘルプってどういう意味だっけ?」 「私に聞かれてもな……つったって意味じゃない?」 「よっぽど、つってるんだな。」 「私も寝てるとよくつるんだよ。」 「あるよな。」 「……アイスガイ?」 「えっ?」 「アイスガイって言わなかったこの人?」 「言ってないでしょ。」 「幻聴か……アイスガイ見なくなったよね。」 「そういえば見ないな。でかいパピコだよな。」 「そうそう。好きだったな。澤田屋だったら売ってるかな?」 「澤田屋?」 「えっ澤田屋だよ。あの駅近くの商店。」 「ああ、あの店澤田屋って言うの。」 「知らなかったの?ほら一学年上の澤田ほまれさんの家。」 「あの店澤田さんの家だったんだ。」 「うん。……でも澤田さん死んじゃったね。」 「残念だったよな。脳みそに山ユリが咲いちゃう難病だったんだろ?」 「心臓にクロッカスじゃなかった?」 「……わからん。」 「……アイスガイ売ってるかな。」 「売ってないだろ。」 「賭ける?」 「いいね、あったら奢るよ。」 「やった!」 「なかったらメローイエロー奢ってな。」 「いいけど、絶対あるよ。」 「絶対ないから。」 「……で、その人どうするの?」 「……すっかり忘れてた。」 「何も言わなくなったね。」 「寝たのか?」 「寝てる感じだね。」 「そっとしておくか。」 「うん、アイスガイ売り切れちゃうし。」 「ないって。」  それから、二人で澤田屋に行った。  澤田屋にはアイスガイが売っていた。店に出ていた澤田さんのお母さん曰く日本最後のアイスガイらしく、水沢さんは日本で最後にアイスガイを食べた人間となった。  結局あのアメリカ人についてはよくわからないままだった。次の日学校で担任教師からアメリカ人転校生の知らせもなかったのでこれ以上知るすべもない。 「もしかしたら廃校間近の学校が見せた夢だったのかもしれないね。」  またもや帰り道に寄った澤田屋にて水沢さんはパピコを食べながらさもどうでもよさそうに言った。 「足をつったアメリカ人の夢ってどんな夢よ。」 「夢ってそんなもんじゃん。――はい、片方あげるよ。」  そう言ってパピコの片割れをくれた。  美味しかった。

叶わぬ願いを星に託す

 草木も揺れない寂しい廃墟で黒い服を着た少年は空を見上げる。  かつて緑が生い茂り、人々が行き交っていたはずのこの世界。とある戦争を機に、全てが全てが焼け焦げて色を失った、この世界。  少年は空から視線を戻すと、服のポケットから手のひらにのるほどの小さなアルバムを取り出した。ばらり、と捲るとそこには少年と、もう一人の快活そうな、赤い服の少年が笑顔で映っている写真。  赤い服の彼は、黒い服の少年の友人だ。惨劇が起きるその直前まで、黒い服の少年は護衛も兼ねて、彼と一緒に公園で遊んでいた。  アルバムを捲っている少年は、いわゆる人造人間、と呼ばれるものだった。完全な機械と違い、クローン人間を元にしているため、感情を持っており、戦争が起きる前の世界では友達やら恋人として人間と暮らすことが多かった存在だ。 また、ある程度の防衛機能を積んでいることから、人造人間は親が多忙だったりして目が行き届かない子どもの友達兼護衛係としてもよく使われていた。  写真の中でピースをしている赤い服の少年はまぎれもない人間だ。戦争で焼けて、血の一滴も遺さずに目を灼く光となって瞬時に蒸発してしまった。  当時、ふたりで公園で遊んでいたところに人類史上最悪の兵器による光が彼らへと襲いかかったのだ。  人造人間、特に黒い服の少年には他のモデルに比べて類まれなる防衛機能が備えられていたこと、ちょうど彼らの位置が建物の影になっていたことで黒い服の彼だけは生き残ったのだった。  写真の中のふたりの後ろには、どこまでも続く星空が映っている。ちょうど、この廃虚の空と同じような。  少年は再び空を見上げた。  この写真を撮った時には、ふたり一緒に見あげたその先で流れ星を見つけた。また見つけることができたのなら、かつての想い出に浸れるような気がしたのだ。もっとも浸るだけで、決してあの日々は戻ってきやしないのだけど。  ぐるりと空を仰ぎ見て、上へ下へと忙しなく視線を動かす。なかなか見つからない、そう思った矢先。  きらり、と視界の端で光るものが見えた。  慌ててそちらを見やるもすでに光は消えてしまっていた。肩を落とすもつかの間、再び空を見上げた視線の先、煌めく星々の中で一筋の線が走る。  間違いない、流れ星だ。   「……また、君と遊べますように」  少年は早口で三回同じ言葉を繰り返した。平和だったあの世界で聞いたことがある。流れ星が消えゆくまでに三回同じ願い事を繰り返すことができれば願いご叶うのだと。  友達だった、否、友達の少年は既にこの世にいない。だからこれは叶わない願いだ、そう分かってはいてもやめることはできなかった。  星が流れていった先をしばし見つめ、少年はゆっくりと歩き出す。どこへ行くとも分からないまま。  再び流れた星が彼の後を追うように、すぅ、と光の筋を描いては消えていった。  

巡る春と冬に置いていかれた君

桜吹雪の吹きすさぶあの春に出会って、それから何回目の春だろう。 君は、もう何も言わない。僕は石造りの墓の側へとしゃがみこむ。 あのきらきらと輝く瞳も、風に靡く淡く柔らかな髪の毛も、くるくるとよく表情を変える顔も、何も、ない。 君はある日突然にいなくなってしまったね。何回も迎えた春を、急に冬に置き去りにして。君は少し飽きっぽいところがあったから、突然に飽きてしまったのかな。 墓の前に線香を立て、そして白いチューリップの花を置いた。君のすきだった花。花屋に並ぶ中、君のように燦然と、眩いばかりに輝いていた、白い花。 ぽたりと涙が石の床へと落ちる。とめどなく溢れる涙は、時雨のように降り注ぎ、その色を濃く変えていく。 ばか、そう小さく呟いた。 どうして僕を置いていくんだ、君のいない世界で僕はまた1人だ。他でもない君のせいで、おかげさまで。 君の笑顔のない世界に価値なんてあるものか。ぎゅっと拳を握ると手の平に爪が突き刺さった。 さらさらと墓場の木々が揺れる。優しいはずのその音色が酷く鬱陶しい。僕は、ぼんやりと石に掘られた君の名前を見つめた。 流れる涙は止まることを知らなかった。

テラダが自然発火

 一週間前の数学の授業中にクラスメートのテラダが自然発火するという事件が起き、その自然発火によってテラダは死亡した。  警察がいくら調べてもわからなかった自然発火の原因だったが、テラダは学校中の嫌われ者だったので原因不明だろうがなんだろうが皆心底どうでも良く、誰もが口を揃えて「風通しが良くなって幸いだね」などと言い合って、大変に喜んでいた。  ああ、無情なり人の世、こいつらは本当に人間なのだろうか、どいつもこいつも人の命をなんだと思っているんだろう?この学校には性根が腐りきったカメムシしかいねえのか?テラダ僕だけはお前を弔ってやるからな、などとテラダの悲報にバナナ片手に狂喜乱舞している学校の連中を見ながら、そんなことを頭の片隅で思ってみたりもしたが、家に帰る途中にある熱帯魚専門店の店先の水槽の中で優雅に泳ぐ赤い魚に見惚れていたら、テラダのことなどすぐに頭から抜け落ちてしまった。  しかし今朝、謎の自然発火によって死んだテラダが我が家を訪ねて来た。 「僕が燃えた原因は人の視線だよ。」  などと、玄関を開けるやいなや、僕の目を真っ直ぐに見つめ、まるで深刻な話でもしているみたいな表情でテラダはそう言った。  なんでも良いが、すぐに帰ってくれと僕は伝える。 「……え、いや、……え?なんで僕が燃えたのか気になっていたんじゃないの?」  などと本気で聞いてしまうテラダを見て、愚かな人間は死んでも愚かであることを知る。  すまないが、何故お前が燃えたのかなんてコロンビアの今日の天気より気にならないんだ、さあ、帰るんだ、あっち行け死人め!と僕は塩を撒く。  いや待って聞いて、ねえ塩かけないで!僕の話を聞いて!お願いだから話を聞いて、これが最後のお願いだからなどとみっともなく喚き、異様な粘りを見せるテラダに根負けし渋々話を聞くことにした。 「これはすごい事実なんだよ、誰かに話さなきゃ死にきれないと思って棺桶から飛び出してきたんだ!」  などという薄気味悪い前置きをして、勝手に話し始めた。  テラダ曰く、どうやら人の視線には熱があるらしく、恥ずかしさの余り顔が赤くなるのは、実は見る側の視線の熱によって顔が熱されているからなのだそうだ。  今回テラダが燃えたのはクラスの中の誰かが、もしくは複数人の人間が、もしくは複数人どころかクラスの全員がテラダに対し熱烈に視線を送ったために、結果発火してしまったとかなんとか。  感想どころか「へえ」という相槌すら出ず、僕はなんとなく空へと視線を送る。 ……それにしても、と思う。  それにしても、この程度の文量にまとまる内容を小一時間かけて話す脳足りんのテラダはやはり生前のテラダのままだな、と僕は思う。  全く律儀なものだと独りごちっていると、そういえば昨日の夕食で出た梨の残りが冷蔵庫の中にあるはずだ、と突然にそんなことを思い出し、テラダをそのままに台所へ向かう。  『死』という強烈なイベントをもってさえしても何かが劇的に変わるわけではなく、ましてや簡単に終わってくれるわけでもない。そんなことはわかりきっていたはずなのに、こうしてまざまざと見せつけられるのは、さすがに堪えるな、と思い梨を噛る。テラダもちゃっかりと梨を噛りながらまだ何事かを話していたけれど、もう僕の耳には入ってこない。  テラダの話が一通り済んだところで、明日は学校来るの?となんとなくそんなことを聞いてみた。 「詳しいことはわからないけどね、多分、どうせ行くことになると思うよ。」  とテラダは困ったように笑いながらそう言った。  なるほど、テラダ自身もまた、死んだところで簡単に人生が終わるわけではないことに気がついていた。  その意外過ぎる事実に僕は驚きつつも心のどこかで少し安堵していた。   別れ際、じゃあまた明日学校で、などと、テラダに手を振ってみた。  テラダは恥ずかしげもなく大きく手を振り返してきた。  しぶとい奴だなと思って、僕はドアを閉めた。

このいかれた世界の真ん中で

私はこのイカれた世界が大嫌いだ、少し発達が遅れたぐらいでイジメられバカにされる、人間なんか大嫌いだ。 ルナはいつも心の中でこう思っていた。 ある日の夏休みのことルナは姉と一緒にとある街に引っ越してきた、そうイジメに耐えきれなくなりこの街に引っ越してきたのだ。 「お姉ちゃん、私この町でやっていけるかな」私は不安になり姉に問いかけた。 「もしダメなら登校拒否すればいい、でも命だけは大切にしなきゃダメよ」姉は少し硬い表情でそう答えた。 私は喉が渇き冷蔵庫にあったミルクをコップに注ぎ一気に飲み干した。 「ルナってほんとミルク好きだよね」と姉は少し笑みを浮かべ言った。 「うん、ミルク大好き、だって美味しいもん」 「そうだ、明日から通う高校に挨拶にでも行ってきなさい」 私はしぶしぶ家を出た。 少し歩くと明日から通う高校が見えてきた。 「あなたが明日から転校してくる月影ルナちゃんね、私は上原かおり、かおり先生って呼んでね」 「私人間が怖いんです、人間みんなが化け物のように見える」 「世の中ね、いじめっ子ばかりじゃないは、優しい人だって必ずいるから、頑張って登校してきなさい、最初は午前中だけでもいいから、待ってるね」と優しい笑顔でかおり先生はそう言ってくれた。 しばらくして私はしぶしぶ家路を急ぐのだった。 私は家の重い扉を開いた。 「お帰り、ルナ」と姉がエプロン姿で笑みを浮かべ出迎えてくれた。 「ただいま、お姉ちゃん」 学校どうだったっと姉は私に優しく問いただす。 「まだわからない、明日残酷さがわかると思う」 「まだわからないじゃない」と姉は少し不満そうに答えた。 「私、わかるんだ、この世界はもうイカれている、障害者は馬鹿にされいじめられる、そうゆう世界」 ルナと言って姉は私を優しく撫でてくれた。 「あなたを絶対幸せにしてくれる人が現れる、だから今は頑張りな」と優しい声は心の中まで響いてその手はとても暖かった。 「明日、編集者の人が漫画取りに来るよ」と姉は少し嬉しそうに言った。 姉は売れっ子の漫画家、私も将来は漫画家をめざしている。 「それでねルナの漫画を明日編集者の人たちに見せたいと思うんだけいい?」と姉は私に聞いてきた。 私はもちろん了解した、ここで大逆転を狙えるかもしれないと思ったのだ。 「明日私帰ってくるまで居てくれるかな、編集者の人」 「たぶん居てくれると思うよ、来るの昼の12時だし。」 「ちなみにペンネームは決めてるの?」と姉は楽しそうに聞いてきた。 「ペンネームは本名でいこうと思ってる」 姉は賛成してくれた、ほんとに嬉しかった、私は今日もこの世界に絶望を感じながら生きていく。

蜜を舐めるラ・モール

 この国には二人の神が存在する。  一人は天の国にいる神。  もう一人は死神だ。  今回はそんな死神の話をしよう。  |||  この死神は、人の不幸が大好きだ。  人々が幸福を感じているのを嫌い、不幸になっているところを好む。    そんな死神の前に、ある男性が横になっていた。 (…)  その男性は幸せそうな顔をして眠っているようだった。  だが、幸せを嫌う死神はそれが気に入らなかった。  自分の右肩に担いでいる鎌の存在を確認するかのように、左手でさらりと撫でた。 (人は幸せにならなくたっていい、不幸になってくれさえすればいい)  私たち人間からすると、不幸なんかより幸せのほうがずっといいはずだ。死神とは価値観が違う。  死神はそんな人間の意志は尊重しない。 ||*||*|  そんな人間を見下ろしながら、死神は床に広がる赤い蜜を指にとり、ぺろりと舐めた。

許してあげている

自分のウチの窓から見える 早朝の空の、青みがキライだ また一日がはじまってしまうのか 今日を生きていかないといけないのか そんな気持ちになって たまらなくなってしまうから 自分のウチの窓から見える 夕陽の、あのオレンジがキライだ 明日という日は、きちんと来ますよ また明日、決まった時間に お会いしましょうね なんて、夕陽が言っているようで 胸がはりさけそうになってしまうから 自分のウチの窓から見える 深夜の、あの暗闇がキライだ あの暗闇は、外にいるくせに ウチの中にいるわたしなんかより ぜんぜん、さびしそうにしてなくって そういうとこが、なんだか、生意気で まったく、好きになれない けど、深夜、外を歩くと ときどき、あの暗闇が ねこに会わせてくれたりする だから、深夜のあの暗闇は 生意気ではあるんだけど しかたなく、許してあげている ねこに、みちびかれ 暗闇をすすむのは 案外、わるくないものだ 暗闇をすすみながら 世界が、ねこと暗闇だけで 埋めつくされてしまえば いまより、少しは…… なんて、起こりもしないことを 真剣に、考えてしまう

煤色の梟

 山奥の長い石段を、ヒカリは息を切らしながら登っていた。この先にある神社は、辿り着ける人とそうでない人がいるらしいと聞いて、取材のためにやってきたのだった。ヒカリは後者の人間だったらしく、御社殿の立派な屋根は見えているのに、歩いても歩いても辿り着けない。これはいい記事になりそう、と歩数計と写真を記録し続けた。  突然、目の前がふわーっと白くぼやけてきた。頭はクラクラするし、足はふらつく。貧血を起こしてしまったようだった。ヒカリはゆっくりと階段に手をつき、座り込んだ。あぁ、気持ち悪い……。思わずため息が漏れる。  すると、ヒカリのすぐ傍に、静かに鳥が舞い降りてきた。ヒカリは膝にうずめていた重い頭をあげた。そこには、賢そうな真っ黒な瞳を持った梟がいた。斑点のあるくすんだ煤色の翼が、木漏れ日に当たって艶々と光る。顔が特徴的なハート型だったので、おそらくメンフクロウの仲間だろうなと思った。  ヒカリはカメラを構えて梟を写そうとしたが、さっきよりさらに気分が悪くなってきて、やむなくカメラを下ろした。なんだか指先が冷えてきて、力が入らない。熱がある時のように意識もはっきりしなくて、座っているのもやっとだ。これは貧血なんかじゃなく、ここの神様の祟りかも……。ヒカリは朦朧とする意識の中、梟に話しかけた。 「あなた、もしかして神様の使いだったり……? だったら神様に伝えてください、もう近づきませんから、どうか無事に下山させてくださいって」  まさかね、と思って見ていると、梟はくりっと首を傾げ、一枚の羽も欠けていない綺麗な翼をバサバサと振るった。ヒカリは思わず、巻き起こった風から腕で顔を守った。 「……承知いたしました」  ハッとして顔を上げると、梟の姿はなく、代わりに老婆が立っていた。巫女の袴を着ていて、目は漆黒、髪は煤色……さっきの梟と同じだ。 「道中気をつけてお帰りくださいませ」  老婆は優しそうに微笑むと、足音を立てずに静かに石段を登っていった。ヒカリはぼうっとしたまま、彼女の後ろ姿を眺めていた。

大人子供

 先進国は、教育の宝庫だ。  子供たちは学問に勤しむ権利を有し、情報に触れる機会が増え、精神の成熟はどんどんと早まっていく。   「本日より、成人年齢を十三歳へ引き下げます」    かつて二十歳だった成人年齢は、三分の二にまで引き下がった。  義務教育を終えない人間を成人させていい物か議論はあったが、中学生社長の増加や少年犯罪への厳罰化を望む声もあいまって、可決された。  制服に身をまとった成人たちは、今日も決められた時間に通学をする。   「大人大人ってさ、大人が勝手に言ってるだけだよな」    だが、制度はいつだって歪だ。  与えられた権利は、ほんの一部。   「酒も飲めないし、タバコも吸えない。いや、飲みたいとか吸いたいとかじゃないけど、大人扱いする割に制限すんだなって」    以前十三歳は、保護対処として扱われた。  法律上成人ではあるが、事実上の未成年であろうか。  社会という檻の中からは出られない。   「先生と付き合うのもダメなんだって。大人と大人なんだったら、自由恋愛もいいと思わない?」    歪さの原因はいくつかある。  一つは、身体的成長。  十代という身体の成長期に、成長を妨げる要因を排除すること。  もう一つは、精神的成長。  十代という精神の成長期に、誤った学習をする要因を排除すること。    要約すると、不信だ。  選挙権を持つ大人たちは、何一つ持たない大人を信用しないだけのこと。  首輪は、さながら大人としての自覚を持たせるためだけの記号といったところだろうか。   「大人たちは、権利が欲しいなら義務を果たせっていうけどさ、俺らから言わせれば、大人たちの方がよっぽど義務を果たせてないだろ。こんな、ぼろっぼろの成人年齢作りやがって」   「しかもさ、大人たち、全部政治のせいにしてるじゃん。私は悪くありませーんって」   「そうそう。そのくせ、先生のミスで私たちが何か失敗したら、人のせいにするなって怒るんだよ?」   「自己責任、自己責任って。当の大人が自己なんて持ってないんだから、自己責任なんてできるわけないじゃん」    では、世界において大人とはだれか。  社会に染まり、普通に従う大人か。  はたまた、学校という檻に閉じ込められ、不通に苦言を呈する大人か。   「なあ、いっそ子供だけの町を作らねえか? 俺たちも成人なんだし、いろんな学校のやつらを集めれば、多数決で意見だろ」   「いい! それ、とってもいい!」   「さすが! 天才!」   「それほどでも……あるぜ!」    いずれにせよ、世間はいつだって大多数の見方だ。  複数の大人たちは、今日も自己に基づいて更新を続ける。    大人という存在は、今日も歪に変化し続けている。    ゆっくりと。

三文芝居の舞台裏

 段ボールを抱えて教室に戻ると、すっかり机や椅子は後ろに下げられ、作業空間が確保されていた。しかし、作業中だったはずのクラスメイト達は戻ってきたヤッコに見向きもせず、教室に隅にそれぞれ固まって、不穏な会話を交わしていた。 「何かあったの?」  ヤッコは段ボールを下ろしつつ、自然と低い声になりながらアンちゃんに尋ねた。 「熱海殺人事件みたいな感じになってきた」 「ちょっと何言ってるのか」 「詳しくは知らない」 「それってどっちについて?」  アンちゃんは咥(くわ)えていたポッキーで、教室中央の舞台を指した。そこには主演の三人が並んでいた。 「ここにみんながいるのは、劇に関する問題を解決するため、そこんところちゃんと理解して。この問題を解決できれば、皆の問題も解決する」  舞台上で最初に口火を切ったのは、演出担当のイスズだった。確かに、クラス劇は難所を迎えていた、あまり熱心とは言えないヤッコの目から見ても。クラスの一軍層が勝手にもめてくれる分には構わないが、それがこちらナードにまで飛び火して放課後の時間を奪われるのは勘弁だった。 「話をややこしくしてるのはそっち。なんでしゃしゃり出てくるわけ?」  窓際に佇(たたず)みながら前髪をいじっていたルミが、きっちり文句を口にする。イスズとルミは見た目からしても水と油。クラスの優等生黒髪眼鏡と校則ギリギリパーマー&リップ濃い目が、しかし、激重カップルであることを知る者は少ない。ヤッコが不運にもそのことを知ってしまったのは数週間前のとある事故が原因だが、それはまた別のお話。 「なんにせよ、リハまで日もないですよ」  第三勢力であるキッシーは今のところ他の2人を向こうに回すには力不足に見える。しかし、バドミントン部裏番長として名高いキッシーの発言に一目置く者も多く、クラスでの行事運営では無視できない。 「要するに、問題を解決するための状況が、新たな問題の再生産する場になっていることをもって、〝熱海殺人事件〟っていうフレーズを使ったという認識で良い?」 「あのね、画面に向かって文字打ってばっかのキャラだから、そんな解説的台詞(せりふ)を吐かされるんだよ」  アンちゃんから悪意のない暴言をかけられつつ、三者の様子をうかがう。こういう時は観客に徹するしかない。三竦(すく)みの状態がもっとも安定するというのが世の真理。まずはこの議論の成り行きを見定めるしかない。  とはいえ、そもそも何でもめているというのか。 「もとはと言えば」  あ、どうやら説明してくれるらしい。  ルミは相変わらずイスズにしか話すつもりはないらしい。キッシーを無視する形で、一方的な主張をイスズにぶつけていく。 「なんでこの脚本で行くことになったかってこと」 「その話をいまさらここでやる? もっと建設的に、演出の変更でなんとかできるところを探そう」  表面的な言葉だけ聞けば、キッシーの言っている事の方がまともそうに聞こえるわけだが、政治屋のキッシーだ、常に自分の利益になることを腹に持ちながら発言しているのが透けて見える。例えばこの場合だと、助演である自分の登場場面を増やすつもりなのだろう。  部長面で応えるイスズ。さぁ三人の会話劇が展開するだろうところで場面を切り替えるのが昔ながらの手法。モブである小道具係と舞台監督の背中を押して、無理やり舞台上に乱入させる。さっきまでの沈黙による緊迫とはまた違った緊張感が演出される。 「小道具、こんな感じで良いですか?」 「舞台装置の方が遅れているらしくて」  ここで取り囲まれるのは主にイスズ。そう、二人に対応すべきイスズを故意に忙しくすることで、もともとは対立関係ではキッシーとルミの間に不協和音が響きだす。 「どうしてそんなことが言えるの!」  突然アンちゃんが腰かけていた机の上から飛び降りると、教室の中央に躍り出た。おっと、これはまたハーモニーが変わるらしい。ヤッコは机の上に座りなおした。そろそろポップコーンとドリンクが欲しいころだ。  舞台上では新たな登場人物も加わって、話は混沌となる一方。モブたちが退場していっても、何か問題が解決するわけではない。願いが一部かなったのか、ヤッコはいつの間にか出て来たコーラをストローですすった。  さて、ここで問題となるのは、物語における「主人公は誰か」ということ。結論から言えば、それは「決断をする者」とイコールである。  四人の口論は激しくなる一方、中身はない。吹奏楽部はBGMの生演奏を始める。問題を解決できる存在は舞台上にはいない。 「「「「それで、どうなの?」」」」  スポットライトがぱっと当たり、きょとんとした顔が照らし出される。どうやら、この筋書きの主人公は、ヤッコの隣の人物だったらしい。 (お題:熱海)

息を止め続けられる男

 どんなに長い間でも息を止められる、という男がいた。男は幼い頃から自分が特別な人間であるとわかっていた。どんなに休まず走っても疲れた事がなかったし、どんなに長い間水に潜っても苦しくなかった。  昔から男の噂を聞きつけて、町中の体力自慢が男と対決するために集まって来た。しかし、男より長く息を止めた者は誰もいなかった。  やがて男が住んでいた町には、世界中から男と勝負したいという者たちが訪れた。長距離マラソンの世界的な黒人選手や、中国の山奥からやってきた髭面の仙人、秘密の手術によって特殊な肺を手に入れた闇医者など、男に勝つためにあらゆる道のエキスパートが集まった。それでも男より長く息を止められた者は1人としていなかった。  ある日、地球の反対側に住む1人の貧しい少女が、男に挑戦を申し込んだ。 「世界中のエキスパートが敵わないのに、少女に相手が務まるものか」 人々はそう言って笑ったが、少女にもまた、男のように特別な力があった。少女は生まれた時から目が見えない代わりに、神が自分の願いを聞いてくれるのだと言う。お腹が空いた、と言えば腹は満たされ、眠りたくないと言えば1週間以上も眠らなくて平気だった。  後日、男と少女の対決が行われることになった。空気が薄い雪山の頂上で、この日初めて対面した2人は地面に並んで座った。息ができないよう同時に顔をテープで覆われ、限界を迎えたら手を挙げる、先に助けを求めた方が負け、という簡単なルールだ。人々はどちらがこの勝負を制するのか、固唾を飲んで見守った。  勝負が始まる直前、少女は自分の国の言葉で 「神様、できるだけ長く息を止めてください」 と呟いた。 この時、男だけが少女と話す神の声を聞いた 「…心得た」  多くの金持ちや有名人が、見物人として2人を取り囲んでいる。 「はじめ」 合図で2人は息を止めた。  もはや、その日中に決する勝負ではなかった。  勝負開始から3日が経過した頃だろうか、少女は少しずつもじもじとし始めた。だが男の方に変化は全く無かった。そしてさらに2日が過ぎた頃、ついに少女は手を挙げ、ごろごろとのたうち回った。人々にテープを外された少女は、少ない山の空気が全て無くなるというほどに息を吸い、それから1週間ほど気を失った。少女の負けが決まったのである。  問題はそこからだった。 待てど暮らせど男は手を上げない。どこまで記録が伸びるのかと楽しそうに見ていた人々すら、飽きて山を降りて行った。  それから1週間後、登山を楽しんでいた地元の愛好会が男を見つけた。テープをしたまま、手を上げずじっと横になって耐えている男を人々は大いにたたえ、その生き様を尊敬した。やがて男の邪魔にならないよう、山に近づくものは誰もいなくなった。 不思議と、男を助けるために残るという者は1人も出て来なかった。 「彼はまだ手を上げないらしいぞ」  男はそんな人々の期待に応えるように、今日もひっそりと冷たくなった体で息を止め続ける。

こわがり屋

「きゃあ!!!」 どこまでも届きそうな悲鳴と共に腰が抜けて、しまう彼女。 彼女はいつも大袈裟なくらいに怖がる。 それが面白くて仕方がない、それが最初の印象だった。 「お前、誰といてもそんなに怖がんの?」 「やだなぁ、人によって態度変えるって最低じゃない?」 笑いながら、彼女は言った。 「最低、か……」 好きな奴に冷たくすんのも最低、なのか? そういや、別れはいつも“最低”って言葉が付きもんだったな。 ──初めては、中三か中二。 付き合い始めて、三日目くらいだっけ? ……若気の至りってやつか、まだ互いの事を知りもしないのにキスしようとして“最低”って叩かれて終わった。 ──その次は、別れてすぐ一目惚れっていうより腹いせ。 嫌いな先輩の彼女を無理矢理奪うような形で“最低”って…… 先輩からもボコボコにやられたっけ。 ──また次の彼女。 彼女とは上手くいっていたと思う。 けど、友達が気に食わなくてそいつにチョッカイ出しまくってたら“最低”ってケチョンケチョンに文句言われまくってフラれたっけ。 けど、その“友達”ってのが可愛くもないくせに彼女とよく一緒にいて邪魔だったんだよな。 脅しをかけても、引き離しても彼女から離れない。 ある日、そんな彼女の“友達”を呼び出し俺の恐怖のドライブに連れ出した。 それがキッカケで彼女に誤解を受けた挙げ句、“最低”とフラれた。 彼女と“友達”との関係はギクシャクしたものの壊れることはなかったってのに…… 「あの、さ……」 「何?」 「お前は……好きな奴にどう接すんの?」 「好きな人、か……それは独り占めしたくなる……のかな」 「そんで?」 「素直になれないとかも……あるのかな……」 「おう、そんで?」 暫く彼女は考えた後に口を開く。 「もしかして……私の事、好きなの?…………こっわぁ……」 彼女は冷静に身震いする。 俺もまた、彼女の言動に身震いした。 “こっわぁ……”冷静な身震い、それはあの時の彼女の“友達”そのものだった。 「いや、あの……今の無し……」 「こっわぁ…………こっわ!」 ……可愛く化ける女のが怖いっての── 終

散る

花火が咲いた。そして散った。  ある夏の話である。僕と彼女は夏休みに入る前に夏休みの計画を立てた。 「今年の夏は何したい?」と彼女が言う。 僕は勇気を出して「夏祭りに行こう!」と答えた。  そして夏休みに入った。気温と彼女への思いがあつくなっていく日々を僕はのうのうと過ごしていた。 あっけなく時が過ぎいつの間にか夏祭り前日になっていた。僕は慌てながら明日の計画を立てた。ついに当日を迎えた。 待ち合わせは午後5時、正面入り口にある時計台の下と約束していた。僕は待ち合わせの20分前についた。 つい張り切り過ぎてしまった。こんなにも長いと思った20分は人生で初めてだった。そして待ち合わせ時間になり小走りで彼女は 「待った?」と言った。 「さっき来たばっかだよ、」とカッコつけた。 彼女は紫苑の花柄の浴衣を着てきた。髪はいつもとは違くアレンジがされていた。 綺麗だった。 まず僕たちは綿菓子を買いに行った。口に入れた瞬間すぐに溶けていく綿菓子は恋に落ちた自分のようだった。 僕は計画通り進んでいき心が安心しきっていた。しかし花火が上がる時間が近づくにつれて胸を刻む音が大きく速くなっていた。 僕たちは誰も知らない綺麗に見える場所に行った。  花火が次々と上がっていく。その中で彼女は 「花火って、かわいそうだね」と呟いた。 「なんで?」と聞くと 「教えない」と彼女は言った。 なぜか僕は花火ではなく彼女の横顔をずっと見ていた。綺麗だった。 とても綺麗だった。このまま続いてほしいと思った。 夏休みが終わり新学期になった。あれ以来僕は彼女と連絡もしていない。今日会えると思って学校に行った。 何やら教室が騒がしかった。『〇〇ちゃん病気で亡くなったらしいよ』と聞こえた。 その瞬間僕は感情というものがわからなくなった。ただただ呆然と涙が溢れることもなく立ちすくんでいた。 その日から一週間ほど家の外には出られなかった。 ある時彼女の家から一本の電話が掛かってきた。「娘に会いにきて、渡したものがあるから」と彼女の母親がお願いしてきた。 僕は身なりを整えず慌てて彼女の家に向かった。  家につき母親に案内され彼女の仏壇の前に行った。そこにはあの日みた笑顔で笑っている彼女の写真があった。 なぜか自然と涙が溢れ出てきた。 心が落ち着いた時に彼女の母親が手紙を渡してくれた。 〇〇くんへ これを読んでいるということは私はもう君の前からいなくなったんだね。病気のこと黙っててごめんね。 このことを言ってしまうと君は夏祭りに行くのやめようと言ってくると思うから言えなかったよ。本当にごめんなさい。 君は一途だから「〇〇ちゃんとするのが最後の恋だよ」ってよく言ってたけどもう私は君が生きている世界にはいないから。 私のことはもういいから新しい恋見つけてね。 自分勝手だけどこれが私の君にする最後の約束だから。約束は破っちゃダメだよ。 愛してくれて今までありがとう元気でいてね。 「何もできなくてごめん、」と僕は呟いた。無力な自分が今一番嫌いだ。 全部嘘だと思っていたかった。ただ目の前の現実から逃げたくなった。 数年後、僕は彼女との約束をまだ果たすことはできていない。四六時中彼女のことを思って生きる 生活が当たり前だった日々からまだ抜け出せそうにない。 このままでいたい。儚く散るくらいに愛していたわけではない。その時だけ特別芽生えたもの でもない。 ただパッと明るく咲いた君を見逃したくなかったからだ。

How do you graduate degree that’s what I will be down regularly be

How do I go to raspberry Ridge deadly death burger to literally get divided by divided recover by the way did you get your brother brother David did but you have a good day bye-bye dividend to bravo bit of a decorated with a delivery date and I had to keep a good eye bit of a deeper depth refrigerator with Emma are you gonna build a deck revenge bit of a ditch emoji with a video visit I just got the camera better better better baby girl call Robert B dad everybody day at Riverwood be death I do go to gather brunch and bar baby to be that’s what I get every bit that I go to the bilberry potato microbrewery DPW ditch very good baby did how do you get a good visit with the driver of a judge make a little bit of a day trip by the way – 12 and will be dead video a date with a double Richburg everybody be dead river to be divided ruin available date for a video visit for a cabaret with a bit of a dead battery dead rabbit available it’s really really bad it’s back up Ruby Doobie Doobie definitely visit anytime is good with a project battle bit of a different provider visit burger burger burger burger burger burger visit with you to make a little bit of a ditch Ruby DPW decorative dish burger burger burger with just regular I drink a beer or you have a dad really did break up your weather will be good to have a debit debit debit debit credit debit card at Beverly Beach project with a debit village will keep everybody busy but did you read it at the cabin cabin with David at Weber with the potential visit to Vancouver with the village did you give a good weather day today bud by the way did today with the video to get back to the video visit at the cabin crybaby which ever day club of a dividend little bit of a break if you get to visit with the temperature of a date with a debit brother will be there for the digital digital divide whatever dividend of the ditch becoming a bit of a dick or a vegetable vegetable vegetable table delivered it and bone

待ち合わせ

夢の中で待ち合わせ ペンギンと待ち合わせ 噴水のある、まあまあ大きな公園 来たことが、あったような、なかったような お友だちと遊んだことが あったような、なかったような そんな公園で待ち合わせ ペンギンと待ち合わせ ペンギンは、なかなか来なかった そもそも、約束をしていたのか そんなことも、よく分からない 夢の中だ、そんなものか けど、わたしは、待っている だから、約束らしきものは、したんだろう それにしても、まったく、ペンギンが来ない まったく来ないから、花を見ていたり 花を見ていたり、花を見ていたり 見ていたら、花が不自然にゆれる なんだろう、なんだろう ちょっと怖くなった なんだろう、なんだろう すぐ、ゆれている理由が分かった ああ、ねこかあ なんて けど、ねこじゃなかった アザラシだった よくよく、まわりを見てみる 大きな池では、クジラが泳いでいる お空では、カモメがぷかぷかやっている なら、アザラシがいても、おかしくないかあ なんて、夢の中で納得 そうして、また、ペンギンを待つ 夢の中のわたしは、なんだか、ちょっとヘンだ 夢の中でなくても、ちょっとヘンなのだけど それにしても、ちょっとヘンだった 結局、ペンギンは、来なかった あの待ち合わせ、いったい、なんだったんだろう そもそも、約束、してなかったのかな わたしが勝手に待ち合わせだと 思っていただけなのかな なんだか、あと味が悪いことになっている そういったわけで、今日は、たいへん寝ざめが悪い

美しい色

人が色になるならば、あなたはどんな色でせう きっと美しい色をしている 人が色になるならば、あなたはどんな色でせう あなたは汚く地味な色だとおっしゃる 人が色になるならば、あなたはどんな色でせう 私は、あなたの色が愛おしい。